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「……いきなりごめんなさい。大浦さんのこと、ずっと好みで見てたんです。歌があるでしょう、熊がイヤリングを拾ってくれる童謡。……あんな感じだなって、ずっと思ってた。体格が良くて人が良くて温和で、大柄なのに何にでも恥ずかしがる。田舎出身で素朴で……汚い言葉を絶対に使わない」
「っう、ん、ん……っ♡♡ おっ、……っ音、この音、やめてほしい、あ、あ……、っ、は、恥ずかしい……っ♡♡」
「俺が好きな恥ずかしい言葉を言わせたかった。ずっと泣かせてみたかった。だから……俺見ながらメス穴いじったんだと思って、ちょっとテンション上がり過ぎました」
「っは、ぁ……あ……♡♡」
ぬちゅぬちゅと名残惜しげにしごかれたあと、やっと手が離れてくれる。いつの間にか大浦は部屋の奥まで逃げていた。力の抜けた足はたたらを踏み、大浦はベッドへ座り込んでしまう。
視線の位置が入れ替わった。涙目で不明瞭な視界の向こう、シーリングライトを背負った小谷崎が、口の端をちらりと舐める。
男なのに、同性なのに、信じられないほどセクシーだった。ゲイなのだ、と大浦は自分の性嗜好を心の底から理解する。
「……オナニーには、これを使って」
パッケージを開けた玩具を、透明なプラスチックのバイブとかいうものを、取られた腕に押し付けられる。
恥ずかしい道具だ。使うどころか持ってることすら恥ずかしい。
押し付けられているのだ。やめてくれと、こんなの嫌だと、押し返すべきだ。わかっている。わかっているが、自分より小さな彼の手の中、安っぽいそれを握ってしまう。
「っ……、う、あ……♡」
「大浦さん。俺は大浦さんに痛い思いをしてほしくない。痛いことがあって、こんなのやだって思ってほしくない。……気持ちいいことだけを感じて、あの動画みたいなことにハマって夢中になってほしい。だから……」
「……っ、つ、使い、方が……」
「ん?」
「使い方が、わ、……わからない、から……」
***
「入っ、はいん、なぃ、い……ッ♡♡♡ こんなのっ、こ、こんなの、入んないッ♡♡ 無理! 無理だっ!」
「入るよ。大丈夫。処女まんこ緊張して怖がってるだけだ」
「っそれ! それ、い、いやだ……! っ、本当に、は、入んない……ッ♡♡」
ベッドの足元、目隠しのためマントのように被った布団の中で、手に握ったバイブが滑る。硬い、行き場のない場所に押し付けているからだ。
手に持ったときは小さいと感じたが、こんなもの絶対に絶対に入らない。
膝をついてしゃがみ、三角テントのような掛け布団で身を隠す大浦の目の前には仁王立ちの小谷崎がいた。中でどうなってるかなんて見えるはずないのに、彼はすべて言い当てる。
「少しだけ入ってくるのを大浦さんが押し返してるんでしょう? ……大丈夫、何も怖くない。ほら、見て、気持ち良さそうだよ」
「っう、ん、ん……っ♡♡ おっ、……っ音、この音、やめてほしい、あ、あ……、っ、は、恥ずかしい……っ♡♡」
「俺が好きな恥ずかしい言葉を言わせたかった。ずっと泣かせてみたかった。だから……俺見ながらメス穴いじったんだと思って、ちょっとテンション上がり過ぎました」
「っは、ぁ……あ……♡♡」
ぬちゅぬちゅと名残惜しげにしごかれたあと、やっと手が離れてくれる。いつの間にか大浦は部屋の奥まで逃げていた。力の抜けた足はたたらを踏み、大浦はベッドへ座り込んでしまう。
視線の位置が入れ替わった。涙目で不明瞭な視界の向こう、シーリングライトを背負った小谷崎が、口の端をちらりと舐める。
男なのに、同性なのに、信じられないほどセクシーだった。ゲイなのだ、と大浦は自分の性嗜好を心の底から理解する。
「……オナニーには、これを使って」
パッケージを開けた玩具を、透明なプラスチックのバイブとかいうものを、取られた腕に押し付けられる。
恥ずかしい道具だ。使うどころか持ってることすら恥ずかしい。
押し付けられているのだ。やめてくれと、こんなの嫌だと、押し返すべきだ。わかっている。わかっているが、自分より小さな彼の手の中、安っぽいそれを握ってしまう。
「っ……、う、あ……♡」
「大浦さん。俺は大浦さんに痛い思いをしてほしくない。痛いことがあって、こんなのやだって思ってほしくない。……気持ちいいことだけを感じて、あの動画みたいなことにハマって夢中になってほしい。だから……」
「……っ、つ、使い、方が……」
「ん?」
「使い方が、わ、……わからない、から……」
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「入っ、はいん、なぃ、い……ッ♡♡♡ こんなのっ、こ、こんなの、入んないッ♡♡ 無理! 無理だっ!」
「入るよ。大丈夫。処女まんこ緊張して怖がってるだけだ」
「っそれ! それ、い、いやだ……! っ、本当に、は、入んない……ッ♡♡」
ベッドの足元、目隠しのためマントのように被った布団の中で、手に握ったバイブが滑る。硬い、行き場のない場所に押し付けているからだ。
手に持ったときは小さいと感じたが、こんなもの絶対に絶対に入らない。
膝をついてしゃがみ、三角テントのような掛け布団で身を隠す大浦の目の前には仁王立ちの小谷崎がいた。中でどうなってるかなんて見えるはずないのに、彼はすべて言い当てる。
「少しだけ入ってくるのを大浦さんが押し返してるんでしょう? ……大丈夫、何も怖くない。ほら、見て、気持ち良さそうだよ」
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