ローズマリーの冒険

世々良木夜風

文字の大きさ
上 下
59 / 59

Epilogue ローズマリーの冒険

しおりを挟む
二人は晩餐会の部屋に戻ると、『王女にはならない』と宣言した。
国王も王妃も残念がったが、ローズの意思を尊重してくれた。

それから、二人の新たな冒険者生活が始まった。
その活躍は目覚ましく、国中どころか世界中に二人の名は轟いた。
その英雄譚は死後も語り継がれ、『ローズマリーの冒険』として世界中の子供たちの冒険心を掻き立てた。

しかし、時が経つにつれ、派手なローズの活躍ばかりが強調・脚色され、マリーの名は忘れられていった。
今では『ローズの冒険』として、世界中で愛されている。
マリーの名を知る者はいない。

しかし、マリーは決して悲しがってはいないだろう。
なぜって?
だって、ローズとの思い出を自分だけのものにできるのだから...

☆彡彡彡

その頃、天上では、

「ローズちゃん!!」
ローズの部屋にマリーが飛び込んでくる。

二人は生前の功績が認められ、天上界に二人で住むことが許されていた。
悠久の時の流れを二人は若い日の姿のままで、共に生きている。

「どうしたの?マリー?」
ローズがマリーを見ると、両手いっぱいにカラフルな布を抱えていた。
「何?これ?」
ローズは二つの三角形が紐で結ばれたものを一つ取る。
「ふふふ...これ、『水着』っていうんだよ!!今、下界では水浴びをする時はこういうのを着るんだって!!」
マリーが得意げに説明する。
「へぇ!!綺麗ねぇ...確かにこれなら大事な部分を隠しながら、邪魔にもならないわ!!」
ローズがいろんな水着を見ながら感心している。
「ねぇ...つけてみない?」
マリーがローズの顔を上目がちに見ながら言う。
その様子に、
(可愛い!!)
そう思ったローズは、
「いいわよ!!マリーには...これがいいかしら!!」
そう言って、布地の少ない真っ白な紐ビキニを手に取った。
「そ、そんなのを?!...下着より隠してる部分、少ないんじゃ...」
マリーが恥ずかしがるが、
「イヤ??」
ローズが聞くと、
「...ううん...ローズちゃんが選んでくれたんだもん!...ちょっと恥ずかしいけど...いいよ...」
そう口にする。
「じゃあ、着せてあげるわね!!」
「えっ?!」
ローズは戸惑うマリーをよそに、服を脱がせると、水着をつけてあげた。
「...どう?」
恥ずかしそうに体をくねらせながら水着姿を見せるマリー。
その様子にローズは思わず破顔する。
「とっても可愛いわよ!!じゃあ次は...」
「えっ!また着替えるの?!」
驚くマリーに、
「そりゃそうよ!!こんなにあるんだもん!!可愛いマリーをたくさん見せて!!」
ローズはそう答えた。
「...うん...」
恥ずかしげに頷くマリー。
そして何回目かの着替えの後、
「ローズちゃんばっかりずるい!!私もローズちゃんの水着姿見たい!!」
マリーがそう言って、頬を膨らませる。
(可愛い~~~!!)
その様子にローズは笑顔になりながら、
「もちろん、いいわよ!!どれを着て欲しい?」
とマリーに聞く。
「じゃ、じゃあ、これ...」
そう言うと、マリーは今着ている水着を脱ぎ始めた。恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。
「これ...マリーの脱ぎたての...」
ローズが固まっていると、
「...イヤ?」
マリーが心配そうに聞いてくる。
「ううん!マリーがいいんだったら...」
そう言うと、ローズはそっとその水着を拾い、つけ始める。
(...まだ温かい...ここにマリーの...って変なこと考えちゃダメ!!)
ローズは必死で平常心を保ちながらその水着をつけたのだった。
「可愛い!!」
マリーが水着姿のローズを褒める。
「ふふふ。ありがとう!...でもマリーの方がもっと可愛いわよ!!」
とローズが言った。
「で、でも私、今、何も...」
マリーが戸惑っていると、
「マリーは生まれたままの姿が一番、綺麗で可愛いの!!...もっとよく...見せて欲しいな...」
顔を赤らめながらそう言うローズに、
「...いいよ!私の全部は...ローズちゃんのものだから...」
二人はどちらからともなく抱き合うと、ベッドに倒れ込むのだった...
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...