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1章 牢獄編
セドリックvsクラフト
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僕たちは作戦通り、「石」がありそうな場所を求めて探索を開始し、モーランの私室を皮切りに、あらゆる部屋を隈なく探す。
だが、当初の想定とは異なり、ゼファーが要求していた「石」はどこにも見当たらなかった。
「あ、えと……ごめんなさい」
「謝るのは早計ですよ、ゼファーさん。僕たちにはネブラ様がついているんです。きっとどこかに石を用意してくださっていますよ」
とは言いつつも、僕は若干の焦りを感じていた。
ネブラ様はまだ僕に試練をお与えになるのであれば、まだいい。
しかし……ネブラ様に見放される事態になどなったら、僕は全てを呪って死んでしまうだろう。
「セドリック様、床に落ちているこの黄色い砂のようなものは何でしょう?」
ガロスの問いに、ゼファーが慌てて砂を拾い上げた。
「あぁ……石が、壊されちゃってる。この石がないと、僕、爆薬作れないのに……」
その言葉を聞き、僕は作戦が事実上の失敗に終わったことを理解した。
しかし同時に、石が「ここにあった」という事実は、ネブラ様が僕を見捨てていないことの証明でもあった。
僕はネブラ様の真意を理解したのだ。
――「爆薬などという小細工は不要だ、モーランを殺して武力を示せ」と、そう仰っているのだと。
「大丈夫ですよ。他の皆を納得させるために爆破を表向きの作戦にしただけで、元よりモーランは殺すつもりでしたから」
「でも、でも、僕が皆に嘘をついたことになっちゃって、申し訳な……」
「セドリック様が大丈夫と言ったんだ。安心しろ」
ガロスがゼファーの言葉を遮り、不器用ながらも彼を励ました。
作戦変更を周知させるため、僕らはそれぞれ第一から第三出口まで回ることに決定した。
その時だ。
――パァァァン!
強烈な破裂音が、第一出口の方向から響き渡った。
「モーランは第一出口にいるようですね」
「では、現状の作戦失敗と強行突破への切り替えを知らせてきます。セドリック様はラグを連れてきてください」
そう言い、ガロスは足早に第一出口の方に向かった。
ゼファーには第三出口の方に向かうよう指示して、残った一人にはガロスの後を追わせた。
しばらく地図を反芻しながら歩いていた、その時だった。曲がり角の先で、キラリと何かが光り、僕はとっさにポケットの中の煙幕を探る。
だが、敵と目が合う方が早かった。
左肩からだらだらと血を流した青年が、槍を構える。
怖いーーー
しかし、先ほどの初陣で失態を見せたばかりであり、これ以上ネブラ様に情けない所を見せるわけにもいかない。
僕は震える右手で剣を、左手で煙幕を握りしめた。
恐怖に硬直する僕と、肩の負傷で動きを制限されている敵。
一分ほど、死のような静寂が続いた。
やがて緊張が極限を超えて溶け、僕は背後の尻ポケットに煙幕を押し込むと、ライターで服ごと煙幕を炙る。
無論、敵も僕が動き出したのを察知したのか、一足一刀の間合いまでジリジリと近づいてくる。
敵の槍が僕の間合いに入った瞬間――
僕は無理やり煙幕を敵の槍へと押し付けた。
瞬間的な負荷が左肩の怪我に響いたのか、敵の槍先は明後日の方向を向き始め、それに合わせ僕は間合いを詰めて敵の腹部に剣を突き刺し――
そのまま、捻って剣を抜く。
戦いの終わりを告げるかのように、真っ白な煙が僕らを覆う。
まあ、一撃で終わらなかった時のために煙幕を付けていたが、すぐに終わった事に安堵して地面に座り込むと、妙にひんやりとした感覚に驚愕した。
尻部分を触ると、ズボンの一部が丸く焼け焦げてしまっている事に気づいた。
しかし……不思議な事に、火傷をしていない。
つまり、ネブラ様がこの戦いを見守ってくださっていたという事なのだろう。
僕は確かな高揚感とネブラ様へ感謝の意を示してから、敵のズボンを剥いで履く。
本当は彼も焼いてあげたいが、ライターで炙るのは非効率すぎると判断して、ラグのいる第二出口に向かう事にした。
だが、当初の想定とは異なり、ゼファーが要求していた「石」はどこにも見当たらなかった。
「あ、えと……ごめんなさい」
「謝るのは早計ですよ、ゼファーさん。僕たちにはネブラ様がついているんです。きっとどこかに石を用意してくださっていますよ」
とは言いつつも、僕は若干の焦りを感じていた。
ネブラ様はまだ僕に試練をお与えになるのであれば、まだいい。
しかし……ネブラ様に見放される事態になどなったら、僕は全てを呪って死んでしまうだろう。
「セドリック様、床に落ちているこの黄色い砂のようなものは何でしょう?」
ガロスの問いに、ゼファーが慌てて砂を拾い上げた。
「あぁ……石が、壊されちゃってる。この石がないと、僕、爆薬作れないのに……」
その言葉を聞き、僕は作戦が事実上の失敗に終わったことを理解した。
しかし同時に、石が「ここにあった」という事実は、ネブラ様が僕を見捨てていないことの証明でもあった。
僕はネブラ様の真意を理解したのだ。
――「爆薬などという小細工は不要だ、モーランを殺して武力を示せ」と、そう仰っているのだと。
「大丈夫ですよ。他の皆を納得させるために爆破を表向きの作戦にしただけで、元よりモーランは殺すつもりでしたから」
「でも、でも、僕が皆に嘘をついたことになっちゃって、申し訳な……」
「セドリック様が大丈夫と言ったんだ。安心しろ」
ガロスがゼファーの言葉を遮り、不器用ながらも彼を励ました。
作戦変更を周知させるため、僕らはそれぞれ第一から第三出口まで回ることに決定した。
その時だ。
――パァァァン!
強烈な破裂音が、第一出口の方向から響き渡った。
「モーランは第一出口にいるようですね」
「では、現状の作戦失敗と強行突破への切り替えを知らせてきます。セドリック様はラグを連れてきてください」
そう言い、ガロスは足早に第一出口の方に向かった。
ゼファーには第三出口の方に向かうよう指示して、残った一人にはガロスの後を追わせた。
しばらく地図を反芻しながら歩いていた、その時だった。曲がり角の先で、キラリと何かが光り、僕はとっさにポケットの中の煙幕を探る。
だが、敵と目が合う方が早かった。
左肩からだらだらと血を流した青年が、槍を構える。
怖いーーー
しかし、先ほどの初陣で失態を見せたばかりであり、これ以上ネブラ様に情けない所を見せるわけにもいかない。
僕は震える右手で剣を、左手で煙幕を握りしめた。
恐怖に硬直する僕と、肩の負傷で動きを制限されている敵。
一分ほど、死のような静寂が続いた。
やがて緊張が極限を超えて溶け、僕は背後の尻ポケットに煙幕を押し込むと、ライターで服ごと煙幕を炙る。
無論、敵も僕が動き出したのを察知したのか、一足一刀の間合いまでジリジリと近づいてくる。
敵の槍が僕の間合いに入った瞬間――
僕は無理やり煙幕を敵の槍へと押し付けた。
瞬間的な負荷が左肩の怪我に響いたのか、敵の槍先は明後日の方向を向き始め、それに合わせ僕は間合いを詰めて敵の腹部に剣を突き刺し――
そのまま、捻って剣を抜く。
戦いの終わりを告げるかのように、真っ白な煙が僕らを覆う。
まあ、一撃で終わらなかった時のために煙幕を付けていたが、すぐに終わった事に安堵して地面に座り込むと、妙にひんやりとした感覚に驚愕した。
尻部分を触ると、ズボンの一部が丸く焼け焦げてしまっている事に気づいた。
しかし……不思議な事に、火傷をしていない。
つまり、ネブラ様がこの戦いを見守ってくださっていたという事なのだろう。
僕は確かな高揚感とネブラ様へ感謝の意を示してから、敵のズボンを剥いで履く。
本当は彼も焼いてあげたいが、ライターで炙るのは非効率すぎると判断して、ラグのいる第二出口に向かう事にした。
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