God's Will!

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神天地編

第5神話(前書き)   曲者三獣士

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「う、うん……」



 しばらくして、意識を取り戻した。次に地面の感触が伝わってくる。
 かなりの間眠っていたようだ。



「……やっと起きたか。」



 すると一つの影が此方を見下ろす。キメラの奴だ。その横には別世界のキメラもいる。



「……人間は?」



 周りを見渡すと人間の姿はもう無かった。たださっきのあの人間が醸し出していた神通力のオーラがキメラの体内から感じられる。

 まさか…?吸収されたのか?



「……まだ、俺の体内の中で管理している。完全には一体化してないさ。」



 キメラは俺の聞きたいことをすぐに答え、返す。改めて見た所まだ神通力の量がさっきと同じままだ。完全に合体するためには恐らくまだ何かしらの条件が必要なのだろう。

 

(完全にゲームオーバーなのは古文書と人間両方が奪われてしまった時だ。とにかく今は冷静になれ…!まだ負けじゃない。)



 そう自分に言い聞かせようとするが



「何?お前は格下の能力に負けてる今の状況すらも把握できなくなったのか?」



 キメラが意気揚々と煽る。

 先ほどからこいつの態度が一々鼻につく。言い返そうと同じ目線で立って話そうとするが



「……くっ…そぉ体が…動かねぇ。」



 なんとか腕を使い立ち上がろうと力を振り絞るが、力が入り切らず倒れ込んでしまう。

 そんな俺の立ち上がろうとする姿すら気にせずキメラはあの人間について語りだす。



「……それにしてもこの人間、これほどの神通力を先天的に持つとは……こいつは野放しにしてたら他の神も狙いに来るだろうな。」



 「な、なぁ俺。約束通り一体化したらすぐにその神通力を俺にも分け与えてくれ!俺も余計に楽しみになってきた!」



 そう言って興味津津にキメラに向けて話しかける。

 だがキメラは全くもって無視。自分の手中に納めた人間の方にしか興味が無いように見える。

 いや、最早瓜二つの奴は眼中に無いような。

 

(嫌な予感がする……)



 さっきこの男の心の中を覗いたが、あれは本当に……

 そんなことを考えている合間に瓜二つキメラがまた絡みに行く。

 

「んもう~どうしちゃんたんだよ。そんな顔して。寂しいんかぁ?」



(あ…ま、まずい!)



 俺は瓜二つキメラが行動した瞬間にキメラを呼びかけようとしたが、もう遅かった。



ザシュッ…!



「あと、古文書も早く欲しいんだが。そうすればもっと良い気分になる。」



「へぇっ?」



 興味津々だった瓜二つキメラは何が起きたかわからない様子で、アホ面を晒す。

 空間から刀を取り出し、瓜二つキメラに向けて目にも止まらない速さで斬りつけたのだ。 

 瓜二つキメラは胴体が下半身と離れ離れになった。



「なっ…!?はっ!?おま…「うるさい」」



 そう一蹴して瓜二つキメラの体を目に見えない速度で斬りつける。



「がッ…アッ……」



 気が済むと刀を鞘に納めて、投げるように裂け目の中に戻した。

 するとすぐにメリケンサックで何度も相手が喋る前に殴打し、裂け目を使って再生しないように肉塊にして骨、いや細胞すらも残らないように全て削り切る。



「…………」



 完全にそして血溜まりだけが残る。



「こいつ……ガチでやりやがった……!!」



 あまりの無慈悲さに俺は心の中で言おうとした言葉が漏れる。

 切り刻み終わったらキメラは気にも留めず話し続ける。



「うむ。これでもまだそんなに怖気つかないか。お前にも危機感を与えてやろうと思ったんだが。」



 取り乱してしまったが何とか冷静で居るために、心を一旦落ち着かせる。



「……危機感よりドン引きだな。倫理観の欠如の激しさに。」



「倫理観?夢を叶えることには絶対に直結している訳ではないだろ?俺はお前の力を手に入れて低次元の万物を凌駕する高位神に進化することが目標だ。そんな大きな夢を叶える為には、生半可な意志や価値観ではいずれは限界がきてしまうからな。」



「……異常なまでの強欲さは俺の世界の全知全能神にも匹敵するぞお前。」



「有り難くその言葉を受け取らせてもらう。ところでじげんの神よ、早く神降ろしの為の古文書を寄越せ。」



 話をすぐに変えて、純粋に自分の欲望を口にする様は最早狂気だ。

 勿論、簡単に口を割る俺ではない。



「……はぁ、寄越さないか。こいつら全員の場所を知っているというのに。」



 キメラは溜め息を吐き、空間に穴を開けた。そこには見覚えのある光景が映し出されていた。



「…!?」



 その光景を見た瞬間に俺は背筋に冷や汗が流れ渡った。



「な、なんで....なんでお前が!?」



「それは古文書を寄越したらな。」



 人間のこととどうやってあいつらを救うかで埋め尽くされ、焦りで感情が溢れかえる。
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