God's Will!

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神天地編

第3神話   それぞれの策略①

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「いやー凄いな!熱い熱い友情物語か。頑張って俺にももっと良いものみせてくれよ?」

 キメラがまた何かほざいてる。いちいち煽りを入れて、相手を不快にしないと死ぬ呪いにでも掛かっているようだ。

「いやぁ、見事に煽りに引っかかってくれるねぇ。こっちもやりやすいよ。」

「っ!あぁ!もう!一々うるさい!」

 また、心を読んでキメラが返す。
 俺はキメラにまた腹を立てるが、それを見てキメラはケタケタ笑うだけだった。

「あー、うぜぇ!なぁ神!どうにか対処できないのかよ!?」

 情けない事は承知の上で、俺は神にどうにかできないか頼る。

「うーん…古文書がつかえればなぁ……どうにかなるんだが……」

 また出てきた。
 なんだ?それは?
 俺にも関係あるのか?

「なんであいつは俺と古文書っていう物を欲しがっているんだ?」

「あー…それは…「そいつの力を手に入れる為だ。」

 突如として、横からキメラが口を開く。

「…なんだ?急に?」

 神は勿論警戒するが、キメラはまぁまぁと言いながら落ち着けるように間に入る。

「話に付き合ってやる。もっと細かく言えば、その神の神降ろしの儀式に必要不可欠なものだ。」

 何やらまた専門用語が出て来た。だが、これは少し聞いたことがあった。思い返そうとしたのだが、隣から自己主張の激しい神様が口を開き、思い返そうとする俺の邪魔をする。

「中々の神オタクだね君。神がそんなに好きなら殺すんじゃなくて崇めて欲しいな?そんな信仰もできないような奴に神は味方してくれないぞ?あーあ可哀想。」

 しかも内容はしょうもない挑発をキメラにするだけで、挑発としてのレベルも低いというおまけ付きだ。

「おいおい俺に力を使われるのが怖いのか?何、その痛い姿も俺の力になれば羞恥を晒す必要も無くなるぞ?安心するが良い。」

 対してキメラは淡々と冷静に返答し、神に強烈なカウンターを……
 
「……それ人間にも言われたんだが…なんで皆んな俺のこと痛いだの中二病だの言うんだ?そんなに変か?」

(あぁ~……駄目だ手遅れだぁ。)
 
 こんだけ言われておいてまだ自覚無いのかよ……?
 改めてこの神の顔を見ても全く純粋な顔をしている。俺はまた肩をもう一段階落とす。

(……はぁ)

 まぁ厨二神はもう放っといて……神降ろし?邪教徒が教祖から受けてたあれか?神をその身に憑依させて託宣を聞く為に使うと言われている儀式.....。

 ーーあははは!これで私も悪霊に憑かれないようになった!また新たな幸せを掴むことが出来た!これからもどんどん幸せになっていく予感がする!人生勝ち組だわ!あはははは!

 大丈夫だぞ。アンタはもう悪霊に憑かれる前にもう悪霊だ。だから憑かれることは一生無い筈だ。
 良かったな、家族と金を代償にしてまで悪霊に憑かれない体になれたんだから。
 俺はアンタが羨ましいよ。人生勝ち組じゃないか。
 思い返す度に腑が煮え繰り返る。神に頼って、自分の都合が良く行かないと悪霊だなんだと言って罪を擦りつけるような、都合の良い我儘野郎が。

「……お前中々に恨んでいるんだな、その邪教徒母って奴を。ここまでの怨念のオーラは………。」

 俺はキメラの声を聞いて、元の世界に戻ってきた。

「あぁ、いや何でもない。もう昔のことだ。気にしないでくれ。それよりも神降ろしってなんだ?助言とかを聞く為にあるやつか?俺がいる必要は無いと思うんだが……。」

 俺はすぐに切り替えて再度質問を続けた。キメラも続いて話す。

「勿論それもあるが、一番の利点は神の力を自分のものにできることだ。神と全く同じ力を扱うことが出来るが、その力は絶大なものだ。何かしらの代償になる力が必要になる。もし不完全な力の状態のまま神降ろしをすれば、神の力によって体が耐えきれず何もかも打ち消してしまう。そう、魂でさえもな。」

 何となくだが分かってきた。神の代償とする力、所謂人柱っていうのが必要なんだろう。……

 「中々鋭いな。そう何かしらの力というものが神通力だ。お前を取り込んでこの強大な力を持つじげんの神を神降ろし出来る程の強大な器になるためだ。お前を欲する理由はただそれだけだ。」

 キメラの理由は強大な力を手に入れるという至ってシンプルなものだった。
 この際、俺は聞けるとこまで聞いてみようと思い、更に質問をする。

「…なんでそこまで力に執着する?そんな強大な力を使うなんてこの神みたいに使える場所が限られてくるし、不便で仕方ないだろ。ましてや強大な力を手に入れたとしてお前だってこの神みたいに狙われて、最悪の場合殺される可能性だってあるわけだろ?」

 まぁ、こんなにも禍々しく、強大なオーラを放っている奴だから多分壮大な目標ぐらいはありそうだが……

「仲間を助けるためだ。」

「「え?」」

 俺と神は耳を疑ってしまった。
 こんなにも非道そうな男が助けるだなんだと言ったのだ。
 この性格ならもっと何か巨悪を抱え込んでいるのかとも思ったが.....。

(嘘じゃないのか……?)

 俺は疑いしか浮かばなかったが、即座に心を読んでキメラが返す。

「だから本心だと言っているだろう。俺は野望の火を今日まで消さずに生きて来た。それほどまでに積み重なっているからここにいる。」

 キメラの対する解答に俺はぐうの音も返す事が出来なかった。
 自分も強大な力を持っていたらどうするかと言われるとすぐに嫌いな奴らを殺したり、自分の好きなように物事を動かしたいといった欲望に満ちていた。
 だが、結局願うだけで自分から行動する訳ではなく叶う事はなかった。
 コイツは自分の信念を追求したからこそ、今こうして堂々と神の前に立っているのだろう。
 
「凄いな........。」

 神の口から自然と相手を褒める言葉が口から滑る。
 俺も神と全く同意見である。
 自身達の今ある姿をキメラと比較し、劣等感を覚える二人だった。

(こいつについていくべきか…?)

 この時、俺の心にまた迷いが生じてしまっていた。
 どちらかの道の先に本当に正解はあるのだろうか?
 結局どっちを選んだら良いのだろうか?
 
 

 
 
 


 




 …いや、どちらにも絶対に今はまだつかない。
 どちらを信じるかはこいつらの様子を見てからだ。今やるべきことはどちらにつくか決断する前に神やキメラに取り込まれないようにすることだけだ。
 俺は胸に誓ったことを思い出し、迷いを断ち切る。
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