米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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火の神殿へ

火の神殿へ⑦

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「変な質問になるけど、ドワーフはどのくらい瘴気の影響を受けやすい?」

 この世界に来てから、様々な種族に会ったわけだが、獣人やリザードマン等の亜人は瘴気に侵されやすかった。もしドワーフが同様だった場合、彼等の里に着くやいなや袋叩きにあわないとも限らない。
 里に着く前にドワーフの情報がもっと欲しい。

 マリの質問に答えたのは、ちょうどキッチンスペースから出て、こちらに近寄って来たグレンだった。

「……ドワーフ族は瘴気に強いと思う。背は低いけど、人間に近い種族だから」

「亜人じゃないんだね」

 彼はマリとモイスにコーヒーが入ったマグカップを配ってくれる。
 マリ達が聖域に行っている間、グレンは公爵やセバスちゃんを相手に訓練していたようだが、体力的にはまだまだ余裕がありそうだ。ソファに座り、グッタリとしているセバスちゃんと対照的なので、思わず吹き出してしまった。

「ドワーフは亜人ではないですし……、火の神ウルカヌス様の加護があるから、彼等は鉱石の加工業を続けていられるんですわ。せやから、リザードマン共の様に簡単に信仰を捨てるなんて事はまずないんです」

「そういう事なら信用できるかも」

 三人でそのまま窓の外を眺めていると、遠方に沢山の半球形の物体が見えてきた。
 その物体の他は岩と砂、そして所々に巨大なサボテンが生えているくらいなので、かなり目立っている。人が造った建造物の様にも見えるのだが、一体なんだろうか。

「あの丸っこいのって何?」

「ドワーフの住居。……面白い形をしている」

「そうなんだ!! てか、思ったよりも火の神殿から離れてないんだな」

 茶色の半球が幾つも重なっているから、まるでチョコレートのアイスクリームの様だ。自分だったら、バニラの白や、ミントの薄緑等の建築部も混ざるな、等と勝手な事を考えながらコーヒーを飲む。

(あ、美味しく淹れられるようになってる……)

 グレンの成長は、戦闘面だけでなく、こうした生活面でも目覚ましいものがある。彼と一緒だと、たかだかコーヒー一杯で心が動かされるのが凄い。このヘンテコな共同生活が終わったら、こうして些細な事では感動しなくなるのかもしれない。惜しいな――等と謎の思考に陥りかけ、マリは頭を振った。

(今はそんな事より、ドワーフについて考えないと! アースドラゴンとドワーフは実際のところどういう関係なんだろうな。交渉次第でオリハルコンの加工を頼めないかな?? それともやっぱり坑道にいるモンスターの討伐をしないと?)

 後々の事を考えると、出来る限りグレンに力を持たせた方がいいだろうから、抜け目なく動きたいところだ。

 キャンプカーは程なくしてドワーフの里の前に停まった。
 マリは下車する前にキッチンスペースに行き、昨晩作ったマロングラッセを入れた瓶をバッグの中に突っ込んだ。昨日モイスに押し付けられた蒸留酒を使ってみたら、思った以上に美味しく出来たので、ドワーフへの贈り物にちょうどいいだろう。

 マリ達5人がキャンプカーを下り、里の入り口まで歩いていくと、近くに居たお下げ頭のドワーフが顔を上げた。子供のように身体が小さいが、彼女の顔はしわくちゃだった。かなり高齢なのだろう。
 モイスはその女性を知っているのか、近寄って行く。

「プタマ女史」

「モイス・ソニシア殿。待っておりましたぞ」

 しわがれているが、シッカリした声音だ。

「久し振りやなぁ。また小さくなったんちゃうか?」

「無駄口は不要。族長の元に案内いたします」

「…………助かるわぁ」

 今の短いやり取りだけでモイスが嫌われているのが分かるので笑ってしまう。
 プタマは立ち上がり、杖を頼りにユックリと先導する。足が悪そうだ。

 里の踏み入れると、ドワーフ達の生活がシッカリと見て取れた。
 何かを燃やす焦げくさい匂いや、金属を強く打ち鳴らす音。
 広場の中央ではドワーフの女達が大きな敷物を広げ、鉱物を選別していた。
 彼女達はマリ達に気が付くと、目を大きく開き、ジロジロ見てくる。

 作業の邪魔をしてしまっただろうか。
 マリは目礼だけし、そこを通り過ぎた。

 プタマは里の中で、一番大きなドームの扉を叩く。

「族長よ。プリマ・マテリアのモイス・ソニシア殿をお連れしたぞ」

 建物の中は数秒の間静まり返っていたが、程なくして何かを倒す様な音や、間の抜けた奇声、ドタバタと走り回る音が聞こえてきた。
 なんだか滑稽な物音なので、マリ達は顔を見合わせた。

 プタマは、中の状況が分かるのか、重い溜息をつく。

「アヤツめ、また昼からたんまりと酒を飲んでおったな」

 三分程まつと、蹴破る勢いで扉が開き、真っ赤な顔をしたドワーフのオッサンが顔を出した。
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