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神天地編
第15神話 願い①
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「…流石は神通力を神と同等と持つぐらいはあるな。俺と適合しても一瞬で使い方をマスターするとは……」
ラルバは淡々と先程の俺のカウンターを気にする様子も無く、何も思っていない表情で俺に語りかける。
「……?適合?」
「さっきやっただろ。お前を裂け目で包み込み、真っ白な空間に連れ込んだ。そこで色々映像が流れてきただろ?そこに俺の記憶を…いや、正確には今いる全員の記憶…という表現が正しいな。」
(ここにいる全員の記憶?それに適合……まさか!?)
ラルバの一言で俺は、今置かれている最悪な状況を理解してしまった。
「つまり今の俺はお前やネヴァ達と脳を繋いでるってことか!?」
「中々察しが良いが…惜しいな。正確には頭のてっぺんから、爪先までの全体だ。」
「なっ……」
つまりは思い通りに動かされる操り人形ってことか?
「…まぁ言い方悪く言えばそうだなぁ。」
とまたもや心を覗かれ、俺の心の声を読み取り、しかも俺の疑問にまで肯定しやがった。
「……!」
そして俺は操られることを想像してしまい、思わず恐怖した。
ただでさえ空間を操るだけでも厄介だってのに、俺の脳まであいつの手で操れられるのはほぼ詰みだ。俺は悔しさで歯を噛みしめる。
こいつ…先程から調子に乗った発言をするものの、何も弱みを見せつけない。
それほど抜かりが無いからこそここまでの余裕を見せているのだろう。
不愉快極まりない。
「……!!」
「……そんな怖い顔をしないでくれ。急に取り込んで苦痛を味わせたのは悪かった。詫びるよ。」
そうは言うが急にあんな訳の分からないことをされてかつ、激痛を浴びせられたあげく、マリオネットにされた側としては、敵対意識を向けないという方が難しいだろう。
「…さ、さっきのあれは何だ!?お前は一体何を…!?」
その間ラルバはコクコクと頷き、俺の話を聞く素振りを見せる。
「はいはい。そう言うと思った。じゃあ、体験してもらおう。そっちの方が手っ取り早い。」
またこの男は怪しい言葉ばかりをつらつらと並べ立てる。
「体験…?体験って何を…」
「とにかく、決してお前にとって害は為さない。信用してくれ。」
「……!」
次の瞬間にラルバが言葉を発すると、また先程と同じように脳内に、俺やラルバ達が経験した大量の記憶の映像が流れ込む。
(や、やばい!!このまま行くとまたあの頭痛が…!)
この大量の記憶が脳内に来るということは、また脳の処理が追いつかず途轍もない程の頭痛が襲いかかるに違いない。俺は覚悟して頭痛が来るのを構えた。
「………………あれ?」
しかし、脳内には大量の映像が流れ込んではいるが頭痛はしない。寧ろ、先程の余韻の頭痛も一瞬で良くなった。
何が起きたか分からず、呆然としている俺にラルバが語りかけてくる。
「適合っていうのはその名の通り、お前の精神、体、全てが俺と共感覚を得る。お前の脳内処理も、こっちで負担してやってんだよ。」
そう言って彼自身の脳みそに向けて人差し指を指す。
「あとこんなことできる。」
「う、うわぁ!!」
すると脳へ流れ込む映像は止まり、今度は俺の意思に関係なく腕が勝手に動き始めた。止めようと左手で掴んでも全く止まろうとしない。
「この……!!」
俺は静止させようとより左手に握力を加えるが、それに対抗するようにさらに右手の力も向上する。
「無理だよ。そんなことしても自分が動かしているような物なんだから、止めるとしたら引きちぎってでも止めないと。」
ラルバがまた一々横から突っ込んでくる。ただでさえ自分の体のことで精一杯なのに、耳に入ってくる音が耳障りで苛立ちが募る。
(分かった!分かった!そう一々怒らないでくれ、止めるよ。)
「……!?」
次の瞬間に激しく動き回っていた腕が静止した代わりに、ラルバのため息を混じえた声が聞こえた。
だが聞こえてきたのは自分の心の中からだった。心中で言葉を発するあの感覚と同じだ。
(全体を共有してるって言っただろ?お前の精神も統一されてるんだから、お前が思ったことは俺が思ったことと同義だ。)
ラルバは淡々と俺に告げる。
この時俺はある疑念が脳内によぎる。
「……お前、まさかネヴァさん達もそうやって……操って……?」
もしかするとネヴァ達も自分の思うが儘に動かして、奴隷のようにするような鬼畜な扱いを受けさせようとしているのかと思った。
少なくとも、今までの行動を見ているとその可能性があることが大いに有り得る。俺の想像が本当だとしたら、こいつは到底許すことなどできない。自分だけ優越感に浸り特別な力を持っていると勘違いも甚だしいあいつら。まさか同じ人種じゃないだろうな?
「……………人聞きの悪い言い方は辞めてもらおうか。こいつらは強要して身体を共有することはない。」
と少しラルバが間を開けてネヴァ達の方へ目を向ける。それに応じてネヴァ達も目を向ける。
「どちらかというと、私達の方がラルバと共感覚を繋げることが多い。何かトラブルが起きた時だったり、逆にラルバの方にトラブルとかが起きた時は私達が内側からサポートすることが多い。」
ラルバの言葉をネヴァがフォローする。その言葉の中に引っかかる部分があった。
「内側?」
先程記憶が脳内に流れ込んで来た時にラヴァナが発言していたが、内側ということは…?
「お前は察しが良いのか悪いのか分からねーな…あの時の神と一緒に巻き込まれる時、あっただろ?」
「…………」
「その瞬間にラヴァナがお前をあの光弾に当たる寸前に裂け目を使ってこの俺の体内に移動させたんだよ。」
「体内……?つまりお前は自分の身体の中に空間を作っているのか?」
「おぉ、察しが良くなった。100点満点を越えてそれは120点満点の回答だ。」
どうやら大正解を引き当てたようだ。
しかもラルバの想像以上の良回答だったようで、興奮気味で口を開く。
「…ふぅむ。少し心配になる部分はまだあるが、頭が中々良い。期待の方が遥かに上回るな。」
「ふざけんな!!協力してたまるか!!」
こんな俺を弄ぶようなことをするような奴に対してそんな友好に付き合えるないだろ。
俺は自分の意志を通すようにきっぱり断った。
「…約束。」
「は?」
するとキメラから訳の分からない言葉が出た。約束?なんの……
「だから約束だ。さっきマガミに襲われかけた時あっただろ?」
その時俺とキメラに繋がれた脳の記憶から、あの時の約束を思い出した。
ラルバは淡々と先程の俺のカウンターを気にする様子も無く、何も思っていない表情で俺に語りかける。
「……?適合?」
「さっきやっただろ。お前を裂け目で包み込み、真っ白な空間に連れ込んだ。そこで色々映像が流れてきただろ?そこに俺の記憶を…いや、正確には今いる全員の記憶…という表現が正しいな。」
(ここにいる全員の記憶?それに適合……まさか!?)
ラルバの一言で俺は、今置かれている最悪な状況を理解してしまった。
「つまり今の俺はお前やネヴァ達と脳を繋いでるってことか!?」
「中々察しが良いが…惜しいな。正確には頭のてっぺんから、爪先までの全体だ。」
「なっ……」
つまりは思い通りに動かされる操り人形ってことか?
「…まぁ言い方悪く言えばそうだなぁ。」
とまたもや心を覗かれ、俺の心の声を読み取り、しかも俺の疑問にまで肯定しやがった。
「……!」
そして俺は操られることを想像してしまい、思わず恐怖した。
ただでさえ空間を操るだけでも厄介だってのに、俺の脳まであいつの手で操れられるのはほぼ詰みだ。俺は悔しさで歯を噛みしめる。
こいつ…先程から調子に乗った発言をするものの、何も弱みを見せつけない。
それほど抜かりが無いからこそここまでの余裕を見せているのだろう。
不愉快極まりない。
「……!!」
「……そんな怖い顔をしないでくれ。急に取り込んで苦痛を味わせたのは悪かった。詫びるよ。」
そうは言うが急にあんな訳の分からないことをされてかつ、激痛を浴びせられたあげく、マリオネットにされた側としては、敵対意識を向けないという方が難しいだろう。
「…さ、さっきのあれは何だ!?お前は一体何を…!?」
その間ラルバはコクコクと頷き、俺の話を聞く素振りを見せる。
「はいはい。そう言うと思った。じゃあ、体験してもらおう。そっちの方が手っ取り早い。」
またこの男は怪しい言葉ばかりをつらつらと並べ立てる。
「体験…?体験って何を…」
「とにかく、決してお前にとって害は為さない。信用してくれ。」
「……!」
次の瞬間にラルバが言葉を発すると、また先程と同じように脳内に、俺やラルバ達が経験した大量の記憶の映像が流れ込む。
(や、やばい!!このまま行くとまたあの頭痛が…!)
この大量の記憶が脳内に来るということは、また脳の処理が追いつかず途轍もない程の頭痛が襲いかかるに違いない。俺は覚悟して頭痛が来るのを構えた。
「………………あれ?」
しかし、脳内には大量の映像が流れ込んではいるが頭痛はしない。寧ろ、先程の余韻の頭痛も一瞬で良くなった。
何が起きたか分からず、呆然としている俺にラルバが語りかけてくる。
「適合っていうのはその名の通り、お前の精神、体、全てが俺と共感覚を得る。お前の脳内処理も、こっちで負担してやってんだよ。」
そう言って彼自身の脳みそに向けて人差し指を指す。
「あとこんなことできる。」
「う、うわぁ!!」
すると脳へ流れ込む映像は止まり、今度は俺の意思に関係なく腕が勝手に動き始めた。止めようと左手で掴んでも全く止まろうとしない。
「この……!!」
俺は静止させようとより左手に握力を加えるが、それに対抗するようにさらに右手の力も向上する。
「無理だよ。そんなことしても自分が動かしているような物なんだから、止めるとしたら引きちぎってでも止めないと。」
ラルバがまた一々横から突っ込んでくる。ただでさえ自分の体のことで精一杯なのに、耳に入ってくる音が耳障りで苛立ちが募る。
(分かった!分かった!そう一々怒らないでくれ、止めるよ。)
「……!?」
次の瞬間に激しく動き回っていた腕が静止した代わりに、ラルバのため息を混じえた声が聞こえた。
だが聞こえてきたのは自分の心の中からだった。心中で言葉を発するあの感覚と同じだ。
(全体を共有してるって言っただろ?お前の精神も統一されてるんだから、お前が思ったことは俺が思ったことと同義だ。)
ラルバは淡々と俺に告げる。
この時俺はある疑念が脳内によぎる。
「……お前、まさかネヴァさん達もそうやって……操って……?」
もしかするとネヴァ達も自分の思うが儘に動かして、奴隷のようにするような鬼畜な扱いを受けさせようとしているのかと思った。
少なくとも、今までの行動を見ているとその可能性があることが大いに有り得る。俺の想像が本当だとしたら、こいつは到底許すことなどできない。自分だけ優越感に浸り特別な力を持っていると勘違いも甚だしいあいつら。まさか同じ人種じゃないだろうな?
「……………人聞きの悪い言い方は辞めてもらおうか。こいつらは強要して身体を共有することはない。」
と少しラルバが間を開けてネヴァ達の方へ目を向ける。それに応じてネヴァ達も目を向ける。
「どちらかというと、私達の方がラルバと共感覚を繋げることが多い。何かトラブルが起きた時だったり、逆にラルバの方にトラブルとかが起きた時は私達が内側からサポートすることが多い。」
ラルバの言葉をネヴァがフォローする。その言葉の中に引っかかる部分があった。
「内側?」
先程記憶が脳内に流れ込んで来た時にラヴァナが発言していたが、内側ということは…?
「お前は察しが良いのか悪いのか分からねーな…あの時の神と一緒に巻き込まれる時、あっただろ?」
「…………」
「その瞬間にラヴァナがお前をあの光弾に当たる寸前に裂け目を使ってこの俺の体内に移動させたんだよ。」
「体内……?つまりお前は自分の身体の中に空間を作っているのか?」
「おぉ、察しが良くなった。100点満点を越えてそれは120点満点の回答だ。」
どうやら大正解を引き当てたようだ。
しかもラルバの想像以上の良回答だったようで、興奮気味で口を開く。
「…ふぅむ。少し心配になる部分はまだあるが、頭が中々良い。期待の方が遥かに上回るな。」
「ふざけんな!!協力してたまるか!!」
こんな俺を弄ぶようなことをするような奴に対してそんな友好に付き合えるないだろ。
俺は自分の意志を通すようにきっぱり断った。
「…約束。」
「は?」
するとキメラから訳の分からない言葉が出た。約束?なんの……
「だから約束だ。さっきマガミに襲われかけた時あっただろ?」
その時俺とキメラに繋がれた脳の記憶から、あの時の約束を思い出した。
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