消滅の宇宙

万世

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ルスランとリュドミラ

白魔術師・フィンの助言

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スヴェトザール大公の依頼により出発の準備に大公含め、騎士から側近、に至るまでドタバタと白の中を駆け回る。

テンゴたち5人はリュドミラ姫の救出に向かうための支度は既に整っていた。だが出向するうちの一人はまだ武装もまだ整っていない。
そう、ルスランである。なので部屋でルスランの支度を整えるまでテンゴたちは宴会場で待つことになった。

ルスランはおおよそ10畳程度の部屋の中で婚礼時の服装を脱ぎ騎士の姿になる為に出発の準備に取り掛かる。ベッドに脱いだ服を投げ捨て、騎士の装備が置いてある場所に立ち、アーマーを手にし着用する。

「(護れなかった・・・リュドミラ姫を護れなかった・・・
こんな僕が本当に姫を救えるのか??・・・)」

目に怯えた色が見える。自信がなくなったとはこの事だ。

「(それに、近くにいたラトミールもファルラーフもいない。攫ったのは彼らか?だが、二人の声ではないやつの声が聞こえたって事は首謀者は3人いるって事か?・・・くそ、一体どうなっているんだ!?・・・)」

ルスランの部屋にスヴェトザール大公は心配そうな顔で訪れる。
やはり、娘リュドミラを取り戻す事は大事だが、婚約者であるルスランを死なせる訳にはいかないだろう万が一の事があってはスヴェトザール大公が責任を取るつもりだ。
しかし、何としてもここはルスランとテンゴたち5人に託すしかないのだ。部屋をノックするスヴェトザール大公は少し待つ。

「はい・・・」

ルスランの返事が返ってきてから少し待つとドアが開く。

「これは、大公殿」

ルスランは畏まった姿で出迎える。

「ルスランよ、気を付けるんじゃぞ。お主と、あの者たち5人に我が娘を託した。彼らが一体どこから来たのか、分からぬ者たちだが、信じれるかの?」

ちょっとした会話を大公とルスランが交わす。
どこから来たのかも分からない格好をしている者たちに娘を託していいのか分からない気持ちもあるが、他の者たちが救出に行かないのが居ないのであればお願いをするしかない。

「(そうだ、彼ら(テンゴたち5人)はこの辺では見ない恰好をしている、一体どこからやって来たんだ?・・・しかしここは)」

「もちろん信じます。リュドミラ姫を救い出すには人手が必要です」

「何があっても・・・最後まで私は諦めません」

大公に自分の気持ちを述べるルスラン、気持ちは定まっているようだが、やはり5人はどこからきたのか気になるようだ。

「よく分かった・・・必ず生きて帰ってくるんじゃぞ」

大公はやはり心配している表情をしている。しかし、この一大事、娘が攫われたことによって国が崩壊してもらっては困る。表沙汰になっても困るのだ。軍を派遣するより、少数の精鋭達に任せるしかないのだ。

「準備が整い次第彼らと合流し出発いたします」

「(これから彼らと一緒に救出に向かうその時に・・・)」

ルスランはドアを閉め、大公は部屋を後にした。

・・・

・・



テンゴたち5人が場内の一角でルスランの準備を待っている。
チヒロがテンゴに話しかけた。

「ねぇ、ダークマターってどこにあるんだろ?」

突拍子もない発言だが「確かにそうだ」とみんなが顔をしかめる。
ダークマターを持って帰るのか、帝国をどうやって探るのか、ここに来て
いきなり、部屋が真っ暗になり、呪文が発動し姫を攫っていく流れに
皆が少し動揺を隠せない。

「どっかにあるだろう。それより姫様を救い出すのが先だ。そしてその後、情報を聞き出すしかないと俺は思うんだ」

今まで色々調べてきたが、謎が多すぎる。ひとまずルーダスに言われた通りこの惑星に来て、問題を解決することで道は開くとテンゴは考えている。

「確かにそうだね、姫様何されるか分からないからね~あたしが攫われたら助けに来てくれるの~??テンゴ??」

ふざけ半分で聞いてくる千宙は何かを期待している顔だ。
テンゴは千宙の顔を見て

「もちろんさ、仲間が攫われたりしたら全力で助けに行くよ」

女心を読めない男としてやはりしょうがない返答なのかもしれない。
いや千宙としては「もちろん、どこにいても助けに行く」
と言う返事が欲しかったのだが。テンゴは鈍感だったのだ。
そこに準備を終えたルスランが現れた。

「やぁ、みんな、待たせてすまない君たちは準備が整っているのかい?」

テンゴたち5人は返答する。

「もちろんだ」

「準備万端でござる」

「待ってたぜ」

返答が帰ってくるとルスランが笑顔になる。
だがどう見てもこれは「作り笑い」の様にしか見えなかった。

「じゃ、行こう!」

ルスランの声にみんなが歩き出す。場内の一角を出た皆は外に向かった町中を歩き、城壁の外に出る。皆が軽く走り出した。商店街や住宅を通る時に騎士の格好をしたルスランを人々は発見する。ルスランの格好を見て何かしらあったのか、横にいる者達は一体誰なのか考える所はたくさんある。
だが、6人のみで走っている所を見ると、軍隊で戦争に行くような出来事ではないらしいと誰もが考えるだろう。そして、そもそも今日はルスランとリュドミラの結婚式である。ちょっとした、イベントだと受け取っても可笑しくはない。

「僕は、リュドミラ姫と結婚するはずだったんだ、だけど、こんな事になるなんて・・・」

「あぁ、婚礼の招待状もらったから気持ちは分かるぜ」

とテンゴは言った。

「(招待状が降ってきただけだけどな)」

「今日はありがとう!君たち、姫は僕の嫁になるって誓いを捧げた、リュドミラ姫は大公にお別れの言葉をそして王子・ラトミール、騎士・ファルラーフにも慰めの言葉をおっしゃっていて、側近の思いもある素晴らしい姫なんだ・・・そしてその王子・・・いやラトミールとファルラーフが僕の傍にはいなかった。つまり、攫ったのは彼らだ・・・」

暗闇が晴れた時、王子・ラトミールと騎士・ファルラーフが居なかった。
もはや彼らが犯人であると言っても過言ではない。

「あいつら、結婚出来なかったからと言って、姫を攫うなんてもっての外だ!だから僕は、奴らから姫を必ず取り返して、もう一度結婚式を挙げるんだ!」

ルスランも走り出したが少し気になっていることがあるそうだ。
大公との会話の中でやはりこの5人はどこから来たのか、見慣れない恰好。色々と聞こうと思っているのだ。

「ところで、君たち5人は一体どこから来たんだい??」

「拙者らは・・・そうだな、宇宙のとある星から来たでござるよ」

ルスランは意味の分からない一言に困惑する。分からない言葉がいくつかあって情報が読めない。

「拙者・・・?宇宙の・・・?って何だい?」

困惑したルスランにチヒロが答える。

「うちらはね・・・ルスランとリュドミラ姫の結婚をお祝いする為に来たんだよ、遠い所から」

と千宙は言った。

「我々は闇よりいでし救世主である。汝の姫は我々が必ず救い出す」

ピローはフードを深くかぶった状態で頭を低く走りながらしゃべった。ルスランは少し困惑する。

「すいません、こいつは無視してください」

テンゴがルスランに説明するがルスランは少し笑っている。
町の外れの黄金の門の横に二人の騎士が立っていた。ルスランであると分かると門を通してくれた。門をくぐるとそこは街のない荒野である。
ここから先は安全地帯ではない事は覚悟しなくてはならない。

そして急に千宙が止まる。

「そういえば・・・うちらどこに向かっているんだっけ??」

皆がこの発言を聞いた瞬間、一斉に立ち止まった。
皆が思い出したような顔をして見合わせる。
ルスランが息をつかせながらしゃべり出そうとしていた。
ルスランには思い当たる場所そして人物があるようだ。その人物を思い浮かべる。

「そうだ、白魔術師のいる洞窟を僕は知っているんだ、そこに行ったら何かヒントを得られるかもしれない。白魔術師の名前はフィンだ。」

テンゴたちはルスランの顔を真剣な目で見つめる。
そしてルスランは進行方向を白魔術師・フィンの洞窟まで足を運ぼうとする。テンゴたち5人は、会ってみたい感情もあり行ってみることにして
お互い顔を見合わせて頷いた。

・・・

・・



テンゴたち5人とルスランが白魔術師・フィンの洞窟まで辿り着こうとしていた。先ほどの場所から数キロくらい離れたところにあるだろうか。
フィンはなぜ洞窟にいるのか皆、疑問に思っているだろう。
ルスランの案内通りフィンの洞窟までたどりつくと、ルスランは皆を静止した。まずは自分から中に入り入口近くで声をかける。

「フィン、いるか?僕だルスランだ、いるなら返事をしてくれ」

一瞬シーンとなったが、奥から老人の声が聞こえる。

「あぁ、ルスランか、いらっしゃい、どうしたんじゃ?」

洞窟の中は生活している感じはあるものの、確かに魔術師らしき
不思議な道具や昔の書物が棚に並べられ、壺の中にはドロドロ
とした漆の様な黒い液体が中にある。
到底飲めそうにも食べれそうにもない。
白髪が伸びており、白髭まじりのあごひげ。全身の服まで白の服
そして杖を持った明るい顔つきで落ち着いた眼差しをした老人である。

そこにルスランがテンゴたち5人を呼んでいいのかを聞くのだ。

「やぁ、フィン、ちょっと聞きたいことがあるんだ。その前にお友達をここに入れていいかな?」

フィンは、落ち着いた眼差しであるが、鋭い目でルスランを見る。髭を触りながら、少し考えたのち答えた。

「あぁ、そこの5人のことか??もちろん入れていいとも彼らにも、少し話をしておこうと思ってね。」

フィンはすでに分かったような口を聞いてくる。ルスランは驚きつつも振り返る

「分かった、そこにいるから呼んで来る」

と言って洞窟を後にした。フィンはルスランの後姿を少し眺めていた。
ルスランが洞窟から出てくるのにテンゴたち5人は気付いた。
洞窟から出てきた、ルスランの顔を見る5人、ルスランが軽く頷く。

「フィンは、君たちにも少し聞きたいことがあるそうだ。もちろん中に入れていいと許可は取った」

ルスランはテンゴたちと目線を合わせ中に入るよう促す。
何の話をするのか分からないが恐らくリュドミラ姫の行方の事だろうと
皆がそう思っているのだ。テンゴを先頭に他の4人がついていく。

「白魔術師・フィンってどんな人なんだろうね」

千宙がテンゴに後ろから語り掛ける。

「白毛白髭服も白かったりして」

千宙と話しながら歩く。二人の前に白毛白髭杖を持った、白い服の老人が現れる。

「全てが白で悪かったな、君たち」

テンゴと千宙は少し驚いた。自分の予想が全て的中したことに。
見た瞬間おののくテンゴと千宙、やはり予想は当たっていたが
白いから白魔術師なのかテンゴたち5人は分からないままだ。
微笑みを浮かべてフィンは言った。

「ようこそおいでだ。そこに座りなさい」

テンゴたち5人とルスランは洞窟の中に入りそこに座る。

「ワシはもう20年もここに一人、年老いた生涯の闇の中で色褪せていた、しかしついにワシがその昔、予言していたその日がやって来たという事じゃな」

「さて、大事な話がいくつかあるが・・・まずは君たちの事について話をしようか・・・」

皆が真剣な眼差しで白魔術師・フィンに耳を傾けようとする。
自分たちはダークマターの存在、帝国の存在、自分たちのスキルや自分たちの置かれた状況
あらゆる事に無頓着すぎる。何故未だにログアウトが出来ないのかも謎のままだ。
運営はどうしているのか、自分たちは何かの実験体にされているのか
分からない事だらけで、ルーダスの指示通りこの惑星に来た、そして
リュドミラ姫が何者かによって攫われた。全てを把握するにはまだ早いのかもしれない。
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