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風が吹いたら恋をする
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私は地味で根暗だ。でもいつかは誰かと恋に落ちたい。それが私のこの学校でやりたいことの一つだ。
今日は大変なことがあった。メガネを忘れたのだ。
ド近眼の私にとっては裸眼では黒板が見えない。席も一番後ろだし。
今日の授業はどうしよう。
そうやって悩んでいると、
「橋本さん。今日はメガネじゃないんだね。コンタクト?」
隣の席の松田くんが私に話しかけてきた。
「えっ!? あの。その」
松田くんは私と違って陽キャグループのちょっと可愛い男の子だから私は緊張していた。
「あっ! もしかしてメガネ忘れちゃったの?」
「あ、はい!」
「じゃあ黒板見えないよね、この距離だと。今日は俺のノート見せてあげるよ」
松田くんはそう言うと机を私の机と引っ付けた。
「顔赤いけど熱あるの?」
あります。松田くんのせいです。
「だ、大丈夫です。なんでもないから気にしないでください。ごめんなさい。ありがとうございます」
「まあそれならいいけど」
そうしてメガネを忘れた不幸から私は幸福に包まれていた。とても恥ずかしいけど。
そうこうしているうちにいつの間にか放課後になっていた。
授業なんかはとてもじゃないけど、全然頭に入らなかった。
松田くんとは全然喋れなかったけど。
今日は幸せな日だったな。
なんてことを思いながら帰る準備をして玄関へと向かった。
その時だった。
突風が吹いた。
私のスカートが捲れた。
後ろには人がいると思って振り返ると……。
「松田くん」
松田くんが私の後ろにいてカバンで隠してくれていた。
「ありがとう」
「気を付けなよ、女の子なんだから」
その言葉に私は恋に落ちてしまった。
すると、雨が降ってきた。
「あ、俺傘持ってきてねぇや」
「あっ、あの私の傘使いますか」
「えっ!? 二つ持ってるの?」
「いえ。ひとちゅしかありません」
噛んでしまった。
「家どっちだっけ?」
「学校から西の方です」
「じゃあ一緒に帰ろうか。俺もそっちの方向だし」
松田くんは傘を開いて、相合傘をしてくれました。
神様! 突然の相合傘をすることになりました。それも、今恋をしている相手とです。
無言で歩く道でも私には輝いて見えた。
いつもの道がカラフルに見えます。メガネ無いからあんまり見えてないけど。
すると、私の家に着いてしまった。
「あの松田さんの家まで傘使ってください」
「橋本さんありがとうね」
「こちらこそノート見せてくださってありがとうございます」
「じゃあまた明日。橋本さん」
「また明日。松田くん」
玄関の扉を閉じてリビングへと向かった。そして、ソファへと腰を下ろした。
「姉ちゃん。なにニヤニヤしているの?」
「あっち行ってて蓮ちゃん」
弟が顔を覗き込んできていた。
私は立ち上がり自室へと行った。
そして……、
「風が吹いた。恋が始まる」
そう呟いた。
今日は大変なことがあった。メガネを忘れたのだ。
ド近眼の私にとっては裸眼では黒板が見えない。席も一番後ろだし。
今日の授業はどうしよう。
そうやって悩んでいると、
「橋本さん。今日はメガネじゃないんだね。コンタクト?」
隣の席の松田くんが私に話しかけてきた。
「えっ!? あの。その」
松田くんは私と違って陽キャグループのちょっと可愛い男の子だから私は緊張していた。
「あっ! もしかしてメガネ忘れちゃったの?」
「あ、はい!」
「じゃあ黒板見えないよね、この距離だと。今日は俺のノート見せてあげるよ」
松田くんはそう言うと机を私の机と引っ付けた。
「顔赤いけど熱あるの?」
あります。松田くんのせいです。
「だ、大丈夫です。なんでもないから気にしないでください。ごめんなさい。ありがとうございます」
「まあそれならいいけど」
そうしてメガネを忘れた不幸から私は幸福に包まれていた。とても恥ずかしいけど。
そうこうしているうちにいつの間にか放課後になっていた。
授業なんかはとてもじゃないけど、全然頭に入らなかった。
松田くんとは全然喋れなかったけど。
今日は幸せな日だったな。
なんてことを思いながら帰る準備をして玄関へと向かった。
その時だった。
突風が吹いた。
私のスカートが捲れた。
後ろには人がいると思って振り返ると……。
「松田くん」
松田くんが私の後ろにいてカバンで隠してくれていた。
「ありがとう」
「気を付けなよ、女の子なんだから」
その言葉に私は恋に落ちてしまった。
すると、雨が降ってきた。
「あ、俺傘持ってきてねぇや」
「あっ、あの私の傘使いますか」
「えっ!? 二つ持ってるの?」
「いえ。ひとちゅしかありません」
噛んでしまった。
「家どっちだっけ?」
「学校から西の方です」
「じゃあ一緒に帰ろうか。俺もそっちの方向だし」
松田くんは傘を開いて、相合傘をしてくれました。
神様! 突然の相合傘をすることになりました。それも、今恋をしている相手とです。
無言で歩く道でも私には輝いて見えた。
いつもの道がカラフルに見えます。メガネ無いからあんまり見えてないけど。
すると、私の家に着いてしまった。
「あの松田さんの家まで傘使ってください」
「橋本さんありがとうね」
「こちらこそノート見せてくださってありがとうございます」
「じゃあまた明日。橋本さん」
「また明日。松田くん」
玄関の扉を閉じてリビングへと向かった。そして、ソファへと腰を下ろした。
「姉ちゃん。なにニヤニヤしているの?」
「あっち行ってて蓮ちゃん」
弟が顔を覗き込んできていた。
私は立ち上がり自室へと行った。
そして……、
「風が吹いた。恋が始まる」
そう呟いた。
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