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神天地編
第16神話 そうぞう神①
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ーーーー数年前
「よし、これで完成だ。」
意識がはっきりとしない中、仰向けになっている感覚があった。夢だろうか?
誰かの声が聞こえる……女の声?そういや私は今何処に居るんだろ?なんか急に何かに包みこまれてて……
「ほら、とっとと起きろ!」
「痛いッ!!……え?」
次の瞬間にパチンと強めに頬を叩かれた。感触としては柔らか味がある。
(あれ?私の頬ってそんなに響く程肉厚があったかしら?それに違和感というか……少し身軽になったような?)
そして上半身を起こす。そこから目線を下に落とし自分の身体を確認する。
「…え?」
そこには私の羽毛一つ見当たらず、翼なんてものは全く見当たらない。肌はベージュ色で前の姿とは似つかない程小さな身体へ成り代わっている。間違いない人間の姿だ。
「な、な……?や……あ……ああぁぁぁぁぁ…」
何故かは分からないが、前の姿では裸体を平然と晒していたのに、この身体でいると何故か羞恥心というものが湧き上がってくる。恥ずかしげに腑抜けた声が奥底から湧き出してきて、思わず悲鳴を上げかけていた時だった。
急に頭に白色の無地で地味なデザインの布2つを前方から投げつけられ、頭に覆いかぶさる。
「わっ…!?」
布をなんとか剥ごうとして羽毛一つない細腕で顔からどける。そしてその眼の前にいたのは白衣を着ていた人間の女だった。
白衣の下には黒色で猫がイラストされたTシャツを下に着て、スカートを履いており下には黒色のストッキングを履いている。靴は何処にでもあるようなブーツを履いている。
髪は白髪のセミロング。
また、綺麗な青色で虚ろな目を持ち、セイ気の全く無い顔が特徴的だ。
周囲には見たことのない植物が植木鉢から生え、ホルマリン入りの瓶に漬けられている何かしらの物体といったものが四段に連なる棚に置かれている。部屋の空間はかなり広く、天井まで8メートル位の高さはあった。
…と、状況をすぐに認識した後に、私の脳内は即座にあることを優先的に認識する。
それは
(人間…!!)
人の姿というだけで私は怒りが湧いてくる。
どれだけその汚い物欲の為に私は失わなければならないのだ。絶滅してくれ。
そんなことを心の中で唱えるが羞恥心には勝てずに、頬をひたすらに赤らめる。
「さっさと着ろ。」
「え、いや…どうやって…」
人間の服の着方なんて種族が全く違うのに、知るはずが無い。こんなのどうやって…?
と内心思いつつもひとまずは羞恥心に駆り立てられるまま、服を着ようとする。
ーーーー数秒後
「…………着れた。」
人間の生活など体験した訳でも無いのに、スムーズに着れてしまった自分に驚いてしまった。
ちなみにこの服は人間のいう所でガウン型病衣とパンツというらしい。
「よし……人間態の方も大丈夫そうだな。」
すると目の前に居た女が呟く。人間態……?
「この姿になっているのはあなたの仕業よね?こんな所へ連れてきて……この神獣と畏怖されたネヴァン様ということを理解してるのよね?」
私はその女性に向けて威張り散らす。やはりこうして、勘違いした人間どもを服従させるのは気分が良い。
「言っとくけど、あなたは私を人間にさせて弱らせるなんていうしょうもない魔法か術を使ったのか知らないけど……」
私は右腕をゆっくりと上げる。
そして女に見せつけるように金属製の床に向けて拳を一気に振り下ろすと
ガキィィィン!
けたたましい音とともに地面にでっかいクレーターができあがり、そこから飛び出た金属の破片が四方八方の至る所に刺さる。
人間てのは本当に馬鹿な種族だ。神獣の力を人間が抑え込めるなんておこがましいにも程がある。
「さてさて……これで懲りたかしら?今、逃げるんなら命だけは許すわ。」
そろそろ人間がチビって泣き出す頃だろう。そうして意気揚々と女の顔に目を向ける。
「…………………はぁ」
(なっ……)
次の瞬間には女性が遠いものを見るように目を細める。こんなことは初めてだ。今までならここで怖気つく奴が大半なのに、全く動揺しない。
「な、何なの……そんな顔して……」
「いや…バカクソ自分の力に酔い過ぎた奴だと思ってな?少し思っただけだ。それより私の言う事を聞いてくれ。取り敢えずあそ……」
「っ!この人間!!私なんかよりも弱いくせにぃぃ!!」
女の発言が言い終わる前に遮ってしまった。
こっちからしたらお前達なんぞ倒すまでも無いんだ。攻撃するつもりなんて無いんだよ。それほど眼中に無いってのに…
それなのに、いっぱい飯が食えるだの素材が取れるだの一々一々付き纏った挙げ句には翼までも奪われて馬鹿にされた…!?
「こんのストーカー一族どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
今まで受けてきたストレスをこの人間に向けて発散する。そう言いながら私は得意技の後ろ蹴りを女に向けて放つ。
(私の蹴りは一発軽く決めるだけで、一つの街を壊滅させることが出来るのよ!あぁ……これでどれほど多くの人間達を粛清していたことか…!それなのにこんなへなちょこ脚にしやがって……!)
人間に対しての怒りを心の中で思い詰めながら、会心の一撃を顔面に向けて叩き込もうとする。
「もらったわよ!人間!」
「よし、これで完成だ。」
意識がはっきりとしない中、仰向けになっている感覚があった。夢だろうか?
誰かの声が聞こえる……女の声?そういや私は今何処に居るんだろ?なんか急に何かに包みこまれてて……
「ほら、とっとと起きろ!」
「痛いッ!!……え?」
次の瞬間にパチンと強めに頬を叩かれた。感触としては柔らか味がある。
(あれ?私の頬ってそんなに響く程肉厚があったかしら?それに違和感というか……少し身軽になったような?)
そして上半身を起こす。そこから目線を下に落とし自分の身体を確認する。
「…え?」
そこには私の羽毛一つ見当たらず、翼なんてものは全く見当たらない。肌はベージュ色で前の姿とは似つかない程小さな身体へ成り代わっている。間違いない人間の姿だ。
「な、な……?や……あ……ああぁぁぁぁぁ…」
何故かは分からないが、前の姿では裸体を平然と晒していたのに、この身体でいると何故か羞恥心というものが湧き上がってくる。恥ずかしげに腑抜けた声が奥底から湧き出してきて、思わず悲鳴を上げかけていた時だった。
急に頭に白色の無地で地味なデザインの布2つを前方から投げつけられ、頭に覆いかぶさる。
「わっ…!?」
布をなんとか剥ごうとして羽毛一つない細腕で顔からどける。そしてその眼の前にいたのは白衣を着ていた人間の女だった。
白衣の下には黒色で猫がイラストされたTシャツを下に着て、スカートを履いており下には黒色のストッキングを履いている。靴は何処にでもあるようなブーツを履いている。
髪は白髪のセミロング。
また、綺麗な青色で虚ろな目を持ち、セイ気の全く無い顔が特徴的だ。
周囲には見たことのない植物が植木鉢から生え、ホルマリン入りの瓶に漬けられている何かしらの物体といったものが四段に連なる棚に置かれている。部屋の空間はかなり広く、天井まで8メートル位の高さはあった。
…と、状況をすぐに認識した後に、私の脳内は即座にあることを優先的に認識する。
それは
(人間…!!)
人の姿というだけで私は怒りが湧いてくる。
どれだけその汚い物欲の為に私は失わなければならないのだ。絶滅してくれ。
そんなことを心の中で唱えるが羞恥心には勝てずに、頬をひたすらに赤らめる。
「さっさと着ろ。」
「え、いや…どうやって…」
人間の服の着方なんて種族が全く違うのに、知るはずが無い。こんなのどうやって…?
と内心思いつつもひとまずは羞恥心に駆り立てられるまま、服を着ようとする。
ーーーー数秒後
「…………着れた。」
人間の生活など体験した訳でも無いのに、スムーズに着れてしまった自分に驚いてしまった。
ちなみにこの服は人間のいう所でガウン型病衣とパンツというらしい。
「よし……人間態の方も大丈夫そうだな。」
すると目の前に居た女が呟く。人間態……?
「この姿になっているのはあなたの仕業よね?こんな所へ連れてきて……この神獣と畏怖されたネヴァン様ということを理解してるのよね?」
私はその女性に向けて威張り散らす。やはりこうして、勘違いした人間どもを服従させるのは気分が良い。
「言っとくけど、あなたは私を人間にさせて弱らせるなんていうしょうもない魔法か術を使ったのか知らないけど……」
私は右腕をゆっくりと上げる。
そして女に見せつけるように金属製の床に向けて拳を一気に振り下ろすと
ガキィィィン!
けたたましい音とともに地面にでっかいクレーターができあがり、そこから飛び出た金属の破片が四方八方の至る所に刺さる。
人間てのは本当に馬鹿な種族だ。神獣の力を人間が抑え込めるなんておこがましいにも程がある。
「さてさて……これで懲りたかしら?今、逃げるんなら命だけは許すわ。」
そろそろ人間がチビって泣き出す頃だろう。そうして意気揚々と女の顔に目を向ける。
「…………………はぁ」
(なっ……)
次の瞬間には女性が遠いものを見るように目を細める。こんなことは初めてだ。今までならここで怖気つく奴が大半なのに、全く動揺しない。
「な、何なの……そんな顔して……」
「いや…バカクソ自分の力に酔い過ぎた奴だと思ってな?少し思っただけだ。それより私の言う事を聞いてくれ。取り敢えずあそ……」
「っ!この人間!!私なんかよりも弱いくせにぃぃ!!」
女の発言が言い終わる前に遮ってしまった。
こっちからしたらお前達なんぞ倒すまでも無いんだ。攻撃するつもりなんて無いんだよ。それほど眼中に無いってのに…
それなのに、いっぱい飯が食えるだの素材が取れるだの一々一々付き纏った挙げ句には翼までも奪われて馬鹿にされた…!?
「こんのストーカー一族どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
今まで受けてきたストレスをこの人間に向けて発散する。そう言いながら私は得意技の後ろ蹴りを女に向けて放つ。
(私の蹴りは一発軽く決めるだけで、一つの街を壊滅させることが出来るのよ!あぁ……これでどれほど多くの人間達を粛清していたことか…!それなのにこんなへなちょこ脚にしやがって……!)
人間に対しての怒りを心の中で思い詰めながら、会心の一撃を顔面に向けて叩き込もうとする。
「もらったわよ!人間!」
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