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第10話 運命を仕組まれた馬
しおりを挟むふぅぅ。俺は今、どうしようもない負の感情を抱いております。下がった尻尾が上がりません。とりあえず、自分の今の状況を『表示』。
名前:アレキサンドース
種族:馬
職業:サンダース王国の訓練馬
装備:訓練用の鞍、蹄鉄、皮の鎧(馬用M)
固有スキル:天眼
ふぅぅ。ふぅぅ……。俺ことスキル持ちの馬『アレキサンドース』様は、
軍馬になりました。
無理です。牧場に返して下さい。返却みたいな感じで、俺を牧場のスローライフに戻してください。お願いします。とてもじゃないけど、軍馬のようなエリートなお馬さんに成らないです、成りたくないから……。
事の発端は、多田、じゃなくて、ユースナディアとかいう上級騎士でした……。
__________________
まぁ一件落着だな。そんな感じで俺のケツを犬のように追いかけ回してくるユースナディアから、逃げるように牧場へと戻った。これ、あれだろ。『クラリス』に逃げられたな。どこの馬がこんな、サディストのアホの元で愛馬なんて勤められるよ。それこそ、ブラック オブ ブラック企業だ。
ツー訳で戻って来た。うん。俺のケツをピッタリと追いかけて、どこぞの上級騎士様がついて来てる。お呼びじゃねーんだよ。帰れ。帰ってくれ。頼む……。俺の牧場スローライフをぶち壊したら許さないからな?多田?
とりあえず眠すぎた俺は牧場の藁の小屋で眠りに着いた。
~~朝~~
「なんとっ!ではミゲルは盗賊でしたか!それは誠にウチのアレキサンドースを救ってくださり大変ありがとうございました!」
「いやぁ何?私はお馬さんは放って置けないタチでな。それより、昨晩は急な申し出にも関わらず、泊めていただいて感謝してるよ」
「いえいえ。サンダース王国の立派な騎士殿を招き入れができまして、質素な牧場ですが、どうかごゆっくりとしていって下され」
「あぁ。それなんだがな」
なんだ。何か、外が少し騒がしいな。て言うか、もう昼時ではないか。まぁ無理もない。徹夜であんだけ走り回ったんだ。ん?待てよ。
俺が小屋を出ると、その視線の先には甲冑と太陽をモチーフにした青色の国旗を掲げている十人程のアホ共がいる。何だあれは?こんな自然に不釣り合いな鉄の鎧、ガシャガシャしやがって、頭がイカれてるのか?
「おおぉ!君を探していたんだよ!黒馬くん!」
「ヒヒンッ!(ゲェ!お前は、ユースナディアナ!まだ、いたのかよ!)」
「先生!こっちです!この子だよ。この子は良い軍馬になると思うのですが……」
「ヒーーン?(はぁ?何を言ってるんだこいつは?)」
そんな事も束の間、あの鎧の集団から一人が飛び出して来て、俺とユースディアナの間に割って入った。
「ほう。この、毛並み、筋の肉の付き方や、骨格。うむ。申し分ないな。ぜひ、迎え入れよう」
迎え入れる?どこに?てか、何だコイツら。
_________________________
「良かったなぁ!アレキサンドース!国境巡回中の遠征兵にお目を掛けてもらえて!育てて来た甲斐があったよ!」
はっ?
「アレキサンドース、アレキサンドースゥゥゥ!!あっちでも元気にニンジンを食べながら、頑張るんだよ!」
チャンバスが泣き付きながら、俺に抱きついてくる。ちょっ、意味が……。はっ?
「お世話になったな!皆のもの!では、行こうか!アレキサンドース君!」
「ヒヒン、ヒヒーーーーンッ!!(いやだ、いや、嫌だ、嫌だあぁぁぁ!!)」
「ハハッ。相変わらず凄い力だなぁ。これは調教のしがいがありそうだな。うん」
俺は抵抗虚しく……。その遠征兵共と一緒にサンダースとか言う国にやって来た。何だよこれ?俺の牧場スローライフどこへ消えた?
俺は、女神に運命を仕組まれている……。そう感じた。
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