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4.Cafe Latte
3.素直
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「「瑞葵ちゃん!」」
カレンさんに連れられ、フロアに入るとお世話になっていた先輩や同期が集まってきた。
「あ、あの!今日からまた、お世話になります。ご迷惑をおかけしました」
緊張しながらも、丁寧に挨拶する。
周りの人たちは少し涙目になっていた。1人を除いて。
「またお世話になります?ご迷惑をおかけした?だったら、来なけりゃいいじゃない。また、迷惑をかけるんじゃないの?」
ちょっときつめの口調で、棘のある言葉を“ゆい”さんが投げつけてきた。
(え~。初めてあった人に言われちゃったわ……)
この場所の空気が一気に凍りついたような、なんとも言えない状況になった。
「わあ。本当にそうだよね。ごめんなさい」
なんとかこの場をおさめたくて返事をするが、全く変わった気がしない。
「わかってるなら帰ったら」
さらに突き刺さる言葉をかけられて居たたまれなくなる。
(私、彼女になにかしたかなあ。リクルーターじゃないって言わなかったのがいけなかったのかな)
だめだったことの答えを探し、反省する。
「ゆいちゃん、その言い方はおかしいでしょ。あなたに瑞葵ちゃんの何がわかるの?」
庇ってくれるカレンさんの声は、とても低く冷たい。
「知りませんよ。この人のことなんて。自分で迷惑をかけたと言ったから、感じたことを言っただけです」
“ゆい”さんは強い人でした。
(カレンさんに睨まれても言い返すことが出来るなんて。凄いわ!)
自分なら泣いていると思い、彼女の強さが眩しく感じた。
「瑞葵が悪いわけじゃない。ゆい、お前は日本の文化をもっと学んで、周りに合わせる努力をしろ。――瑞葵、お帰り。ゆいの言葉は気にしなくていい」
哲平さんが人だかりの奥から声をかけてくれ、みんな一斉に振り返り、さぁっと道を開く。
腕組みした哲平さんは不機嫌そうな顔でゆっくりと歩いてきた。
「哲平君!ゆいは!悪くない!何もしていないなら謝らなければいいでしょ!だから日本っていやなのよ!」
“ゆい”さんは大声で自分の主張を伝える。
(海外生活長いのかな?日本の言い回しに慣れていないのかも)
「そうか。なら、お前が帰れ。ここは職場だ。自分の感情をぶつけて、和を乱す奴はいらん」
そう冷たく言い放つ哲平さんを、信じられないと言いたげなショックを受けた顔をして“ゆい”さんは大きな目に涙を浮かべる。
「哲平さん。それは言いすぎです。“ゆい”さん、まだ自己紹介してませんでしたね。初めまして。山本瑞葵と言います。訳があって、お休みしてました。今日から復帰なので、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
「姫川ゆいです。言い方、きつかったみたいで、ごめんなさい」
そう言って頭を下げてくれた。
(ゆいさん。ゆいちゃんって呼んでいいのかな。きっと悪い人じゃない、と思う)
「でも、思ったことは違わないので。それに関しては謝罪しません」
(……うん。個性的な子なのね)
私は何も言えず、ただ笑顔を張り付けたまま途方に暮れた。
世の中には、いろんな人がいる。
素直に言葉にできない人。
素直になりすぎる人。
合う合わないは、誰にでもある。
でも、いがみ合わず、尊重し合えばきっとうまくいく。
――これまでは、そう信じていた。
でも、それが難しいことなのだと、あとで痛感することになった。
※明日は2話投稿予定です。
カレンさんに連れられ、フロアに入るとお世話になっていた先輩や同期が集まってきた。
「あ、あの!今日からまた、お世話になります。ご迷惑をおかけしました」
緊張しながらも、丁寧に挨拶する。
周りの人たちは少し涙目になっていた。1人を除いて。
「またお世話になります?ご迷惑をおかけした?だったら、来なけりゃいいじゃない。また、迷惑をかけるんじゃないの?」
ちょっときつめの口調で、棘のある言葉を“ゆい”さんが投げつけてきた。
(え~。初めてあった人に言われちゃったわ……)
この場所の空気が一気に凍りついたような、なんとも言えない状況になった。
「わあ。本当にそうだよね。ごめんなさい」
なんとかこの場をおさめたくて返事をするが、全く変わった気がしない。
「わかってるなら帰ったら」
さらに突き刺さる言葉をかけられて居たたまれなくなる。
(私、彼女になにかしたかなあ。リクルーターじゃないって言わなかったのがいけなかったのかな)
だめだったことの答えを探し、反省する。
「ゆいちゃん、その言い方はおかしいでしょ。あなたに瑞葵ちゃんの何がわかるの?」
庇ってくれるカレンさんの声は、とても低く冷たい。
「知りませんよ。この人のことなんて。自分で迷惑をかけたと言ったから、感じたことを言っただけです」
“ゆい”さんは強い人でした。
(カレンさんに睨まれても言い返すことが出来るなんて。凄いわ!)
自分なら泣いていると思い、彼女の強さが眩しく感じた。
「瑞葵が悪いわけじゃない。ゆい、お前は日本の文化をもっと学んで、周りに合わせる努力をしろ。――瑞葵、お帰り。ゆいの言葉は気にしなくていい」
哲平さんが人だかりの奥から声をかけてくれ、みんな一斉に振り返り、さぁっと道を開く。
腕組みした哲平さんは不機嫌そうな顔でゆっくりと歩いてきた。
「哲平君!ゆいは!悪くない!何もしていないなら謝らなければいいでしょ!だから日本っていやなのよ!」
“ゆい”さんは大声で自分の主張を伝える。
(海外生活長いのかな?日本の言い回しに慣れていないのかも)
「そうか。なら、お前が帰れ。ここは職場だ。自分の感情をぶつけて、和を乱す奴はいらん」
そう冷たく言い放つ哲平さんを、信じられないと言いたげなショックを受けた顔をして“ゆい”さんは大きな目に涙を浮かべる。
「哲平さん。それは言いすぎです。“ゆい”さん、まだ自己紹介してませんでしたね。初めまして。山本瑞葵と言います。訳があって、お休みしてました。今日から復帰なので、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。
「姫川ゆいです。言い方、きつかったみたいで、ごめんなさい」
そう言って頭を下げてくれた。
(ゆいさん。ゆいちゃんって呼んでいいのかな。きっと悪い人じゃない、と思う)
「でも、思ったことは違わないので。それに関しては謝罪しません」
(……うん。個性的な子なのね)
私は何も言えず、ただ笑顔を張り付けたまま途方に暮れた。
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素直に言葉にできない人。
素直になりすぎる人。
合う合わないは、誰にでもある。
でも、いがみ合わず、尊重し合えばきっとうまくいく。
――これまでは、そう信じていた。
でも、それが難しいことなのだと、あとで痛感することになった。
※明日は2話投稿予定です。
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