米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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デンジャラスな登山

デンジャラスな登山①

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――ピピピピ……ピピピピ

「ふぁ!? オーパーツ!!」

 飛び起きると、辺りは暗く、温かな布の中に居た。
 自然光が差し込む小部屋に居たのに、またもや急な場所移動が起こったので、マリは激しく動揺する。

「マジでなんなの……? ここは、キャンプカーの中……だよね」

 キョロキョロと見回してみても、どこにもミニチュア版のオーパーツも、アダマンタイトも、銀髪イケメンの姿もない。身体もマリの意思で動かせる。

「あれは……、前世で実際に起こった事……」

 スキルを使った際の感覚を思い返してみると、まるでマリの身体でやったかの様に生々しく蘇る。

「あの通りにやれば、私でも使える……?」

 確かめようもないのでもどかしい。

 取りあえず、耳障りなスマホのアラートを止め、時刻を確認する。
 午前4:02
 予定通りの時間に起きれたのに安心し、手早く着替えて部屋を出る。

「おや、マリお嬢様。おはようございます。予定通りに起きれたんですね」

 セバスちゃんが既に起きて、居間スペースで荷物を広げていた。
 巨大なリュックがあるので、登山の準備をしているのだろう。

「おはようセバスちゃん。何時に起きたの?」

「三時半に起きましたよ。グレン殿はもっと早くに起きて、訓練がてらに外の見回りをしてくれています」

「アイツ、そんな事してくれたんだ……」

 朝はグレンが居ない時が多かったのだが、もしかすると彼は周辺のモンスターを狩り、キャンプカーが止まっている時の安全を確保してくれていたのかもしれない。
 彼が戻って来たらお礼を言おうと考えつつ、洗面台に向かって足を進める。

 通路の突き当りに段ボール箱が積まれている。ボールダーの欠片を詰めているそれは収納スペースに入りきらなかったので、通路に置くしかなかったのだが、何だか倉庫染みた雰囲気になってしまっている。

(うーん……。ボールダーの欠片をドワーフの族長に買ってもらえばよかったかな。イヴンナ山から下りたら交渉してみようかな)

 近寄ってみると、段ボール同士が妙にズレた状態で積まれていた。それを手で押し、直してやると、一番上の箱からコロリと欠片が落ちてきた。

「あーもう……」

 マリはそれを拾い上げて段ボール箱に戻そうとしたが、ちょっと魔が差した。

(……試してみる?)

 戻ったばかりの前世の記憶。
 カミラがやっていた通りに、自分もスキルを使えるのだろうか?
 アダマンタイトはまだ手に入れてないが、別の物質に対して同じ事が出来るのかも気になる。

 ボールダーの欠片は歪んだ三角形をしていて、両手を使って回転させてみると、手の平が痛い。
 ゴツゴツとした感触を感じ取りつつ、マリは目を閉じる。

(まず最初に、胸に秘めた力を引き出してたよね……。錬金術スキル出て来い、出て来い、出て来い……)

 胸の奥の方に、モヤモヤした感覚が生まれた気がした。その気配は強くなったり、弱くなったりして、非常に不安定に揺らめく。

(創造物のイメージを固めるんだっけか。カミラは芍薬の花を食べて、その時に感じ取ったモノをスキルの発動時に思い浮かべていた……気がする)

 花を食べた時の記憶を辿りながら、胸の奥の熱を引っ張り出す様にすると、手の平の上が熱くなった。
 片目を開けると、淡い金色の光が手の上に舞っていた。

「わわっ! そうそう、この光だった! 金色の鱗粉みたいな! 蕾に変われ!」

 マリはテンションが上がり、飛び跳ねそうになるが、まずは錬金術だ。
 角ばっていたボールダーの欠片が、ユックリと変化する。川の中で転がされたかのように、ゴツゴツした部分が削られていき、なめらかになっていく。

 これが自分の力で変わっているだなんて、信じられない。

「すっごい!! 本当に出来ちゃった!」

 しかし、欠片の変化は半端なところで止まってしまった。蕾の形にするつもりが、現状は日本のコンビニおむすびの様な形状。半端な三角形になったに過ぎないのだ。

「何でだろ?」

 もう一度集中し、同じ様に力を行使してみるが、僅かに形が変わるに留まる。三度目、四度目も同様だ。

(結構難しいな。もしかしなくても、結構訓練しないといけないんじゃ?)

 スンナリ目的の形に変わらなかったので肩を落とすが、少し冷静になると、マリが今やった事はかなりの進歩のような気がした。自分の意図で錬金中スキルを行使出来るのが分かっただけでも相当大きい。

 このスキルを伸ばしたら、カミラの様な奇跡の創造物が造れるんじゃないかと前向きに考えられる。

(登山中にでも練習を重ねよう!)

 ボールダーの欠片をパーカーのポケットに入れ、スマートフォンを取り出して時刻を確認する。

「うっわ! 20分も経ってる! 朝食と携帯食を作らないといけないのに!」

 マリは慌てて顔を洗い、キッチンスペースに飛び込んだ。
 イヴンナ山には一、二泊する予定なので、充分な食料が必要だ。セバスちゃんはスキルでハンバーガーを出してくれると言ってくれているのだが、それだけだと栄養が偏るし、なにより飽きてしまう。
 出発までの間に、瓶やタッパーに入れて持って行ける料理を三品程作りたいところだ。
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