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ずっと繋いでいて1
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透明病、という病が存在する。
世界でも症例が極めて少ない難病で、未だに治療法の確立どころか糸口さえ掴めていないようだ。
その難病の症状は、簡単に言えば身体が透明になっていく、というものである。
思春期男子が聞けば喜びのあまり狂喜乱舞しそうな病気ではあるが、その実はとても恐ろしい病として医師達に語られている。
なんでもその病気にかかった者は、体組織が変異し光を透過する為に、肉体を視認出来なくなるのだとか。
透過したその部位は、生命にこそ影響を及ぼさないものの動かすことはままならず、触れられている感覚さえ無いのだとか。
手の指先、足の指先から徐々に進行していき、最後には全身が透明になって死んでしまうそうだ。
その亡骸は死してなお、見ることは叶わず肉親さえも顔を拝むことも出来ないままに葬られていくのだ。
きっかけは些細なことだった。
最近爪が伸びないなぁと感じていたお風呂上がり。
むしろ短くなってる?なんて考えながら、私は化粧水を塗ろうとした。
「いたっ、、、!」
なにかが目に刺さったような感覚があり、鏡を見ると瞼から血が出ている。
ただ刺さったものは見当たらず、血も程なくして止まったのであまり気にすることは無かった。
一応念の為、と思い絆創膏を貼ろうと思ったのだが、瞼に絆創膏を貼るのは難しくつけるのに成功してもすぐに取れてしまう。
その間に指先に妙な違和感があったが、その日は気にすることなく、翌日の身支度を整えてからベッドに潜り込んだ。
この時すぐに気付いていれば、なんて考えてしまう私がいる。
気付けていたところで何が出来るわけでもないし、ただ虚しくなるだけ。
これ以上悲しいことを考えてしまわないように、ゆっくりと目を開けた。
見える天井は、私の家のものではない。
「知らない天井だ、なんてね」
もう何ヶ月も見続けている天井だ。
薄いレースのカーテンからはほんの少しだけ朝日が覗いていて、薄ぼんやりと世界が賑わい出してくる気配がする。
その光に照らされる私の四肢は、包帯にグルグルに巻かれている。
そうしなければ、見えないから。
透けていて、透明で、見えなくて、感じない。
包帯を巻いていなければ、どこに腕あるのかわからなくなってしまうから。
自己紹介が遅れてしまった。
私の名前は佐倉涼子、さくらりょうこと読む。
高校2年生、16歳、誕生日はポッキーの日。
どこにでもいる、ごく普通の女子高校生。
ただ1つ、たった1つ、みんなと違うところがある。
それは、身体が透明になってしまうと言う病気、透明病を患っている、というところ。
ただ、それだけ。
自己紹介、終わり。
この物語は、そんな私こと佐倉涼子の、闘病日記?のような物語。
身体が透けて見えなくなっていく恐怖と戦いながら、普通であろうとした私の。
あと、私の大好きな彼の。
青春ラブストーリー、みたいなもの。
不慣れで小っ恥ずかしいけれども、
良ければそのまま、ページを進めて欲しい。
見えなくなっても、ここにいたよって、私は存在したよって、知って欲しいから。
世界でも症例が極めて少ない難病で、未だに治療法の確立どころか糸口さえ掴めていないようだ。
その難病の症状は、簡単に言えば身体が透明になっていく、というものである。
思春期男子が聞けば喜びのあまり狂喜乱舞しそうな病気ではあるが、その実はとても恐ろしい病として医師達に語られている。
なんでもその病気にかかった者は、体組織が変異し光を透過する為に、肉体を視認出来なくなるのだとか。
透過したその部位は、生命にこそ影響を及ぼさないものの動かすことはままならず、触れられている感覚さえ無いのだとか。
手の指先、足の指先から徐々に進行していき、最後には全身が透明になって死んでしまうそうだ。
その亡骸は死してなお、見ることは叶わず肉親さえも顔を拝むことも出来ないままに葬られていくのだ。
きっかけは些細なことだった。
最近爪が伸びないなぁと感じていたお風呂上がり。
むしろ短くなってる?なんて考えながら、私は化粧水を塗ろうとした。
「いたっ、、、!」
なにかが目に刺さったような感覚があり、鏡を見ると瞼から血が出ている。
ただ刺さったものは見当たらず、血も程なくして止まったのであまり気にすることは無かった。
一応念の為、と思い絆創膏を貼ろうと思ったのだが、瞼に絆創膏を貼るのは難しくつけるのに成功してもすぐに取れてしまう。
その間に指先に妙な違和感があったが、その日は気にすることなく、翌日の身支度を整えてからベッドに潜り込んだ。
この時すぐに気付いていれば、なんて考えてしまう私がいる。
気付けていたところで何が出来るわけでもないし、ただ虚しくなるだけ。
これ以上悲しいことを考えてしまわないように、ゆっくりと目を開けた。
見える天井は、私の家のものではない。
「知らない天井だ、なんてね」
もう何ヶ月も見続けている天井だ。
薄いレースのカーテンからはほんの少しだけ朝日が覗いていて、薄ぼんやりと世界が賑わい出してくる気配がする。
その光に照らされる私の四肢は、包帯にグルグルに巻かれている。
そうしなければ、見えないから。
透けていて、透明で、見えなくて、感じない。
包帯を巻いていなければ、どこに腕あるのかわからなくなってしまうから。
自己紹介が遅れてしまった。
私の名前は佐倉涼子、さくらりょうこと読む。
高校2年生、16歳、誕生日はポッキーの日。
どこにでもいる、ごく普通の女子高校生。
ただ1つ、たった1つ、みんなと違うところがある。
それは、身体が透明になってしまうと言う病気、透明病を患っている、というところ。
ただ、それだけ。
自己紹介、終わり。
この物語は、そんな私こと佐倉涼子の、闘病日記?のような物語。
身体が透けて見えなくなっていく恐怖と戦いながら、普通であろうとした私の。
あと、私の大好きな彼の。
青春ラブストーリー、みたいなもの。
不慣れで小っ恥ずかしいけれども、
良ければそのまま、ページを進めて欲しい。
見えなくなっても、ここにいたよって、私は存在したよって、知って欲しいから。
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