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2.異母姉
異母姉ジュリアンナ王女が帰って来た。
しかし、いつも威張り散らしているジュリアンナの様子がおかしい。
何かに怯えているように静かだった。
その夜アリアは父王から呼ばれた。
その場には珍しい事に父王と側妃、ジュリアンナ王女とアリアの四人しかいなかった。
「大国エスメラルダからジュリアンナ王女を差し出すように要請を受けた。」
憔悴しきった表情で父王は小さな声で呟いた。
「戒律の厳しい修道院で修道女となるか、先代王の公妾となるかの2択であるが……。」
父王としては愛しいジュリアンナ王女をそんな過酷な状況に置きたくないのだろう。
しかし、そんな無茶苦茶な要求が突きつけられるなんて、ジュリアンナ王女は留学中に一体何をしたのだろう。
「修道女なんて嫌よ。」
ジュリアンナ王女が泣き崩れた。
「あなた、ジュリアンナが修道女なんてもってのほかですわ。」
側妃がジュリアンナ王女をかばうように抱きかかえた。
「では先代王の公妾か。」
父王が重苦しく呟いた。確か、エスメラルダの国王は父王と同じくらいの年齢であった筈だ。
ならば、その父親である先代王は更に上。しかも、既に王位を子に譲り引退しているのだから、子が産まれたところで王位は望めない。
それどころか、先代王が亡くなった後、子もろとも葬られる可能性だったある。それならば、修道女のほうが100倍ましだろう。
「ええ。わかったわ。でもお父様この国にはもう1人王女がいてよ。」
ジュリアンナ王女が泣きながら、父王に縋り付いた。あぁ、この話の流れは…嫌な予感がする。
「あなた、ジュリアンナは我が国の跡継ぎをもうけなければならないのに、公妾なんて外聞が悪いわ。それに公妾ならば人前に出る事はないと聞いていますわ。すげ替えてもわかりはしませんわ。」
ああ、最悪な形で話が転がる。最初から替え玉で話をしてくれたなら、修道女を選べたのに。
いや、今からでも遅くない。
「私が行くのでしたら、修道女の方で…」
なんとか話の流れを止めようとしたアリアの言葉はジュリアンナの大袈裟な鳴き声に阻まれた。
「あら、お父様、いくらなんでも修道女なんて可哀想よ。腐っても王女なんですもの大国の公妾が相応しいわ」
ジュリアンナ王女の強引な泣き落としに父王が頷く。
「そうだな」
決まってしまった。
「アリア、明日エスメラルダの公妾として出立を命じる」
明日。しかも、出立は明日なのね。
項垂れて退出するアリアの耳元にジュリアンナが嬉しそうに囁いた。
「ねぇ、知ってる?エスメラルダの先代王の公妾っていうのは、表向きの役割でね。本当は妻のいないエスメラルダ王族や貴族達の性欲処理に使われる公の娼婦って意味なの。これは流石にお父様も知らなかったようね。」
父王の暗愚っぷりはおバカなジュリアンナ王女にもわかっているらしい。
ジュリアンナ王女は、ふふふと嬉しそうに笑いながら、アリアを慰めるふりをして続けた。
「でも安心して。教会で子供が出来ないような儀式をするみたいよ。毎日たくさんの男たちの相手をするけど子を妊娠することはないわ。まあ、妊娠したら堕胎すれば良いだけだけなんだけど。」
自分の尻拭いをまんまとアリアに押し付けたジュリアンナ王女はふふふと心底楽しそうに笑っていた。
最悪の選択を人に押し付けて嘲笑うジュリアンナ王女は悪魔だった。
しかし、大国エスメラルダをここまで怒らせるとは、ジュリアンナ王女は一体何をしたのだろう。
災禍を押し付けられる羽目になったアリアはぶるりと身震いをした。
しかし、いつも威張り散らしているジュリアンナの様子がおかしい。
何かに怯えているように静かだった。
その夜アリアは父王から呼ばれた。
その場には珍しい事に父王と側妃、ジュリアンナ王女とアリアの四人しかいなかった。
「大国エスメラルダからジュリアンナ王女を差し出すように要請を受けた。」
憔悴しきった表情で父王は小さな声で呟いた。
「戒律の厳しい修道院で修道女となるか、先代王の公妾となるかの2択であるが……。」
父王としては愛しいジュリアンナ王女をそんな過酷な状況に置きたくないのだろう。
しかし、そんな無茶苦茶な要求が突きつけられるなんて、ジュリアンナ王女は留学中に一体何をしたのだろう。
「修道女なんて嫌よ。」
ジュリアンナ王女が泣き崩れた。
「あなた、ジュリアンナが修道女なんてもってのほかですわ。」
側妃がジュリアンナ王女をかばうように抱きかかえた。
「では先代王の公妾か。」
父王が重苦しく呟いた。確か、エスメラルダの国王は父王と同じくらいの年齢であった筈だ。
ならば、その父親である先代王は更に上。しかも、既に王位を子に譲り引退しているのだから、子が産まれたところで王位は望めない。
それどころか、先代王が亡くなった後、子もろとも葬られる可能性だったある。それならば、修道女のほうが100倍ましだろう。
「ええ。わかったわ。でもお父様この国にはもう1人王女がいてよ。」
ジュリアンナ王女が泣きながら、父王に縋り付いた。あぁ、この話の流れは…嫌な予感がする。
「あなた、ジュリアンナは我が国の跡継ぎをもうけなければならないのに、公妾なんて外聞が悪いわ。それに公妾ならば人前に出る事はないと聞いていますわ。すげ替えてもわかりはしませんわ。」
ああ、最悪な形で話が転がる。最初から替え玉で話をしてくれたなら、修道女を選べたのに。
いや、今からでも遅くない。
「私が行くのでしたら、修道女の方で…」
なんとか話の流れを止めようとしたアリアの言葉はジュリアンナの大袈裟な鳴き声に阻まれた。
「あら、お父様、いくらなんでも修道女なんて可哀想よ。腐っても王女なんですもの大国の公妾が相応しいわ」
ジュリアンナ王女の強引な泣き落としに父王が頷く。
「そうだな」
決まってしまった。
「アリア、明日エスメラルダの公妾として出立を命じる」
明日。しかも、出立は明日なのね。
項垂れて退出するアリアの耳元にジュリアンナが嬉しそうに囁いた。
「ねぇ、知ってる?エスメラルダの先代王の公妾っていうのは、表向きの役割でね。本当は妻のいないエスメラルダ王族や貴族達の性欲処理に使われる公の娼婦って意味なの。これは流石にお父様も知らなかったようね。」
父王の暗愚っぷりはおバカなジュリアンナ王女にもわかっているらしい。
ジュリアンナ王女は、ふふふと嬉しそうに笑いながら、アリアを慰めるふりをして続けた。
「でも安心して。教会で子供が出来ないような儀式をするみたいよ。毎日たくさんの男たちの相手をするけど子を妊娠することはないわ。まあ、妊娠したら堕胎すれば良いだけだけなんだけど。」
自分の尻拭いをまんまとアリアに押し付けたジュリアンナ王女はふふふと心底楽しそうに笑っていた。
最悪の選択を人に押し付けて嘲笑うジュリアンナ王女は悪魔だった。
しかし、大国エスメラルダをここまで怒らせるとは、ジュリアンナ王女は一体何をしたのだろう。
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