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第二部 四季姫進化の巻
第十五章 夏姫鬼化 6
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六
二日後。剣道の対抗試合当日。
四季が丘中学校の武道館は、多くの観客で賑わっていた。
対戦相手は、京都市内の中学校の剣道部。府大会や近畿地方の大きな試合にもちょくちょく顔を出す強豪で、本来なら四季が丘中学の剣道部なんて、足元にも及ばない。
だが、今回は榎がいる。そう容易くは負けてやらない。
剣道着と袴を身に付け、胴衣や小手を装着した榎は、呼吸を整えて集中力を高めた。
試合方法は、三対三の勝ち抜き戦だ。実力の高さから期待をかけられる榎は、一年生なのにもかかわらず、大将を任された。
選ばれた選手全員、万全の態勢で挑んだが、試合の流れはあまり思わしくなかった。
先の二人が、相手の先鋒にあっさりとやられてしまった。やはり、府下有数の強豪校の壁は、ちょっとやそっとでは崩せない。
残るは、榎ひとりという危機的状況に陥った。
それでも榎は臆さず、冷静に相手の動きを見極め、先鋒と副将を立て続けに倒した。
四季が丘中学の応援席から、歓声が上がる。
「やっぱり、榎はんはお強いどす! 一年生で大将張れるくらいどすからな。勝って当然どす」
「いけるわ、優勝できるわよ、えのちゃん! 頑張ってー!!」
「よっしゃあ! その意気で決勝も、かっ飛ばしたれ!」
三人の歓声が、一際大きく聞こえてくる。
「いつの時代も、人間が集まると賑やかだな」
「京の大通りでの喧嘩や、暴動を思い出すよ」
その側では、朝と宵が物静かに観戦していた。あまり賑やかな場所は苦手らしく、周囲の喧騒に少し抵抗感を見せている。
休憩席に戻った榎は、面をとり、汗を拭う。もう、かなり気温も低くなってきたのに、周囲の熱気で武道館の中は、梅雨時みたいな湿った温い空気が、むわっと充満していた。
「おっし、あと一人! 倒して優勝するぞ!」
勢いづいている今なら、行ける気がした。休憩席で気合いを入れ直していると、側に見知った人物が近寄ってきた。
「ご機嫌よう、榎さん。本日も絶好調ですわね」
奏だった。試合の話は、していなかったはずだが。綴から聞いたのだろうか。
予想外の来訪に驚きつつも、榎は喜んだ。
「奏さん! 見に来てくれたんです……か……」
笑顔を返すが、奏のほうに視線を向けると同時に、榎の体が強張った。
奏は、車椅子を押していた。腰掛けている人物は、言うまでもない。―?綴だった。
初めて、京都駅で出会った時と同じ、黒いスーツに身を包んでいた。車椅子で、しかも競技の観戦には似つかわしくない姿だ。当然、周囲から浮いて、目立っていた。
さらに、今日の綴は髪も染めていない。白髪の貴公子、といった風貌は、明らかに周囲の奇異の目を引いた。
「こんにちは。病院以外で会うのは、二度目だね」
だが、そんな視線を気にする様子もなく、綴は榎をまっすぐに見ていた。優しく微笑んでくる綴に、榎は大声を張り上げた。
「綴さん!? どうして、うちの学校に……?」
「今日は、お兄さまの体調がよろしくって。一日だけ、外出許可をいただきましたの。どこに行きたいか尋ねたら、榎さんの剣道の試合が見たいと仰るものですから」
「先日の話を思い出したら、どうしても行きたくなって。この子と一緒に、応援しているからね」
綴の膝の上には、榎がプレゼントした犬のぬいぐるみが乗っていた。
「あ、ありがとう、ございます……」
あまりに突然すぎて、榎の頭は真っ白になっていた。
もちろん、綴が榎の試合に興味を持って、見に来てくれたのだから、嬉しい。
でも、喜び以上に恥ずかしさが勝って、全身が緊張した。手に纏わりつく嫌な汗の原因は、決して室内の蒸し暑い気温のせいだけではなかった。
「あの人が、綴さんとかいう?」
奏と綴に気付いた椿が、少し遠くで噂話をしている声が、耳に入ってきた。
「奏はんの、お兄さんどすな。四季が丘病院に入院されとって、榎はんが福祉部で、すごく気に懸けておる人どす」
楸の説明を聞いて、椿も柊も興味深そうな返事をしていた。
「ほんまに、病弱そうやな。ちゅうか、何で膝の上にチュパカブラのぬいぐるみ載せとるんや?」
「さあ、ゲテモノ好きなんでしょうかね?」
「ちょっと、悪趣味かも」
三人は口々に、綴を見ての感想を吐き出していた。途中からなぜか、榎が渡したぬいぐるみについての談義に変わってしまったが。
「なんでみんな、チュパカブラ、なんて訳の分からない生物を知っているんだ……」
みんなの偏った知識に、疑問を抱かずにはいられなかった。
誰もが自然と納得するほど、榎が作ったぬいぐるみは、その謎の化け物に似ているのだろうか。
この期に及んで、実は犬だなんて、口が裂けても言えない。
「お二人とも、どうかなさったんどすか?」
話を中断して、楸が視線を反対隣りに移す。
朝と宵が、気分悪そうな表情で、俯いていた。
「いいえ、ちょっと、人酔いをしたのかもしれません」
「胸糞悪い」
「少し、外の風に当たってきます」
そそくさと、二人は武道館の外に出て行ってしまった。
みんな、不思議そうな心配そうな表情をしていた。榎は、二人の目に鋭い敵意が浮かんだ瞬間を見た。
その鋭い眼光は、綴の横顔に向けられていた気がしたが。
はっきりとは、確認できなかった。
「榎さん、決勝戦が始まりますわよ。あと一息ですわ」
奏に喝を入れられて、榎は我に返った。
「ちゃんと、この目で見ているからね。頑張って」
応援してくれる綴に、機械的に頷いて、榎は防具を再び装着した。
準備は万端だが、心の中は決意が纏まらず、ぐちゃぐちゃのままだった。
どうしよう、綴が間近で、榎が戦う姿を見ている。動作一つ一つが、ぎこちなくなる。綴の視線を意識するだけで、恥ずかしさが込み上げて集中できない。
対戦相手と、向かい合う。戦う相手は、図体の大きさからして、きっと三年生だ。対戦校のエースを張る、総大将に違いない。
いつもの榎なら、慎重にかかれば勝てない相手ではないとは思った。だが、今は非常事態だ。
試合開始の声がかかった。
榎は竹刀を構えて、勢いよく先制を切る。まずは相手の胴を打ち、一点先取した。
相手も、榎の今までの戦いっぷりを見て、かなり警戒している。本気で倒そうと、隙を伺っていた。
だが、伺うまでもなく、今の榎は隙だらけだ。
すかさず、相手に籠手を打たれ、一点持っていかれた。続いて胴を攻められ、さらに一点。
もう一点取られれば、一本勝ちをされてしまう。なんとかしなければならないが、体が思うように動かない。
「えのちゃん、動きがおかしいわ!」
「どないしてん、急に反応が、鈍うなったで」
「……まさか、綴はんが応援に来られたから、緊張して上がっとるんと違いますやろな?」
榎の異変に気付いた外野が、ざわつき始めた。
「そんな、初心な小娘みたいなキャラやないやろうが! 周りなんて気にすんな! いてこませー!」
みんな、声が嗄れるほど、必死で応援してくれる。期待に応えたいが、榎の意志ではどうにもならない。
戦ってみて、対戦者の技量は、だいたい分かった。はっきり言って、相手は大した実力を持っているわけではない。なのに、圧される。榎の集中力が切れて、浮ついている証拠だ。気持ちさえ整えば、反撃のチャンスはまだ残っているのに。
何とか、気持ちを切り替えなくては。焦りが苛立ちに変わり始めた矢先――。
「水無月家家訓、其の一! 相手の反撃を食らった時は後ろに引かず、脇下を突いて勝利を掠め取れ!」
急に耳に入ってきた、懐かしい声と言葉。
聞いた途端に、背筋がシャキッと伸びた。急速に頭の中が冷静になり、集中力が戻ってくる。
体が、勝手に動いた。相手の攻撃を素早くかわし、横薙ぎの一撃を加える。
「胴あり!」
審判の声が響く。
「水無月家家訓、其の二! 手首は軽くしなやかに、獲物を傷つけずに打ち落とすべし!」
さらに、外野からの声が榎の体内に染みわたっていく。
完璧に、いつもの調子を取り戻した。今の榎に、恐れるものは何もない。
榎が振りかざした竹刀が、相手の籠手に命中する。相手は反動で、竹刀を床に落とした。
「籠手あり! 一本!」
審判の持つ赤い旗が、頭上高らかに振り上げられた。
直後。四季が丘中学校の応援席から歓声が上がった。
「勝ったぁー! 榎の優勝や!」
「やりましたな、榎はん!」
「かっこいー! えのちゃん最高!!」
榎の勝利を祝福する声と共に、剣道部のメンバーが押し寄せてきて、榎の胴上げが始まった。防具をはぎ取られ、みんなに担ぎ上げられながら、榎は達成感に満ち溢れていた。
閉会式が終わり、しばし解放された榎は、ふらつきながらも観客席にやってきた。
椿たちの賛辞を受けていると、突然、目の前に大きな人影が立ちはだかった。
「うむ、なかなかの太刀筋だったぞ、榎!」
腕を組み、野太い声で榎を褒める、作業着姿の男。
榎は驚愕した。
その人物は、名古屋にいるはずの榎の父親――水無月 樫男だった。
「お父さん!? どうして、お父さんまで……」
なぜ、父親が学校に、というか京都にいるのか。訳が分からず、榎は困惑した。
「急に、京都に出張になってな。通りがかりに花春寺に寄ってみたら、学校で試合をやっとると聞いたんで、顔を出したんだ。元気にやっとるみたいで、安心したぞ」
八ヶ月ぶりに見た樫男の表情は、名古屋で別れた時と、ちっとも変っていない。榎も懐かしさが込み上げて、嬉しくなった。
「お父さんも、仕事が大変そうって聞いていたけれど、元気そうでよかった」
「まあ、父さんは元気だけが取り柄だからな!」
豪快に笑う姿も、以前と何ら変わらない。榎もつられて、声を上げて笑った。
「えのちゃんのパパさん? おっきい~」
側で樫男を見上げていた椿が、感嘆の声を上げた。
「そちらのお嬢さんは、もしかして? どことなく、桜さんに似ておるが」
椿を凝視した樫男は、どことなく親戚の面影を感じ取ったらしい。椿は普段の猫かぶりスマイルで、可愛らしく挨拶した。
「娘の、如月椿ですぅ~。初めまして」
「やっぱり、木蓮くんの娘さんか! いや、この度は榎がとても世話になって。仲良くしてくれて、ありがとう!!」
テンションが上がった樫男は、笑顔で椿に握手を求める。椿が差し出した手を握った途端、ものすごい力で振り始めた。とてつもない力に踏ん張りがきかない椿は、体ごと上下に引っ張られて、よろめいて倒れそうになっていた。
榎が慌てて、椿を抑えて救出する。
「椿、大丈夫!?」
「腕が、もげるかと思ったわ……」
「お父さん、余所の子には力技は通用しないんだから! もっとソフトに頼むよ」
榎は呆れて注意する。榎が相手なら対抗できるが、華奢な椿に樫男のスキンシップは過激すぎる。
「すまんすまん、つい、いつもの癖でな」
相変わらず、樫男は豪快に笑っていた。
「それにしても、先ほどは見事に榎はんのピンチを救ってくださいましたな。さっきの家訓は、剣道の極意みたいなもんどすか?」
楸が感心して、訊ねてくる。ピンチの瀬戸際で、樫男が榎に戦いの教訓を思い出させてくれたおかげで、榎は勝利を手にできた。相当、すごい家訓なのだろうと、楸は興味津々だ。
「いいや、夕飯のエビフライが取り合いになった時に、海老を傷つけずに相手から奪い取るための戦法だよ」
だが、榎があっさりと答えると、ぽかんと口をあけて固まっていた。
「エビ……?」
「まあ、さっきみたいに、戦いにも流用できるんだけれどね。あんなに上手く決まる時って、滅多にないから気持ちよかったなぁ。いっつも、兄ちゃん達に仕掛けても、敵わないからさ」
笑って説明するも、楸はよく分からなさそうな、困った表情を浮かべていた。かなり理解に苦しんでいる様子だ。
「大家族の中で生き抜くための、秘策みたいなもんどすかな?」
「相変わらず、変やな。榎の家は」
柊が肩を竦めて、簡潔に締め括った。
盛り上がっていると、榎の側に綴と奏がやってきた。
「榎ちゃん、おめでとう。素晴らしかったよ」
「ご立派でしたわ、榎さん」
「いえ、わざわざ見に来てくださって、ありがとうございます」
試合が終わってひと段落着くと、緊張も解れた。綴にも、素直にお礼が言えた。
「僕こそ、とても、いい思い出ができた。今までで、一番感動したよ。本当に、ありがとう」
暖かな笑顔に、榎も癒される。自然と、笑い返していた。
「この方たちは?」
榎の側に、樫男がやってくる。榎が身振り手振りで互いを紹介すると、綴は丁寧な動作で、樫男に頭を下げた。
「初めまして。榎さんには、いつも元気付けられています」
「いや、こちらこそ。娘が世話になっているみたいで」
樫男も、綴に礼儀正しく挨拶をする。不意に、樫男は綴を見て尋ねた。
「足が、お悪いんですかな?」
「ええ、生まれつきの難病でして」
「突然で失礼ですが、その足なら、きちんと訓練すれば、動くと思いますがな」
綴の表情が固まった。唖然としたまま、樫男を見つめている。
樫男は屈み込み、綴の太ももを大きな手で掴んだ。痛みが走ったらしく、綴は表情を苦痛に歪める。
「お父さん!? いきなり、何を……」
「痛いですか? 神経が正常に通っている証拠だ」
止めようとする榎を抑え、樫男は綴に声を掛け続ける。
「骨盤や足の骨に、歪みなどの異常は見られない。やはり動かしていないせいで筋肉は衰えているが、いくらでも鍛えられる。健全な足だと思いますがな」
「――本当に、歩けると思いますか」
掠れた声で、綴が尋ねる。
「貴方の努力次第ですな。もちろん、私は医者ではないから、他に何か原因があるのなら、確実に、とは言えませんが。放っておくには、少々もったいないと思いますがな」
樫男の返答を聞くと共に、綴は黙り込んでしまった。奏も呆然と、樫男の話に聞き入っていた。
「そろそろ、病院に戻らないと。それでは、皆さま、御機嫌よう」
奏が我に返り、時計を見て帰宅を告げる。綴は複雑な表情を浮かべながら、樫男に深くお辞儀をして、去っていった。
「お父さん、今の話って、本当?」
二人の姿が見えなくなった頃、榎は漠然と、樫男に訊ねた。
「確かに体は弱そうだったが、バランスはしっかりしていると思ったがな」
綴の足がちゃんと動いて、歩けるようになればいいのに。榎が綴と出会ってから、ずっと思っていた願いだ。
樫男は、根拠のない励ましや助言は絶対に口にしない。きっと、綴の姿に確信に近い可能性を見出したに違いない。
何かきっかけがあれば、本当に綴は歩けるようになるかもしれない。
榎は、綴と並んで歩く姿を想像して、胸を昂らせた。
二日後。剣道の対抗試合当日。
四季が丘中学校の武道館は、多くの観客で賑わっていた。
対戦相手は、京都市内の中学校の剣道部。府大会や近畿地方の大きな試合にもちょくちょく顔を出す強豪で、本来なら四季が丘中学の剣道部なんて、足元にも及ばない。
だが、今回は榎がいる。そう容易くは負けてやらない。
剣道着と袴を身に付け、胴衣や小手を装着した榎は、呼吸を整えて集中力を高めた。
試合方法は、三対三の勝ち抜き戦だ。実力の高さから期待をかけられる榎は、一年生なのにもかかわらず、大将を任された。
選ばれた選手全員、万全の態勢で挑んだが、試合の流れはあまり思わしくなかった。
先の二人が、相手の先鋒にあっさりとやられてしまった。やはり、府下有数の強豪校の壁は、ちょっとやそっとでは崩せない。
残るは、榎ひとりという危機的状況に陥った。
それでも榎は臆さず、冷静に相手の動きを見極め、先鋒と副将を立て続けに倒した。
四季が丘中学の応援席から、歓声が上がる。
「やっぱり、榎はんはお強いどす! 一年生で大将張れるくらいどすからな。勝って当然どす」
「いけるわ、優勝できるわよ、えのちゃん! 頑張ってー!!」
「よっしゃあ! その意気で決勝も、かっ飛ばしたれ!」
三人の歓声が、一際大きく聞こえてくる。
「いつの時代も、人間が集まると賑やかだな」
「京の大通りでの喧嘩や、暴動を思い出すよ」
その側では、朝と宵が物静かに観戦していた。あまり賑やかな場所は苦手らしく、周囲の喧騒に少し抵抗感を見せている。
休憩席に戻った榎は、面をとり、汗を拭う。もう、かなり気温も低くなってきたのに、周囲の熱気で武道館の中は、梅雨時みたいな湿った温い空気が、むわっと充満していた。
「おっし、あと一人! 倒して優勝するぞ!」
勢いづいている今なら、行ける気がした。休憩席で気合いを入れ直していると、側に見知った人物が近寄ってきた。
「ご機嫌よう、榎さん。本日も絶好調ですわね」
奏だった。試合の話は、していなかったはずだが。綴から聞いたのだろうか。
予想外の来訪に驚きつつも、榎は喜んだ。
「奏さん! 見に来てくれたんです……か……」
笑顔を返すが、奏のほうに視線を向けると同時に、榎の体が強張った。
奏は、車椅子を押していた。腰掛けている人物は、言うまでもない。―?綴だった。
初めて、京都駅で出会った時と同じ、黒いスーツに身を包んでいた。車椅子で、しかも競技の観戦には似つかわしくない姿だ。当然、周囲から浮いて、目立っていた。
さらに、今日の綴は髪も染めていない。白髪の貴公子、といった風貌は、明らかに周囲の奇異の目を引いた。
「こんにちは。病院以外で会うのは、二度目だね」
だが、そんな視線を気にする様子もなく、綴は榎をまっすぐに見ていた。優しく微笑んでくる綴に、榎は大声を張り上げた。
「綴さん!? どうして、うちの学校に……?」
「今日は、お兄さまの体調がよろしくって。一日だけ、外出許可をいただきましたの。どこに行きたいか尋ねたら、榎さんの剣道の試合が見たいと仰るものですから」
「先日の話を思い出したら、どうしても行きたくなって。この子と一緒に、応援しているからね」
綴の膝の上には、榎がプレゼントした犬のぬいぐるみが乗っていた。
「あ、ありがとう、ございます……」
あまりに突然すぎて、榎の頭は真っ白になっていた。
もちろん、綴が榎の試合に興味を持って、見に来てくれたのだから、嬉しい。
でも、喜び以上に恥ずかしさが勝って、全身が緊張した。手に纏わりつく嫌な汗の原因は、決して室内の蒸し暑い気温のせいだけではなかった。
「あの人が、綴さんとかいう?」
奏と綴に気付いた椿が、少し遠くで噂話をしている声が、耳に入ってきた。
「奏はんの、お兄さんどすな。四季が丘病院に入院されとって、榎はんが福祉部で、すごく気に懸けておる人どす」
楸の説明を聞いて、椿も柊も興味深そうな返事をしていた。
「ほんまに、病弱そうやな。ちゅうか、何で膝の上にチュパカブラのぬいぐるみ載せとるんや?」
「さあ、ゲテモノ好きなんでしょうかね?」
「ちょっと、悪趣味かも」
三人は口々に、綴を見ての感想を吐き出していた。途中からなぜか、榎が渡したぬいぐるみについての談義に変わってしまったが。
「なんでみんな、チュパカブラ、なんて訳の分からない生物を知っているんだ……」
みんなの偏った知識に、疑問を抱かずにはいられなかった。
誰もが自然と納得するほど、榎が作ったぬいぐるみは、その謎の化け物に似ているのだろうか。
この期に及んで、実は犬だなんて、口が裂けても言えない。
「お二人とも、どうかなさったんどすか?」
話を中断して、楸が視線を反対隣りに移す。
朝と宵が、気分悪そうな表情で、俯いていた。
「いいえ、ちょっと、人酔いをしたのかもしれません」
「胸糞悪い」
「少し、外の風に当たってきます」
そそくさと、二人は武道館の外に出て行ってしまった。
みんな、不思議そうな心配そうな表情をしていた。榎は、二人の目に鋭い敵意が浮かんだ瞬間を見た。
その鋭い眼光は、綴の横顔に向けられていた気がしたが。
はっきりとは、確認できなかった。
「榎さん、決勝戦が始まりますわよ。あと一息ですわ」
奏に喝を入れられて、榎は我に返った。
「ちゃんと、この目で見ているからね。頑張って」
応援してくれる綴に、機械的に頷いて、榎は防具を再び装着した。
準備は万端だが、心の中は決意が纏まらず、ぐちゃぐちゃのままだった。
どうしよう、綴が間近で、榎が戦う姿を見ている。動作一つ一つが、ぎこちなくなる。綴の視線を意識するだけで、恥ずかしさが込み上げて集中できない。
対戦相手と、向かい合う。戦う相手は、図体の大きさからして、きっと三年生だ。対戦校のエースを張る、総大将に違いない。
いつもの榎なら、慎重にかかれば勝てない相手ではないとは思った。だが、今は非常事態だ。
試合開始の声がかかった。
榎は竹刀を構えて、勢いよく先制を切る。まずは相手の胴を打ち、一点先取した。
相手も、榎の今までの戦いっぷりを見て、かなり警戒している。本気で倒そうと、隙を伺っていた。
だが、伺うまでもなく、今の榎は隙だらけだ。
すかさず、相手に籠手を打たれ、一点持っていかれた。続いて胴を攻められ、さらに一点。
もう一点取られれば、一本勝ちをされてしまう。なんとかしなければならないが、体が思うように動かない。
「えのちゃん、動きがおかしいわ!」
「どないしてん、急に反応が、鈍うなったで」
「……まさか、綴はんが応援に来られたから、緊張して上がっとるんと違いますやろな?」
榎の異変に気付いた外野が、ざわつき始めた。
「そんな、初心な小娘みたいなキャラやないやろうが! 周りなんて気にすんな! いてこませー!」
みんな、声が嗄れるほど、必死で応援してくれる。期待に応えたいが、榎の意志ではどうにもならない。
戦ってみて、対戦者の技量は、だいたい分かった。はっきり言って、相手は大した実力を持っているわけではない。なのに、圧される。榎の集中力が切れて、浮ついている証拠だ。気持ちさえ整えば、反撃のチャンスはまだ残っているのに。
何とか、気持ちを切り替えなくては。焦りが苛立ちに変わり始めた矢先――。
「水無月家家訓、其の一! 相手の反撃を食らった時は後ろに引かず、脇下を突いて勝利を掠め取れ!」
急に耳に入ってきた、懐かしい声と言葉。
聞いた途端に、背筋がシャキッと伸びた。急速に頭の中が冷静になり、集中力が戻ってくる。
体が、勝手に動いた。相手の攻撃を素早くかわし、横薙ぎの一撃を加える。
「胴あり!」
審判の声が響く。
「水無月家家訓、其の二! 手首は軽くしなやかに、獲物を傷つけずに打ち落とすべし!」
さらに、外野からの声が榎の体内に染みわたっていく。
完璧に、いつもの調子を取り戻した。今の榎に、恐れるものは何もない。
榎が振りかざした竹刀が、相手の籠手に命中する。相手は反動で、竹刀を床に落とした。
「籠手あり! 一本!」
審判の持つ赤い旗が、頭上高らかに振り上げられた。
直後。四季が丘中学校の応援席から歓声が上がった。
「勝ったぁー! 榎の優勝や!」
「やりましたな、榎はん!」
「かっこいー! えのちゃん最高!!」
榎の勝利を祝福する声と共に、剣道部のメンバーが押し寄せてきて、榎の胴上げが始まった。防具をはぎ取られ、みんなに担ぎ上げられながら、榎は達成感に満ち溢れていた。
閉会式が終わり、しばし解放された榎は、ふらつきながらも観客席にやってきた。
椿たちの賛辞を受けていると、突然、目の前に大きな人影が立ちはだかった。
「うむ、なかなかの太刀筋だったぞ、榎!」
腕を組み、野太い声で榎を褒める、作業着姿の男。
榎は驚愕した。
その人物は、名古屋にいるはずの榎の父親――水無月 樫男だった。
「お父さん!? どうして、お父さんまで……」
なぜ、父親が学校に、というか京都にいるのか。訳が分からず、榎は困惑した。
「急に、京都に出張になってな。通りがかりに花春寺に寄ってみたら、学校で試合をやっとると聞いたんで、顔を出したんだ。元気にやっとるみたいで、安心したぞ」
八ヶ月ぶりに見た樫男の表情は、名古屋で別れた時と、ちっとも変っていない。榎も懐かしさが込み上げて、嬉しくなった。
「お父さんも、仕事が大変そうって聞いていたけれど、元気そうでよかった」
「まあ、父さんは元気だけが取り柄だからな!」
豪快に笑う姿も、以前と何ら変わらない。榎もつられて、声を上げて笑った。
「えのちゃんのパパさん? おっきい~」
側で樫男を見上げていた椿が、感嘆の声を上げた。
「そちらのお嬢さんは、もしかして? どことなく、桜さんに似ておるが」
椿を凝視した樫男は、どことなく親戚の面影を感じ取ったらしい。椿は普段の猫かぶりスマイルで、可愛らしく挨拶した。
「娘の、如月椿ですぅ~。初めまして」
「やっぱり、木蓮くんの娘さんか! いや、この度は榎がとても世話になって。仲良くしてくれて、ありがとう!!」
テンションが上がった樫男は、笑顔で椿に握手を求める。椿が差し出した手を握った途端、ものすごい力で振り始めた。とてつもない力に踏ん張りがきかない椿は、体ごと上下に引っ張られて、よろめいて倒れそうになっていた。
榎が慌てて、椿を抑えて救出する。
「椿、大丈夫!?」
「腕が、もげるかと思ったわ……」
「お父さん、余所の子には力技は通用しないんだから! もっとソフトに頼むよ」
榎は呆れて注意する。榎が相手なら対抗できるが、華奢な椿に樫男のスキンシップは過激すぎる。
「すまんすまん、つい、いつもの癖でな」
相変わらず、樫男は豪快に笑っていた。
「それにしても、先ほどは見事に榎はんのピンチを救ってくださいましたな。さっきの家訓は、剣道の極意みたいなもんどすか?」
楸が感心して、訊ねてくる。ピンチの瀬戸際で、樫男が榎に戦いの教訓を思い出させてくれたおかげで、榎は勝利を手にできた。相当、すごい家訓なのだろうと、楸は興味津々だ。
「いいや、夕飯のエビフライが取り合いになった時に、海老を傷つけずに相手から奪い取るための戦法だよ」
だが、榎があっさりと答えると、ぽかんと口をあけて固まっていた。
「エビ……?」
「まあ、さっきみたいに、戦いにも流用できるんだけれどね。あんなに上手く決まる時って、滅多にないから気持ちよかったなぁ。いっつも、兄ちゃん達に仕掛けても、敵わないからさ」
笑って説明するも、楸はよく分からなさそうな、困った表情を浮かべていた。かなり理解に苦しんでいる様子だ。
「大家族の中で生き抜くための、秘策みたいなもんどすかな?」
「相変わらず、変やな。榎の家は」
柊が肩を竦めて、簡潔に締め括った。
盛り上がっていると、榎の側に綴と奏がやってきた。
「榎ちゃん、おめでとう。素晴らしかったよ」
「ご立派でしたわ、榎さん」
「いえ、わざわざ見に来てくださって、ありがとうございます」
試合が終わってひと段落着くと、緊張も解れた。綴にも、素直にお礼が言えた。
「僕こそ、とても、いい思い出ができた。今までで、一番感動したよ。本当に、ありがとう」
暖かな笑顔に、榎も癒される。自然と、笑い返していた。
「この方たちは?」
榎の側に、樫男がやってくる。榎が身振り手振りで互いを紹介すると、綴は丁寧な動作で、樫男に頭を下げた。
「初めまして。榎さんには、いつも元気付けられています」
「いや、こちらこそ。娘が世話になっているみたいで」
樫男も、綴に礼儀正しく挨拶をする。不意に、樫男は綴を見て尋ねた。
「足が、お悪いんですかな?」
「ええ、生まれつきの難病でして」
「突然で失礼ですが、その足なら、きちんと訓練すれば、動くと思いますがな」
綴の表情が固まった。唖然としたまま、樫男を見つめている。
樫男は屈み込み、綴の太ももを大きな手で掴んだ。痛みが走ったらしく、綴は表情を苦痛に歪める。
「お父さん!? いきなり、何を……」
「痛いですか? 神経が正常に通っている証拠だ」
止めようとする榎を抑え、樫男は綴に声を掛け続ける。
「骨盤や足の骨に、歪みなどの異常は見られない。やはり動かしていないせいで筋肉は衰えているが、いくらでも鍛えられる。健全な足だと思いますがな」
「――本当に、歩けると思いますか」
掠れた声で、綴が尋ねる。
「貴方の努力次第ですな。もちろん、私は医者ではないから、他に何か原因があるのなら、確実に、とは言えませんが。放っておくには、少々もったいないと思いますがな」
樫男の返答を聞くと共に、綴は黙り込んでしまった。奏も呆然と、樫男の話に聞き入っていた。
「そろそろ、病院に戻らないと。それでは、皆さま、御機嫌よう」
奏が我に返り、時計を見て帰宅を告げる。綴は複雑な表情を浮かべながら、樫男に深くお辞儀をして、去っていった。
「お父さん、今の話って、本当?」
二人の姿が見えなくなった頃、榎は漠然と、樫男に訊ねた。
「確かに体は弱そうだったが、バランスはしっかりしていると思ったがな」
綴の足がちゃんと動いて、歩けるようになればいいのに。榎が綴と出会ってから、ずっと思っていた願いだ。
樫男は、根拠のない励ましや助言は絶対に口にしない。きっと、綴の姿に確信に近い可能性を見出したに違いない。
何かきっかけがあれば、本当に綴は歩けるようになるかもしれない。
榎は、綴と並んで歩く姿を想像して、胸を昂らせた。
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高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
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母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
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この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
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