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新たな冒険
プロローグ2
しおりを挟む天富も自分の自宅に着いたようでドアを開けて中に入ろうとする。
「ただいま~」
中は暗くなく台所には明かりはついており、誰かが足音を立てて玄関の方へと近寄る音が聞こえた。
「お兄ちゃんお帰り~」
居間のドアを開け玄関を覗いたのは
奏護の妹「天富 奏音」(あまとみ かなね)中学2年生である。
既に帰宅してスマホで何かしら動画でもサイトでも閲覧をしている
のであろうか、手に持って出迎えてきた。
そして奏音と奏護と一緒に居間に入った途端、台所から声がかかって来た
「あら、奏護、ヴァイオリンの練習どうだった?」
声を掛けてきたのは、奏護の母親だ。今は台所で夕飯の準備をしている。
台所からは良い匂いが漂ってくる、今日のご飯の内容を妄想してしまいそうだ。
「あぁ、いい出来だよ」
奏護は台所に向かい冷蔵庫のドアを開けお茶のボトルを取り出し、棚からコップを出して
お茶を注いだ。どうやら喉が渇いている様だ。
そして、そのお茶を注いだコップを手に自分の口元に近づける。
一気にお茶を流し込んだ。
「奏護、今度のコンクール、金賞取れそうか?今、前奏曲とアレグロの練習しているんだろ?」
居間でコーヒーを飲みながらテレビを見ているのは奏護の父親だ。
こう見えて、現ヴァイオリニストであり、学生時代は奏護も目指いしていた全日本コンクールに
予選で落ちた張本人である。
天富家はこう見えて先祖代々音楽一家であり、祖父も昔はヴァイオリンを弾いていたり
父母はピアノを弾いていたのである。父もヴァイオリンを弾き現在は楽団の一員として
はたまたコンサートマスターとしても活躍をしているヴァイオリニストだ。
「あぁ、難しいな、あの曲・・・第1ポジションから徐々にハイポジションに移動するあのフレーズが難しすぎる・・・」
前奏曲とアレグロには名前の通り前奏曲部分と後半の部分がある。アレグロは早くと言う意味だが、文字通り早く弾かなくては追いつけない部分がある、演奏者は苦労して練習するのだ。
「お父さんも昔は練習したもんだよ、まぁ、頑張りなさい、コンサート当日には観に行くから」
「(お父さんはプレッシャーをかけたいのか?)」
「お、おぉそうか、是非来てくれ・・・」
「(いや、来ないでくれ・・・)」
奏護は冗談なのか本気なのか分からないお父さんの提案に答えるも、飲み終わったコップを
机に置き、居間を出て自分の部屋へと繋がる階段を上る。
お父さんとして昔から見ていた奏護がどんな曲を弾くのか楽しみで仕方ないのだろう。
親とは自分の息子の成長を見て楽しむものなのだ。
自分の部屋を開け担いでいたバックとバイオリンを床に置き、着替えに入る。
ベッドには自分の使用しているADDが置いてある。
自分の意思を電脳世界に飛ばすことができる
「Awareness dwells in dreams」通称ADDである。
日本語に直すと(夢に意識が宿る)だ。
これの普及により、個人に一つずつ所持することが出来る様になった。
もちろん持たない者も中にはいる。
この器械を頭に被りベッドに寝て、右側にあるボタンを押すと
大体3~5秒後に電脳世界に飛ばされる。
この器械は夢と書いてあるが、実際は電脳世界であるのだ。
つまり、電脳世界でVR MMO RPG をすることが出来るのだ。
ここで展開されるゲームは様々な種類があり、スポーツからレース
もちろんRPGゲームから脳トレに至るまでのゲームが存在する。
奏護と千宙がプレイしているゲームタイトルが
ラニアケアオンライン、通称LKOと呼ばれている。
広大な宇宙を冒険するファンタジーゲームである。
色々ゲーム内の思い出が蘇るが今は母親が丹精込めて作ったご飯が先だ。
奏護は着替え終わり、自分の部屋のドアを開け、階段を下りて行った。
奏護は居間に顔を出す。
「今日の晩飯はな~んだ?」
「アジフライよ、それと、エビフライとフカヒレの唐揚げよ」
母親はもうそろそろ料理が終わりそうなのか、お皿に食べ物を乗せていた
奏護は先ほどお茶を飲んだコップを手に取り冷蔵庫からお茶を取り出し
またお茶を注いだ。そして一口お茶を飲む
「お兄ちゃん、お茶飲んでないで少しは手伝ってよ・・・」
そう言う奏音はご飯をよそったり、おかずをテーブルに並べたりしている。将来は良いお嫁さんになりそうだ。
「あぁ、疲れた・・・もう体が動かねー---後は頼んだ」
コップをテーブルに置いたと思えば若い男子がご飯を前にあり得ない言葉を吐いた。
「奏護、みっともないわよ、しゃきっとしなさい、そんなので演奏できるの??」
母親は料理を運びながら奏護に問いかける。
「今日はもう無理、飯食べたら風呂入って寝る」
学校でもヴァイオリンのを練習してきたのだ、疲れは溜まっている。
それにご飯を食べて風呂に入るところまでは正解だ。
「寝る」ではなく、ゲームをするの間違いなのだが、わざと言っているのであろう。
「あら、そう」
「さて、飯食べますか・・・」
そこに奏護の目の前に座ったのは父親だ。
父親もちゃっかり、食べる準備をしている様だ。
テーブルに料理が並べられ、家族4人がテーブルに着き食事を取ろうとする。
まずはお母さんが作ったアジフライから手に付ける。
マヨネーズを付けた奏護はアジフライを口に運ぶ、その次にほかほかの
ご飯を口に運んだ。
奏音はお箸を手に持ち笑顔で母親に話しかける。
「今日ね~学校で弥生ちゃんが筆箱を忘れてね、それで、取りに帰る
とか言い出すのよ~もう授業始まりそうなのに・・・」
奏音は笑いながら母親に話しかけた。
「もうね、何をしに学校に来たのか分からないから、私がペンを一日中
貸してあげたの・・・っはっはっは!ちょ~面白い~」
奏音はいつも通りの雰囲気で食べもせずしゃべり出した。
女の子はしゃべることが仕事の様な物だ。
奏音のお話を聞きつつ箸を動かし、家族は晩飯を共に食べる。
これが一家団らんと言う物だ。
幸せな家庭である事に変わりはないだろう、何時までも続けば良いと
父親も母親も思うに違いない。
・・・
・・
・
ご飯を食べ終えた奏護は自分の食器を台所に持って行く。
そしてテーブルの上に置いてある携帯電話の着信を見る。
すると誰かからか着信が入っていた
「(あたし今からログインするから早く来てね)」
ぱっと見誰からの着信かは言わずと知れた人物からであった。
千宙から着信が来ており、今からログインするとの事だ。
だが奏護はこの後お風呂に入ってからログインするのだ。
多少遅れるが問題ない。サービス終了は本日の24時だからだ。
それに間に合えば問題ない。
「じゃ、風呂入るわー」
今はまだ19時、風呂入って出て髪を乾かしたとしても19時半
計算してもログインして顔合わして24時になるまで後4時間以上は
まだある。
奏護は風呂に入る為1階の風呂場に行く。
・・・
・・
・
風呂から上がった奏護は髪を乾かし、お茶を一杯コップに注ぎ一口飲む
そしてそのままそのコップを部屋に持って行くのだ。
多少机の周りを整地しつつ鞄から教科書を取り出し明日の準備を整えて
おく、バイオリンもいつもの練習場所に置いておき、さっそくベッドに
行き、体を横にする。
手に取ったADDを頭に被る、そして機械に付いている電源ボタンを長押し
すると一瞬意識がふわっと飛びゲーム選択画面に飛んだ。
奏護もいくつかゲームをダウンロードしている、4つほどのゲーム画面が
出現するが千宙もプレイしているゲーム「LKO」を選択する。
そう、この日が最後のゲームプレイの時間だ。
明日(7/7(土))からはこのゲームはもうない。
本当は6月30日土曜日でサービス終了が予定されていたが
思った以上に世界中からのサービス終了を惜しむ声が上がり
一週間延期をしたと言うのが理由らしい。
そして、サービス終了を発表する2カ月前からサービス終了に向かっての
期間ゲーム内レベルアップイベント、ドロップイベントが24時間開催
され、盛大な盛り上がりを見せた。奏護も千宙もこの期間にレベルを最大限に上げていた。ゲーム内通貨ルメも、たくさん集めたしETCアイテムもたくさんモンスターからドロップしたのだ。
この会社「ソウルメア」社とこのゲームは世界中にサービスを展開している。しかし、そのサーバーは各国の各サーバーでのみ展開される
例えば日本のサーバーとアメリカのサーバーでプレイしているプレイヤー達は一緒にプレイすることが出来ないと言う事だ。
奏護と千宙には所属するギルドが存在する。仲間とはそのギルド内の仲間
の事だ。サービス終了日には人がたくさん集まるだろうとギルド内問わず
いろんなギルドやプレイヤー達は皆予想はしている。実際行ってみないと分からないが・・・
ギルドで過ごした思い出は忘れもしないだろう。
ギルドの仲間の事はサービスが終了しても忘れないだろう。
無口な女性もいれば、サムライの格好をした廃人(やり込みプレイヤー)
もいるし、中二病を連発する奴もいれば、チートがばれてアカウント停止を食らった者もいる。色んな奴がいて、色んな出来事がある。
忘れる事が出来ない思い出で、永遠の仲間だ。
「さぁ、最後のログインだ」
奏護は目の前に現れたLKOの画面をタッチする。
するとふわっと一瞬飛んだ様な感覚に陥る。
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