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Maid 40. 最下層にて
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いくつ階段を下りただろうか?
「マリン、またおしっこ?ちょっと多すぎない?病気とか...」
階段に来る度に、先に下りていくマリンに、ガーネットが心配をしていると、
「そ、そ、そうかな!暑いから近いんじゃない?」
アリーが慌てた様子で口にする。
「暑いと?...普通は寒いと近くなるけど...」
納得していないガーネットに、
「ね、猫はそういうものなんだよ!」
(ちょっと苦しいかな...)
アリーは愛想笑いを浮かべつつも、ドキドキしながら反応をうかがっている。
「ふ~~~~ん...」
『そんなもんか』という顔のガーネットに対し、
(ホント、素直ね!)
アリーがある意味、感心していると、
「ミャ~~~!」
『もういいよ』とばかりにマリンが戻ってきた。
「じゃあ、行こうか!」
ガーネットたちは更に下へと下りていった。
☆彡彡彡
「ここは...」
最下層に着いたガーネットは戸惑っていた。
最下層は、今までの層とは様子が違った。
中心から全てが見渡せる、狭い空間。
床は、溶岩が固まった黒い岩肌が露出していた。
「『赤の奇跡』は...ないね...ただ...これ、なんて書いてあるのかな?」
どこにも草木の類いは見つからない。
代わりに片隅に、2m四方くらいの大きさの石碑があった。
そこには、ガーネットの見たこともない文字が書かれている。すると、
「えっと...『赤の奇跡は火山の火口に咲く』と書かれてるよ!」
アリーがそれを読んでくれた。
「アリーってホント、博識だね!...でも、火口ってことはこの迷宮にはないのかな?」
ガーネットはアリーの知識の深さに感心しつつも、『赤の奇跡』がないことに気を落としている。
「う~~~~ん...あたし、思うんだけど...」
そんなガーネットにアリーが口を開く。
「なに?」
ガーネットが促すと、
「この迷宮って、どこからか溶岩が噴き出してたよね?」
アリーはそう続ける。
「そうだね!」
ガーネットが同意すると、
「もしかして、火口につながってるんじゃないかな?」
アリーはそんな推測をした。
「でも、どこに...」
今まで、一通り見てきたが、それらしい通り道はなかった。
「とにかく、もう一度、良く探してみよう!」
アリーの提案に、
「...そうだね!それしかないよね!!姫様のためならどんな苦労でも!!」
ガーネットは決意に満ちた顔をすると、引き返そうとする。その時、
「「あっ!!」」
階段から、アメジストたちが下りてきた。
図らずも声が揃ってしまった、ガーネットとアメジスト。
「アメジストさん、どうしてここに?」
一瞬、戸惑ったガーネットだったが、気を取り直すと問いかける。
(ど、どうする?なんて答える?)
(そんなこと、あたいに聞かれても...)
(そ、そうだな...あいつの話を聞いて興味を持ってとか...)
3人が慌てて、相談していると、
「まさか!!」
ガーネットが何かに気付いたように声を上げた。すると、
「ち、ち、違うんだよ!あたしたちはあんたの探しているものを、横取りしようと思っているわけではなく...」
「そ、そうっス!!『何かこの迷宮の秘密を知っているんだろう』とか疑ってなんかいないっス!!」
「わ、私たちは、『お前の後をついていけば、楽に迷宮を探索できる』とか考えたこともない!!断言する!!」
それを聞いた3人が必死に言い訳を始めた。
「なるほど...相変わらずだね!」
「ミャ~~~...」
アリーとマリンが白い目でそんなアメジストたちを見ている。
しかし、ガーネットはアメジストたちの言葉に笑いながら、続きを話しだす。
「そんなの分かってますよ~~~!...私を心配してですね!ありがとうございます!!」
そして、3人に向かって深く頭を下げた。
(あの時の私を見て、『この迷宮は危険すぎる』と思われちゃったのかな?...そりゃ、そうだよね!...でも、忙しいのに自分たちの用事より優先してくれるなんて...)
顔を上げたガーネットの目は、尊敬の色に染まっていた。
「こっちも、相変わらずね...」
「ミャ~~~...」
さっきとは違う意味で呆れるアリーとマリン。
しかし、それを聞いた、ろくでなし3人組は、
「そ、そ、そうなんだよ!まあ、大丈夫だとは思ってたんだけど、『万が一』ってこともあるからね!」
「そうっス!!どんな罠があるか分からないっス!」
「うむ!無事、最下層に着けたようでなにより...」
ホッとしたように、能弁に話しだした。
「口だけは一丁前ね!」
アリーのつぶやきをよそに、
「ふふふ!本当に優しいんですね!!...でも、目的のものが見つからなくて...」
ガーネットは軽く笑ったが、続けて、目を伏せる。
「な、何を探して!!」
その言葉に食いついたアメジストが、一歩、前に足を進めた時、
<ガラッ!>
突然、足元の岩が陥没する。
「ひえっ!」
真っ青になるアメジスト。しかし、
「アメジストさん!!」
<ドンッ!!>
とっさに飛び出したガーネットに突き飛ばされる。
「いてて...」
なんとか、地面にできた穴から脱出に成功したアメジスト。しかし、
「キャ~~~~~~!!」
代わりにガーネットが、ぽっかりと口を開けた大穴に吸い込まれていった...
「マリン、またおしっこ?ちょっと多すぎない?病気とか...」
階段に来る度に、先に下りていくマリンに、ガーネットが心配をしていると、
「そ、そ、そうかな!暑いから近いんじゃない?」
アリーが慌てた様子で口にする。
「暑いと?...普通は寒いと近くなるけど...」
納得していないガーネットに、
「ね、猫はそういうものなんだよ!」
(ちょっと苦しいかな...)
アリーは愛想笑いを浮かべつつも、ドキドキしながら反応をうかがっている。
「ふ~~~~ん...」
『そんなもんか』という顔のガーネットに対し、
(ホント、素直ね!)
アリーがある意味、感心していると、
「ミャ~~~!」
『もういいよ』とばかりにマリンが戻ってきた。
「じゃあ、行こうか!」
ガーネットたちは更に下へと下りていった。
☆彡彡彡
「ここは...」
最下層に着いたガーネットは戸惑っていた。
最下層は、今までの層とは様子が違った。
中心から全てが見渡せる、狭い空間。
床は、溶岩が固まった黒い岩肌が露出していた。
「『赤の奇跡』は...ないね...ただ...これ、なんて書いてあるのかな?」
どこにも草木の類いは見つからない。
代わりに片隅に、2m四方くらいの大きさの石碑があった。
そこには、ガーネットの見たこともない文字が書かれている。すると、
「えっと...『赤の奇跡は火山の火口に咲く』と書かれてるよ!」
アリーがそれを読んでくれた。
「アリーってホント、博識だね!...でも、火口ってことはこの迷宮にはないのかな?」
ガーネットはアリーの知識の深さに感心しつつも、『赤の奇跡』がないことに気を落としている。
「う~~~~ん...あたし、思うんだけど...」
そんなガーネットにアリーが口を開く。
「なに?」
ガーネットが促すと、
「この迷宮って、どこからか溶岩が噴き出してたよね?」
アリーはそう続ける。
「そうだね!」
ガーネットが同意すると、
「もしかして、火口につながってるんじゃないかな?」
アリーはそんな推測をした。
「でも、どこに...」
今まで、一通り見てきたが、それらしい通り道はなかった。
「とにかく、もう一度、良く探してみよう!」
アリーの提案に、
「...そうだね!それしかないよね!!姫様のためならどんな苦労でも!!」
ガーネットは決意に満ちた顔をすると、引き返そうとする。その時、
「「あっ!!」」
階段から、アメジストたちが下りてきた。
図らずも声が揃ってしまった、ガーネットとアメジスト。
「アメジストさん、どうしてここに?」
一瞬、戸惑ったガーネットだったが、気を取り直すと問いかける。
(ど、どうする?なんて答える?)
(そんなこと、あたいに聞かれても...)
(そ、そうだな...あいつの話を聞いて興味を持ってとか...)
3人が慌てて、相談していると、
「まさか!!」
ガーネットが何かに気付いたように声を上げた。すると、
「ち、ち、違うんだよ!あたしたちはあんたの探しているものを、横取りしようと思っているわけではなく...」
「そ、そうっス!!『何かこの迷宮の秘密を知っているんだろう』とか疑ってなんかいないっス!!」
「わ、私たちは、『お前の後をついていけば、楽に迷宮を探索できる』とか考えたこともない!!断言する!!」
それを聞いた3人が必死に言い訳を始めた。
「なるほど...相変わらずだね!」
「ミャ~~~...」
アリーとマリンが白い目でそんなアメジストたちを見ている。
しかし、ガーネットはアメジストたちの言葉に笑いながら、続きを話しだす。
「そんなの分かってますよ~~~!...私を心配してですね!ありがとうございます!!」
そして、3人に向かって深く頭を下げた。
(あの時の私を見て、『この迷宮は危険すぎる』と思われちゃったのかな?...そりゃ、そうだよね!...でも、忙しいのに自分たちの用事より優先してくれるなんて...)
顔を上げたガーネットの目は、尊敬の色に染まっていた。
「こっちも、相変わらずね...」
「ミャ~~~...」
さっきとは違う意味で呆れるアリーとマリン。
しかし、それを聞いた、ろくでなし3人組は、
「そ、そ、そうなんだよ!まあ、大丈夫だとは思ってたんだけど、『万が一』ってこともあるからね!」
「そうっス!!どんな罠があるか分からないっス!」
「うむ!無事、最下層に着けたようでなにより...」
ホッとしたように、能弁に話しだした。
「口だけは一丁前ね!」
アリーのつぶやきをよそに、
「ふふふ!本当に優しいんですね!!...でも、目的のものが見つからなくて...」
ガーネットは軽く笑ったが、続けて、目を伏せる。
「な、何を探して!!」
その言葉に食いついたアメジストが、一歩、前に足を進めた時、
<ガラッ!>
突然、足元の岩が陥没する。
「ひえっ!」
真っ青になるアメジスト。しかし、
「アメジストさん!!」
<ドンッ!!>
とっさに飛び出したガーネットに突き飛ばされる。
「いてて...」
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