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新たな冒険
宇宙の走破者たち 2
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あれから小一時間が経過した、ただ今の時間は22時である。
色んな昔話をしていた。狩場の話、アイテムの話、装備の話
それからリアルの話、今後の話、各々夢について語り合っている。
「っはっはっは、そうそうそのアイテムはな~」
「「混沌の~」ってつく武器は大体、ドロップで獲得できるでござるよ」
ネルソンはレアアイテムの種類について語っている。
「(混沌のってその武器群はドロップ率低いんですけど・・・)」
すると集会所のドアが開いて誰か氏らが顔を出した。
彼の名前は古木シャク、レベルは200の女性だ
装備は矛を持っているがアバターでそれをイルカクッションに見せている。水色の髪型にお洒落な黒と白の全身服を着ている。
「ゴメンゴメン、遅くなったわ~、仕事と家事で時間食っちゃった・・・」
シャクは集会所に入ると同時に椅子に座ってしゃべっているギルドメンバーを一周見る。
「よお!」
「久しぶりだな!」
「こんばんわ」
「なんとか間に合ったみたいだな・・・」
既に椅子に座っているメンバーがシャクに挨拶をした。
「おー、みんな久しぶり!また会えてうれしいよ!1か月ぶりの人もいるかな??」
口調は女性でありながら男性みたいなしゃべり方もする。
リアル(現実)でもこういうしゃべり方なのか疑問に思うが、ここはゲームの中だ。しゃべり方など問題ない。
シャクが集会場に入り数十分、昔話からリアルの話もしていた所
もう一人入ってきたようだ。
「やぁやぁ、ギリギリ間に合ったみたいだね・・・」
彼の名前はルーダス、レベルは200レベル、男性、職業は忍者である。
本職は、どうやら情報系の仕事をしているらしい。
頭には可愛らしい熊の被り物、熊の手を催した手袋。
Tシャツは頭の被り物の熊と同じイラスト。
武器はもちろん手裏剣やクナイなど。
どうやら熊が好きなようだ。
「おおおおおお」
「おお、久しぶりだな、本当にお前は久しぶりだな・・・」
ハンスは席から立ち上がりルダスの元へと行き、握手を求めた。
「いよ!待ってました!」
「あー!こんばんわ!お久しぶりです!」
各々ルーダスに語り掛けた。
このゲームには装備するアイテムに合わせて色んなアバターを装備する事が出来る。それを合わせて着飾ることができるのがこのゲームの魅力の
一つだ。その為、アバターで着飾ることを目的としたプレイヤーも
たくさんいる。ルダスもそのうちの一人である。
ゲームに置いて装備品の強化を目的とし時間を費やしていない為、攻撃力は低い、だが一人前の攻撃力を持ち合わせており、ボス戦にも参加して
サポートする能力は持ち合わせている。
「それでなー、昨日さー、請負先の人が手伝ってくれってさ、それでさ
俺、仕事のお手伝いに行ったんだけど、向こうの人が俺の作業に対して
「早くして欲しい」だってさ・・・」
「あっはははは」
「ふふふふ」
「ぐっははははは」
「・・・」
各々がルダスの話に笑い出した。
「いやちょっと待てよ、と、俺、手伝いに来たんだよ??」
「ね?人にね、手伝いお願いして早くしろはねーだろと・・・」
ルダスはギルドメンバーとすぐに溶け合った。
この様な話も尽きるはずもなく楽しい時間はあっと言う間に
過ぎて行くものだ。
合計9名がログインし椅子に座って23時になった
テンゴに話しかけたり、チヒロやネルソンにも話しかけたり
久しぶりに戻ってきた彼らと再会することができてテンゴ自身もうれしいようだ。
「もう、あと1時間でみんなとお別れだな」
テンゴは背伸びをしながらボソッと言葉を漏らした。
「楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去っていくんだな」
「拙者も楽しかったぞ、テンゴよ、リアルでもヴァイオリン頑張るでござるよ」
すぐ近くで話をしていたネルソンがテンゴに声を掛ける。
ネルソンはテンゴがヴァイオリンを演奏することを知っているのだ。
そもそも、ヴァイオリンの練習の話をしたのはテンゴ自身である。
「チヒロはテンゴとリア友でしょ?」
「面倒見てあげてね」
桃もテンゴと千宙はリアルではお友達であると把握しているのだ。
もちろん、この事はギルド内では周知の事実である。
「っはっはっは!もちろんよ!任せなさい!」
クックとハンスはいつも通りの調子だ。
リアルでの交流があり、いつもの冗談が飛び交う
「ハンス、お前今まで何回チート使ったんだ?」
「何回だと思う?、俺のログインした数だ。」
アカウント停止されて、別のアカウントでログインしてもチートを
使用していた可能性が浮上した、よく今回のアカウントも停止されずに済んだものだ。
「おう、通報するぞ」
「通報しても、もう遅せーよ・・・あと一時間チートの話でも聞かせてやろうか??」
「いや、いい」
「ふう、冗談だがな・・・・・・もう今日でサービス終了だし、24時(0時)過ぎたらチートの利用方法から楽しみ方、開発の仕方まで伝授してやる、けどお前には使いこなせないと思うが・・・」
「聞きたくないね、お前何処かのゲームでチートなんて利用すんなよ?」
クックとハンスは笑いながらそして冗談を交えながら話をしていた。
リアルでも仲がいい二人はここでも話題が絶えないようだ。
そもそもチートを咎めていても可笑しくはないが。
「っはっはっは、まぁもう使用しないさ・・・いや、使用は出来ないと思うが・・・」
みんなで作った惑星ブロリンを発見し冒険し、その後改名し、自分たちの住みやすい惑星に改善してスペースコロニーまで作った。努力の結晶だ。
千宙と奏護は昔交わした約束がある。
千宙が奏護に落ち込んだような表情で話しかける。
「あのさテンゴ、あの時の約束・・・忘れてないよね、千の宇宙見たかったなぁ、たくさん一緒に冒険したし、一緒にイベントにも参加したし。」
あの時の約束とは、奏護と千宙と一緒にキャンプ場で交わした約束の事だ
そして、このゲームをプレイし一緒にレベルを上げ、冒険し、クエストをこなし、このギルドに加わった。
「それと、ピアノはもう・・・できないかもね、冒険も・・・。」
奏護と千宙はリアルでは奏護がヴァイオリンを弾いて千宙がピアノを弾く。今まではそうだった。
小学生の時から一緒だった千宙と一緒に出たコンクールはいくつかある
1回目は小学生4年生の時だった。
(ラフマニノフ:ヴォカリーズop34no14)
あの時は、奏護の初のヴァイオリンコンクールでの曲だ。
この曲で一緒に演奏して、知り合いになったのだ。
2回目は小学生5年の時
(オスカー・リーディング:ヴァイオリン協奏曲op35)
3回目は小学生6年の時
(ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲3-6)
しかし、冒険とはこのゲームの中だけで行われるものではない。
人生そのものが冒険であるのだ。人は皆、人生と言う道を冒険し旅し探検し経験を得て幸せな生涯を過ごす。その傍らに音楽があれば、より一層冒険が楽しめるだろう。
「なぁ・・・千宙・・・」
奏護は静かに千宙に語り掛ける。
「ん?何?」
「楽器の奏でる音色は星の数と同じだけあるんだ、約束忘れたわけじゃねぇ、千の宇宙を見せてやるよ、俺は必ず約束果たすぜ」
奏護は心から問いかける様に胸いっぱいの思いを伝えようとした。
「だからさ、続けてくれよ千宙・・・ピアノを・・・」
奏護は千宙がピアノを弾かない理由をまだ知らない。
そもそも千宙は奏護にその理由を伝える気はないらしい。
「千の宇宙はこのゲームじゃ、見せてやれなかったけど、星の音色は聞かせることができるぜ!」
この宇宙には何があるのだろう、夢か冒険か、希望か、プレイヤーは人それぞれ想いを抱きプレイしたのだろう、自分自身が出せる答えを知る為かそれとも、暇つぶしか、ただ一つだけ確かな事はこの宇宙に飛び込みたいと言う気持ちだけだ。
「その音色は一瞬にして消えていくけど、一生心に残る音色にしてやれるよう、努力して練習するから!」
流れ星は一瞬だ、あっと言う間に消えて行く。
音楽も一瞬だ。あっと言う間に消えて行く。
確かな事は流れ星が通った瞬間も聞こえた音色も忘れない様にする事だ。
人は皆、大事な人との時間を、最高のひと時を、仲間との時間を
大切にして過ごす。その流れ星の様な一瞬を心に宿して忘れないように。
23:50
あと10分でLKOがサービスを停止し宇宙が終焉を迎える。
各プレイヤーは宇宙全体に聞こえる拡声器で叫んでいる。
拡声器とは宇宙の何処にいても誰の発言で何の事を言っているのか分かる
チャット機能である。
「みんな今日までありがとう」
「どこかで会おうね」
「ラニアケア最高だーーーーーーーー」
「サービス終了おつ」
「俺はまだまだ、宇宙を飛び回るぜ」
「新惑星を発見次第俺たちが征服するby東邦連合」
サービス終了までこの大量の拡声器が流れ続けることになるだろう。
宇宙をスペースシップで走っている者もいれば、何処かの惑星で友人と
最後の時を過ごすプレイヤーもいれば、どこかの新惑星を発見次第、征服を企むギルドもいるようだ。この幸せなひと時が終われば皆日常に
戻るのだ。もし、次の何等かのゲームで会うとすれば、協力も友達も出来るだろう。
23:54分
サービス終了6分前
宇宙の走破者たち(スペースランナーズ)
最後のひと時を過ごす6分前。
さすがに数分前になると皆、笑顔になる。喧嘩があった事も無かった事の様に振舞う。今後の心配事はあっても今は思いっきり楽しもう。
「メアドちょうだい」
「あの。その、できれば電話番号を」
「今まで喧嘩もあったけど、今日でそれも終わりか」
「ギルド長として今までなんとかやってこれた」
「創設者俺だから」
「スぺランの精鋭よ、さようなら」
「テンゴ・・・リアルに戻ったら話したいこと・・・」
クックがここで立ち上がりギルド長として最後の締めを取るつもりだ。
大声でみんなに語り掛ける。
「さぁ、みんな最後は俺たちの合言葉で閉めようぜ!」
その声を聴いた途端、皆は期待の目をクックに寄せる。
「ギルド長としてハンスの後次をして来たが、それも今日で終わりだ!」
ハンスだけはクックを「お仕事ご苦労さん」の心が籠った目で見つめる。
そして頷いている。
「これまでやってこれたのも皆が居たからだ、最盛期は80人弱はログインしていただろう。しかし、これまで残ってくれたみんなが俺は大好きだ。みんなありがとう!」
歓声の声が上がる。
「さぁて、あと1分前だ、最後はお決まりの言葉で、最後を飾りたい!皆、いいか!」
クックはギルド員に問いかけた。
最後の一言を自分の掛け声で飾りたいのだ。
「俺たちはどこへ行っても心で繋がっている!心は・・・ずっとここにある!ずっと・・・ずっと・・・宇宙の果てまで繋がっている!
そしてぇ・・・自分たちの、未来へと・・・keep on running!!」
クックは半泣きで拳を真上へと突き上げた。
ここまで残ってくれたギルドの皆への感謝と今後の未来へと一緒に走って行こうと、叫んだのだ。
すると、9人が一斉に声を出した。
「keep on running!!!!」
そしてクックが続けて最後に一言思いっきり叫んだ。
「未来へ走り続けよ、宇宙の走破者たち!!!」
クックが泣き崩れ地べたに座る。
みんなが一斉に叫び、歓声を上げた。
23:58
「みんな今日はありがとう。最高のひと時だった。」
「(明日からまたヴァイオリンの練習しなくちゃ、前奏曲とアレグロ難しいんだよな)」
奏護は明日のヴァイオリンの練習がある。
それでなくとも、今日は24時までLKOにログインしていたのだ。
練習しなくては予選を通過できない。
しかし、ここで奏護の頭にふと過る。千宙はピアノを弾いてくれるのだろうか、奏護が練習しても一緒にコンサートを行う日は来るのだろうか。
23:59
「(ログアウトしたらシャワー浴びよう)」
シャクはどうやらシャワーを浴びてないようだ。
「(明日からまた生徒の指導が・・・)」
ピローは明日から生徒の指導とテストの回答など仕事がいっぱいの様だ。
「お主ら良い旅であったぞ、他のゲームでは拙者みたいな廃人に
ならぬ様に注意せよ・・・」
ネルソンは目を閉じながら腕を組んでいた。
LKOでは廃人のゲームプレイを行ってきた。
他のゲームに行ってのめり込み自分みたいに重課金プレイヤーには
ならないで欲しいとの事だ。
「みんなありがとう」
桃姫はアザラシクッションを強く抱きしめながら無表情でお礼を述べた。
「どうやって今の仕事を片付けようか・・・」
ルーダスは今の仕事の事を俯きながら考えている。
ギルド長クックは座りながら泣いている。このメンバーで会うのは今日が最後だ。他のゲームに行っても別の名前でプレイする可能性がある。
例え中身がギルドメンバーとしても気づかない可能性が高い。
だから、今日は思いっきりログインしてきたこの9人で騒いだのだ。
そして、ハンスは少し笑みを浮かべていた。チートを行ってきた事実
そしてアカウント停止されたこともあった。ハンスにとっては大惨事で
あっただろう。
テンゴは、いや、奏護として今後の練習スケジュールとしては、まず
目前に待っている地区予選の課題曲、前奏曲とアレグロの練習をして
3位以内に入れば全日本コンクールへの出場権を得られる。
その為、ここで踏ん張ってでも3位以内に入らなければ出場権はない。
先生とマンツーマン指導を受けて、全力でコンクールに挑むつもりだ。
お父さんはコンサートを見に行くと言っているしプレッシャーは
かかるけど俄然やる気が出てくるもんだ。
これでのギルド員との活動はたくさんあった。一緒にスペースシップでの
レースにも出場した。一緒にグループ狩りにも出た。ボスにも挑戦した。
一緒に笑い合い、一緒に楽しみ、苦楽を共にした。それも今日までだ。
これからと言うもの、現実に戻り、例え連絡先を交換しても連絡すらしない人もいるだろう。だが、そうであってもここで語り合った事、問題が起きた事も、喧嘩をしたことも、笑いあったことも、そして出会った事も
忘れないで自分の進むべき未来へと走り続けて欲しい。
誰もがその一瞬を待ち望んでいたかのように、そして時間と一緒に日付が変わる。
2040年 7月7日 (日曜日)24:00
ギルド員たちは皆、光を目にした。
色んな昔話をしていた。狩場の話、アイテムの話、装備の話
それからリアルの話、今後の話、各々夢について語り合っている。
「っはっはっは、そうそうそのアイテムはな~」
「「混沌の~」ってつく武器は大体、ドロップで獲得できるでござるよ」
ネルソンはレアアイテムの種類について語っている。
「(混沌のってその武器群はドロップ率低いんですけど・・・)」
すると集会所のドアが開いて誰か氏らが顔を出した。
彼の名前は古木シャク、レベルは200の女性だ
装備は矛を持っているがアバターでそれをイルカクッションに見せている。水色の髪型にお洒落な黒と白の全身服を着ている。
「ゴメンゴメン、遅くなったわ~、仕事と家事で時間食っちゃった・・・」
シャクは集会所に入ると同時に椅子に座ってしゃべっているギルドメンバーを一周見る。
「よお!」
「久しぶりだな!」
「こんばんわ」
「なんとか間に合ったみたいだな・・・」
既に椅子に座っているメンバーがシャクに挨拶をした。
「おー、みんな久しぶり!また会えてうれしいよ!1か月ぶりの人もいるかな??」
口調は女性でありながら男性みたいなしゃべり方もする。
リアル(現実)でもこういうしゃべり方なのか疑問に思うが、ここはゲームの中だ。しゃべり方など問題ない。
シャクが集会場に入り数十分、昔話からリアルの話もしていた所
もう一人入ってきたようだ。
「やぁやぁ、ギリギリ間に合ったみたいだね・・・」
彼の名前はルーダス、レベルは200レベル、男性、職業は忍者である。
本職は、どうやら情報系の仕事をしているらしい。
頭には可愛らしい熊の被り物、熊の手を催した手袋。
Tシャツは頭の被り物の熊と同じイラスト。
武器はもちろん手裏剣やクナイなど。
どうやら熊が好きなようだ。
「おおおおおお」
「おお、久しぶりだな、本当にお前は久しぶりだな・・・」
ハンスは席から立ち上がりルダスの元へと行き、握手を求めた。
「いよ!待ってました!」
「あー!こんばんわ!お久しぶりです!」
各々ルーダスに語り掛けた。
このゲームには装備するアイテムに合わせて色んなアバターを装備する事が出来る。それを合わせて着飾ることができるのがこのゲームの魅力の
一つだ。その為、アバターで着飾ることを目的としたプレイヤーも
たくさんいる。ルダスもそのうちの一人である。
ゲームに置いて装備品の強化を目的とし時間を費やしていない為、攻撃力は低い、だが一人前の攻撃力を持ち合わせており、ボス戦にも参加して
サポートする能力は持ち合わせている。
「それでなー、昨日さー、請負先の人が手伝ってくれってさ、それでさ
俺、仕事のお手伝いに行ったんだけど、向こうの人が俺の作業に対して
「早くして欲しい」だってさ・・・」
「あっはははは」
「ふふふふ」
「ぐっははははは」
「・・・」
各々がルダスの話に笑い出した。
「いやちょっと待てよ、と、俺、手伝いに来たんだよ??」
「ね?人にね、手伝いお願いして早くしろはねーだろと・・・」
ルダスはギルドメンバーとすぐに溶け合った。
この様な話も尽きるはずもなく楽しい時間はあっと言う間に
過ぎて行くものだ。
合計9名がログインし椅子に座って23時になった
テンゴに話しかけたり、チヒロやネルソンにも話しかけたり
久しぶりに戻ってきた彼らと再会することができてテンゴ自身もうれしいようだ。
「もう、あと1時間でみんなとお別れだな」
テンゴは背伸びをしながらボソッと言葉を漏らした。
「楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去っていくんだな」
「拙者も楽しかったぞ、テンゴよ、リアルでもヴァイオリン頑張るでござるよ」
すぐ近くで話をしていたネルソンがテンゴに声を掛ける。
ネルソンはテンゴがヴァイオリンを演奏することを知っているのだ。
そもそも、ヴァイオリンの練習の話をしたのはテンゴ自身である。
「チヒロはテンゴとリア友でしょ?」
「面倒見てあげてね」
桃もテンゴと千宙はリアルではお友達であると把握しているのだ。
もちろん、この事はギルド内では周知の事実である。
「っはっはっは!もちろんよ!任せなさい!」
クックとハンスはいつも通りの調子だ。
リアルでの交流があり、いつもの冗談が飛び交う
「ハンス、お前今まで何回チート使ったんだ?」
「何回だと思う?、俺のログインした数だ。」
アカウント停止されて、別のアカウントでログインしてもチートを
使用していた可能性が浮上した、よく今回のアカウントも停止されずに済んだものだ。
「おう、通報するぞ」
「通報しても、もう遅せーよ・・・あと一時間チートの話でも聞かせてやろうか??」
「いや、いい」
「ふう、冗談だがな・・・・・・もう今日でサービス終了だし、24時(0時)過ぎたらチートの利用方法から楽しみ方、開発の仕方まで伝授してやる、けどお前には使いこなせないと思うが・・・」
「聞きたくないね、お前何処かのゲームでチートなんて利用すんなよ?」
クックとハンスは笑いながらそして冗談を交えながら話をしていた。
リアルでも仲がいい二人はここでも話題が絶えないようだ。
そもそもチートを咎めていても可笑しくはないが。
「っはっはっは、まぁもう使用しないさ・・・いや、使用は出来ないと思うが・・・」
みんなで作った惑星ブロリンを発見し冒険し、その後改名し、自分たちの住みやすい惑星に改善してスペースコロニーまで作った。努力の結晶だ。
千宙と奏護は昔交わした約束がある。
千宙が奏護に落ち込んだような表情で話しかける。
「あのさテンゴ、あの時の約束・・・忘れてないよね、千の宇宙見たかったなぁ、たくさん一緒に冒険したし、一緒にイベントにも参加したし。」
あの時の約束とは、奏護と千宙と一緒にキャンプ場で交わした約束の事だ
そして、このゲームをプレイし一緒にレベルを上げ、冒険し、クエストをこなし、このギルドに加わった。
「それと、ピアノはもう・・・できないかもね、冒険も・・・。」
奏護と千宙はリアルでは奏護がヴァイオリンを弾いて千宙がピアノを弾く。今まではそうだった。
小学生の時から一緒だった千宙と一緒に出たコンクールはいくつかある
1回目は小学生4年生の時だった。
(ラフマニノフ:ヴォカリーズop34no14)
あの時は、奏護の初のヴァイオリンコンクールでの曲だ。
この曲で一緒に演奏して、知り合いになったのだ。
2回目は小学生5年の時
(オスカー・リーディング:ヴァイオリン協奏曲op35)
3回目は小学生6年の時
(ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲3-6)
しかし、冒険とはこのゲームの中だけで行われるものではない。
人生そのものが冒険であるのだ。人は皆、人生と言う道を冒険し旅し探検し経験を得て幸せな生涯を過ごす。その傍らに音楽があれば、より一層冒険が楽しめるだろう。
「なぁ・・・千宙・・・」
奏護は静かに千宙に語り掛ける。
「ん?何?」
「楽器の奏でる音色は星の数と同じだけあるんだ、約束忘れたわけじゃねぇ、千の宇宙を見せてやるよ、俺は必ず約束果たすぜ」
奏護は心から問いかける様に胸いっぱいの思いを伝えようとした。
「だからさ、続けてくれよ千宙・・・ピアノを・・・」
奏護は千宙がピアノを弾かない理由をまだ知らない。
そもそも千宙は奏護にその理由を伝える気はないらしい。
「千の宇宙はこのゲームじゃ、見せてやれなかったけど、星の音色は聞かせることができるぜ!」
この宇宙には何があるのだろう、夢か冒険か、希望か、プレイヤーは人それぞれ想いを抱きプレイしたのだろう、自分自身が出せる答えを知る為かそれとも、暇つぶしか、ただ一つだけ確かな事はこの宇宙に飛び込みたいと言う気持ちだけだ。
「その音色は一瞬にして消えていくけど、一生心に残る音色にしてやれるよう、努力して練習するから!」
流れ星は一瞬だ、あっと言う間に消えて行く。
音楽も一瞬だ。あっと言う間に消えて行く。
確かな事は流れ星が通った瞬間も聞こえた音色も忘れない様にする事だ。
人は皆、大事な人との時間を、最高のひと時を、仲間との時間を
大切にして過ごす。その流れ星の様な一瞬を心に宿して忘れないように。
23:50
あと10分でLKOがサービスを停止し宇宙が終焉を迎える。
各プレイヤーは宇宙全体に聞こえる拡声器で叫んでいる。
拡声器とは宇宙の何処にいても誰の発言で何の事を言っているのか分かる
チャット機能である。
「みんな今日までありがとう」
「どこかで会おうね」
「ラニアケア最高だーーーーーーーー」
「サービス終了おつ」
「俺はまだまだ、宇宙を飛び回るぜ」
「新惑星を発見次第俺たちが征服するby東邦連合」
サービス終了までこの大量の拡声器が流れ続けることになるだろう。
宇宙をスペースシップで走っている者もいれば、何処かの惑星で友人と
最後の時を過ごすプレイヤーもいれば、どこかの新惑星を発見次第、征服を企むギルドもいるようだ。この幸せなひと時が終われば皆日常に
戻るのだ。もし、次の何等かのゲームで会うとすれば、協力も友達も出来るだろう。
23:54分
サービス終了6分前
宇宙の走破者たち(スペースランナーズ)
最後のひと時を過ごす6分前。
さすがに数分前になると皆、笑顔になる。喧嘩があった事も無かった事の様に振舞う。今後の心配事はあっても今は思いっきり楽しもう。
「メアドちょうだい」
「あの。その、できれば電話番号を」
「今まで喧嘩もあったけど、今日でそれも終わりか」
「ギルド長として今までなんとかやってこれた」
「創設者俺だから」
「スぺランの精鋭よ、さようなら」
「テンゴ・・・リアルに戻ったら話したいこと・・・」
クックがここで立ち上がりギルド長として最後の締めを取るつもりだ。
大声でみんなに語り掛ける。
「さぁ、みんな最後は俺たちの合言葉で閉めようぜ!」
その声を聴いた途端、皆は期待の目をクックに寄せる。
「ギルド長としてハンスの後次をして来たが、それも今日で終わりだ!」
ハンスだけはクックを「お仕事ご苦労さん」の心が籠った目で見つめる。
そして頷いている。
「これまでやってこれたのも皆が居たからだ、最盛期は80人弱はログインしていただろう。しかし、これまで残ってくれたみんなが俺は大好きだ。みんなありがとう!」
歓声の声が上がる。
「さぁて、あと1分前だ、最後はお決まりの言葉で、最後を飾りたい!皆、いいか!」
クックはギルド員に問いかけた。
最後の一言を自分の掛け声で飾りたいのだ。
「俺たちはどこへ行っても心で繋がっている!心は・・・ずっとここにある!ずっと・・・ずっと・・・宇宙の果てまで繋がっている!
そしてぇ・・・自分たちの、未来へと・・・keep on running!!」
クックは半泣きで拳を真上へと突き上げた。
ここまで残ってくれたギルドの皆への感謝と今後の未来へと一緒に走って行こうと、叫んだのだ。
すると、9人が一斉に声を出した。
「keep on running!!!!」
そしてクックが続けて最後に一言思いっきり叫んだ。
「未来へ走り続けよ、宇宙の走破者たち!!!」
クックが泣き崩れ地べたに座る。
みんなが一斉に叫び、歓声を上げた。
23:58
「みんな今日はありがとう。最高のひと時だった。」
「(明日からまたヴァイオリンの練習しなくちゃ、前奏曲とアレグロ難しいんだよな)」
奏護は明日のヴァイオリンの練習がある。
それでなくとも、今日は24時までLKOにログインしていたのだ。
練習しなくては予選を通過できない。
しかし、ここで奏護の頭にふと過る。千宙はピアノを弾いてくれるのだろうか、奏護が練習しても一緒にコンサートを行う日は来るのだろうか。
23:59
「(ログアウトしたらシャワー浴びよう)」
シャクはどうやらシャワーを浴びてないようだ。
「(明日からまた生徒の指導が・・・)」
ピローは明日から生徒の指導とテストの回答など仕事がいっぱいの様だ。
「お主ら良い旅であったぞ、他のゲームでは拙者みたいな廃人に
ならぬ様に注意せよ・・・」
ネルソンは目を閉じながら腕を組んでいた。
LKOでは廃人のゲームプレイを行ってきた。
他のゲームに行ってのめり込み自分みたいに重課金プレイヤーには
ならないで欲しいとの事だ。
「みんなありがとう」
桃姫はアザラシクッションを強く抱きしめながら無表情でお礼を述べた。
「どうやって今の仕事を片付けようか・・・」
ルーダスは今の仕事の事を俯きながら考えている。
ギルド長クックは座りながら泣いている。このメンバーで会うのは今日が最後だ。他のゲームに行っても別の名前でプレイする可能性がある。
例え中身がギルドメンバーとしても気づかない可能性が高い。
だから、今日は思いっきりログインしてきたこの9人で騒いだのだ。
そして、ハンスは少し笑みを浮かべていた。チートを行ってきた事実
そしてアカウント停止されたこともあった。ハンスにとっては大惨事で
あっただろう。
テンゴは、いや、奏護として今後の練習スケジュールとしては、まず
目前に待っている地区予選の課題曲、前奏曲とアレグロの練習をして
3位以内に入れば全日本コンクールへの出場権を得られる。
その為、ここで踏ん張ってでも3位以内に入らなければ出場権はない。
先生とマンツーマン指導を受けて、全力でコンクールに挑むつもりだ。
お父さんはコンサートを見に行くと言っているしプレッシャーは
かかるけど俄然やる気が出てくるもんだ。
これでのギルド員との活動はたくさんあった。一緒にスペースシップでの
レースにも出場した。一緒にグループ狩りにも出た。ボスにも挑戦した。
一緒に笑い合い、一緒に楽しみ、苦楽を共にした。それも今日までだ。
これからと言うもの、現実に戻り、例え連絡先を交換しても連絡すらしない人もいるだろう。だが、そうであってもここで語り合った事、問題が起きた事も、喧嘩をしたことも、笑いあったことも、そして出会った事も
忘れないで自分の進むべき未来へと走り続けて欲しい。
誰もがその一瞬を待ち望んでいたかのように、そして時間と一緒に日付が変わる。
2040年 7月7日 (日曜日)24:00
ギルド員たちは皆、光を目にした。
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