【9話完結】魔王の幼馴染

降魔 鬼灯

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アズラン視点

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 我は、先代魔王といにしえから続くさる高位悪魔貴族の両親から生まれた。

 本来勝手気ままな悪魔が婚姻し子を儲けるのは珍しく、生まれた時から次代魔王の最有力候補だった。

 本来気ままで怠惰な悪魔達にとって魔界最強というだけで面倒事を押し付けられる魔王の座など邪魔なだけだ。
 
 全能感ゆえ感じる生きる気力もわかない、全てがつまらなく味気のない日々。


 あの日までは…。

 あの日、空気中にほわほわ光る物体を見つけた我は、何だかその光を逃したくなくて、そうっと手の中に閉じ込めた。

 柔らかくほんのり温かなぬくもりに我に足りなかった何かを見つけた気がした。

 淡い光を放つその物体を懐に入れ、魔力を与えながら大切に育てた。

 気を抜くとすぐに霧散してしまう、弱い弱いその命。見たことのない淡く澄みきった光の色合いに夢中になった。


 なんて綺麗なんだ。

 やがて、時が満ちて光が弾けた時、中から淡い光の色をしたルシアが生まれた。

 その珍しくも愛らしい姿に心を奪われた。これは私のものだ。強く狂おしい独占欲とともに自分の生まれた意味を見つけた。



 そして我にひとつの大きな野望が生まれた。

 この綺麗なルシアを我だけの魔力で染め上げたい。
 悪魔は取り込む魔力の色が蓄積する。

 よりたくさんの雑多な魔力を取り込む事で力ある悪魔となるから、黒に近い色合いの悪魔程力があると言われているのだが……。
 我だけの魔力で育てたルシアは一体どんな色に染まるのだろうか。

 

 その結果、ルシアは悪魔としては異例なほど淡い色合いをしている。
 淡い色合いのものは弱くみすぼらしいものが多い。しかし、我の溢れる魔力で育てたルシアは光を放ち息を呑む程美しい。


 この魔界にあって穢れのない光色のものなどないに等しい。だからこそ魔族は光を求めて天界に天使を狩りに行くくらいだ。

 天界とのいざこざはこの悪魔の特性と、好色な天使による淫魔狩りが原因だ。

 より高位の悪魔貴族ほど、ルシアの穢れのない美しさに夢中になり、強奪しようと躍起になった。

 父達は面白がって大切なものは自力で護れと、我をわざと勘当した。
 

 後ろ盾がなくまだ若い我を侮った悪魔貴族たちがルシアを奪おうとあの手この手で迫ってきた。

 
 何人もの力ある悪魔どもがルシアを手に入れようとしたことだろうか。

 その度に彼らを打ち破り続け屈服させ、気がつけば自力で魔王の座をもぎ取っていた。


 ルシアを護るためならば父達の思惑どおり踊るしかなかった。

 面倒な魔王なんてごめんだが、ルシアを横取りしようとする面倒な悪魔がいなくなったのは重畳だ。



 ルシアが弱い淫魔だから側に置くな、なんて誰にも言わせない。ルシアを手に入れるために魔王の座が必要だっただけだ。

 この魔界では欲望こそが第一なのだから。

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