バスト・バースト!

世々良木夜風

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Burst22. ワガマーマで魔物退治

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「今から、皆には魔物退治を行なってもらう!」
役人の説明が始まった。
「魔物退治はパーティ単位で行う。各パーティには担当者がつく。退治数はその者がカウントする。魔物退治の範囲はこの街から10キロ以内だ。これは担当者が把握しているのでその指示に従うこと!」
説明はそのくらいのようだった。
「今から受付を始める。全てのパーティの受付が終わった後、合図を出す。それが始まりだ。なお、終了時間は午後四時とする。これも担当者から終了の合図が出るはずだ。質問は?」
特に誰も質問はしない。
「では受付を始める!パーティの代表者はここに並べ!」
「じゃあ、行ってくる!」
オトメが受付の列に並んだ。
「まあまあの数の参加者でしょうか?20組くらい?」
「そうだな。報酬が魅力だし、ここに来ている冒険者は大抵、参加しているのだろう」
こうして、ワガマーマの魔物退治が始まった。

「わたくし、みなさまの担当をさせていただく『メグ』と申します。公正に仕事をさせていただきますのでよろしくお願いします」
オトメたちの担当になった者は『メグ』と名乗った。どうやらBカップのようだ。魔物に襲われない為、女性はBカップを選んでいるのだろう。
「よろしく!」
「よろしくお願いします」
「頼んだ!」
三人はそれぞれ挨拶をし、開始の合図を待った。

「では、始め!」
役人の掛け声とともに魔物退治が始まった。
参加者たちはめいめいの方向に散っていく。
「で、オトメの作戦というのは?」
グレースが聞くと、
「こっち来て!多分、魔物の発生源はこっちだと思うから」
そう言ってオトメが歩き出す。
「あなたはこの魔物の発生原因について何か知っているのですか?」
メグが驚いた顔をして聞いてきた。担当者は不干渉が鉄則だがさすがに興味があるようだ。
「うん。胸の小さい人が悲しい思いをして、魔物が大量発生する...前に見たことがある。今回も同じ理由なら!」
そう言って、オトメは街の外壁沿いに『貧乳エリア』のちょうど外側へと歩き出した。

たどり着くと既に何匹かの魔物がいた。
マリアとグレースが早速、倒す。
「やっぱり...しばらく見てて」
オトメが言う。
すると、『貧乳エリア』から黒い靄のようなものが流れてきた。
それがある濃度に達すると魔物が生まれる。
グレースがすぐさま倒す。
「これはどういうことですか?」
メグが質問してきた。
「前に、立ち寄った村で見たんだけど...」
オトメは『A子』から黒い靄が出ていた様子を説明した。
「では、今回も、虐げられたAカップ以下の女性たちの胸の大きな女性に対する嫉妬が原因で...」
メグはその理由に驚いているようだった。
「うん。街の中の暗い様子を見ていてそんな気がして...街の中じゃ魔物は発生しないからこうして外に流れ出てきて魔物になってるんじゃないかな?」
オトメが説明を続ける。
その間も生まれてくる魔物をマリアとグレースが退治している。
メグは話を聞きながらも、その数をカウントしていた。
「これは、魔物退治が終わったらすぐにワガマーマ公にお伝えしなくては!すぐに『貧乳隔離政策』を止めなくてはいけません。姫様も理由を知れば納得なさるでしょう!」
「うん。そうしてあげて...みんな本当に辛い思いをしてるから...」
「そういえば、あなたも胸が小さいですね?冒険者なのですか?」
「私は特別!見てれば分かるよ!」
そして、オトメも魔物退治に加わった。
バースト・ボールをみて、メグは驚いているようだった。
そして、終了時間がやってきた。

・・・

「この記録は本当なのか?!」
役人がメグに確認をしている。
「はい。間違いありません!それと魔物発生の原因が分かりました。すぐにワガマーマ公にお伝えしてください!」
そう言って、メグが役人に詳しい説明をする。
「そんなことが...分かった。ちょうどこのバカげた政策を止めさせるチャンスだ。私から報告しておこう」
「お願いします」

メグとのやりとりの後、役人から一番魔物を倒したパーティの発表があった。
「今回の魔物退治のトップは『ドリーミング・ガールズ』だ!ドリーミング・ガールズにはアネノ姫様との面会の時間が与えられる。なお、退治数に応じた報酬は明日7時にこの場所で行う。代表者は集まるように!」
こうして、オトメたちは見事にアネノ姫との面会のチャンスを勝ち取った。

皆が解散し始める。
そんな中、役人とメグがオトメたちの元へとやってきた。
「明日、報酬の支払いの後、アネノ姫様との面会の段取りについて説明しよう。明日の午前中の面会になる予定だ。作法はあまり気にしなくてよい。そのあたりは寛容な姫様だからな!」
役人が説明をする。
「本当にありがとうございました。多くの魔物を倒していただいたばかりか、その理由まで見つけられ、この政策を止めさせるチャンスまでいただきました。いくら感謝しても、し足りません!」
メグが深く頭を下げる。
「いや、いいよ~。それより早くこの政策を止めてあげてね!」
オトメが言う。するとマリアが、
「あの、こんなことを頼んでよいのか分かりませんが、私たち三人、同じ宿に泊めてもらう訳にはいきませんでしょうか?パーティでの意思疎通が必要ですので...」
そう言うと、
「う~む。三人は功労者だしな...そうだ、確かあなたはエライヒト家のご息女でしたな?」
「はい。エライヒト家の次女『マリア・ド・エライヒト』と申します」
「それでしたら、貴族の子女の特別証を発行できます。すぐに用意させましょう。これであなたのお連れということにすれば、通常エリアに入れるはずです」
「どうもありがとうございます。ご厚意に感謝いたします」
「いやいや、私たちもどうしたらこの政策を止めていただけるか困っていたのですよ。おかげで助かりました...メグ!すぐに用意を!」
「かしこまりました」
こうして、オトメは通常エリアに入れることになったのだった。

「ありがとう!マリアちゃん!昨日は散々だったよ。宿は汚いし、隣はうるさいし、お風呂には入れないし...」
三人は特別証を見せて、通常の門から入り、マリアたちの滞在しているホテルに向かっていた。
「まあ!オトメさんがそんな大変な目にあっていたとは...そうとも知らず、私たちは贅沢をしてしまって...」
「そんなこと気にしないでいいよ。あれはあれで参考になったし!」
「どう参考になったんだ?」
グレースが聞くと、
「世の中には恵まれない人がいるって分かったし、それにマリアちゃんを喜ばせる方法を...ってなんでもない!マリアちゃん!本当になんでもないから!」
オトメは不自然に慌てている。
「様子がおかしいですね?どうかしたのですか?オトメさん?」
「ははぁ...喜ばせるって...早速、今晩試してみてはどうだ?」
「まあ!楽しみです!何が起こるのでしょう?!」
「いや、何も起きないから!だから安心して眠っていいよ!何もしないから!」
オトメは真っ赤な顔で慌てて否定している。
「そうですか...残念です...そうだ!お風呂に入れなかったということは体も汚れているでしょう。宿には部屋にも大きなお風呂がありますから、私が洗って差し上げて...」
「わわわっ!ダメ!マリアちゃんにそんなことさせられない!それより、きれいになった体を見せ...じゃなくて自分でできるから!本当に大丈夫!」
「そうですか...」
マリアは非常に残念そうだ。
「う~~~ん。昨日の寝言が現実になるかと思ったが...」
グレースもちょっと残念そうにしていた。

そしてその夜、
「よし!今日はマリアちゃんの寝言を聞くぞ!」
オトメは張り切って目を覚ましていたが、
(ど、どうしましょう...また、あんな寝言を言ってしまったら...)
「グー、グー」
「オトメさん?」
昨日、眠れなかったオトメは速攻で寝てしまったのだった。
「う~~ん。面白くないな」
「グレースさんもさっさと寝てください!明日は姫様との面会ですよ!くれぐれも失礼のないように!」
「全部、師匠にお任せでいいのだろう?私は口が悪いから頭だけ下げて黙っておくことにしよう」
「とにかく、人の寝言を聞くなんてマナー違反です!女の子修行減点です!」
「あれを聞くなと言われても...」
グレースは腑に落ちないものを感じながらも眠りにつくのであった。
(これで大丈夫!今日もオトメさんの夢を...)
・・・・・・
・・・
「マリアちゃん...気持ちいい?」
「んん...はい...とっても...」
「もっと上手になって、もっと喜ばせてあげるからね!」
「恥ずかしい...でもうれしいです...オトメさん...」
寝静まった部屋で寝言で会話をしている二人がいた。
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