彩り 〜青〜

ガタヤマ

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清秋

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「次は上野…」


新幹線のアナウンスが流れる。

上野駅で降りるのは2回目だ。

1度目はマンションを探すために

高校の春休みを利用して

東京に来ていた。

マンション探しは、母親も着いてきて

学生だけが住める学生マンションに

決めた。

いや、決められた。

という言葉が正確かもしれない。

一階玄関にも

セキュリティがあって、

そこには防犯カメラも設置されていた。

母親が心配していたこともあって

ここでいいやという感じで

私は母親に委ねていた。

マンションに向かう道には

桜並木がある。

まだ私の地元は肌寒さが残っていたが

東京は薄手のカーディガンを

羽織るくらいで丁度いい気温だった。

そして、桜の蕾が

もう少しで開こうと準備を整えていた。


いよいよ明日から大学生活が始まる。

そう思って、1人だけの部屋で

スマホの中の写真を

なんとなく見返していた。





高校は女子校だった。

中学から始めたバスケットボールを

高校でも続けて

県でベスト8に入ることができた。

強豪と呼ばれるほどではないが

1人ひとり、向上心が合って

一緒にプレーする環境は

価値のある時間であったと思う。

そこでできた仲間は

今でも連絡を取り合って

遊んだりしている。




小学生時代の私は

身体が弱く、目立たない存在だった

私がここまで変われたことに

少し自分でも驚いている。

そんな私が

今こうして東京にいるからだ。


東京の大学に進学したのは

私だけであった。

他は地元の大学に進学するか

専門学校に行っていた。

でも、私は地元から出てみたい。

そんな思いがあって、

私は思い切って、東京に出てきた。



過去を振り返っていた私は

不安や期待が私の脳を彷徨いながら

眠りについた。




朝早くに目が覚めて

身支度を整え、余裕を持って

乗り慣れない電車に乗り込み

沢山の人たちが行き交う駅や

交差点、東京ってすごいなぁ~

と思わされながら大学に着いた。

昨日の夜の不安はどこへ行ったのか、

何事もなくガイダンスが終わった。


大学の授業はどうするか自分で

選択することができた。


私は選択するのが元々苦手だ。

自分でこうしたい!

とやりたいことが見つからずに

安全な道を

流されたように歩んでいたからだ。


そんな私でも

自分で決断したと自覚できることは

少しだけあった。

最初から諦める自分を変えたいと思い

中学で憧れる先輩と出会い

バスケ部に入部したこと。

自分の人生を自分で選べる人に

なりたいと思って

東京に来た。


それは沢山の支えがあった中で

決めることができたと自覚している。



そんなある日

授業が終わって

大学の広場を歩いていると

懐かしい面影が私の視野に入った。

それはまるで夜空の流れ星を

思わず見てしまうように

私はその人に目を奪われていた。

そして、次の瞬間には

声をかけていた。


「佐助くん…?」


「あおい?」


私は不安よりも先に

声をかけていた自分に驚いていた。


「そう!よくわかったね。」


中学の卒業式以来だろうか。

あんなにも声をかけることが

恐くて、不安で、何も出来ずにいたのに

佐助くんに声をかけられた。


私は気づかぬうちに勇気を

もらっていたのかもしれない。


「同じ大学だったんだね!もしよかったら今からお昼でも食べに行かない?」


「そうだね、行こうか?」


その勇気を使えたことが

素直に嬉しかった。


私の心は今日の空のように

青く澄んでいた。
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