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君がいない六年間
兄弟になんてなりえない ※
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初めて暴力をふるって人を襲った後、二年に進級しても龍臣は同じことを繰り返していた。
幸いにも龍臣の犯してしまったことが社会に露呈することはなかった。それは相手が特にバックについているものもいない下層にいるチンピラたちで、いつも殴られ記憶がないことに加えて自分たちが負けたことを恥と感じ口をつぐんでいるからである。
殴られた後に自分たちの身体を体よく使われていることに気付いていない奴らだが、龍臣に負けたことははっきりとわかっているため、路地裏を通ると毎度のこと執拗に喧嘩を売ってくる。拓海のことを考えて虚しくなった時は、その場所に行き喧嘩を買って一方的に欲を発散させるのがここ半年ほどの龍臣の日常になっていた。
夏の暑さも落ち着いてきた秋口の夜、龍臣はその日も路地裏へ向かっていた。
「今度こそくたばれえっ」
そう言って柱の陰からバットを振り落としてきた男をよけて、その頬に拳を食らわせる。毎回毎回同じようなことを喚きながら殴りかかってくる男たちを、毎回毎回気絶させて犯させる。
いつものことだ。そうして欲を発散させた後感じる高揚感も、その後に襲ってくる父親に似た自分への虚無感も。
なにかの中毒者みたいだと自嘲しながら己の欲を高めていく。
その時だった。
「龍臣?」
聞きなれた声が、ずっと聞きたかった声が龍臣の名を呼んだ。
路地の入口に人影が立っている。逆光になっていて顔はよく見えないが、その人影が拓海であるという確信があった。影が近づいてきて、そのよく見慣れた目が龍臣の様子を見て大きく見開かれた。
なんてタイミングの悪い再会だろう。龍臣は目の前が真っ暗になった。
こんな状態の自分を見てもまだ、拓海は自分の方を優先し心配してくれる。その事実が嬉しいと共になんてことをしてしまったんだろうと今までの行動を初めて深く悔やんだ。
きっと見放されると思ったのに、拓海は呆然とした状態の龍臣を家まで連れて帰り風呂場に放り込んだ。
そのまま風呂に入らずに出ると優しい拓海はとても怒るだろう。コンドームはしていたが洗わないのも気持ちが悪くて、龍臣はシャワーを浴びて体を清潔にするとすぐに浴室から出た。
リビングへ向かうと拓海がソファの上に無防備に寝転がっていた。近づくとすうすうと規則的な寝息が聞こえてくる。
「…なんであんなの見た後に寝ちゃってんだよ」
床に膝を付けて顔を近づけても拓海が目覚める気配はない。どうせこのあと自分がしていたことを知ったらきっと嫌われる。
半ばやけになって拓海にそっと口付けた。柔らかい感触がして、何年も待ちわびていたそれにどうしようもなく高揚した。
数秒口付けて顔を上げても拓海は眠っている。起きる様子のないその寝顔をしばらく見つめていた。こんなに近くに拓海がいるのは久しぶりだ。
ずっとこんなに近い距離にいたい。でもきっと拓海の傍にいられるのは今日で最後だと思うと、ずっと自分を照らしていた道しるべが消えていくようで、未来が見えなくなっていくような感覚に陥る。
結局終わってしまう関係ならと、嫌な思考の波に流されるままにソファに横たわる拓海の身体を跨いだ。さっきまでチンピラのブツを入れていたからか、ほぐさなくてもまだ後孔は柔らかい。
勃たせた拓海の分身をゆっくりと自分の後孔に埋めていく。後戻りができない甘い罪悪感と興奮に龍臣は大きく息を吐いた。
しばらくゆっくりと腰を揺らしていると、拓海がようやく目を覚ました。そしてしばらくしてはっきりと状況を把握するとばたばたと暴れだした。
「な、何やってんだ、一旦抜け!」
「チッ、うるせえ」
思わず舌打ちが出てしまった。不良どもと接しているとこうなるからいけない、今まで自分の荒っぽい面は極力拓海に見せないように気を付けてきた。まあ今の状況で完全に今までの印象はぶち壊しだろうけど。
龍臣は拓海の両手を片手で抑え込み一層挿入を深め、動きを激しいものにした。拓海が起きたからか龍臣の中の陰茎は更に大きさが増して、龍臣の弱い場所を掠めてきた。
あげそうになった喘ぎ声を抑えながら拓海の様子を窺うと、拓海は口では抵抗しながらも体は動くのをやめている。両手は固定しているが全力で振りほどけば自分から逃げられるはずだ。それでも拓海が逃げないのは、龍臣が常日頃言われている“大事な幼馴染で弟みたいな存在”だからなのだろうか。
「拓にぃ、きもちいい?」
つい期待から言ってしまった言葉は、無言によって拒絶された。
龍臣の言葉を無視はするのに暴れて抵抗をすることはしない拓海の無責任な優しさに、酷く苛立った。無性にむなしくなって、前立腺をつく快感でそれをごまかす。
しばらくそうしていると、じっとこちらを見上げていた拓海がおもむろに自由になった腕を伸ばして龍臣を抱きしめた。昔何度もこうしてくれた拓海の腕の中、久々の感覚に喜ぶように龍臣の中が収縮し、我慢できずに二人同時に達した。
怒られると思った、嫌われて家から追い出されるとも。しかし拓海はそうしなかった。それどころか自分の今までの行為を話しても驚くだけで龍臣の身体の心配までしだす始末だ。加えてこれからの相手は自分だけにしとけと龍臣に言って、驚きすぎて寝たふりをした龍臣の前で無防備に寝入っている。
そんな態度を見ているとどんどんと欲が出て、駄目もとでシェアハウスを提案すると案外あっさりと承諾された。
誰にでもそんなに押しに弱いのかと自分が押している側ながら心配になった。身体を繋げたはずの龍臣をまるで意識していない振る舞いが許せなかったから、腰を引き寄せキスをして家を後にした。
今更公開したって遅い、龍臣が十年間内に秘めてきた思いが、沸騰と蒸発を繰り返してどんなに醜い形をしているか拓海は知らないだろう。
ー拓海、俺お前のこと兄弟みたいだなんて思ってないよ。
幸いにも龍臣の犯してしまったことが社会に露呈することはなかった。それは相手が特にバックについているものもいない下層にいるチンピラたちで、いつも殴られ記憶がないことに加えて自分たちが負けたことを恥と感じ口をつぐんでいるからである。
殴られた後に自分たちの身体を体よく使われていることに気付いていない奴らだが、龍臣に負けたことははっきりとわかっているため、路地裏を通ると毎度のこと執拗に喧嘩を売ってくる。拓海のことを考えて虚しくなった時は、その場所に行き喧嘩を買って一方的に欲を発散させるのがここ半年ほどの龍臣の日常になっていた。
夏の暑さも落ち着いてきた秋口の夜、龍臣はその日も路地裏へ向かっていた。
「今度こそくたばれえっ」
そう言って柱の陰からバットを振り落としてきた男をよけて、その頬に拳を食らわせる。毎回毎回同じようなことを喚きながら殴りかかってくる男たちを、毎回毎回気絶させて犯させる。
いつものことだ。そうして欲を発散させた後感じる高揚感も、その後に襲ってくる父親に似た自分への虚無感も。
なにかの中毒者みたいだと自嘲しながら己の欲を高めていく。
その時だった。
「龍臣?」
聞きなれた声が、ずっと聞きたかった声が龍臣の名を呼んだ。
路地の入口に人影が立っている。逆光になっていて顔はよく見えないが、その人影が拓海であるという確信があった。影が近づいてきて、そのよく見慣れた目が龍臣の様子を見て大きく見開かれた。
なんてタイミングの悪い再会だろう。龍臣は目の前が真っ暗になった。
こんな状態の自分を見てもまだ、拓海は自分の方を優先し心配してくれる。その事実が嬉しいと共になんてことをしてしまったんだろうと今までの行動を初めて深く悔やんだ。
きっと見放されると思ったのに、拓海は呆然とした状態の龍臣を家まで連れて帰り風呂場に放り込んだ。
そのまま風呂に入らずに出ると優しい拓海はとても怒るだろう。コンドームはしていたが洗わないのも気持ちが悪くて、龍臣はシャワーを浴びて体を清潔にするとすぐに浴室から出た。
リビングへ向かうと拓海がソファの上に無防備に寝転がっていた。近づくとすうすうと規則的な寝息が聞こえてくる。
「…なんであんなの見た後に寝ちゃってんだよ」
床に膝を付けて顔を近づけても拓海が目覚める気配はない。どうせこのあと自分がしていたことを知ったらきっと嫌われる。
半ばやけになって拓海にそっと口付けた。柔らかい感触がして、何年も待ちわびていたそれにどうしようもなく高揚した。
数秒口付けて顔を上げても拓海は眠っている。起きる様子のないその寝顔をしばらく見つめていた。こんなに近くに拓海がいるのは久しぶりだ。
ずっとこんなに近い距離にいたい。でもきっと拓海の傍にいられるのは今日で最後だと思うと、ずっと自分を照らしていた道しるべが消えていくようで、未来が見えなくなっていくような感覚に陥る。
結局終わってしまう関係ならと、嫌な思考の波に流されるままにソファに横たわる拓海の身体を跨いだ。さっきまでチンピラのブツを入れていたからか、ほぐさなくてもまだ後孔は柔らかい。
勃たせた拓海の分身をゆっくりと自分の後孔に埋めていく。後戻りができない甘い罪悪感と興奮に龍臣は大きく息を吐いた。
しばらくゆっくりと腰を揺らしていると、拓海がようやく目を覚ました。そしてしばらくしてはっきりと状況を把握するとばたばたと暴れだした。
「な、何やってんだ、一旦抜け!」
「チッ、うるせえ」
思わず舌打ちが出てしまった。不良どもと接しているとこうなるからいけない、今まで自分の荒っぽい面は極力拓海に見せないように気を付けてきた。まあ今の状況で完全に今までの印象はぶち壊しだろうけど。
龍臣は拓海の両手を片手で抑え込み一層挿入を深め、動きを激しいものにした。拓海が起きたからか龍臣の中の陰茎は更に大きさが増して、龍臣の弱い場所を掠めてきた。
あげそうになった喘ぎ声を抑えながら拓海の様子を窺うと、拓海は口では抵抗しながらも体は動くのをやめている。両手は固定しているが全力で振りほどけば自分から逃げられるはずだ。それでも拓海が逃げないのは、龍臣が常日頃言われている“大事な幼馴染で弟みたいな存在”だからなのだろうか。
「拓にぃ、きもちいい?」
つい期待から言ってしまった言葉は、無言によって拒絶された。
龍臣の言葉を無視はするのに暴れて抵抗をすることはしない拓海の無責任な優しさに、酷く苛立った。無性にむなしくなって、前立腺をつく快感でそれをごまかす。
しばらくそうしていると、じっとこちらを見上げていた拓海がおもむろに自由になった腕を伸ばして龍臣を抱きしめた。昔何度もこうしてくれた拓海の腕の中、久々の感覚に喜ぶように龍臣の中が収縮し、我慢できずに二人同時に達した。
怒られると思った、嫌われて家から追い出されるとも。しかし拓海はそうしなかった。それどころか自分の今までの行為を話しても驚くだけで龍臣の身体の心配までしだす始末だ。加えてこれからの相手は自分だけにしとけと龍臣に言って、驚きすぎて寝たふりをした龍臣の前で無防備に寝入っている。
そんな態度を見ているとどんどんと欲が出て、駄目もとでシェアハウスを提案すると案外あっさりと承諾された。
誰にでもそんなに押しに弱いのかと自分が押している側ながら心配になった。身体を繋げたはずの龍臣をまるで意識していない振る舞いが許せなかったから、腰を引き寄せキスをして家を後にした。
今更公開したって遅い、龍臣が十年間内に秘めてきた思いが、沸騰と蒸発を繰り返してどんなに醜い形をしているか拓海は知らないだろう。
ー拓海、俺お前のこと兄弟みたいだなんて思ってないよ。
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