ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 34. カリナンの宿で

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「私が銀級シルバーランクなんて...」
ガーネットは、その夜、宿で冒険者証を見ながら、ニヤニヤしていた。

「良かったじゃない!」
アリーが祝福すると、
「アリーのおかげだよ!今日はありがと!」
アリーに感謝するガーネット。
「ミャ~~~...」
マリンはどこか不満げだ。
「ふふふ!どっちかっていうと、マリンのおかげなんだけどね!」
アリーが意味ありげに口にした言葉に、
「どういうこと?」
ガーネットは首を傾げるが、
「とにかく、マリンも褒めてあげて!」
アリーにそう言われると、
「...良く分からないけど...ありがと!マリン!」
すると、
「ミャ~~~~...」
恥ずかしげにうつむくマリン。しかし、どこかうれしそうだ。

「良かったね!マリン!...じゃあ、あたしはこれで...」
アリーが宿の部屋を去ろうとする。
「また、外で寝るの?ここにいればいいのに...」
ガーネットが引き留めるが、
「お邪魔でしょ!それに、あたしは広い場所の方が落ち着くの!」
そう言うと、アリーは窓から外に飛んでいった。

「邪魔って...どういう意味だろうね?」
首をひねるガーネット。
「ミャ~~~...」
なぜか赤くなっているマリンをよそに、
「まあ、いっか!アリーも『そっちがいい』って言ってるし...お風呂入るよ!」
ガーネットはマリンに声をかける。その途端、
「ミャ~~~~!!」
うれしそうに目を輝かせるマリンだった。

☆彡彡彡

「ふう...」
宿の外の街路樹の枝に腰かけるアリー。
「ガーネットって、ホント、天然なんだから!あんなの聞かされる身になってみなさいよ!それに、あたしはサンストーンに報告の義務がある...で、できるだけ、変なものは見聞きしないようにしないと!!」
そんなアリーの頬が赤く染まった。

というのも、カリナンへの途中で初めて立ち寄った街で、宿に泊まった時のことなのだが...

〇・〇・〇

「じゃあ、お風呂入ろっか!マリン!」
「ミャ~~~~!!」
ガーネットがマリンをお風呂に誘う。
「えっ?!一緒に入るの?!」
驚いているアリーだったが、
「だってマリンを洗ってあげないと...」
ガーネットは何にビックリしているのか、分からないようだった。
「そ、そうだね!マリンは猫なんだよね!...それをいいことに楽しんでるわね?」
アリーがマリンを睨む。
「ミャ~~~...」
決まり悪そうにそっぽを向くマリン。

その様子に首を傾げたものの、
「アリーはお風呂に入らないの?」
ガーネットがふと、尋ねると、
「うん!妖精の体は物質というより、思念の塊みたいなものだから、汚れないの!ご飯も食べないでしょ!」
アリーが答える。

「思念の塊?」
ガーネットが不思議そうに首をひねっていると、
「そう!あたしは病気で家から出られなかった女の子の思念から生まれたの!...その子はずっと外の世界を冒険したがってた...あたしはその気持ちが集まってできたの!」
アリーが出生のいわれを説明してくれる。
「そうなんだ...」
その女の子のことを考えると、少し、胸が痛むガーネット。しかし、
「だから、あたし、好奇心の塊なの!!千年以上、世界中を旅して、いろんなものを見たよ!でも、まだまだ、足りない!!もっと世界を知りたいの!!」
アリーはそんなガーネットをよそに、明るく話す。
「ふ~~~~ん...妖精は死なないの?」
ガーネットも心が軽くなったのか、そんな疑問をぶつけると、
「もちろん、いつかは消えちゃうよ!生まれたもとになった思念の強さで寿命が決まるの!その女の子は長い間、ずっと広い世界を夢見てた...だから、あたしは長生きなの!!」
アリーが詳しく、教えてくれる。
「後、どのくらい生きれるの?」
ガーネットの問いに、
「う~~~~ん...ハッキリとは分からないけど...千年くらいかな?...もちろん、誰かに倒されなければだけどね!」
アリーはそう答えた。
「へぇ~~~!すごいね!!」
そんな会話をしていた二人だったが、
「早く、お風呂に入らないの?マリンがお待ちかねだよ!」
アリーが手持ち無沙汰なマリンを見て言う。
「そっか!...マリン、おいで!!」
「ミャ~~~~!!」

〇・〇・〇

「そこまでは良かったんだけど...」
アリーがつぶやく。

〇・〇・〇

「あん!マリン、そんなに見つめないで!!...私の...一番、恥ずかしいところ...」
ガーネットの色っぽい声が、風呂場から聞こえてくる。そして、
「イヤ!!そんなににおい嗅いだら...もう一週間もお風呂に入ってないのに...ひどいにおいでしょ!...私...私...」
ガーネットの恥ずかしそうな声。
「ミャ~~~~!!」
しかし、マリンはうれしそうに声を上げていたのだった。

〇・〇・〇

「そしてその後...」

〇・〇・〇

裸で風呂場から出てきたガーネットが、服を吊るすと、そのままベッドに入る。
「マリン!おいで!」
「ミャ~~~~!!」
同じ布団で寝ているガーネットとマリン。しかし、
「どうしたの?そんなに離れて...もしかして...私、におう?」
真っ赤になるガーネット。
「ミャッ!!ミャ~~~~~!!」
それを聞いたマリンは慌ててガーネットのそばに寄る。すると、
「ふふ!!マリン、あったかい!!」
いきなり、抱きしめられたマリンは、
「ミャ~~~~~~~!!!」
極上の胸の感触に、危うく、昇天してしまうところなのだった。

〇・〇・〇

「ま、毎回、そんなことしてるのかな?...まあ、マリンの本体とは相思相愛だからいいけど!!」
その時、アリーの頭の中には絡み合う、ガーネットと姫様の姿が浮かんでいた。

「今日もあんなことしてるのかな?...それとも...」
アリーはガーネットたちのいる、部屋の方向を見つめる。

〇・〇・〇

「やん!ダメ!マリン!!そんなとこ、なめちゃ!...汚いよ!!」
「ミャ~~~~!!」
「あっ!そこは!!...ダメ...私...変な気持ちに...」
<ペロペロペロ...>
「あん!あん!ああ~~~~ん!!...マリン!そこ!そこをもっと!!...私、エッチな子になっちゃった...姫様、ごめんなさい...ああ~~~~ん!!」

〇・〇・〇

「な、な、なんてことしてたら!!...これ以上考えるのはやめよう!!そうしないと、明日から目を合わせられなくなっちゃう!!」
アリーは目を閉じると、努めて冷静になろうとするのだった。
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