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Panic 50. おうちに帰りたい
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「な、なんで?!今まで通り、ここで暮らさせてくれるんじゃ...」
信じられない様子のジュン。
「だって...マコリンと...その...二人だけじゃないとできないこともあるでしょ!」
ポワンが頬を染めながら口にした言葉に、
「も、もう!ポワンったら!」
マコリンは恥ずかしそうにしている。
「もちろん、その時は出ていく!声が聞こえない遠いところに...」
ジュンが必死で、問題ないことをアピールしてくるが、
「24時間?」
ポワンにそう言われてしまう。
「へっ?」
なんのことか分からず、間抜けな声を出してしまったジュンに対し、
「だから、ポワンたちは24時間、二人っきりじゃないとできないことをするの!!」
ポワンは大きな声で説明した。
「ポ、ポワン!!」
マコリンは真っ赤になっているが、
「そ、そんな~~~~~!!せめて、寝るところとご飯だけでも...」
ジュンが泣きそうな声で頼み込むと、
「ま、まあ、家は遠く離れたところにでも建てたら?ゴレムンならすぐでしょ!...ご飯はコドランで運べば...」
マコリンは可愛そうに思ったのか、対策を立ててあげた。
「仕様がないなぁ~~~!」
ポワンも同意してくれたようだ。しかし、
「でも、一生、ここで...」
悲しそうなジュン。
それをしばらく見ていたマコリンだったが、
「う~~~~~ん...そうね!私も戻りたいわ!なんとかならないかしら?」
ふと、口にする。
「そうだね...ホント言うと...お父様や使用人のみんなや学校のみんなにも、また会いたい!!」
ポワンもそう答えた。
「しかし、方法が...」
それに対し、降参とばかりに、ジュンが頭を垂れるが、
「そうね...もう一度、パスワードを見せて!」
マコリンがジュンにお願いする。
「構わんが...」
「う~~~ん...」
ジュンが渡してきたメモを手に、マコリンが頭をひねっていると、
(書き間違えたんじゃどうしようも...待てよ!)
ある可能性が頭に浮かぶ。
(書き間違えたんじゃなくて、読み間違えたのなら!!)
それは有り得ることだった。
128文字ともなると、似たような文字を読み間違えたとしても不思議ではない。
(例えば、『1』と『l』。他には『p』と『q』とか!でもこれだけあると...)
紛らわしい文字はたくさんあった。
全てのパターンを確かめるわけにはいかない。
「ちなみにパスワードは何回、間違えてもいいの?」
マコリンの問いに、
「いや、3回間違えるとロックがかかる。そうなったら本部に持っていくしかない!」
ジュンはそう答えた。
「そっか...」
しかし、不思議とマコリンには確信があった。
(きっとこれが原因!どこを読み間違えたか、分かりさえすれば!...でもどうやって...)
しばらく考えていたマコリンだったが、
「そうだ!良かったら、パスワードを読み上げてもらえるかしら?」
そんなことをジュンに頼む。
「読み上げる?別に構わないが...」
ジュンは不思議そうな顔をしながらも、パスワードを読み上げ始めた。
「cFlNyPxkUXn05DRk...」
マコリンはメモ帳の文字と見比べていく。やがて、
「...IUq4IXXnUS8z2d」
そこまで読んだところで、
「ちょっと待って!」
マコリンがジュンを止めた。
「どうした?」
ジュンの問いかけに、
「そこ、『d』じゃなくて『b』...」
マコリンが指摘する。
「あっ!ホントだ!」
驚いた声を出したジュンが、間違えた箇所を凝視している。
「そこを入力し間違えたのかも!」
マコリンは推測するが、
「しかし、そうだという保証も...もう2回間違えているので、これが失敗すると...」
ジュンは少し怖いようだ。しかし、
「とりあえず、最後まで合わせましょ!」
マコリンの言葉に、
「そうだな...87VKb965UFCFSx6r...」
ジュンは続きを読み上げだした。
「ふう、お疲れさま!」
マコリンが、最後まで読み終えたジュンをいたわる。
「結局、さっきの一箇所だけだったわね!」
そして、メモ帳を見返しながら、うなずいているマコリン。
「本当にもう1回試すのか?」
ジュンは心配そうだ。
「きっと大丈夫よ!」
マコリンが笑いかけると、
「うん!ポワンもそう思う!」
ポワンも同意する。
「お気楽なヤツらだなぁ...まあ、いいか!何もしなければ可能性はゼロだしな!」
ジュンは二人に呆れていたが、再び解除の操作をすることに決めたようだ。端末を触り始める。
<ピッ!ピッ!>
電子音の後に、
「パスワードを入力してください!」
端末が入力を要請する。
「慎重にね!」
マコリンの言葉に、
「分かっている!」
ジュンはそう答えると、一字一字、丁寧に入力しだした。
やがて、先程、読み間違えた場所に来る。
「『d』じゃなくて『b』と...」
ジュンは何度も確認した後、続きを入力していった。
そして最後の一文字を入れると、
「ふう...」
深呼吸をするジュン。そして、
「行くぞ!!」
気合を入れた声を出すと、『実行』ボタンを叩く。
「パスワード確認中...」
端末の処理が、やけに長く感じる。
<ドクン...ドクン...>
3人の鼓動が聞こえてきそうだった。
そして、ついにその瞬間が来る。
「確認終了!ゲートを封じる結界を解除します!」
端末の声に、
「「「やった~~~~~!!」」」
3人は手を取り合って喜んだ。
しばらくして、
「では、私は一度、自分の世界に帰る!」
そう言うと、ジュンは端末でゲートを作成する。
その様子を見ていたマコリンだったが、
「そっちはパスワードはいらないのね!」
ふと、気が付いたように尋ねる。
「ああ!こっちは生体認証だけでいける!そうでないと不便だからな!」
ジュンの答えに、
「そりゃそっか!もう間違えないでね!」
マコリンが笑うと、
「ああ!今回は...その...助かった!礼を言う!」
ジュンが照れくさそうに頭を下げた。
「いいわよ!その代わり、もうポワンのことはほっといてくれる?」
マコリンが少しの期待とともにお願いすると、
「...考えておく...」
ジュンはそれだけを口にした。
「えぇぇ~~~~~!!堅物!!礼儀知らず!!」
ポワンが責めるが、
「大丈夫よ!もうちょっかいは出してこないわ!ねぇ?」
マコリンがジュンの心を見透かすように言うと、
「ふん!」
ジュンは顔を横に向け、渦の中に消えていった。
「私たちも帰りましょうか?」
「うん!」
ジュンがいなくなったことを確認したマコリンが、ポワンに声をかける。
ポワンは家の外に飛び出すと、仲間たちに大きな声で告げた。
「みんな!またマコリンのお家に帰れるよ!」
その言葉に、
<ピィィ~~~~~!>
「やった~~~~~!!」
コドランもコビトンもゴレムンもオークックンもオリヅルンも、大喜びするのだった。
信じられない様子のジュン。
「だって...マコリンと...その...二人だけじゃないとできないこともあるでしょ!」
ポワンが頬を染めながら口にした言葉に、
「も、もう!ポワンったら!」
マコリンは恥ずかしそうにしている。
「もちろん、その時は出ていく!声が聞こえない遠いところに...」
ジュンが必死で、問題ないことをアピールしてくるが、
「24時間?」
ポワンにそう言われてしまう。
「へっ?」
なんのことか分からず、間抜けな声を出してしまったジュンに対し、
「だから、ポワンたちは24時間、二人っきりじゃないとできないことをするの!!」
ポワンは大きな声で説明した。
「ポ、ポワン!!」
マコリンは真っ赤になっているが、
「そ、そんな~~~~~!!せめて、寝るところとご飯だけでも...」
ジュンが泣きそうな声で頼み込むと、
「ま、まあ、家は遠く離れたところにでも建てたら?ゴレムンならすぐでしょ!...ご飯はコドランで運べば...」
マコリンは可愛そうに思ったのか、対策を立ててあげた。
「仕様がないなぁ~~~!」
ポワンも同意してくれたようだ。しかし、
「でも、一生、ここで...」
悲しそうなジュン。
それをしばらく見ていたマコリンだったが、
「う~~~~~ん...そうね!私も戻りたいわ!なんとかならないかしら?」
ふと、口にする。
「そうだね...ホント言うと...お父様や使用人のみんなや学校のみんなにも、また会いたい!!」
ポワンもそう答えた。
「しかし、方法が...」
それに対し、降参とばかりに、ジュンが頭を垂れるが、
「そうね...もう一度、パスワードを見せて!」
マコリンがジュンにお願いする。
「構わんが...」
「う~~~ん...」
ジュンが渡してきたメモを手に、マコリンが頭をひねっていると、
(書き間違えたんじゃどうしようも...待てよ!)
ある可能性が頭に浮かぶ。
(書き間違えたんじゃなくて、読み間違えたのなら!!)
それは有り得ることだった。
128文字ともなると、似たような文字を読み間違えたとしても不思議ではない。
(例えば、『1』と『l』。他には『p』と『q』とか!でもこれだけあると...)
紛らわしい文字はたくさんあった。
全てのパターンを確かめるわけにはいかない。
「ちなみにパスワードは何回、間違えてもいいの?」
マコリンの問いに、
「いや、3回間違えるとロックがかかる。そうなったら本部に持っていくしかない!」
ジュンはそう答えた。
「そっか...」
しかし、不思議とマコリンには確信があった。
(きっとこれが原因!どこを読み間違えたか、分かりさえすれば!...でもどうやって...)
しばらく考えていたマコリンだったが、
「そうだ!良かったら、パスワードを読み上げてもらえるかしら?」
そんなことをジュンに頼む。
「読み上げる?別に構わないが...」
ジュンは不思議そうな顔をしながらも、パスワードを読み上げ始めた。
「cFlNyPxkUXn05DRk...」
マコリンはメモ帳の文字と見比べていく。やがて、
「...IUq4IXXnUS8z2d」
そこまで読んだところで、
「ちょっと待って!」
マコリンがジュンを止めた。
「どうした?」
ジュンの問いかけに、
「そこ、『d』じゃなくて『b』...」
マコリンが指摘する。
「あっ!ホントだ!」
驚いた声を出したジュンが、間違えた箇所を凝視している。
「そこを入力し間違えたのかも!」
マコリンは推測するが、
「しかし、そうだという保証も...もう2回間違えているので、これが失敗すると...」
ジュンは少し怖いようだ。しかし、
「とりあえず、最後まで合わせましょ!」
マコリンの言葉に、
「そうだな...87VKb965UFCFSx6r...」
ジュンは続きを読み上げだした。
「ふう、お疲れさま!」
マコリンが、最後まで読み終えたジュンをいたわる。
「結局、さっきの一箇所だけだったわね!」
そして、メモ帳を見返しながら、うなずいているマコリン。
「本当にもう1回試すのか?」
ジュンは心配そうだ。
「きっと大丈夫よ!」
マコリンが笑いかけると、
「うん!ポワンもそう思う!」
ポワンも同意する。
「お気楽なヤツらだなぁ...まあ、いいか!何もしなければ可能性はゼロだしな!」
ジュンは二人に呆れていたが、再び解除の操作をすることに決めたようだ。端末を触り始める。
<ピッ!ピッ!>
電子音の後に、
「パスワードを入力してください!」
端末が入力を要請する。
「慎重にね!」
マコリンの言葉に、
「分かっている!」
ジュンはそう答えると、一字一字、丁寧に入力しだした。
やがて、先程、読み間違えた場所に来る。
「『d』じゃなくて『b』と...」
ジュンは何度も確認した後、続きを入力していった。
そして最後の一文字を入れると、
「ふう...」
深呼吸をするジュン。そして、
「行くぞ!!」
気合を入れた声を出すと、『実行』ボタンを叩く。
「パスワード確認中...」
端末の処理が、やけに長く感じる。
<ドクン...ドクン...>
3人の鼓動が聞こえてきそうだった。
そして、ついにその瞬間が来る。
「確認終了!ゲートを封じる結界を解除します!」
端末の声に、
「「「やった~~~~~!!」」」
3人は手を取り合って喜んだ。
しばらくして、
「では、私は一度、自分の世界に帰る!」
そう言うと、ジュンは端末でゲートを作成する。
その様子を見ていたマコリンだったが、
「そっちはパスワードはいらないのね!」
ふと、気が付いたように尋ねる。
「ああ!こっちは生体認証だけでいける!そうでないと不便だからな!」
ジュンの答えに、
「そりゃそっか!もう間違えないでね!」
マコリンが笑うと、
「ああ!今回は...その...助かった!礼を言う!」
ジュンが照れくさそうに頭を下げた。
「いいわよ!その代わり、もうポワンのことはほっといてくれる?」
マコリンが少しの期待とともにお願いすると、
「...考えておく...」
ジュンはそれだけを口にした。
「えぇぇ~~~~~!!堅物!!礼儀知らず!!」
ポワンが責めるが、
「大丈夫よ!もうちょっかいは出してこないわ!ねぇ?」
マコリンがジュンの心を見透かすように言うと、
「ふん!」
ジュンは顔を横に向け、渦の中に消えていった。
「私たちも帰りましょうか?」
「うん!」
ジュンがいなくなったことを確認したマコリンが、ポワンに声をかける。
ポワンは家の外に飛び出すと、仲間たちに大きな声で告げた。
「みんな!またマコリンのお家に帰れるよ!」
その言葉に、
<ピィィ~~~~~!>
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