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デンジャラスな登山
デンジャラスな登山④
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夕食の後片付けや歯磨き等をした後、公爵に見張りをお願いし、マリ達はテントの中に引き上げた。
たったこれだけの事でも、魔法頼りの水や、使い慣れないアウトドア用品の所為で結構時間がかかり、気が付けば時刻は20時を回ってしまっていた。
マリは月明かりを頼りに自分の寝袋に潜り込む。
こちらの世界に来てからは何度も寝袋で寝ているので、慣れたと言えば慣れたのだが、今は特殊な状態なので落ち着かない。危険がいっぱいな場所での雑魚寝状態は覚悟してきたというのに、実際やってみると想像以上のストレスなのだ。
目を真ん丸に開いてテントの一番高い箇所を眺める。風の音も無い中、誰かが身動きする音がやたら大きく聞こえる。
幾ら寝返りをうっても眠気は訪れず、仕方がなしに寝袋に頭まで潜ってスマートフォンゲームを始めた。
音を消した状態で、マインクラフトの世界の地面をせっせと掘り続ける。
画面下のバーに石のブロックがどんどんカウントされていく表示は、さながら羊を数えるかのよう。そのうち眠気が訪れるだろう。
暫くすると、テントの中の誰かが野太いイビキをかき始めた。
「……む」
方向的にセバスちゃんだ。
寝顔を見てやろうと寝袋から顔を出して、ギクリとする。
隣に横になっているグレンと目が合ったのだ。
「……っ!? ビックリした。まだ眠れていなかったんだ?」
「いつも寝付きが悪いから……」
「アンタは公爵と後でから交替するんだから、早く寝なよ」
「そうできたらいいんだけど」
そう言って小さく笑うグレンから、マリはササっと目を反らした。妙な色気があるのが恐ろしい。
動揺して腹に手を乗せると、堅い物に触れた。
ボールダーの欠片だ。
それを手に取り、寝袋の外に出す。月明かりの光に翳すと、形はかなり球体に近付いていた。
ここまでの道中で、欠片に何度か錬金術をかけていた甲斐あり、スキルのコツを掴めた気がする。眠りにつく前にもう一度やってみようと、欠片に意識を集中させた。
暗がりの中で幻想的に輝くソレは、今度こそ芍薬の蕾に近い姿に成型される。
「いい感じ」
「マリさん、さっきから何やってるの? ボールダーの欠片だよね?」
朝からさり気なくスキルを使っていたつもりだったが、バレバレだったらしい。
「意図して錬金術を使える様になったみたいだから、訓練しているんだ。ほら、見てこれ」
蕾型のフォルムになったボールダーの欠片を渡すと、グレンは寝袋から身を起こしてソレを見てくれた。
「錬金術で加工して、どんな効果になったんだろう?」
「う~ん……」
カミラがやっているのと同じようにスキルを使ったので、後もうひと手間でオーパーツの効果になってほしいところだが、肝心の材料が異なる。別物になっている可能性が高いだろう。
「……そのうち分かるよ。マリさんが創った物なんだから、役に立つものなんじゃないかな」
「それならいいんだけどね」
グレンに欠片を返してもらい、ポケットに戻す。
なんだか彼のユッタリした声を聞いているうちに眠くなってきた。
「眠れそう。おやすみ」
「お疲れ様、マリさん」
若干よれた寝袋をグレンが直してくれるのを嬉しく思いながら、マリは眠りに落ちていった。
◇
翌日もマリ達はモンスターと戦闘しながら登山を続ける。
昼頃になると辺りに霧が立ち込め、足元は滑りやすくなっていた。
足を進めるごとに濃くなる霧。先頭のグレンと最後尾のセバスちゃんの姿は見えるものの、それ以上の距離ともなると、風景がほとんど見えない。
「濃霧が厄介だ……」
立ち止まったグレンは表情を硬くしている。これ以上進むのは危険なのだろうか。
「無風状態だから、暫くは晴れないかもしれないね」
マリ達に追いついた公爵が困り顔で笑う。
「進む?」
「どうしようかね?」
引き返すか進むかを四人で話し合っていると、霧の向こうから生き物の鳴き声が聞こえてきた。小さかったそれは、次第に大きくなり、こちらに近付いて来ているのだと察する。
濃い霧の所為で、目で見て確認出来ないのが非常に怖い。
見えないながらも、鳴き声は明らかにモンスターのものだと識別できる。耳を澄ませると、単体だけのものではなく、様々な声が混ざっている。複数いるのだ。
(これ、凄い数なんじゃ? やばくない?)
取りあえず近くにある岩の影に四人で身を隠す。
沈黙のまま様子を伺っていると、荒々しい足音が轟き、マリ達が隠れる岩の傍を素通りしていった。
やはりモンスターだった。何かから全力で逃げている様に見えるのだが、どうした事か。
全てのモンスターが通り過ぎた後、上方から聞こえてきたのは、一際大きな咆哮。この世界の何物にも似てない声質の主は一体何なのだろうか?
(もしかして、モンスター達はこの咆哮の主から逃げて来ていた? この先にいるのは……?)
たったこれだけの事でも、魔法頼りの水や、使い慣れないアウトドア用品の所為で結構時間がかかり、気が付けば時刻は20時を回ってしまっていた。
マリは月明かりを頼りに自分の寝袋に潜り込む。
こちらの世界に来てからは何度も寝袋で寝ているので、慣れたと言えば慣れたのだが、今は特殊な状態なので落ち着かない。危険がいっぱいな場所での雑魚寝状態は覚悟してきたというのに、実際やってみると想像以上のストレスなのだ。
目を真ん丸に開いてテントの一番高い箇所を眺める。風の音も無い中、誰かが身動きする音がやたら大きく聞こえる。
幾ら寝返りをうっても眠気は訪れず、仕方がなしに寝袋に頭まで潜ってスマートフォンゲームを始めた。
音を消した状態で、マインクラフトの世界の地面をせっせと掘り続ける。
画面下のバーに石のブロックがどんどんカウントされていく表示は、さながら羊を数えるかのよう。そのうち眠気が訪れるだろう。
暫くすると、テントの中の誰かが野太いイビキをかき始めた。
「……む」
方向的にセバスちゃんだ。
寝顔を見てやろうと寝袋から顔を出して、ギクリとする。
隣に横になっているグレンと目が合ったのだ。
「……っ!? ビックリした。まだ眠れていなかったんだ?」
「いつも寝付きが悪いから……」
「アンタは公爵と後でから交替するんだから、早く寝なよ」
「そうできたらいいんだけど」
そう言って小さく笑うグレンから、マリはササっと目を反らした。妙な色気があるのが恐ろしい。
動揺して腹に手を乗せると、堅い物に触れた。
ボールダーの欠片だ。
それを手に取り、寝袋の外に出す。月明かりの光に翳すと、形はかなり球体に近付いていた。
ここまでの道中で、欠片に何度か錬金術をかけていた甲斐あり、スキルのコツを掴めた気がする。眠りにつく前にもう一度やってみようと、欠片に意識を集中させた。
暗がりの中で幻想的に輝くソレは、今度こそ芍薬の蕾に近い姿に成型される。
「いい感じ」
「マリさん、さっきから何やってるの? ボールダーの欠片だよね?」
朝からさり気なくスキルを使っていたつもりだったが、バレバレだったらしい。
「意図して錬金術を使える様になったみたいだから、訓練しているんだ。ほら、見てこれ」
蕾型のフォルムになったボールダーの欠片を渡すと、グレンは寝袋から身を起こしてソレを見てくれた。
「錬金術で加工して、どんな効果になったんだろう?」
「う~ん……」
カミラがやっているのと同じようにスキルを使ったので、後もうひと手間でオーパーツの効果になってほしいところだが、肝心の材料が異なる。別物になっている可能性が高いだろう。
「……そのうち分かるよ。マリさんが創った物なんだから、役に立つものなんじゃないかな」
「それならいいんだけどね」
グレンに欠片を返してもらい、ポケットに戻す。
なんだか彼のユッタリした声を聞いているうちに眠くなってきた。
「眠れそう。おやすみ」
「お疲れ様、マリさん」
若干よれた寝袋をグレンが直してくれるのを嬉しく思いながら、マリは眠りに落ちていった。
◇
翌日もマリ達はモンスターと戦闘しながら登山を続ける。
昼頃になると辺りに霧が立ち込め、足元は滑りやすくなっていた。
足を進めるごとに濃くなる霧。先頭のグレンと最後尾のセバスちゃんの姿は見えるものの、それ以上の距離ともなると、風景がほとんど見えない。
「濃霧が厄介だ……」
立ち止まったグレンは表情を硬くしている。これ以上進むのは危険なのだろうか。
「無風状態だから、暫くは晴れないかもしれないね」
マリ達に追いついた公爵が困り顔で笑う。
「進む?」
「どうしようかね?」
引き返すか進むかを四人で話し合っていると、霧の向こうから生き物の鳴き声が聞こえてきた。小さかったそれは、次第に大きくなり、こちらに近付いて来ているのだと察する。
濃い霧の所為で、目で見て確認出来ないのが非常に怖い。
見えないながらも、鳴き声は明らかにモンスターのものだと識別できる。耳を澄ませると、単体だけのものではなく、様々な声が混ざっている。複数いるのだ。
(これ、凄い数なんじゃ? やばくない?)
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沈黙のまま様子を伺っていると、荒々しい足音が轟き、マリ達が隠れる岩の傍を素通りしていった。
やはりモンスターだった。何かから全力で逃げている様に見えるのだが、どうした事か。
全てのモンスターが通り過ぎた後、上方から聞こえてきたのは、一際大きな咆哮。この世界の何物にも似てない声質の主は一体何なのだろうか?
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