伝説の後始末

世々良木夜風

文字の大きさ
38 / 53

Legend 38. 最果ての街を前に

しおりを挟む
「・・・」
「・・・」
ツィアとハルが次の街を目前にしていた。
二人とも会話はない。
ハルはというと、ツィアにべったりくっついている。
いつもなら恥ずかしがってツィアが離そうとするが、ツィアはただその状況を受け入れていた。
まるで、それを魂に刻みつけるかのように。
(次の街は、魔界へのダンジョンのある山の麓にある街...明日には着いてしまう...そしたら...)
(もう少しで魔界に着いてしまいます!!...そうしたら...ツィアさんは...)
二人はただ心に押し寄せる、なんともいえない寂しさと戦っていた。

☆彡彡彡

「ふう...明日は『最果ての街』かぁ...」
ツィアが浴槽に浸かり、感傷に浸っていた。
<ピチャン!>
湯気が水滴となり、落ちる音がする。
「そこを出たら、魔界へは3日ほどで着いてしまう...そしたら...ハルとも...」
ツィアは胸が締め付けられるような苦しさを覚えた。
「なんとか先延ばしできないかなぁ...」
そうはいっても妙案は出ない。
しばらくの後、
「...出よ!」
浴室を出た時に、肌寒さを感じた。
「寒っ!!...もうすぐ冬だものね...そうだ!」
『冬』と口にして何か思いついた様子のツィアは、急いで服を身につけるとリビングへと走った。


「ハル!!」
リビングに飛び込むなり、ハルの名を呼ぶツィア。
「どうしたんですか?ツィアさん...って、その格好!!」
ハルがツィアの姿を見て顔を真っ赤にする。
「えっ?!」
ハルの反応に驚いてツィアが自分の体を見ると、ワンピースが胸に引っかかって、下着が丸見えになっていた。
急いでワンピースを被ったので、気づかなかったのだろう。
「キャ~~~~~~!!」
うずくまり、胸を隠しながら悲鳴を上げるツィア。
「だ、大丈夫です!見てませんから!」
目を逸らしてはいるものの、そう言うハルの顔は真っ赤で、ウソなのはバレバレだった。
「ご、ごめんなさい...変なもの見せて...」
ツィアが謝りながら服を直していると、
「そ、それが変なものならこの世に美しいものなど存在しません!!」
ハルは真面目な顔でそう断言する。
「もう!ハルったら!...大袈裟なんだから!」
ツィアが顔を赤くしてると、
「大袈裟じゃありません!危うく、ツィアさんの純潔を...あわわ!なんでもありません!!」
ハルはそう言って慌てている。
(えっ?!今、『私の純潔』って言った?...ハル...もしかして、私が欲しいの?)
いつしかツィアはその光景を思い浮かべていた。

〇・〇・〇

「ん...ん...上手よ!ハル...」
ツィアはハルの下で全てをさらしながら、ほてった体で、目を潤ませながらハルの顔を見ていた。
「ホ、ホントですか?...私、ツィアさんに喜んでもらえてますか?」
心配そうにハルが聞いてくる。
「うん、とっても気持ちいい...あっ!そこ!!」
ツィアがギュッと目を閉じ、喘ぎ声を上げた。
「ツィアさん!...ツィアさん!...」
それを見たハルは、ツィアの名を呼びながら夢中でご奉仕をする。
(ふふ!可愛い!)
その様子を見ながらツィアは幸せな気分に浸っていた。
しばらくして、

「良かったわよ...」
ツィアがつぶやくと、
「はぁ...はぁ...」
ハルが真っ赤な顔で息を荒くしている。
「どうしたの?ハル」
ツィアが首を傾げていると、
「私、ツィアさんの可愛いのを見てたら...可愛い声を聞いてたら...私まで...変な気持ちに...」
ハルが潤んだ目で訴えてくる。
「いいわよ!してあげる!」
ツィアの言葉に、待ちきれないとばかりに服を脱ぎ捨てるハル。
「は、早く...」
ハルは足を開くと、興奮しきったそこを見せてきた。そんなハルに、
「もう!こんなにしちゃって!!...でも、まずは可愛いお胸から...」
ツィアは呆れたようにそう言うと、ハルの胸に目を移すが、
「そ、そんな!私、我慢できないんです!!早くここを...」
耐えるように足をすり合わせているハル。しかし、
「ダ~~~~メ!ものには順序があるんだから...そこは後でいっぱいしてあげる!」
ツィアはそう口にすると、ハルの胸に手を伸ばした。
「あっ!あっ!そこも素敵です!...でもやっぱりここを...そうしないと私、おかしくなっちゃいます!!」
喘ぐハルだが、物足りないのか、紅潮した顔でツィアにお願いしてくる。
そんなハルの様子を見て、
「もう!ハルはエッチな子ね!...じゃあ...」
ツィアがそこに手を伸ばすと、
「ああ~~~~~~~~!!」
触れただけで大きな声を上げ、体を反らせてしまった。
「ふふ!もう達しちゃったの?」
ツィアが楽しそうに笑うが、
「ツィアさん!...もっと!...もっと!」
ハルはツィアの胸にすがると、まだまだ求めてくる。
「もう!本当にエッチね!ハルは!...分かったわ!満足するまでずっとしてあげる!...いつまでも...いつまでも...」

〇・〇・〇

(な、な、な、なんちゃって!)
ツィアは想像しただけで体が熱くなってくるのを感じていた。すると、
「あの...見ちゃってすいませんでした...お詫びに私の!」
ハルが自分のワンピースをまくり上げようとしている。
「い、いいから!下着なんて毎日、見てるでしょ!大丈夫!ちょっと恥ずかしかっただけだから!」
ツィアはそう言ってなんとか止めた。
「...本当に...いいんですか?」
ちょっと残念そうなハルの声。しかし、ツィアは考えていた。
(ハルったら真面目過ぎていけないわ!『私の純潔』って言ったのも『それほど魅力的だ』っていうお世辞ね!...それなのに...変なこと、想像しちゃって...)
自己嫌悪に陥ったツィアは、とりあえず、食卓に座る。
そして、ハルの作った料理を見ると、
「うわ~~~~!美味しそう!...今日も豪華ね!」
気を落としていたのがウソのように、目を輝かせるのだった。
「は、はい!ツィアさんの好きなチーズも多めにかけて...」
ハルは最近、ツィアの好物ばかりを作っている。
やはり、別れを意識しているようだった。
するとツィアは、当初の目的を思い出す。
(そ、そうだ!あの話を!...ハル...どう思うかな?)
ツィアは不安を感じながらも、風呂上がりに思いついたアイデアを話してみることにした。

「あの...もうすぐ冬よね...」
ツィアがそう言って話を切り出す。すると、
「そうですね!...失礼します...」
ハルが相槌を打ちながら、ツィアの膝に登ってきた。
そしてツィアの体に抱きつく。
「・・・」
最近、ずっとこうだ。
正直、食事の邪魔なのだが、ツィアは何も言わなかった。
ツィアも一時でも長く、ハルと触れ合っておきたかったのだ。
「そ、その...魔界に行くのは春まで待った方がいいんじゃないかと思うの!」
ツィアが思い切ったように提案する。
そして、ハルの返事を待たずに急いで続きを話し出す。
「その...ダンジョンのある山は高いから、上の方は寒いし、雪も積もるわ!春まで待った方が安全...」
ツィアが必死で理由を説明していると、最後まで聞くことなく、
「はい!私もそっちの方がいいと思います!」
ハルは目を輝かせて賛成してきた。
「そ、そう?じゃあ、来春まで最果ての街のどこかにモンスターハウスを置いて過ごしましょ!...それからのことはその後...」
ツィアが詳細を説明していると、
「はい!とりあえず、春まではツィアさんと一緒にいられるんですね!」
ハルはそう言って、うれしそうにツィアに抱きつくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...