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Burst39. いざ、キンリンへ!
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「それではしっかりと掴まっていてください!一応、縄で縛ってありますが、落ちないとも限りませんので!」
船旅でサンプに着いた翌日、オトメたちは荷車を買い、サユリがそれを引こうとしていた。
荷車にはオトメたち三人が。体に縄を付け、荷車に括りつけてある。
「「「はい!」」」
緊張気味に返事をする三人。
グレースは荷車の端に、オトメはマリアに、マリアはオトメにしがみついていた。
「マリアちゃん!守ってあげるからね!」
「オトメさん...うれしい...」
マリアの頬が染まる。
「それ、あんまり意味ないんじゃ...」
グレースが『二人が抱き合っていても荷車から落ちるのを防ぐことはできない』と指摘するが、二人はそんなことはお構いなくうれしそうな顔をしている。
「まあ、いいか...二人が幸せなら...理由がないと抱き合うこともできないのか...」
グレースがため息を吐く。その瞬間、サユリが走り始めた。
「行きます!!」
ぐんぐんと加速していく荷車。やがてその車輪が地面から離れ、浮き始めた。
「これ、荷車が先に壊れるんじゃ...」
グレースは心配するが、オトメとマリアは、
「キャ~~~!!恐いです!オトメさん!」
「マリアちゃんの胸が顔に押し付けられて...幸せ...」
「...こっちは大丈夫そうだな...」
この状況でもいちゃつく二人にあきれるしかないのであった。
「すごい!景色が飛んでいく!シンカンセンよりは遅いはずだが、体感ではこっちの方が速く感じる!」
グレースはその速度に感激していた。
やがて、三時間が経過し、休憩の為に道の駅に寄ることにする。
「歩いたら十日はかかる距離が...」
その早さにグレースは唖然とする。
オトメとマリアはと言うと、
「キャ~~~!!オトメさん!オトメさん!」
「マリアちゃん!大丈夫だよ!私にもっとしがみついて!!」
荷車が止まっているにも拘らず、二人で固く抱き合っていた。
「この二人はそっとしておいた方がいいでしょうか?」
サユリがやってきて、そう口にした。
「いや、まずいな。ギャラリーができてる...」
見ると騒ぎを聞きつけた冒険者が集まってきていた。
「おい!オトメ!師匠!もう荷車は動いてない!周りを見てみろ!」
グレースが大声を出す。
「マリアちゃん!大変!荷車が動いてないんだって!」
「そんな!オトメさん!最後にもっと強く抱きしめてください!」
「分かった!...ぐふふ、マリアちゃんの胸、最高...」
どさくさに紛れてオトメはマリアの胸を堪能していた。
そこでふとグレースと目が合う。
「ちょっと、グレースちゃん!荷車が止まってるんだよ!こっちを見てる暇なんて...ん?止まってる?」
オトメがふと我に返る。そして周囲の観客に気づいた。
みるみる赤くなるオトメ。そして、
「マリアちゃん!マリアちゃん!ちょっと周り見て!」
急いでマリアに声を掛ける。
「いや~~!!オトメさん!離れないで!死んじゃ...えっ!」
マリアも周りの視線に気づいたようだ。
「なんで?荷車は止まっているはずじゃ...止まって?!」
マリアも状況を理解したようだ。
マリアは極度の恥ずかしがりである。もはやそれは限界を超えてしまった。
「え~~~ん!あたち、もうダメ!いっそのことみんなの前でムチャクチャにして~~!!」
「えっ!ム、ムチャクチャに...」
幼児返りしてとんでもないことを言い出すマリアと、その言葉に理性が崩壊寸前のオトメ。
何とか、悲劇は食い止められたものの、二人の名は変態カップルとして有名になってしまった。
そして道の駅では...
「な、なんでこんなことに...私、もう人前に出られない...」
「大丈夫!私だけを見て生きていけばいいよ!」
もう消えてなくなりたいマリアと、それをいいことにマリアを独り占めしようとするオトメがいた。
「あらあら、楽しいお二人ですね!昔を思い出します」
「サユリ殿は意外と腹黒だな...この状況を結構、楽しんでる...」
やがて、遅い昼食も済み、マリアの精神も落ち着いたころ、サユリが話し出した。
「もう二、三時間走りましょうか?それで今日は終わりにしましょう!」
「そうだな!二人とも人目には気をつけてくれよ!私まで恥ずかしい...」
グレースがオトメたちに注意する。
「そうですね。服がこんなに皺に...どうしましょう...」
「走ってる間は脱げばいいんだよ!どうせ誰も見れないし!」
オトメが常識外れな提案をする。しかし、
「そ、そしたら下着姿で抱き合うことに...で、でも『先か後かの問題』ですし...」
「そうそう...よ、良かったら、下着も汚れるから、その...外すとか...」
「えっ!...オトメさんさえ良かったら...」
赤くなり俯く二人。
「お前ら、私の言った意味、分かってるか?」
何とかその案を却下したグレースだった...
「本当に面白いですね!一緒に旅ができて楽しいです!」
サユリは一人、ニコニコしていた。
・・・
そしてオトメたちはまた三時間、荷車に乗り、キンリンを目指した。
オトメはマリアの胸を思う存分楽しみ、
マリアはオトメが喜んでいる様を見て自分も幸せになり、
グレースはそんな二人を微笑ましく見守るのであった。
そして、道の駅に着く。
「どうでしたか?」
サユリはオトメたちが疲れているのではと思い、声を掛ける。
「うん!マリアちゃん、とってもいい香りで夢の中にいるようだったよ!」
「オ、オトメさん!!」
オトメの言葉にマリアが真っ赤になる。
「あら、楽しんでいただけたようで何よりです。グレースさんはその様を覗いていたと...」
「このくらいで覗きだといっていたら、こいつらのお供はできない。サユリ殿もそのうち分かるだろう」
「まあ、まだ先が...私、楽しみになってきました!」
サユリはご機嫌のようだ。
「しかし、もう半分とはいかないまでも、かなり進んだな。この分だと、明後日にはキンリンに着くな!」
グレースはあまりの早さに驚いているようだ。
「このくらい普通ですよ!とにかくまずは部屋を取りませんか?...えっと...二人部屋を二つでしょうか...」
サユリは言うが、
「えっ、別に四人部屋でいいんじゃない!みんなの方が楽しいし...ねっ!マリアちゃん!」
「そうですね。四人部屋では何か不都合でも?」
マリアがサユリに聞くが、
「いえ、お二人がいいのでしたら...まあ、昼に十分お楽しみのようでしたからね!」
「「っっ!!」」
その言葉を聞いて赤くなるオトメとマリアであった。
・・・
部屋に着くと、サユリがオトメたちに聞いてくる。
「今日は疲れましたね!お風呂と食事どちらを先になさいますか?」
しかし、グレースが言った。
「サユリ殿はお疲れだと思うが、風呂の前に聞きたいことがある。それとできれば軽く稽古をつけて欲しいのだが、ダメだろうか?」
「それくらいでしたら構いませんが、グレースさんは十分、お強いのでは??」
「いや、気配を感じれば分かる。サユリ殿は私の道場の師範よりも強い!私では剣を当てることもできないだろう」
「えっ!サユリさんってそんなに強いの?もう年なのに...ってごめんなさい!サユリさんは十分若いです!!」
オトメが慌てて言い直す。
「ふふふ。気をつかわなくていいですよ!もう年なのは事実です。実際、後、何年生きられるか...ユメミルにもう一度会う決心がついたのもその為です」
「武道に年は関係ない!いくつになろうと自らを高めることができるのだ!サユリ殿は間違いなく強者!」
「強者は自分を強いとは思わないものですよ!まずそこからかもしれませんね...」
「面目ない...道場でも何度も注意されたのに...」
「ふふふ。若い証拠です!私には羨ましく思います...ところで、聞きたいことというのは?」
「ああ、サユリ殿はどのようにしてそれだけ速く走れるようになったのかと思ってな!」
「ああ、それでしたら、毎日、一キロずつ速く走れるまで練習するのです。今日が三十キロなら明日は三十一キロ、次は三十二キロ...」
「それ...理屈が通ってそうで不可能なヤツだから...」
オトメが思わず口を挟むが、グレースの反応は違った。
「なるほど!確かにそれなら時間をかければ私にもできそうだ!大切な奥義をお教えいただき、ありがたい!!」
「いや、だから不可能だって!いつか壁にぶち当たるよ!大体、自分の走ってる速度をどうやって測るの!!」
オトメがたまらずツッコむがグレースは何事もないかのように言う。
「何となく分かるだろう?なあ、サユリ殿」
「ええ、何となく分かります。どこかおかしな点でも?」
「...修行バカってみんなこうなのかな...」
オトメは自分には理解できない領域であることを悟った。
「では、稽古をつけてもらおうか!」
そう言って、二人は部屋を出て行った。
・・・
「いやぁ、為になった!やはり上級者に教わると得られるものが大きい!」
「私の拙い教えでも何かの足しになったのなら幸いです」
グレースたちはなんだかんだ言って二時間以上練習をしていたようだ。
「もう!遅い!お腹ペコペコだし体もベタベタで早く洗いたいよ!」
オトメはお冠だ。
「先に済ませていただいていて良かったのですが...大体、お風呂は二人だけで入るのでしょう?」
サユリが申し訳なさそうに言う。
「ち、違うよ!共同浴場だし...」
オトメが大慌てて否定する。でも、少し想像して頬が緩んでいる。
「あら、そうですか...てっきり洗いっこするのかと...もう、慣れっこですか?」
「あ、洗いっこ!!そんなことしたらマリアちゃんが...」
「そ、そうです!オトメさんの大事な...を...私なんかが...」
二人は大慌てで否定しながら相手の様子を窺う。
目が合った瞬間、二人は真っ赤になって俯いてしまった。
「まあ、お昼はあんなに大胆だったのに...今夜も私、楽しみにしています」
「「何もないから!!」」
二人は揃って言った。
・・・
次の朝、
「昨夜はお盛んでしたね!あんなに激しいとは私も思いませんでした!」
サユリはニコニコ顔だ。
「な、なんの話ですか!私たちは何もしてません!!ただ、ちょっと楽しい夢を...」
「そ、そうだよ!夢の中でマリアちゃんとちょっと遊んでただけだよ!決してやましい夢じゃ...」
またしても二人して反論する。
「何で二人で同じ夢を見れるかな...」
グレースだけがまともな感想を持っていたのだった。
船旅でサンプに着いた翌日、オトメたちは荷車を買い、サユリがそれを引こうとしていた。
荷車にはオトメたち三人が。体に縄を付け、荷車に括りつけてある。
「「「はい!」」」
緊張気味に返事をする三人。
グレースは荷車の端に、オトメはマリアに、マリアはオトメにしがみついていた。
「マリアちゃん!守ってあげるからね!」
「オトメさん...うれしい...」
マリアの頬が染まる。
「それ、あんまり意味ないんじゃ...」
グレースが『二人が抱き合っていても荷車から落ちるのを防ぐことはできない』と指摘するが、二人はそんなことはお構いなくうれしそうな顔をしている。
「まあ、いいか...二人が幸せなら...理由がないと抱き合うこともできないのか...」
グレースがため息を吐く。その瞬間、サユリが走り始めた。
「行きます!!」
ぐんぐんと加速していく荷車。やがてその車輪が地面から離れ、浮き始めた。
「これ、荷車が先に壊れるんじゃ...」
グレースは心配するが、オトメとマリアは、
「キャ~~~!!恐いです!オトメさん!」
「マリアちゃんの胸が顔に押し付けられて...幸せ...」
「...こっちは大丈夫そうだな...」
この状況でもいちゃつく二人にあきれるしかないのであった。
「すごい!景色が飛んでいく!シンカンセンよりは遅いはずだが、体感ではこっちの方が速く感じる!」
グレースはその速度に感激していた。
やがて、三時間が経過し、休憩の為に道の駅に寄ることにする。
「歩いたら十日はかかる距離が...」
その早さにグレースは唖然とする。
オトメとマリアはと言うと、
「キャ~~~!!オトメさん!オトメさん!」
「マリアちゃん!大丈夫だよ!私にもっとしがみついて!!」
荷車が止まっているにも拘らず、二人で固く抱き合っていた。
「この二人はそっとしておいた方がいいでしょうか?」
サユリがやってきて、そう口にした。
「いや、まずいな。ギャラリーができてる...」
見ると騒ぎを聞きつけた冒険者が集まってきていた。
「おい!オトメ!師匠!もう荷車は動いてない!周りを見てみろ!」
グレースが大声を出す。
「マリアちゃん!大変!荷車が動いてないんだって!」
「そんな!オトメさん!最後にもっと強く抱きしめてください!」
「分かった!...ぐふふ、マリアちゃんの胸、最高...」
どさくさに紛れてオトメはマリアの胸を堪能していた。
そこでふとグレースと目が合う。
「ちょっと、グレースちゃん!荷車が止まってるんだよ!こっちを見てる暇なんて...ん?止まってる?」
オトメがふと我に返る。そして周囲の観客に気づいた。
みるみる赤くなるオトメ。そして、
「マリアちゃん!マリアちゃん!ちょっと周り見て!」
急いでマリアに声を掛ける。
「いや~~!!オトメさん!離れないで!死んじゃ...えっ!」
マリアも周りの視線に気づいたようだ。
「なんで?荷車は止まっているはずじゃ...止まって?!」
マリアも状況を理解したようだ。
マリアは極度の恥ずかしがりである。もはやそれは限界を超えてしまった。
「え~~~ん!あたち、もうダメ!いっそのことみんなの前でムチャクチャにして~~!!」
「えっ!ム、ムチャクチャに...」
幼児返りしてとんでもないことを言い出すマリアと、その言葉に理性が崩壊寸前のオトメ。
何とか、悲劇は食い止められたものの、二人の名は変態カップルとして有名になってしまった。
そして道の駅では...
「な、なんでこんなことに...私、もう人前に出られない...」
「大丈夫!私だけを見て生きていけばいいよ!」
もう消えてなくなりたいマリアと、それをいいことにマリアを独り占めしようとするオトメがいた。
「あらあら、楽しいお二人ですね!昔を思い出します」
「サユリ殿は意外と腹黒だな...この状況を結構、楽しんでる...」
やがて、遅い昼食も済み、マリアの精神も落ち着いたころ、サユリが話し出した。
「もう二、三時間走りましょうか?それで今日は終わりにしましょう!」
「そうだな!二人とも人目には気をつけてくれよ!私まで恥ずかしい...」
グレースがオトメたちに注意する。
「そうですね。服がこんなに皺に...どうしましょう...」
「走ってる間は脱げばいいんだよ!どうせ誰も見れないし!」
オトメが常識外れな提案をする。しかし、
「そ、そしたら下着姿で抱き合うことに...で、でも『先か後かの問題』ですし...」
「そうそう...よ、良かったら、下着も汚れるから、その...外すとか...」
「えっ!...オトメさんさえ良かったら...」
赤くなり俯く二人。
「お前ら、私の言った意味、分かってるか?」
何とかその案を却下したグレースだった...
「本当に面白いですね!一緒に旅ができて楽しいです!」
サユリは一人、ニコニコしていた。
・・・
そしてオトメたちはまた三時間、荷車に乗り、キンリンを目指した。
オトメはマリアの胸を思う存分楽しみ、
マリアはオトメが喜んでいる様を見て自分も幸せになり、
グレースはそんな二人を微笑ましく見守るのであった。
そして、道の駅に着く。
「どうでしたか?」
サユリはオトメたちが疲れているのではと思い、声を掛ける。
「うん!マリアちゃん、とってもいい香りで夢の中にいるようだったよ!」
「オ、オトメさん!!」
オトメの言葉にマリアが真っ赤になる。
「あら、楽しんでいただけたようで何よりです。グレースさんはその様を覗いていたと...」
「このくらいで覗きだといっていたら、こいつらのお供はできない。サユリ殿もそのうち分かるだろう」
「まあ、まだ先が...私、楽しみになってきました!」
サユリはご機嫌のようだ。
「しかし、もう半分とはいかないまでも、かなり進んだな。この分だと、明後日にはキンリンに着くな!」
グレースはあまりの早さに驚いているようだ。
「このくらい普通ですよ!とにかくまずは部屋を取りませんか?...えっと...二人部屋を二つでしょうか...」
サユリは言うが、
「えっ、別に四人部屋でいいんじゃない!みんなの方が楽しいし...ねっ!マリアちゃん!」
「そうですね。四人部屋では何か不都合でも?」
マリアがサユリに聞くが、
「いえ、お二人がいいのでしたら...まあ、昼に十分お楽しみのようでしたからね!」
「「っっ!!」」
その言葉を聞いて赤くなるオトメとマリアであった。
・・・
部屋に着くと、サユリがオトメたちに聞いてくる。
「今日は疲れましたね!お風呂と食事どちらを先になさいますか?」
しかし、グレースが言った。
「サユリ殿はお疲れだと思うが、風呂の前に聞きたいことがある。それとできれば軽く稽古をつけて欲しいのだが、ダメだろうか?」
「それくらいでしたら構いませんが、グレースさんは十分、お強いのでは??」
「いや、気配を感じれば分かる。サユリ殿は私の道場の師範よりも強い!私では剣を当てることもできないだろう」
「えっ!サユリさんってそんなに強いの?もう年なのに...ってごめんなさい!サユリさんは十分若いです!!」
オトメが慌てて言い直す。
「ふふふ。気をつかわなくていいですよ!もう年なのは事実です。実際、後、何年生きられるか...ユメミルにもう一度会う決心がついたのもその為です」
「武道に年は関係ない!いくつになろうと自らを高めることができるのだ!サユリ殿は間違いなく強者!」
「強者は自分を強いとは思わないものですよ!まずそこからかもしれませんね...」
「面目ない...道場でも何度も注意されたのに...」
「ふふふ。若い証拠です!私には羨ましく思います...ところで、聞きたいことというのは?」
「ああ、サユリ殿はどのようにしてそれだけ速く走れるようになったのかと思ってな!」
「ああ、それでしたら、毎日、一キロずつ速く走れるまで練習するのです。今日が三十キロなら明日は三十一キロ、次は三十二キロ...」
「それ...理屈が通ってそうで不可能なヤツだから...」
オトメが思わず口を挟むが、グレースの反応は違った。
「なるほど!確かにそれなら時間をかければ私にもできそうだ!大切な奥義をお教えいただき、ありがたい!!」
「いや、だから不可能だって!いつか壁にぶち当たるよ!大体、自分の走ってる速度をどうやって測るの!!」
オトメがたまらずツッコむがグレースは何事もないかのように言う。
「何となく分かるだろう?なあ、サユリ殿」
「ええ、何となく分かります。どこかおかしな点でも?」
「...修行バカってみんなこうなのかな...」
オトメは自分には理解できない領域であることを悟った。
「では、稽古をつけてもらおうか!」
そう言って、二人は部屋を出て行った。
・・・
「いやぁ、為になった!やはり上級者に教わると得られるものが大きい!」
「私の拙い教えでも何かの足しになったのなら幸いです」
グレースたちはなんだかんだ言って二時間以上練習をしていたようだ。
「もう!遅い!お腹ペコペコだし体もベタベタで早く洗いたいよ!」
オトメはお冠だ。
「先に済ませていただいていて良かったのですが...大体、お風呂は二人だけで入るのでしょう?」
サユリが申し訳なさそうに言う。
「ち、違うよ!共同浴場だし...」
オトメが大慌てて否定する。でも、少し想像して頬が緩んでいる。
「あら、そうですか...てっきり洗いっこするのかと...もう、慣れっこですか?」
「あ、洗いっこ!!そんなことしたらマリアちゃんが...」
「そ、そうです!オトメさんの大事な...を...私なんかが...」
二人は大慌てで否定しながら相手の様子を窺う。
目が合った瞬間、二人は真っ赤になって俯いてしまった。
「まあ、お昼はあんなに大胆だったのに...今夜も私、楽しみにしています」
「「何もないから!!」」
二人は揃って言った。
・・・
次の朝、
「昨夜はお盛んでしたね!あんなに激しいとは私も思いませんでした!」
サユリはニコニコ顔だ。
「な、なんの話ですか!私たちは何もしてません!!ただ、ちょっと楽しい夢を...」
「そ、そうだよ!夢の中でマリアちゃんとちょっと遊んでただけだよ!決してやましい夢じゃ...」
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