1 / 9
魔王の幼馴染
しおりを挟む
魔王アズランと俺ルシアは幼馴染だ。
色合いの濃さで力の強さが一目瞭然の悪魔の中でも珍しい艷やかな漆黒の髪に黒曜石のような煌めく瞳。そして一際大きく美しい烏の濡羽色の羽を持つエリート中のエリート悪魔の魔王アズラン。
アズランと悪魔最弱を表す透き通るほど淡い色合いの弱っちい淫魔の俺がずっと一緒にいられるのは奇跡だと思っていた。
悪魔にもランクがある。
悪魔貴族の両親から生まれたアズランとそこらの空間からぽこっと生まれた俺とは当然スタート地点が違う。
この魔界で両親がいる悪魔なんて滅多にいない。アズランよりも前に生まれたのは先代魔王ただ一人。
そんな生まれながらにしてヒエラルキーの最上位と最下層の俺達が出逢うなんて奇跡に近い。
そして俺にとってラッキーだったのは生まれた時からアズランの側にいた事でその溢れる魔力を分け与えてもらえた事だ。
本来なら淫魔として魔力を求めて、身をひさいで生きることだけで精一杯だっただろう。
しかし、魔力の心配をせずに生きられる俺は、怠惰な悪魔達が嫌う地味な事務仕事をコツコツ引き受けた。
事務仕事に特化することで、順調に出世していくアズランになんとか必死に喰らいついて来たのだ。
今やアズランは魔王。俺はなんとかギリギリ魔王の側近の私的秘書官の1人として頑張っている。
しかし、しかしだ。
どんなに努力してもアズランは魔王様、彼は俺の元から離れていく。
「ルシア、聞いた?魔王様結婚するらしいぜ。お子様が産まれるらしい。」
アズランが結婚?しかも、子供まで。
どんな魅力的な悪魔が来ようと決して近づけなかったアズランにそんな相手いたんだ。
晴天の霹靂だった。
そりゃそうだよな。アズランほど魅力的な悪魔ほっておくわけ無いよな。それにめっちゃ優しいし。
悪魔が子を為すのは珍しい。魔界最大の慶事だ。だが、俺は素直に喜べなかった。
アズランが俺以外の人のものになってしまう。今までのようにふたりで眠りにつくことも、魔力を与えて貰うことも出来なくなってしまう。
胸の奥に巣食う強烈な独占欲。
アズランとずっと一緒にいたかっただけなのに……。
俺にもっと魔力があったなら、ちっぽけな低級淫魔じゃなく華やかな上級魔族だったら。
笑って祝ってあげなければならないのに、アズランとの楽しかった日々を思い出して涙で瞳が潤んだ。
☆☆☆☆☆
ルシアはまだ知らない。
闇に支配された魔界の住人達がルシアの華やかな色合いに焦がれていることを。
元来縛られる事を嫌う高位魔族であるアズランが魔王にまで登り詰めた真の意味。
ルシアを巡る熾烈な争いが原因だった事。
夜毎、魔力譲渡の後、ルシアが眠りに堕ちてから繰り返されていた秘め事も。
ルシアの胎にアズランの子がいることも。
色合いの濃さで力の強さが一目瞭然の悪魔の中でも珍しい艷やかな漆黒の髪に黒曜石のような煌めく瞳。そして一際大きく美しい烏の濡羽色の羽を持つエリート中のエリート悪魔の魔王アズラン。
アズランと悪魔最弱を表す透き通るほど淡い色合いの弱っちい淫魔の俺がずっと一緒にいられるのは奇跡だと思っていた。
悪魔にもランクがある。
悪魔貴族の両親から生まれたアズランとそこらの空間からぽこっと生まれた俺とは当然スタート地点が違う。
この魔界で両親がいる悪魔なんて滅多にいない。アズランよりも前に生まれたのは先代魔王ただ一人。
そんな生まれながらにしてヒエラルキーの最上位と最下層の俺達が出逢うなんて奇跡に近い。
そして俺にとってラッキーだったのは生まれた時からアズランの側にいた事でその溢れる魔力を分け与えてもらえた事だ。
本来なら淫魔として魔力を求めて、身をひさいで生きることだけで精一杯だっただろう。
しかし、魔力の心配をせずに生きられる俺は、怠惰な悪魔達が嫌う地味な事務仕事をコツコツ引き受けた。
事務仕事に特化することで、順調に出世していくアズランになんとか必死に喰らいついて来たのだ。
今やアズランは魔王。俺はなんとかギリギリ魔王の側近の私的秘書官の1人として頑張っている。
しかし、しかしだ。
どんなに努力してもアズランは魔王様、彼は俺の元から離れていく。
「ルシア、聞いた?魔王様結婚するらしいぜ。お子様が産まれるらしい。」
アズランが結婚?しかも、子供まで。
どんな魅力的な悪魔が来ようと決して近づけなかったアズランにそんな相手いたんだ。
晴天の霹靂だった。
そりゃそうだよな。アズランほど魅力的な悪魔ほっておくわけ無いよな。それにめっちゃ優しいし。
悪魔が子を為すのは珍しい。魔界最大の慶事だ。だが、俺は素直に喜べなかった。
アズランが俺以外の人のものになってしまう。今までのようにふたりで眠りにつくことも、魔力を与えて貰うことも出来なくなってしまう。
胸の奥に巣食う強烈な独占欲。
アズランとずっと一緒にいたかっただけなのに……。
俺にもっと魔力があったなら、ちっぽけな低級淫魔じゃなく華やかな上級魔族だったら。
笑って祝ってあげなければならないのに、アズランとの楽しかった日々を思い出して涙で瞳が潤んだ。
☆☆☆☆☆
ルシアはまだ知らない。
闇に支配された魔界の住人達がルシアの華やかな色合いに焦がれていることを。
元来縛られる事を嫌う高位魔族であるアズランが魔王にまで登り詰めた真の意味。
ルシアを巡る熾烈な争いが原因だった事。
夜毎、魔力譲渡の後、ルシアが眠りに堕ちてから繰り返されていた秘め事も。
ルシアの胎にアズランの子がいることも。
262
あなたにおすすめの小説
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
異世界から戻ったら再会した幼馴染から溺愛される話〜君の想いが届くまで〜
一優璃 /Ninomae Yuuri
BL
異世界での記憶を胸に、元の世界へ戻った真白。
けれど、彼を待っていたのは
あの日とはまるで違う姿の幼馴染・朔(さく)だった。
「よかった。真白……ずっと待ってた」
――なんで僕をいじめていた奴が、こんなに泣いているんだ?
失われた時間。
言葉にできなかった想い。
不器用にすれ違ってきたふたりの心が、再び重なり始める。
「真白が生きてるなら、それだけでいい」
異世界で強くなった真白と、不器用に愛を抱えた朔の物語。
※第二章…異世界での成長編
※第三章…真白と朔、再会と恋の物語
溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん
315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。
が、案の定…
対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。
そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…
三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。
そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…
表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。
殿堂入りした愛なのに
たっぷりチョコ
BL
全寮の中高一貫校に通う、鈴村駆(すずむらかける)
今日からはれて高等部に進学する。
入学式最中、眠い目をこすりながら壇上に上がる特待生を見るなり衝撃が走る。
一生想い続ける。自分に誓った小学校の頃の初恋が今、目の前にーーー。
両片思いの一途すぎる話。BLです。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
慶ちゃんの言うとおり
カミヤルイ
BL
完璧な優等生を演じるド執着攻めが、見た目ふわふわ系可愛い受けを「自分はひ弱」と思い込ませて、囲い込んでいくお話。
(囲い込みBLでゾワゾワしたい方がおられたら…同志がおられるといいなと)
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。
📌本編モブ視点による、番外エピソード
「君はポラリス ― アンコール!:2年後の二人と俺と」を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる