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第二部 四季姫進化の巻
第十七章 悪鬼復活 6
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六
了生は錫杖を構えて、悪鬼に力を送り続ける。動きを制御された悪鬼たちは、体を痙攣させながら這い蹲っていた。
了生の側には、同じく錫杖を手にした了海、さらに妖怪の姿に戻った朝と宵もいた。
「皆さんが山の奥へ向かった後、悪鬼たちが妙な動きを始めたので、後をつけながら様子を伺っておったんです。それと、夏姫さまの剣についておった、黴の原因が分かりましたので、御注進に」
榎たちが了封寺にお礼を言いに行った後の一部始終を、簡潔に説明してくれた。
「あの黴は、邪気の塊。鬼閻の命そのもの。鬼閻はお主たちに倒された後、魂の一部を、あの剣に移して、力を吸い、生き永らえておったのじゃ」
「深淵の悪鬼たちは、鬼閻の気配に気付いたから、夏姫様の剣を奪おうとしたんですな」
了海たちの説明に、榎は大きく頷いた。
「さっき、悪鬼たちが言っていました。あたしがこの剣で与えた傷から、響さん―?鬼蛇に、鬼閻の魂が移動したと」
「鬼閻の息子、鬼蛇か。同じ血を分けた親子なら、鬼閻の魂を更に復活に近付けるには充分な依代じゃな」
榎の話と、己の知る知識を照らし合わせ、了海は難しそうに唸った。
「つまり今現在、倒しそこなった鬼閻の魂の欠片は、鬼蛇の中に巣食っておるわけじゃな。その魂が、地脈の力を吸収して、肥大化しようとしておるのじゃ。このまま放っておくと……」
「鬼閻が、蘇る―?」
「そうじゃ。鬼蛇の体を乗っ取り、再びお前さんたちの前に立ちはだかる。今度こそ、手に負えんほどの恨みの念を纏ってな。じゃから、この馬鹿げた儀式を、止めさせねばならん」
「すみません。あたしが、止めを刺せなかったからだ」
榎は、心から反省した。鬼閻を倒したつもりになって浮かれているうちに、とんでもない事態を引き起こしていた。
「悔いている暇はない。どちらにしても、鬼閻の復活を阻止し、今度こそ完全に根絶やしにできる者は、お前さんたちだけなのじゃから。今度こそ失敗せぬよう、慎重に行えばよい」
「はい! 今度こそ必ず、倒して見せます!」
榎は意気込んで、体に喝を入れた。
その直後、深淵の悪鬼たちが一斉に力を開放。了生の力を相殺し、弾き飛ばした。
「いつまでも、人間ごときの好きにさせるか!」
悪鬼たちの攻撃を至近距離で食らった了生は、全身から血を噴出して地面に倒れた。
「了生はん、大丈夫ですか!?」
柊と椿が素早く駆け寄って、介抱する。
とっさに気付いて攻撃を防いだ朝と宵によって致命傷は免れたが、威力が軽減されていなかったら危ないところだった。
「すみません。油断しとった……」
「喋らんとってください。椿、頼むわ」
椿の癒しの音色が響く中、悪鬼たちは人間などには目もくれず、再び陣に注意を向けた。
焦っているのだろうと思われた。次から次から邪魔が入る現状に苛立ち、一刻も早く鬼閻を復活させようと、躍起になっていた。
榎たちが少しでも祭壇に近付こうとすると、体勢も変えないまま攻撃を繰り出してきた。神通力に反応して器用に自動的な反撃を繰り出しているらしく、その反応の速さに隙がなかった。
攻撃を仕掛けるにもできず、拮抗状態を続けていると、その合間を縫って、車いすが陣に向かって突っ込んでいった。
綴が、双方の隙を突いて進んでいく。力も気配も押し殺しているから、悪鬼たちの攻撃の的にはならない。
だが、近付けば悪鬼自身が存在に気付く。
「何だ、若造。邪魔立てすると、容赦はせぬぞ」
一体の悪鬼が、綴に向けて邪気を飛ばす。黒い塊は、車椅子の片輪に直撃し、綴は陣を直前にして成す術もなく投げ出されて、倒れた。
榎は何とか駆けつけようとしたが、注意が散漫になって悪鬼の攻撃に足をすくわれ、倒れた。
「よせ、そいつに手を出してはならぬ。〝あのお方〟がお怒りになる」
俯せに横たわる綴に攻撃を仕掛けようとした悪鬼を、隣にいた別の悪鬼が制止した。何やら、悪鬼たちには綴に危害を加えてはならない理由があるらしく、手を引いた。
「おお、怖い怖い。気を付けねば」
「ろくに足も動かせぬ、人形と大差ない人間だ。放っておいても害はなかろう」
危害を加えてはならないが、保護する必要もないらしく、悪鬼たちは嘲笑を飛ばしながら綴を捨て置いた。
だが、綴は悪鬼たちの思惑とは裏腹に、匍匐前進で陣の中に入っていった。響の側に手を据えると、地脈から漏れ出した力の流れが、綴に向かって軌道を変えた。
「地脈は、僕が制御する。誰であろうが、勝手に使うことは許さない!」
綴の声に合わせて、地脈を制御する陣が発動し、光りはじめた。地脈は響には目もくれなくなり、綴を覆いつくして光の水の中に閉じ込めた。
「この男……。猪口才な!」
「見逃しておれば、つけあがりよって!」
「まて、この男を手に掛けて、〝あのお方〟を怒らせては……」
「構わん、儀式の遂行のほうが大切だ。運悪く死んだ、としておけばよい」
悪鬼たちは口々に怒りを露にし、本気で綴に攻撃をぶつけた。
地脈に守られていた綴には、中々攻撃が当たらなかったが、やがて綴の精神力が弱まったのか、陣の光が消えかかった。同時に地脈は勢いを失い、綴と響の間で漂っていた。
強大な盾を失った綴は、悪鬼が伸ばした手によって着物の胸倉を掴まれ、軽々と陣の外に放り出された。
倒れて地面に転がった綴に、止めを刺そうと先端の尖った悪鬼の手が伸びる。
悪鬼の手は、間一髪、綴の体を掠って地面に刺さった。
綴の体が急に動き、辛うじて死地を免れた。
「お兄さまに、近付かないで!」
綴を引っ張って助けた人物は、いつの間にか駆けつけてきていた奏だった。
「お兄さま、しっかりなさって!」
奏は素早く綴に声を掛け、意識を確認した。
「奏、早く逃げろ……」
綴に意識はあった。だが、体はろくに動かないらしい。朦朧としながらも、妹の身を案じていた。
「お兄さまを無防備に、放ってはおけません!」
奏は兄の言葉に耳を貸さず、綴の腕を肩にかけ、引きずりながら陣から遠ざかった。
二人の背中に、悪鬼たちは容赦なく攻撃を加える。
榎は悪鬼の攻防をかいくぐり、二人を狙う悪鬼の腕を剣ではじき返した。
そのままの勢いで、一番側にいた悪鬼に向かって、剣先を突き刺した。剣は綺麗に悪鬼の体に突き刺さり、悪鬼は悲鳴を上げて倒れ込んだ。止めを刺すには至らなかったが、致命傷は与えられた。
それでも、たかが沢山いる悪鬼の一体を動けなくしたところで、連中には何の支障もない。
「誰が何を足掻いても、無駄だ。もう手遅れだ。準備が整った」
残った悪鬼たちは、陣に向かって合掌し、声を揃えて悍ましい呪文を唱え始めた。
* * *
「此之世埜亜李菟粗揺屡暮霊眞怒絶擦流爲仁田高和啼久手華羅内名瀬葉座慰謝我當前兒野鯖手網威不屡亭留野加世埜中之札陣範鷺母野退廃版画呉迄或事実忘月何故却出茂灘弟茂内人間埜多米丹阿玉提英業写害鳴蹴花羅無野花人絹辛亥金銭王陵何矢堆茂木区楢揺佐連留野賀古廣野病奈土鳥鵜超名古戸一手入婆已下安和化物共之佐原畝堆射手庫野句煮墓為羅厨瞑糲屡一生懸命癌歯提起亭瑠偉咎虐夏羅糲流与野名嘉粥婁佐連琉十以亭瑠野花」
胃の底にまで響き渡る、恐ろしい呪文の詠唱。聞いているだけで頭がくらくらし、吐き気を感じた。
恐ろしい憎悪を感じる、呪いの詞。一見、意味の分からない呪文であっても、その内容は悪鬼たちにとっては非常に重要なものであるに違いない。
言葉が紡がれるに従って、陣の色が青黒く染まって、おどろおどろしい色に光りはじめた。
「「我らが長よ! その誇り高き魂、依代に命を満たして蘇りたまえ!!」」
悪鬼たちの声が響き渡るとともに、地脈が激しい爆発を起こした。
了生は錫杖を構えて、悪鬼に力を送り続ける。動きを制御された悪鬼たちは、体を痙攣させながら這い蹲っていた。
了生の側には、同じく錫杖を手にした了海、さらに妖怪の姿に戻った朝と宵もいた。
「皆さんが山の奥へ向かった後、悪鬼たちが妙な動きを始めたので、後をつけながら様子を伺っておったんです。それと、夏姫さまの剣についておった、黴の原因が分かりましたので、御注進に」
榎たちが了封寺にお礼を言いに行った後の一部始終を、簡潔に説明してくれた。
「あの黴は、邪気の塊。鬼閻の命そのもの。鬼閻はお主たちに倒された後、魂の一部を、あの剣に移して、力を吸い、生き永らえておったのじゃ」
「深淵の悪鬼たちは、鬼閻の気配に気付いたから、夏姫様の剣を奪おうとしたんですな」
了海たちの説明に、榎は大きく頷いた。
「さっき、悪鬼たちが言っていました。あたしがこの剣で与えた傷から、響さん―?鬼蛇に、鬼閻の魂が移動したと」
「鬼閻の息子、鬼蛇か。同じ血を分けた親子なら、鬼閻の魂を更に復活に近付けるには充分な依代じゃな」
榎の話と、己の知る知識を照らし合わせ、了海は難しそうに唸った。
「つまり今現在、倒しそこなった鬼閻の魂の欠片は、鬼蛇の中に巣食っておるわけじゃな。その魂が、地脈の力を吸収して、肥大化しようとしておるのじゃ。このまま放っておくと……」
「鬼閻が、蘇る―?」
「そうじゃ。鬼蛇の体を乗っ取り、再びお前さんたちの前に立ちはだかる。今度こそ、手に負えんほどの恨みの念を纏ってな。じゃから、この馬鹿げた儀式を、止めさせねばならん」
「すみません。あたしが、止めを刺せなかったからだ」
榎は、心から反省した。鬼閻を倒したつもりになって浮かれているうちに、とんでもない事態を引き起こしていた。
「悔いている暇はない。どちらにしても、鬼閻の復活を阻止し、今度こそ完全に根絶やしにできる者は、お前さんたちだけなのじゃから。今度こそ失敗せぬよう、慎重に行えばよい」
「はい! 今度こそ必ず、倒して見せます!」
榎は意気込んで、体に喝を入れた。
その直後、深淵の悪鬼たちが一斉に力を開放。了生の力を相殺し、弾き飛ばした。
「いつまでも、人間ごときの好きにさせるか!」
悪鬼たちの攻撃を至近距離で食らった了生は、全身から血を噴出して地面に倒れた。
「了生はん、大丈夫ですか!?」
柊と椿が素早く駆け寄って、介抱する。
とっさに気付いて攻撃を防いだ朝と宵によって致命傷は免れたが、威力が軽減されていなかったら危ないところだった。
「すみません。油断しとった……」
「喋らんとってください。椿、頼むわ」
椿の癒しの音色が響く中、悪鬼たちは人間などには目もくれず、再び陣に注意を向けた。
焦っているのだろうと思われた。次から次から邪魔が入る現状に苛立ち、一刻も早く鬼閻を復活させようと、躍起になっていた。
榎たちが少しでも祭壇に近付こうとすると、体勢も変えないまま攻撃を繰り出してきた。神通力に反応して器用に自動的な反撃を繰り出しているらしく、その反応の速さに隙がなかった。
攻撃を仕掛けるにもできず、拮抗状態を続けていると、その合間を縫って、車いすが陣に向かって突っ込んでいった。
綴が、双方の隙を突いて進んでいく。力も気配も押し殺しているから、悪鬼たちの攻撃の的にはならない。
だが、近付けば悪鬼自身が存在に気付く。
「何だ、若造。邪魔立てすると、容赦はせぬぞ」
一体の悪鬼が、綴に向けて邪気を飛ばす。黒い塊は、車椅子の片輪に直撃し、綴は陣を直前にして成す術もなく投げ出されて、倒れた。
榎は何とか駆けつけようとしたが、注意が散漫になって悪鬼の攻撃に足をすくわれ、倒れた。
「よせ、そいつに手を出してはならぬ。〝あのお方〟がお怒りになる」
俯せに横たわる綴に攻撃を仕掛けようとした悪鬼を、隣にいた別の悪鬼が制止した。何やら、悪鬼たちには綴に危害を加えてはならない理由があるらしく、手を引いた。
「おお、怖い怖い。気を付けねば」
「ろくに足も動かせぬ、人形と大差ない人間だ。放っておいても害はなかろう」
危害を加えてはならないが、保護する必要もないらしく、悪鬼たちは嘲笑を飛ばしながら綴を捨て置いた。
だが、綴は悪鬼たちの思惑とは裏腹に、匍匐前進で陣の中に入っていった。響の側に手を据えると、地脈から漏れ出した力の流れが、綴に向かって軌道を変えた。
「地脈は、僕が制御する。誰であろうが、勝手に使うことは許さない!」
綴の声に合わせて、地脈を制御する陣が発動し、光りはじめた。地脈は響には目もくれなくなり、綴を覆いつくして光の水の中に閉じ込めた。
「この男……。猪口才な!」
「見逃しておれば、つけあがりよって!」
「まて、この男を手に掛けて、〝あのお方〟を怒らせては……」
「構わん、儀式の遂行のほうが大切だ。運悪く死んだ、としておけばよい」
悪鬼たちは口々に怒りを露にし、本気で綴に攻撃をぶつけた。
地脈に守られていた綴には、中々攻撃が当たらなかったが、やがて綴の精神力が弱まったのか、陣の光が消えかかった。同時に地脈は勢いを失い、綴と響の間で漂っていた。
強大な盾を失った綴は、悪鬼が伸ばした手によって着物の胸倉を掴まれ、軽々と陣の外に放り出された。
倒れて地面に転がった綴に、止めを刺そうと先端の尖った悪鬼の手が伸びる。
悪鬼の手は、間一髪、綴の体を掠って地面に刺さった。
綴の体が急に動き、辛うじて死地を免れた。
「お兄さまに、近付かないで!」
綴を引っ張って助けた人物は、いつの間にか駆けつけてきていた奏だった。
「お兄さま、しっかりなさって!」
奏は素早く綴に声を掛け、意識を確認した。
「奏、早く逃げろ……」
綴に意識はあった。だが、体はろくに動かないらしい。朦朧としながらも、妹の身を案じていた。
「お兄さまを無防備に、放ってはおけません!」
奏は兄の言葉に耳を貸さず、綴の腕を肩にかけ、引きずりながら陣から遠ざかった。
二人の背中に、悪鬼たちは容赦なく攻撃を加える。
榎は悪鬼の攻防をかいくぐり、二人を狙う悪鬼の腕を剣ではじき返した。
そのままの勢いで、一番側にいた悪鬼に向かって、剣先を突き刺した。剣は綺麗に悪鬼の体に突き刺さり、悪鬼は悲鳴を上げて倒れ込んだ。止めを刺すには至らなかったが、致命傷は与えられた。
それでも、たかが沢山いる悪鬼の一体を動けなくしたところで、連中には何の支障もない。
「誰が何を足掻いても、無駄だ。もう手遅れだ。準備が整った」
残った悪鬼たちは、陣に向かって合掌し、声を揃えて悍ましい呪文を唱え始めた。
* * *
「此之世埜亜李菟粗揺屡暮霊眞怒絶擦流爲仁田高和啼久手華羅内名瀬葉座慰謝我當前兒野鯖手網威不屡亭留野加世埜中之札陣範鷺母野退廃版画呉迄或事実忘月何故却出茂灘弟茂内人間埜多米丹阿玉提英業写害鳴蹴花羅無野花人絹辛亥金銭王陵何矢堆茂木区楢揺佐連留野賀古廣野病奈土鳥鵜超名古戸一手入婆已下安和化物共之佐原畝堆射手庫野句煮墓為羅厨瞑糲屡一生懸命癌歯提起亭瑠偉咎虐夏羅糲流与野名嘉粥婁佐連琉十以亭瑠野花」
胃の底にまで響き渡る、恐ろしい呪文の詠唱。聞いているだけで頭がくらくらし、吐き気を感じた。
恐ろしい憎悪を感じる、呪いの詞。一見、意味の分からない呪文であっても、その内容は悪鬼たちにとっては非常に重要なものであるに違いない。
言葉が紡がれるに従って、陣の色が青黒く染まって、おどろおどろしい色に光りはじめた。
「「我らが長よ! その誇り高き魂、依代に命を満たして蘇りたまえ!!」」
悪鬼たちの声が響き渡るとともに、地脈が激しい爆発を起こした。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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