パステル

ちょこ

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第1章:始まり

8話

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(氷出そう…っと)

ヒューと冷気が漂ってくる。
このまま氷を作り出して、周りに攻撃しないように気を付けよう。

小声)私の能力は"可能"。この氷を大きくして爆発させる


「?」

ヒュー、バァァァンと氷が爆発した。
氷が飛び散る。
この氷に当たると凍傷してしまう恐れがある。
その忠告を怠った俺自身の責任だ。

陽葵
「つ、冷たい…」

涼真
「ひゃあ!」

未来
「い、痛い…よ…」

颯太
「この氷を飛ばしたのは誰だよ。
危ねーだろ…」

皆んながパニックになっている。
俺はどうしたら良いのか分からない。
俺は、また皆んなを傷付けてしまうのか。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
俺は皆んなを傷つけない為にもこの朝凪高校に来たんだ。
震えが止まらない。怖い。嫌だ。
皆んなに嫌われたくない。
皆んなに怖がられたくない。
身震いを抑える事が出来ない。


「はぁ、はぁ…んん…はぁ…嫌だ」

タッタッタっと誰かが駆けてくる足音が聞こえた。
俺の意識はそこで暗転した。
俺の意識が手放される前に誰かに抱えられたような感覚がした。


「・・・」

音鉄先生
「大丈夫か?」


「大丈夫です。すみません…」

音鉄先生
「悪い。僕が居たのに湊から目を離していた。僕の落ち度だ」


「・・・」

音鉄先生
「もう、寝ておけ。今日が初日のパステル退治だが…休んで大丈夫だぞ」


「で、でも…」

音鉄先生
「湊」

音鉄先生が真っ直ぐ見つめてくる。
俺はこの音鉄先生の金眼が嫌いだ。
黄金のように輝く金眼。
音鉄先生はこういう時はこんな感じに対応してくる。


「分かりました」

音鉄先生
「ほら」

ギュッと抱き締められてしまった。
音鉄先生に抱き締められると妙な安心感が芽生える。
俺は初日のパステル退治を休んだ。
そういう悪い奴のレッテルを貼られると思って諦めていたが、音鉄先生が何とかしてくれるみたいだ。

明紀
「うわぁ!雷、上手く使えてる!!」

正鶴
「よし!それで良いぞ!!」

林太郎
「この糸の巻って使いやすいですね」

正鶴
「だろう?」

颯太
「おっさん。風の微調整が出来るようになった」

正鶴
「おっさんじゃなくて、村田さんって呼べ」

颯太
「・・・」

正鶴
「・・・」

涼真
「村田さん!見て下さい!!水が浮かんできましたー!!」

正鶴
「それが正解だ!!」

剛志
「あの、こんな感じで大丈夫ですか?」

正鶴
「よし。ちゃんと出来てるな」

俺は能力エネルギーで生徒達の能力エネルギーのコントロールを教える資格を持っている。
今年の1年生達はコツを掴むのが上手い奴等ばっかりで一安心だ。
俺の能力エネルギーの補助が無くても
こんなに上手くいくもんで笑いが止まらんわ。

音鉄先生
「村田さん」

村田
「氷鷹君は?」

音鉄先生
「やっぱり、ダメです」

村田
「やはり、パステルの仕業だろうな」

音鉄先生
「僕は湊の事を守っているんです。
というか守るように湊の祖父から頼まれているんです。やっぱり、あの"氷河様"
の血筋のせいで…狙われるしか無いんでしょうか」

村田
「あぁ。申し訳ない。俺も能力エネルギーで生徒達の保護はしているが…だがな、限界があるんだ。俺だけじゃ…足りないんだ。生徒達を保護する力が」

音鉄先生
「そうですか。すみません。これからも生徒達の訓練指導を頼みます」

村田
「そんなに畏まらないで下さい。
俺も音鉄先生の父親から頼まれて引き受けてるだけだから」

音鉄先生も村田さんも互い畏っている。
どうして、互いに畏まる必要があるのだろうか。
気になるから後で聞いてみようと思う。
というか、俺の能力エネルギーの水が
浮かんでるのが好き。

                続く
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