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4.バルドへイム王国
11.赤い糸はつながっていますか?(2) 月光のパンケーキ ~エルサ、ソフィア、セレナの女子会~
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昼間のことが胸の中でひっかかりちょっとアンニュイなエルサです。
窓辺から月を眺めていたのですが、喉が渇きこっそりと調理場へ向かいます。
なぜ月を眺めていたのか……というと、今日は満月だったからです!
調理場に近づくと中から声が聞こえてきます。
「誰かいるのですか?」
とりあえず、声をかけてみました。
「あら、エルサ。どうしたの?こんな時間に」
ソフィアお姉さまでした!向こうにはセレナもいます。
「実は喉が渇いて。お姉さまは?」
「私はセレナとちょっとね……」
(あら?言葉にキレがありません。どうしたのでしょう?いつもツツミ様に“判断が遅い!”と鋭い言葉を投げつけていらっしゃるのに)
「エルサお嬢様、あの……実はですね……こっそりとパンケーキを作ろうと思ってまして……」
「なんですって!!!パンケーキを!私も食べたいです!!」
セレナが作るパンケーキは本当に美味しいのです!最近食べていなかったのでうれしいです!
「ほら、今日は満月だから」
「はい!満月です!満月の日はやはりパンケーキに限りますね」
「エルサはいつも満月を見るとパンケーキが食べたいってセレナにねだっていたものね」
お姉さまにはばれていましたか。
セレナがフライパンを一度しっかりと熱した後、濡れた布巾にあててまた火にかける。
すぐに準備していた生地を流しゆっくりと焼いていく。
ちょっとした手間をかけるだけで見た目もおいしさもけた違いに良くなる。
私はこのセレナの慣れた手つきをじっと見つめ、ほほが緩んだ。
(はあ……いいにおいがする。幸せな気分になるわ……)
もやっとしていた気分はいつの間にかどこかへ行ったようだ。
「セレナ~。今日はチシマイチゴのジャムをたっぷりつけて食べたいな~」
「あらあら、お嬢様。今日は甘えておりますね。どうかされましたか?」
(あのグランツ様に何かされていませんよね?)
言葉はやさしいのに少し棘のある言い方をするセレナは怪しく笑う。
「ぶひー!何もごじゃいません!」
「あらあら、エルサは豚さんになったのかしら?」
ソフィアの笑みも怖い。
「本当に何もないのです!ただ、懐かしくて……。たまに怖い夢を見て泣いていたら、二人がこうやってパンケーキを焼いて、チシマイチゴのジャムをたっくさんかけてくれたな……って」
エルサはよく戦争の夢を見てうなされていた。なぜこんな夢を見るのかわからないが怖くて仕方なかった。
泣いているとこっそり三人で今日のように女子会をするのだ。
「もう、仕方ありませんね。今日だけですよ」
「セレナは甘いわね……。じゃ、私にもジャムをたっぷりと……」
「困ったお二人です。仕方ありませんので、私もジャムたっぷりでいただきます」
((セレナも一緒じゃん))
わいわいといいながら三枚のパンケーキが焼き上がり、赤いルビー色のジャムをかける。
甘酸っぱい香りがフワッと一帯に広がる。
エルサは一口食べて、ぽつりとつぶやく。
「……あったかい味。懐かしいわ。幸せ……」
エルサのその姿に二人は眼がしらに熱いものを感じる。
――こんなに大きく育ってくれて……。よかった……。
――エルサが産まれた時、ソフィアはセレナと一緒に出産を見守っていた。
母のサツキがもう何日も前から陣痛と戦っているのに赤子が産まれてこないのだ。
(お母さま、こんなに苦しそう。大丈夫じゃないわ。どうしたらいいの?)
あまりにも壮絶な出産にただただ震える。セレナが傍にいてくれたからなんとか気を失わずにいられたが、本当に怖い。
陣痛か始まって四日後、ようやく出産できたが……ソフィアは出血も多く、顔が青白い。
(お母さま……)
涙があふれて前が見えない。
「……ソフィア、おいで」
サツキが呼んでいる。
「はい!」
慌てて駆け寄る。
「ソフィア、後のことは頼んだわね……。母ちょっと眠くて……。あの子、エルサって名前よ。この名前以外はだめよ」
「……はい!わかりました!お母さま」
サツキは柔らかく微笑む。
「ソフィア、思い出が少なくて、ごめんね……。愛してるわ……」
「う“……はい!」
ソフィアは瞬時に理解した。
母とはお別れなのだと。
大好きな母がいなくなる。どうしてこうなったの?
一瞬、黒いモヤが胸に広がりかけた。
「ソフィア、赤ちゃんが悪いのではないのよ。これは仕方がないの。母はちょっと運が悪かったのよ。でもね、母の代わりにエルサをたくさん愛してあげて。たくさん幸せを願ってあげて。大好きなソフィアならできるわ」
サツキはソフィアの闇を感じ、ソフィアの心を救い上げる。
「はい。わかりました」
まだ5歳のソフィアはまだ少し納得できていないが、母との約束は守りたい。
「ソフィア、愛してるわ。あなたもゴードンも、もちろんエルサもね。みんな、大好き」
サツキが手を伸ばしてくれている。
つかまなきゃ!と慌てて寄って行ったが……サツキの手は力を無くし、落ちていった。
「お母さま!」
ソフィアは叫んだ。
だが、返事は二度と返ってこなかった。
ソフィアはひとしきり泣いた後、急に立ち上がりセレナとミルク屋に駆け込んだ。
「おばさん!“祝福のミルク”をください!」
この国では産まれてきた赤子にヤギのミルクを飲ませる。
(初乳は無理でも、“祝福のミルク”はあげられるわ)
ミルクをもらったソフィアはセレナと一生懸命エルサにミルクを飲ませる。
「私たちがエルサを守るのよ。セレナ、手伝ってね」
「はい!ソフィア様」
5歳のソフィアとセレナの決意した瞬間だった。
エルサが産まれてきた時のことを思い出した二人。
ちょっと鼻を赤くしてパンケーキを頬張った。
窓辺から月を眺めていたのですが、喉が渇きこっそりと調理場へ向かいます。
なぜ月を眺めていたのか……というと、今日は満月だったからです!
調理場に近づくと中から声が聞こえてきます。
「誰かいるのですか?」
とりあえず、声をかけてみました。
「あら、エルサ。どうしたの?こんな時間に」
ソフィアお姉さまでした!向こうにはセレナもいます。
「実は喉が渇いて。お姉さまは?」
「私はセレナとちょっとね……」
(あら?言葉にキレがありません。どうしたのでしょう?いつもツツミ様に“判断が遅い!”と鋭い言葉を投げつけていらっしゃるのに)
「エルサお嬢様、あの……実はですね……こっそりとパンケーキを作ろうと思ってまして……」
「なんですって!!!パンケーキを!私も食べたいです!!」
セレナが作るパンケーキは本当に美味しいのです!最近食べていなかったのでうれしいです!
「ほら、今日は満月だから」
「はい!満月です!満月の日はやはりパンケーキに限りますね」
「エルサはいつも満月を見るとパンケーキが食べたいってセレナにねだっていたものね」
お姉さまにはばれていましたか。
セレナがフライパンを一度しっかりと熱した後、濡れた布巾にあててまた火にかける。
すぐに準備していた生地を流しゆっくりと焼いていく。
ちょっとした手間をかけるだけで見た目もおいしさもけた違いに良くなる。
私はこのセレナの慣れた手つきをじっと見つめ、ほほが緩んだ。
(はあ……いいにおいがする。幸せな気分になるわ……)
もやっとしていた気分はいつの間にかどこかへ行ったようだ。
「セレナ~。今日はチシマイチゴのジャムをたっぷりつけて食べたいな~」
「あらあら、お嬢様。今日は甘えておりますね。どうかされましたか?」
(あのグランツ様に何かされていませんよね?)
言葉はやさしいのに少し棘のある言い方をするセレナは怪しく笑う。
「ぶひー!何もごじゃいません!」
「あらあら、エルサは豚さんになったのかしら?」
ソフィアの笑みも怖い。
「本当に何もないのです!ただ、懐かしくて……。たまに怖い夢を見て泣いていたら、二人がこうやってパンケーキを焼いて、チシマイチゴのジャムをたっくさんかけてくれたな……って」
エルサはよく戦争の夢を見てうなされていた。なぜこんな夢を見るのかわからないが怖くて仕方なかった。
泣いているとこっそり三人で今日のように女子会をするのだ。
「もう、仕方ありませんね。今日だけですよ」
「セレナは甘いわね……。じゃ、私にもジャムをたっぷりと……」
「困ったお二人です。仕方ありませんので、私もジャムたっぷりでいただきます」
((セレナも一緒じゃん))
わいわいといいながら三枚のパンケーキが焼き上がり、赤いルビー色のジャムをかける。
甘酸っぱい香りがフワッと一帯に広がる。
エルサは一口食べて、ぽつりとつぶやく。
「……あったかい味。懐かしいわ。幸せ……」
エルサのその姿に二人は眼がしらに熱いものを感じる。
――こんなに大きく育ってくれて……。よかった……。
――エルサが産まれた時、ソフィアはセレナと一緒に出産を見守っていた。
母のサツキがもう何日も前から陣痛と戦っているのに赤子が産まれてこないのだ。
(お母さま、こんなに苦しそう。大丈夫じゃないわ。どうしたらいいの?)
あまりにも壮絶な出産にただただ震える。セレナが傍にいてくれたからなんとか気を失わずにいられたが、本当に怖い。
陣痛か始まって四日後、ようやく出産できたが……ソフィアは出血も多く、顔が青白い。
(お母さま……)
涙があふれて前が見えない。
「……ソフィア、おいで」
サツキが呼んでいる。
「はい!」
慌てて駆け寄る。
「ソフィア、後のことは頼んだわね……。母ちょっと眠くて……。あの子、エルサって名前よ。この名前以外はだめよ」
「……はい!わかりました!お母さま」
サツキは柔らかく微笑む。
「ソフィア、思い出が少なくて、ごめんね……。愛してるわ……」
「う“……はい!」
ソフィアは瞬時に理解した。
母とはお別れなのだと。
大好きな母がいなくなる。どうしてこうなったの?
一瞬、黒いモヤが胸に広がりかけた。
「ソフィア、赤ちゃんが悪いのではないのよ。これは仕方がないの。母はちょっと運が悪かったのよ。でもね、母の代わりにエルサをたくさん愛してあげて。たくさん幸せを願ってあげて。大好きなソフィアならできるわ」
サツキはソフィアの闇を感じ、ソフィアの心を救い上げる。
「はい。わかりました」
まだ5歳のソフィアはまだ少し納得できていないが、母との約束は守りたい。
「ソフィア、愛してるわ。あなたもゴードンも、もちろんエルサもね。みんな、大好き」
サツキが手を伸ばしてくれている。
つかまなきゃ!と慌てて寄って行ったが……サツキの手は力を無くし、落ちていった。
「お母さま!」
ソフィアは叫んだ。
だが、返事は二度と返ってこなかった。
ソフィアはひとしきり泣いた後、急に立ち上がりセレナとミルク屋に駆け込んだ。
「おばさん!“祝福のミルク”をください!」
この国では産まれてきた赤子にヤギのミルクを飲ませる。
(初乳は無理でも、“祝福のミルク”はあげられるわ)
ミルクをもらったソフィアはセレナと一生懸命エルサにミルクを飲ませる。
「私たちがエルサを守るのよ。セレナ、手伝ってね」
「はい!ソフィア様」
5歳のソフィアとセレナの決意した瞬間だった。
エルサが産まれてきた時のことを思い出した二人。
ちょっと鼻を赤くしてパンケーキを頬張った。
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