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3章 脱出Escape
第18話 血ノ鬼 Vampirus Rubra
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ヘルメリア帝国 北東部
峡谷の谷間にある風の荒れ狂う街 ドンクリフ
「――ん」
石作りの重くるしい天井が目に入った。
「ここは 俺は」
体は重くて動かないが、石造りの部屋の中だ。
こちらの世界に来てからは初めて見るな。
「おー 目が覚めたかい。
美人さん2人を呼んでくるねー。」
おばあさんが俺に注射をしていた。
「は はぁ。」
おばあさんがにっこり笑い部屋を出ていく。
すごいな、注射があったのか。
この街だけなのかもしれないが、魔具<ガイスト>の文明ってのも凄いもんだな。
(小僧 我を 我をこんなところに置くなっ!!!
聞こえぬかぁぁああああっ!!!!)
(小僧 腰を 我が腰を直せ!)
「―――これは」
インドラが特殊な紙にぐるぐる巻きにされていた。
「うるせーな。」
頭の中でガンガン吠えるな。
俺が紙をさっとほどいてやると。
(よし 良いぞ。)
パチッとインドラが静電気を放つ。
意味もなく放電したんだろうな、それで封じられていたわけか。
ついでにアシュヴァルの割れている部分をぐっと引っ付けて手近にあったテープを巻く。
(あでででっ だが良いぞ。
これで自己修復していける。)
自己修復とかあるのか、高機能だな。
まるで生き物みたいだ。
「はぁっ。」
寝すぎていたせいか、少し力を入れただけで呼吸が上がる。
ひどいもんだな。
「――っ! サトー!!!」
エルが部屋に入ってきた。
「エル」
エルが俺を抱きしめる。
「生きてて良かった。
目を覚まさないかと思って
ずっと」
「へっ 元気そうじゃねぇか。」
ヴィヴが俺の体をエルの上から抱きしめる。
大きい手が温かい。
「2人供 目の下にくまで美人が台無しだ。」
思わず俺も涙ぐんでしまう。
あの後、2人で何とか脱出してくれたんだろう。
完全に足手まといの俺を連れて。
「目を覚ましたか。転生者 サトー」
ピンク髪の女が部屋に入ってくる。
「――あなたは」
「この人が私達を助けてくれた
エヴァネスさんよ。」
「ありがとうございました。
命の恩人ですね。」
「ーーあぁ。だが感動の再開のところすまないが、
本題に入ろう。」
ピンク髪の女が椅子に腰かける。
「エヴァネスさん サトーは悪い転生者じゃないわ。
だから」
「分かっている。
まずは私からも礼を言おう。
君たちが囮として活躍してくれたおかげで
我々は巨大砲<アロディヌス>の全砲門の停止が完了した。
ひとまず国難は去った。」
「じゃあ囮として1つ教えてほしいんだが、
あの大男と赤いドレスの女について何か知ってるか。」
「えぇ。こちらの諜報機関で把握している範囲なら情報共有できる。
クラリス」
「はーい。」
部屋に赤髪の少女が入ってくる。
「クラリスちゃんもサトーの看病を手伝ってくれたのよ。」
エルがクラリスと呼ばれた少女の頭を撫でる。
「えへへっ
はい、ヴィヴさん」
太い紙ファイルの束をヴィヴに手渡す。
「へー よく調べてんなぁ。」
「転生者が万が一にも国内に入った場合に
魔装課の00部隊と私達で対処しなきゃいけないからね。」
「00部隊?」
「――クラリス それ機密よ。」
「あっ ごめんなさい。」
「実在しただんだな。
転生者や国際テロ組織の構成員を秘密裡に抹殺する
殺しのスペシャリスト集団ってやつで
帝国のフィクションには時々出てくるんだぜ。」
ヴィヴが得意げに語る。
「えへへ、実際の人たちの方が怖いよ。魔具<ガイスト>なしでも化け物だし。」
「クラリス~」
エヴァネスさんがクラリスのほっぺをつかんで両側にひっぱる。
「うぇーごめんなさーい。」
「ごほんっ、
次に私達の状況とこれからの作戦の展開エリアについて教える。
君たちが私達の作戦エリアの北側に侵入しないように ね。」
「!」
エヴァネスの体から赤いオーラが放たれる。
「まずは私達の状況だけど
巨大砲<アロディヌス>の脅威が去ったとはいえ、
隣の同盟国が不法なテロリストに占拠、軍が掌握されている状況を見過ごすわけにはいけないわ。
そこで連邦の元首相と契約を結んで奴らの排除と軍事政権の打破に向けて動いているわ。」
「おいおい 生きてたのかよ。
グランテラで襲撃されたって聞いたけどな。」
「この街にいるし~、後で面会してくるといいよ~」
「本来は連邦の内政に帝国が干渉するとアルテニアが黙っていないのだけど
アルテニアの方とも元首相が交渉しててね
期限付きで帝国軍の一部が連邦内で活動することを許されている。」
「――さらっとすげぇこと言ったぞ。」「えぇ」
ヴィヴとエルが深刻そうな顔でうなづく。
「それで次の作戦のエリアだが
中心都市 グランテラを中心として
連邦の軍が展開しているエリア全域だ。
ただし砦の防備が固いフォルグランディアは対象外として展開する。」
「連邦の北西部全域ね。かなり広い。」
「君たちには決してフォルグランディアに戻ることがないようにね。
どうやら転生者達は君を殺すのも重要目的の1つのようだし。」
「――はい。」
実際、今の状態であの2人と戦っても結果は同じだろう。
圧倒的に力が足りない。
あの大男の最後の一撃からしてインドラの力を常時解放出来たとしても恐らく互角だろう。
「物分かりが良くて助かるよ。
それと1つ助言をすると君たちは戦闘用の魔具<ガイスト>の力を引き出せていない。
きっかけはこの街で掴めると思うから探してみるといいよ。」
「燃えるじゃねぇか。まだ強くなれるんだな。」
ヴィヴが拳を鳴らし、エルが俺を見て頷く。
「あぁ。」
峡谷の谷間にある風の荒れ狂う街 ドンクリフ
「――ん」
石作りの重くるしい天井が目に入った。
「ここは 俺は」
体は重くて動かないが、石造りの部屋の中だ。
こちらの世界に来てからは初めて見るな。
「おー 目が覚めたかい。
美人さん2人を呼んでくるねー。」
おばあさんが俺に注射をしていた。
「は はぁ。」
おばあさんがにっこり笑い部屋を出ていく。
すごいな、注射があったのか。
この街だけなのかもしれないが、魔具<ガイスト>の文明ってのも凄いもんだな。
(小僧 我を 我をこんなところに置くなっ!!!
聞こえぬかぁぁああああっ!!!!)
(小僧 腰を 我が腰を直せ!)
「―――これは」
インドラが特殊な紙にぐるぐる巻きにされていた。
「うるせーな。」
頭の中でガンガン吠えるな。
俺が紙をさっとほどいてやると。
(よし 良いぞ。)
パチッとインドラが静電気を放つ。
意味もなく放電したんだろうな、それで封じられていたわけか。
ついでにアシュヴァルの割れている部分をぐっと引っ付けて手近にあったテープを巻く。
(あでででっ だが良いぞ。
これで自己修復していける。)
自己修復とかあるのか、高機能だな。
まるで生き物みたいだ。
「はぁっ。」
寝すぎていたせいか、少し力を入れただけで呼吸が上がる。
ひどいもんだな。
「――っ! サトー!!!」
エルが部屋に入ってきた。
「エル」
エルが俺を抱きしめる。
「生きてて良かった。
目を覚まさないかと思って
ずっと」
「へっ 元気そうじゃねぇか。」
ヴィヴが俺の体をエルの上から抱きしめる。
大きい手が温かい。
「2人供 目の下にくまで美人が台無しだ。」
思わず俺も涙ぐんでしまう。
あの後、2人で何とか脱出してくれたんだろう。
完全に足手まといの俺を連れて。
「目を覚ましたか。転生者 サトー」
ピンク髪の女が部屋に入ってくる。
「――あなたは」
「この人が私達を助けてくれた
エヴァネスさんよ。」
「ありがとうございました。
命の恩人ですね。」
「ーーあぁ。だが感動の再開のところすまないが、
本題に入ろう。」
ピンク髪の女が椅子に腰かける。
「エヴァネスさん サトーは悪い転生者じゃないわ。
だから」
「分かっている。
まずは私からも礼を言おう。
君たちが囮として活躍してくれたおかげで
我々は巨大砲<アロディヌス>の全砲門の停止が完了した。
ひとまず国難は去った。」
「じゃあ囮として1つ教えてほしいんだが、
あの大男と赤いドレスの女について何か知ってるか。」
「えぇ。こちらの諜報機関で把握している範囲なら情報共有できる。
クラリス」
「はーい。」
部屋に赤髪の少女が入ってくる。
「クラリスちゃんもサトーの看病を手伝ってくれたのよ。」
エルがクラリスと呼ばれた少女の頭を撫でる。
「えへへっ
はい、ヴィヴさん」
太い紙ファイルの束をヴィヴに手渡す。
「へー よく調べてんなぁ。」
「転生者が万が一にも国内に入った場合に
魔装課の00部隊と私達で対処しなきゃいけないからね。」
「00部隊?」
「――クラリス それ機密よ。」
「あっ ごめんなさい。」
「実在しただんだな。
転生者や国際テロ組織の構成員を秘密裡に抹殺する
殺しのスペシャリスト集団ってやつで
帝国のフィクションには時々出てくるんだぜ。」
ヴィヴが得意げに語る。
「えへへ、実際の人たちの方が怖いよ。魔具<ガイスト>なしでも化け物だし。」
「クラリス~」
エヴァネスさんがクラリスのほっぺをつかんで両側にひっぱる。
「うぇーごめんなさーい。」
「ごほんっ、
次に私達の状況とこれからの作戦の展開エリアについて教える。
君たちが私達の作戦エリアの北側に侵入しないように ね。」
「!」
エヴァネスの体から赤いオーラが放たれる。
「まずは私達の状況だけど
巨大砲<アロディヌス>の脅威が去ったとはいえ、
隣の同盟国が不法なテロリストに占拠、軍が掌握されている状況を見過ごすわけにはいけないわ。
そこで連邦の元首相と契約を結んで奴らの排除と軍事政権の打破に向けて動いているわ。」
「おいおい 生きてたのかよ。
グランテラで襲撃されたって聞いたけどな。」
「この街にいるし~、後で面会してくるといいよ~」
「本来は連邦の内政に帝国が干渉するとアルテニアが黙っていないのだけど
アルテニアの方とも元首相が交渉しててね
期限付きで帝国軍の一部が連邦内で活動することを許されている。」
「――さらっとすげぇこと言ったぞ。」「えぇ」
ヴィヴとエルが深刻そうな顔でうなづく。
「それで次の作戦のエリアだが
中心都市 グランテラを中心として
連邦の軍が展開しているエリア全域だ。
ただし砦の防備が固いフォルグランディアは対象外として展開する。」
「連邦の北西部全域ね。かなり広い。」
「君たちには決してフォルグランディアに戻ることがないようにね。
どうやら転生者達は君を殺すのも重要目的の1つのようだし。」
「――はい。」
実際、今の状態であの2人と戦っても結果は同じだろう。
圧倒的に力が足りない。
あの大男の最後の一撃からしてインドラの力を常時解放出来たとしても恐らく互角だろう。
「物分かりが良くて助かるよ。
それと1つ助言をすると君たちは戦闘用の魔具<ガイスト>の力を引き出せていない。
きっかけはこの街で掴めると思うから探してみるといいよ。」
「燃えるじゃねぇか。まだ強くなれるんだな。」
ヴィヴが拳を鳴らし、エルが俺を見て頷く。
「あぁ。」
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