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第二十五話 姫の心と秋晴れの空
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しおりを挟む「ええと、クロード様は?」
「お部屋で執務中ではないかしら?」
「……あの方々はどなたです?」
「研究者よ。ここで居候しているの」
「…‥クロード様の所に行ってきます」
いろいろ聞きたい事はあるがミザリー姫では埒が明かない。
問い詰めるならクロード公だ。
「ああ、入口から入って三階突きあたりの部屋よ?誰もいないから迷わないでね?」
緊張感がなさすぎる。
二人は屋敷内に入り、三階へ進む。
中は冷ややかなほど何も無い、暗い廊下が続くばかりだ。
「…‥ミザリー様、何してるんだろうね?」
「聞くな、何も聞かないでいい」
ほどなくしてクロード公の部屋に着いた。
「クロード公、失礼いたします」
中にアルバ=クロード公は居た。部屋着だがやはり全身真っ黒である。
彼は本から目を離し笑みを浮かべる。
「おや、姫のお迎えですか?ご苦労様です」
「…‥入口で待っていたのですが…?」
「ここまで連絡が来てないな。いや済まないね」
「城の者が心配しています。何故帰して下さらなかったのです?」
険悪なハリスにクロード伯が困ったように言う。
「済まない。当人が帰りたがらなかったのでずるずるとここまで来てしまった。居てくれると助かるし、楽しいし」
「姫様ですよ?使用人代わりにしますか普通?」
「ホントにすまない。その、当人が私の奥さんになりたいと言うからつい…」
「奥さんって…。まさか手を出してはいないですよね?大問題ですよ」
「それは、まあ、出してはいないよ…‥ゴホン」
あやしい。ハリスが疑いの目で彼を見る。
「ともかく姫は連れて帰ります。宜しいですか?」
「うん、勿論。その、王家の人達にも謝っておいて下さい。ご心配をおかけして申し訳ないと」
ハリスとルウドは部屋を出た。
そして庭へと戻るとミザリー姫が居ない。
まだ食事中の人達に聞くとミザリーは突然何かを思い立ったように荷物を持って森へ行くと言ったと言う。
「……逃げられた」
二人はげっそりとした。
「敷地内の森は広いよ。ここは沢山の動物達がすんでいるから。森に行くと言っても目的が分からないのでは捜しようがない。当てもなく捜し回るのは危険だよ。迷ったら戻れなくなる」
「クロード様、困りますが。姫を捕まえなければ私たち帰れません」
「森に暮らしているここの管理人に頼んで案内して貰った方がいい。ミザリーには森に入ったら彼を頼るといいと言ってあるから」
「管理人、ですか」
「森の中央、湖に行けば彼はいるよ。釣りをしていると思う」
ルウドとハリスは再び森に入るはめになった。
「ああ、森には凶暴な動物達も沢山いて、見慣れない人間が居ると襲ってくるから気を付けてくださいね?」
「…」
クロードに見送られながら二人は森に入った。
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