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Legend 39. 最果ての街で
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「ふふふ!」
うれしそうなハルの声。
食事の後、ツィアはハルに膝枕をしてもらっていた。
これも最近の日課だ。
昨日までどこか寂しそうだったハルも、今日は笑顔でツィアの頭を撫でている。
(良かった!ハルも賛成してくれて...これで春までは...)
ハルの太ももに顔をうずめながら、ツィアはホッとしていた。しかし、
(で、でも春になったら...)
そう考えると心配で仕方がない。
(そ、そうだ!ハルは海水浴が好きそうだったから、『もう一度、海に行こう』と言えば!...そしてまた、ここに帰ってきた時は冬だから、春まで待って...その繰り返しで!!)
ツィアの顔が輝く。
「どうしたんですか?ツィアさん...なんかうれしそうです!」
それに気づいたハルが話しかけてきた。
「な、なんでもないわ!...それより...ハルは海水浴は楽しかった?」
ツィアが恐る恐るハルに聞く。すると、
「はい!とっても!!...ツィアさんの可愛い水着姿も見れましたし...」
ハルがポッと頬を染める。
「もう!ハルだって可愛かったわよ!膝枕も...あっ!なんでもない!」
ツィアが水着で膝枕をしてもらったことを思い出し、思わず口にすると、
「ちょ、直接が良かったら...」
ハルがワンピースをめくり出す。
「い、いいから!その時にしてもらうから!」
ツィアが慌てて言った言葉に、
「その時って?」
ハルが首を傾げている。
「な、なんでもない!」
ツィアは慌ててハルから目を逸らすのだった。
☆彡彡彡
その夜、
(ツィアさんの寝顔、可愛い...これからも...見れるんですね!)
ハルはじっとツィアの寝顔を見つめていた。
(でも、春になると...それまでに!)
ハルはある決意を固めていた。
『可愛くて...家事が得意で...買い物上手な...女の子...かな?』
ツィアに好みの子を聞いた時に、ツィアが言った言葉を思い出す。
(これからも家事を頑張って、上手にお買い物して、膝枕で喜んでもらえば...きっと...)
ハルは来年の春のことを想像していた。
〇・〇・〇
「じゃあ、私、行きますね!」
ハルが魔界への扉を通り抜けようとする。すると、
「待って!」
ツィアがハルの手をとって引き留めた。
「どうしたんですか?」
ハルが尋ねると、
「行かないで!!...私...ハルがいなきゃダメなの!!」
ツィアがそう言ってハルに抱きつく。
「ツィ、ツィアさん!!」
ハルが真っ赤になって慌てていると、
「私、ハルがいないと、料理も洗濯もできない!...お買い物だって...きっと上手くいかない...夜だって...一人じゃ...寂しくて...」
ツィアは泣きそうな目でハルを見ると、そう訴えてくる。
「だ、大丈夫ですよ!ツィアさんならきっと...」
ハルは安心させるように笑うが、
「ダメなの!私、ハルがいないと生きていけない体になっちゃったの!」
ツィアはハルにすがりついてくる。
「か、体って...」
ハルが真っ赤になっていると、
「抱きついてもらったり...膝枕してもらったり...そんなことしてもらってるうちに...私...」
ツィアの目が欲情に潤む。頬も赤く染まっていた。
「そうだったんですね!...でも...ツィアさんなら...いいですよ!」
そんなツィアに応えるように、ハルがにっこり笑う。すると、
「ホント?」
ツィアの顔がほころぶ。その様子を見たハルが、
「で、でも...家事をして...よ、夜もお相手をするのは...お、お嫁さんの仕事じゃ...」
顔を赤くしながらそう言うと、
「うん!ハル!私のお嫁さんになって!...ハルは...イヤ?」
ツィアが必死な顔でお願いしてきた。
「ツィアさんが、一生、大事にしてくれるのなら...私...」
ハルが照れながら答えると、
「うん!一生、大事にする!毎晩、気持ちよくしてあげる!...だから...私のお嫁さんになって!!」
ツィアが誓いの言葉を述べた。
「分かりました...それなら...人間界に...残ります!」
その言葉に、ハルは頬を染めながら応じると、そっとツィアの手をとるのだった。
〇・〇・〇
(な、な、な、なんてことに!!)
ハルは顔が耳まで真っ赤になっているのを感じていた。
そして、そっとツィアの顔を見る。
(来春まで、一生懸命頑張ります...だから...)
「私を...お嫁さんにしてくださいね!」
ハルはツィアを起こさないように、小さな声でささやくのだった。
☆彡彡彡
翌日、二人は最果ての街に辿りついた。
「うわ~~~!兵隊さんが多いですね!」
ハルが感想を述べると、
「そうね!ここは魔界に最も近い街だから、警備も厳重なのよ!」
ツィアが説明をする。
「へぇぇ~~~~!そうなんですね!」
そう答えたハルだったが、
「まあ、私たちには関係ありませんね!それより、早速、買い出しを!」
(ツィアさんにカッコいいとこ見せなきゃ!)
目的に向け、張り切っていると、
「それより、モンスターハウスを置く場所を探しましょ!どこかいい空き地があればいいけど...」
ツィアの言葉に、
「はい!」
ハルも笑顔でうなずくのだった。
二人が街の中を探し回っていると、
「おい!準備はまだか!」
「もうしばらくお待ちください!なにぶん、相手が相手ですから...」
「早くしろ!」
「はい!」
兵士たちが忙しそうに走り回っていた。
「何かしら...」
ツィアが不思議に思っていると、
「おい!近くの山にドラゴンが出たんだってよ!」
「本当か?!ドラゴンなんかに襲われたらこの街は...」
「大丈夫さ!シェスター伯が討伐隊を編成しているらしい!」
通りすがりの男の声が聞こえてきた。
「どういうこと?!」
ツィアがその男たちに詰め寄る。
「お前、誰だ?」
男に不審がられるが、
「私たちは冒険者です!ドラゴンも相手にしたことがあるんですよ!」
ハルがそう答えた。
(いいわ!ハル!気が利くようになったわね!)
ツィアがハルを見て微笑むと、ハルも微笑み返した。
すると男は、
「そんな強そうに見えねぇがなぁ...まあ、いいや!」
そう言ったものの、知っていることを話してくれた。
「な、なんでドラゴンさんが人間界に...」
ハルが困惑している。
男たちの話では、魔界へのダンジョンへと通じる山道に、突如、ドラゴンが現れたらしい。
幸いにもそこから動く気配はないが、万一のため、この地を治める有力貴族、シェスター伯爵が討伐隊を編成しているとのことだった。
なお、シェスター伯爵とは、旅を始めた頃にハルが武闘大会で戦った、ドラムスコの父親である。
父親はドラムスコとは正反対の優秀な男で、この魔界へと繋がる辺境の地を王様から任されていた。
「と、とにかく、一度行ってみるしかないわね!...なんとか魔界に戻ってもらわないと!...ハル!説得は任せたわよ!」
ツィアがそう言うと、
「は、はい!できるだけ頑張ってみます!」
ハルは緊張気味に答えたのだった。
ドラゴンは最強クラスの魔物で、ハルといえど、そんな簡単に勝てる相手ではない。
いくら弱肉強食の魔物といっても、言うことを聞く保証はなかった。
「じゃあ、すぐに出発するわよ!討伐隊が編成される前に!」
「はい!」
二人は街から飛び出し、魔界へのダンジョンがある山へと向かった。
この時、二人はドラゴンを説得したら、すぐにこの街に戻ってくるつもりだった。
そこで二人の運命を大きく変える出来事が起ころうとは、思ってもみなかったのだ。
うれしそうなハルの声。
食事の後、ツィアはハルに膝枕をしてもらっていた。
これも最近の日課だ。
昨日までどこか寂しそうだったハルも、今日は笑顔でツィアの頭を撫でている。
(良かった!ハルも賛成してくれて...これで春までは...)
ハルの太ももに顔をうずめながら、ツィアはホッとしていた。しかし、
(で、でも春になったら...)
そう考えると心配で仕方がない。
(そ、そうだ!ハルは海水浴が好きそうだったから、『もう一度、海に行こう』と言えば!...そしてまた、ここに帰ってきた時は冬だから、春まで待って...その繰り返しで!!)
ツィアの顔が輝く。
「どうしたんですか?ツィアさん...なんかうれしそうです!」
それに気づいたハルが話しかけてきた。
「な、なんでもないわ!...それより...ハルは海水浴は楽しかった?」
ツィアが恐る恐るハルに聞く。すると、
「はい!とっても!!...ツィアさんの可愛い水着姿も見れましたし...」
ハルがポッと頬を染める。
「もう!ハルだって可愛かったわよ!膝枕も...あっ!なんでもない!」
ツィアが水着で膝枕をしてもらったことを思い出し、思わず口にすると、
「ちょ、直接が良かったら...」
ハルがワンピースをめくり出す。
「い、いいから!その時にしてもらうから!」
ツィアが慌てて言った言葉に、
「その時って?」
ハルが首を傾げている。
「な、なんでもない!」
ツィアは慌ててハルから目を逸らすのだった。
☆彡彡彡
その夜、
(ツィアさんの寝顔、可愛い...これからも...見れるんですね!)
ハルはじっとツィアの寝顔を見つめていた。
(でも、春になると...それまでに!)
ハルはある決意を固めていた。
『可愛くて...家事が得意で...買い物上手な...女の子...かな?』
ツィアに好みの子を聞いた時に、ツィアが言った言葉を思い出す。
(これからも家事を頑張って、上手にお買い物して、膝枕で喜んでもらえば...きっと...)
ハルは来年の春のことを想像していた。
〇・〇・〇
「じゃあ、私、行きますね!」
ハルが魔界への扉を通り抜けようとする。すると、
「待って!」
ツィアがハルの手をとって引き留めた。
「どうしたんですか?」
ハルが尋ねると、
「行かないで!!...私...ハルがいなきゃダメなの!!」
ツィアがそう言ってハルに抱きつく。
「ツィ、ツィアさん!!」
ハルが真っ赤になって慌てていると、
「私、ハルがいないと、料理も洗濯もできない!...お買い物だって...きっと上手くいかない...夜だって...一人じゃ...寂しくて...」
ツィアは泣きそうな目でハルを見ると、そう訴えてくる。
「だ、大丈夫ですよ!ツィアさんならきっと...」
ハルは安心させるように笑うが、
「ダメなの!私、ハルがいないと生きていけない体になっちゃったの!」
ツィアはハルにすがりついてくる。
「か、体って...」
ハルが真っ赤になっていると、
「抱きついてもらったり...膝枕してもらったり...そんなことしてもらってるうちに...私...」
ツィアの目が欲情に潤む。頬も赤く染まっていた。
「そうだったんですね!...でも...ツィアさんなら...いいですよ!」
そんなツィアに応えるように、ハルがにっこり笑う。すると、
「ホント?」
ツィアの顔がほころぶ。その様子を見たハルが、
「で、でも...家事をして...よ、夜もお相手をするのは...お、お嫁さんの仕事じゃ...」
顔を赤くしながらそう言うと、
「うん!ハル!私のお嫁さんになって!...ハルは...イヤ?」
ツィアが必死な顔でお願いしてきた。
「ツィアさんが、一生、大事にしてくれるのなら...私...」
ハルが照れながら答えると、
「うん!一生、大事にする!毎晩、気持ちよくしてあげる!...だから...私のお嫁さんになって!!」
ツィアが誓いの言葉を述べた。
「分かりました...それなら...人間界に...残ります!」
その言葉に、ハルは頬を染めながら応じると、そっとツィアの手をとるのだった。
〇・〇・〇
(な、な、な、なんてことに!!)
ハルは顔が耳まで真っ赤になっているのを感じていた。
そして、そっとツィアの顔を見る。
(来春まで、一生懸命頑張ります...だから...)
「私を...お嫁さんにしてくださいね!」
ハルはツィアを起こさないように、小さな声でささやくのだった。
☆彡彡彡
翌日、二人は最果ての街に辿りついた。
「うわ~~~!兵隊さんが多いですね!」
ハルが感想を述べると、
「そうね!ここは魔界に最も近い街だから、警備も厳重なのよ!」
ツィアが説明をする。
「へぇぇ~~~~!そうなんですね!」
そう答えたハルだったが、
「まあ、私たちには関係ありませんね!それより、早速、買い出しを!」
(ツィアさんにカッコいいとこ見せなきゃ!)
目的に向け、張り切っていると、
「それより、モンスターハウスを置く場所を探しましょ!どこかいい空き地があればいいけど...」
ツィアの言葉に、
「はい!」
ハルも笑顔でうなずくのだった。
二人が街の中を探し回っていると、
「おい!準備はまだか!」
「もうしばらくお待ちください!なにぶん、相手が相手ですから...」
「早くしろ!」
「はい!」
兵士たちが忙しそうに走り回っていた。
「何かしら...」
ツィアが不思議に思っていると、
「おい!近くの山にドラゴンが出たんだってよ!」
「本当か?!ドラゴンなんかに襲われたらこの街は...」
「大丈夫さ!シェスター伯が討伐隊を編成しているらしい!」
通りすがりの男の声が聞こえてきた。
「どういうこと?!」
ツィアがその男たちに詰め寄る。
「お前、誰だ?」
男に不審がられるが、
「私たちは冒険者です!ドラゴンも相手にしたことがあるんですよ!」
ハルがそう答えた。
(いいわ!ハル!気が利くようになったわね!)
ツィアがハルを見て微笑むと、ハルも微笑み返した。
すると男は、
「そんな強そうに見えねぇがなぁ...まあ、いいや!」
そう言ったものの、知っていることを話してくれた。
「な、なんでドラゴンさんが人間界に...」
ハルが困惑している。
男たちの話では、魔界へのダンジョンへと通じる山道に、突如、ドラゴンが現れたらしい。
幸いにもそこから動く気配はないが、万一のため、この地を治める有力貴族、シェスター伯爵が討伐隊を編成しているとのことだった。
なお、シェスター伯爵とは、旅を始めた頃にハルが武闘大会で戦った、ドラムスコの父親である。
父親はドラムスコとは正反対の優秀な男で、この魔界へと繋がる辺境の地を王様から任されていた。
「と、とにかく、一度行ってみるしかないわね!...なんとか魔界に戻ってもらわないと!...ハル!説得は任せたわよ!」
ツィアがそう言うと、
「は、はい!できるだけ頑張ってみます!」
ハルは緊張気味に答えたのだった。
ドラゴンは最強クラスの魔物で、ハルといえど、そんな簡単に勝てる相手ではない。
いくら弱肉強食の魔物といっても、言うことを聞く保証はなかった。
「じゃあ、すぐに出発するわよ!討伐隊が編成される前に!」
「はい!」
二人は街から飛び出し、魔界へのダンジョンがある山へと向かった。
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