あたしは蝶になりたい

三鷹たつあき

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果歩ちゃん大好き

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日が暮れるまで遊んで電車を降りてからは手を繋いで歩いた。本当に果歩ちゃんには感謝しかない。外に連れ出してくれたこと、ずっと笑顔を見せてくれたこと、笑顔にしてくれたこと。感謝の言葉を口に出すことはなんだか照れ臭いから手を強く握った。そしたら彼女もなにも言わずに力強く握り返してくれた。
 
 間もなく果歩ちゃんの家に辿り着く。この手を離したくはない。だけど、きっと大丈夫でしょう。十分に勇気を与えて貰ったから。
 
「優江。中学校行くの楽しみだね。」
 
 そうだよね。人生のすごろくの駒を進めるのは楽しいことだよね。中学生活はきっと楽しいものになるだろう。心の闇を晴らす方法も知ったのだから。もうひとり部屋に籠らずにいられるよ。もっともっと言わなくちゃいけない言葉はたくさんあったのだけど、なんだかそれも野暮ったい。だから、一言にすべての気持ちを込めた。
 
「果歩ちゃん、大好き。」
 
 彼女はなにも言いかえしてくれなかった。だけど、涙の雫を零して笑った。
 
 あたしは馬鹿な女だ。つまらない妄想をして悲劇のヒロインを演じて、大切な人を傷付けていたのだ。もう、そんなことは終わりにしないといけない。死ぬわけがないじゃないか。人ひとりの命というのはか弱いものかもしれない。だけど、あたしはひとりじゃない。確かに見守ってくれている人が存在するのだ。
 
別れ際に胸を張って手を振った。果歩ちゃんも両手を広げて上下に振り回した。
 
「優江。中学校行っても絶対親友だからね。」
 
「中学だけじゃないよ。死ぬまでずっと親友だよ。」
 
 もう、死という言葉だけに震えることはない。間もなく中学校の入学式だ。気持ちを立て直さなくちゃ。胸を張って生きていかなければ。そのためにはまずは今夜岳人を寝かしつけてあげよう。ご飯もいっぱい食べよう。あたしは死なない。そう何度も心の中で繰り返した
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