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最終話
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アスタロトとの話し合いを終えて帰ってきたアズランの顔色が青い。
その日からアズランの寝室から1人で出歩けなくなった。
「ルシア、最近お腹が空きやすいのだろう。心配だからもう一人では出歩くな。」と厳命されて……。
こういう時、自分は淫魔なのだと思い知らされる。他の悪魔から魔力を貰ったことなどないのに、アズランから信頼されていないのだなと悲しくなった。
だが、アズランと日に何度も口付けを交わし、優しく抱き締められるたび、もっともっと欲しくなる。どうしょうもなく自分は淫魔なのだと思い知り、自分が嫌いになる。
俺は狡い。淫魔なのが嫌だと思いながら、淫魔である性を利用して、アズランに当然のような顔をして魔力を強請る。
だが、そんな生活ももう終わる。
アズランが花嫁を迎えたならこんな歪な関係は終わらせねばならない。
必要ならば俺を呼べと先日アスタロトから持たされた笛を握りしめた。
ならば、最後にたくさん独占したい。
ひっそりと己の欲求を充たすだけでなく一度で良いからアズランに抱かれてみたかった。
上級魔族にとって淫魔を抱くのなんて暇つぶしの一つにすぎない。
一介の低級淫魔だからこそ言える事。
「アズラン、お願い抱いて。」
褥の中でアズランにすがりついた。だが、ルシアの身体を引き剥がしてアズランは寝台から出ていってしまった。
「駄目だ、ルシア。まだ体調が安定していないだろう。今宵からしばらく褥を分けよう。」
最後の望みをかけて勇気を振り絞って告げたルシアの告白は砕け散った。アズランからの拒絶に今まで張り詰めていた糸が切れるのを感じた。
心がパリンと壊れる音がする。
ルシアの不用意な発言のせいで警戒したのか寝室すら分けられる始末。もう友人でさえいられないのか。
アズランは月の君以外抱く気はないのだ。上級魔族にとって淫魔を抱くのは、とるに足らないことなのに。アズランが昔、言い寄ってきた魔族に言っていた事を思い出した。
『我には心に決めた唯一がいる。生涯愛するのはそのひとりのみ。その者以外は抱く気はない』
その唯一こそが月の君なのか。ルシアは初めて他者を憎いと思った。自分からアズランを奪っていく月の君なんていなくなれば。
醜い自分が惨めで情けなくて、ただはらはらと涙が頰を伝う。
「ルシア、泣くな。」
こぼれる涙に戸惑ったように囁く、どこまでも優しいアズランにルシアはしくしく痛む心のままに口走る。
「アズラン、俺この城を出るよ。」
もう友人ではいられない。
「ルシアはそんなに我が憎いのか?」
昏い瞳のアズラン。そういう瞳もゾクゾクする俺は被虐主義者なのか。
是。と答えれば瞬殺されそうな殺気の中。
「嫌いだよ。大嫌い。アズランの顔なんか見たくない。」
他の誰かと並び立つお前なんか嫌いだ。惚気るお前なんか見たくない。
殺せよ、アズラン。今、この瞬間お前の手にかかって死にたい。涙目でアズランを睨みつける。
だが……。
「ルシア、愛してる。」
は?アズラン何を言ってる?
殺気までの昏い瞳のアズランはどこへ行った?蕩けるような瞳でこちらを見るなよ。
「嘘つき。結婚するくせに。俺のことなんて邪魔になるに決まっている。」
アズランの好きなのは、月の君だけだろ。俺は家族の愛は要らない。欲張りな俺が欲しいのは、アズランの全てだ。
「ルシア、誤解している。」
俺の頰を流れる涙を拭う手が優しい。
「優しくするな。」
お願いだから、優しくしないで。
「ルシア、きちんと言葉にしなくて誤解させた。すまない。我が伴侶となって欲しい。」
嘘だ。嘘だよ。涙がこぼれる。
「アズラン、一生俺の面倒を見ろよ。絶対だからな。」
その日からアズランの寝室から1人で出歩けなくなった。
「ルシア、最近お腹が空きやすいのだろう。心配だからもう一人では出歩くな。」と厳命されて……。
こういう時、自分は淫魔なのだと思い知らされる。他の悪魔から魔力を貰ったことなどないのに、アズランから信頼されていないのだなと悲しくなった。
だが、アズランと日に何度も口付けを交わし、優しく抱き締められるたび、もっともっと欲しくなる。どうしょうもなく自分は淫魔なのだと思い知り、自分が嫌いになる。
俺は狡い。淫魔なのが嫌だと思いながら、淫魔である性を利用して、アズランに当然のような顔をして魔力を強請る。
だが、そんな生活ももう終わる。
アズランが花嫁を迎えたならこんな歪な関係は終わらせねばならない。
必要ならば俺を呼べと先日アスタロトから持たされた笛を握りしめた。
ならば、最後にたくさん独占したい。
ひっそりと己の欲求を充たすだけでなく一度で良いからアズランに抱かれてみたかった。
上級魔族にとって淫魔を抱くのなんて暇つぶしの一つにすぎない。
一介の低級淫魔だからこそ言える事。
「アズラン、お願い抱いて。」
褥の中でアズランにすがりついた。だが、ルシアの身体を引き剥がしてアズランは寝台から出ていってしまった。
「駄目だ、ルシア。まだ体調が安定していないだろう。今宵からしばらく褥を分けよう。」
最後の望みをかけて勇気を振り絞って告げたルシアの告白は砕け散った。アズランからの拒絶に今まで張り詰めていた糸が切れるのを感じた。
心がパリンと壊れる音がする。
ルシアの不用意な発言のせいで警戒したのか寝室すら分けられる始末。もう友人でさえいられないのか。
アズランは月の君以外抱く気はないのだ。上級魔族にとって淫魔を抱くのは、とるに足らないことなのに。アズランが昔、言い寄ってきた魔族に言っていた事を思い出した。
『我には心に決めた唯一がいる。生涯愛するのはそのひとりのみ。その者以外は抱く気はない』
その唯一こそが月の君なのか。ルシアは初めて他者を憎いと思った。自分からアズランを奪っていく月の君なんていなくなれば。
醜い自分が惨めで情けなくて、ただはらはらと涙が頰を伝う。
「ルシア、泣くな。」
こぼれる涙に戸惑ったように囁く、どこまでも優しいアズランにルシアはしくしく痛む心のままに口走る。
「アズラン、俺この城を出るよ。」
もう友人ではいられない。
「ルシアはそんなに我が憎いのか?」
昏い瞳のアズラン。そういう瞳もゾクゾクする俺は被虐主義者なのか。
是。と答えれば瞬殺されそうな殺気の中。
「嫌いだよ。大嫌い。アズランの顔なんか見たくない。」
他の誰かと並び立つお前なんか嫌いだ。惚気るお前なんか見たくない。
殺せよ、アズラン。今、この瞬間お前の手にかかって死にたい。涙目でアズランを睨みつける。
だが……。
「ルシア、愛してる。」
は?アズラン何を言ってる?
殺気までの昏い瞳のアズランはどこへ行った?蕩けるような瞳でこちらを見るなよ。
「嘘つき。結婚するくせに。俺のことなんて邪魔になるに決まっている。」
アズランの好きなのは、月の君だけだろ。俺は家族の愛は要らない。欲張りな俺が欲しいのは、アズランの全てだ。
「ルシア、誤解している。」
俺の頰を流れる涙を拭う手が優しい。
「優しくするな。」
お願いだから、優しくしないで。
「ルシア、きちんと言葉にしなくて誤解させた。すまない。我が伴侶となって欲しい。」
嘘だ。嘘だよ。涙がこぼれる。
「アズラン、一生俺の面倒を見ろよ。絶対だからな。」
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