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清秋
開花
しおりを挟む花は咲くのに相当なエネルギーを使う。
だから、花を咲かせるためには
蕾の準備期間が必要となる。
蕾は冬を迎える前から準備をしている。
そして、花を咲かせる条件が
揃うのを待つのだ。
イチョウの並木道が
黄色のカーペットを敷き始めている。
太陽は沈みかけ、鮮やかな世界を
創り出していた。
私はスマートフォンを手に取りながら
鮮やかな世界には目もくれず
別世界に想いを馳せるように
歩いていた。
人はやると決めたら
5秒で行動に移さないと
やれない言い訳を見つけ出して
また今度でいいと、
結局なにも行動出来ずに終わる。
と聞いたことがある。
私は一体何個の言い訳を
見つけ出したのだろうか?
たった一回の電話を
かけられずにいる自分が今ここにいた。
何もしなければ、今まで通りの
明日を迎えて
生きていくことができる。
しかし、行動をしたら
いつも通りの明日とは違うことに
なるかもしれない。
変化するかもしれない明日が
怖いのかもしれない。
ため息を吐きながら
ふと、空を見上げた。
街の明かりで小さな星は見えないが
大きな星は輝いて見えた。
私が行動をして
たとえそれが失敗しようが
成功しようが
あの星は明日無くなるだろうか?
私のたった1つの行動は
宇宙を変えてしまうだろうか。
いや、何も変わらない。
宇宙から見た私はとてつもなく
小さく、些細な存在だと感じた。
私が行動したところで
宇宙は何も変わらず
明日も星たちは輝き続ける。
俯瞰して私という存在を
見たときにようやく現実の世界に
戻ってきた。
私は連絡先にタッチをして
プルルと着信音を聞いている。
スマホを耳にあてながら
私の鼓動もドクドクと
鳴っていることがハッキリわかった。
「もしもし、どした?」
優しい声が聞こえた。
「やっほー、今何してるかなと思って」
私は、彼に気づかれないように
空元気な挨拶で会話を続けた。
「今から大学の友人と飲むけど、来るか?」
「いいの?じゃあ、お言葉に甘えていこうかな!」
半ば強引に話を進めながらも
内心は、飛び跳ねるような嬉しさが
こみ上げていた。
私の中で、
遅めの華が咲こうとしていた。
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