6 / 53
第一章 婚約破棄当日
6 春の家系の残念令嬢
しおりを挟む
えっ!? 確かに最近甘いもの食べすぎかなとは思ってたけど、そこまで言うほど??? 自分でもこのドレス、わりと似合うと思ってたのに。
(そんなに私、太った???)
ペシペシと手の平で自分の胸やお腹を触りながら、「まだドレスとの間に余裕があるしッ!!!」「そんなに服がはち切れるほど太ってないしッ!」とシエルに言い返す。
「分かったッ、分かったから少し落ち着け。」
シエルはあたふたして、すごい勢いで私の手首を掴む。顔、赤いわよ! 睨みつけると気まずそうに視線を逸らすし・・・。直視できないほど私の体型が酷いとか!? それとも、まさか私が本気で怒ってると思ってる??
フッフッフッ、その通りよッ!面と向かって、ドレスが似合わない、なんて言われたら誰だって怒るに決まってるじゃないの!! ほんと女心を分かってないんだからっ。
「シエルの方が落ち着いてよ!!」
耳まで赤くして色艶の良い唇を引き結ぶシエルに向かって、私は頬を膨らませる。この吊り目の目で睨んでやるっ!
「わりぃ。」と一言言ったシエルは、私の腕に引っ掛けてあったバスケットを見た。
「どオしてまた懲りずにそれ、持ってきてンだ?? どうせ前のように没収されるぐれぇなら、オレに寄越せ。」
以前、花魔法を使い贈り物として持ってきたスイーツは、城の外から持ち込んだ手作りを王子は食べないからと、侍女に没収された。
「今回は許可を取ってるから大丈夫よ。それに、花魔法も今回に限っては使ってもいいって、父上も許してくれたし。せっかくだから大量に作ってきたの。あんたも食べると思って。」
バスケットのフタを外し、自信作をシエルの目の前に披露した。途端、爽やかな香りが鼻をくすぐる。中身は、ミカン科の木になるオレンジの花を大量に使ったアーモンドスイーツだ。オレンジの”花蜜”は、体力回復の効果がある。
屋敷の料理人がまだ寝ている時間を狙い早起きしてまで作った自信作。アーモンドパウダーに魔法で作った花蜜を混ぜた後、クローバーの形にくり抜いた。
それらを熱を発する”ヒートボックス”で焼いて固める。”ヒートボックス”とは、庶民にはなかなか手が届かない高価な”熱を発する調理用魔道具。
焼きたてのスイーツを、まだ香ばしい香りのするうちに飾り付けをする。粉糖と卵の白身とオレンジの液体を混ぜて作ったクリーム状のアイシングで、縁を彩り完成だ。
「よくわかってンじゃねぇか。お前の作る摩訶不思議な菓子だけは好きだ。甘いもの嫌いのオレが、心から美味しいと思える数少ない甘味だ。」
偉そうにっ!とムッとするけど、自分の作ったスイーツを褒めてもらえるのは素直に嬉しい。シエルの甘いもの嫌いは筋金入りだからなおさら・・・。
菓子を取ろうとこちらに伸ばそうとしてきた腕を飾る、ターコイズの腕輪ごと私はクイッとシエルを引っ張った。途端、腕輪から水泡が弾けるように私の指先を包み込むように広がる。
(こんなことで動揺するなんて、ノワール様以外の女性はよほど苦手なのね。)
魔道騎士の腕輪は、おおよその魔力量を測定する魔道具だ。魔力量が乱れると腕輪にもそれが反映される。
「いつまで服を破けたままにしてるのよ。シエルが一言頼めば、いくらでも手直ししてくれるご令嬢はいるでしょう?」
ドラゴンとの闘いで破けたのは分かるけど、そのまま肌を晒してると、ご令嬢たちの騒ぎがしばらく治らないでしょうに。
「本気で言ってンのか??? 頼んでもねぇのに無理やり破けた服を持ってかれて、まともに返ってきたことさえねぇんだけど・・・。家に帰るまで、このままでいい・・・。」
ああ、そうね。いつの間にか令嬢たちの元へ、シエルの服が消えてしまうのはまだ良い方だ。服が戻ってきても、ハートマークが縫い付けてあったり、誰だか分からない女性の名前が刺繍してあったりするものね。
以前はシエルに無理やり破けた服を預けられたけど、私がやったらさらにボロボロになることがわかり、それ以来、シエルは私には頼まない。
私は目の前の破れた箇所をジッと見ながら、(高価な布地なのにもったいないな)、などと考えていた。
「・・・。いつまでそうやって見てンだ? ハァー。お前の花魔法はすごく繊細なんだから、当の本人もそれぐれぇ繊細でも良いンだけど。」
うっすらと耳を赤くし、額に手を当てる指の隙間から、伏せた長いまつ毛が見え隠れする。
言葉遣いは乱暴なのに、こう言う色気のある表情するところが女性にモテる理由だわ。こういうの何て言うんだったっけ? 宝の持ち腐れ??? 猫に小判??? どんなにモテても本人にその気が全然ないなんて。
「一言余計なのよ。食べないなら別にいいのよ。」
バスケットの取手を片手に持ち、背中に隠すように後ろにわざと隠す。
「た、食べるっ!食べるって!」
シエルはグイッと一歩前に出ると、腕を私の背中の方へ回し、パシッとバスケットを掴む手を握る。
(ち、近すぎっ!!! )
背が高いシエルが、顔が見えないくらいにいきなり近づいてくるんだものっ!! 目前の視界が、シエルの破れたシャツから覗く胸元の肌で塞がる。ん? 心なしか肌が熱持ってる??? 見たところは大きな傷はないようだけど。
「獣みたいに襲いかからないでちょうだい!! そこまでしなくても、スイーツの1つや2つあげるわよ。」
もうっ! そんなに本気になってスイーツを取りに来なくてもいいのに、、、。よほどお腹が空いてたのね。
「本当に襲いかかられても、そんなに冷静でいられンのかよ。」
「ぶっとばすから、心配しなくて結構よ。」
「そこは、こう、もう少し、、、照れるとか、、ハァ~、顔色一つ変えないなんて、男として立場が・・・。」
ブツクサ文句を言ってる。幼い時から一緒なのに、何を今さら。
「はい、どうぞ。」
アーモンドスイーツを一つ手に取り、シエルの口の前に持っていく。シエルは、クローバー型の形の上にオレンジ色で綺麗にデコレーションされたそれをマジマジと見ると、パクッと大きな口を開けて食べ・・・。
「ちょっと! 反則! 私の可愛い指まで食べないでッ!! 」
シエルの唇がしっかり私の指先をくわえている。指を引き抜こうとしても、ビクともしない!! 代わりに耳飾りだけがシャリンッと音を立て揺れた。
「わりぃ、わりぃ!! あんまりにも美味しそうで、ソレしか目に入らなかった!!」
そう言いながら、パッと口を開け、ペロッと舌で唇を舐めてる。1つじゃなくて、5つくらい口の中に放り込んどけばよかった。絶対、私の怒る反応みて、面白がってるんだからッ!
「はい、これっ!あんたの分よ!」
私は透明な小袋に詰めて、取り分けておいた分をシエルに渡した。私の目の前で食べ始めたシエルが、スイーツを口いっぱいにほうばった姿が、リスみたいで可笑しくて笑ってしまう。
今思えば、この時が一番平和だったのかもしれない。
遠くから私たち2人を憎々しげに見つめる目があることさえ、私は気づきもしなかったのだから。
(そんなに私、太った???)
ペシペシと手の平で自分の胸やお腹を触りながら、「まだドレスとの間に余裕があるしッ!!!」「そんなに服がはち切れるほど太ってないしッ!」とシエルに言い返す。
「分かったッ、分かったから少し落ち着け。」
シエルはあたふたして、すごい勢いで私の手首を掴む。顔、赤いわよ! 睨みつけると気まずそうに視線を逸らすし・・・。直視できないほど私の体型が酷いとか!? それとも、まさか私が本気で怒ってると思ってる??
フッフッフッ、その通りよッ!面と向かって、ドレスが似合わない、なんて言われたら誰だって怒るに決まってるじゃないの!! ほんと女心を分かってないんだからっ。
「シエルの方が落ち着いてよ!!」
耳まで赤くして色艶の良い唇を引き結ぶシエルに向かって、私は頬を膨らませる。この吊り目の目で睨んでやるっ!
「わりぃ。」と一言言ったシエルは、私の腕に引っ掛けてあったバスケットを見た。
「どオしてまた懲りずにそれ、持ってきてンだ?? どうせ前のように没収されるぐれぇなら、オレに寄越せ。」
以前、花魔法を使い贈り物として持ってきたスイーツは、城の外から持ち込んだ手作りを王子は食べないからと、侍女に没収された。
「今回は許可を取ってるから大丈夫よ。それに、花魔法も今回に限っては使ってもいいって、父上も許してくれたし。せっかくだから大量に作ってきたの。あんたも食べると思って。」
バスケットのフタを外し、自信作をシエルの目の前に披露した。途端、爽やかな香りが鼻をくすぐる。中身は、ミカン科の木になるオレンジの花を大量に使ったアーモンドスイーツだ。オレンジの”花蜜”は、体力回復の効果がある。
屋敷の料理人がまだ寝ている時間を狙い早起きしてまで作った自信作。アーモンドパウダーに魔法で作った花蜜を混ぜた後、クローバーの形にくり抜いた。
それらを熱を発する”ヒートボックス”で焼いて固める。”ヒートボックス”とは、庶民にはなかなか手が届かない高価な”熱を発する調理用魔道具。
焼きたてのスイーツを、まだ香ばしい香りのするうちに飾り付けをする。粉糖と卵の白身とオレンジの液体を混ぜて作ったクリーム状のアイシングで、縁を彩り完成だ。
「よくわかってンじゃねぇか。お前の作る摩訶不思議な菓子だけは好きだ。甘いもの嫌いのオレが、心から美味しいと思える数少ない甘味だ。」
偉そうにっ!とムッとするけど、自分の作ったスイーツを褒めてもらえるのは素直に嬉しい。シエルの甘いもの嫌いは筋金入りだからなおさら・・・。
菓子を取ろうとこちらに伸ばそうとしてきた腕を飾る、ターコイズの腕輪ごと私はクイッとシエルを引っ張った。途端、腕輪から水泡が弾けるように私の指先を包み込むように広がる。
(こんなことで動揺するなんて、ノワール様以外の女性はよほど苦手なのね。)
魔道騎士の腕輪は、おおよその魔力量を測定する魔道具だ。魔力量が乱れると腕輪にもそれが反映される。
「いつまで服を破けたままにしてるのよ。シエルが一言頼めば、いくらでも手直ししてくれるご令嬢はいるでしょう?」
ドラゴンとの闘いで破けたのは分かるけど、そのまま肌を晒してると、ご令嬢たちの騒ぎがしばらく治らないでしょうに。
「本気で言ってンのか??? 頼んでもねぇのに無理やり破けた服を持ってかれて、まともに返ってきたことさえねぇんだけど・・・。家に帰るまで、このままでいい・・・。」
ああ、そうね。いつの間にか令嬢たちの元へ、シエルの服が消えてしまうのはまだ良い方だ。服が戻ってきても、ハートマークが縫い付けてあったり、誰だか分からない女性の名前が刺繍してあったりするものね。
以前はシエルに無理やり破けた服を預けられたけど、私がやったらさらにボロボロになることがわかり、それ以来、シエルは私には頼まない。
私は目の前の破れた箇所をジッと見ながら、(高価な布地なのにもったいないな)、などと考えていた。
「・・・。いつまでそうやって見てンだ? ハァー。お前の花魔法はすごく繊細なんだから、当の本人もそれぐれぇ繊細でも良いンだけど。」
うっすらと耳を赤くし、額に手を当てる指の隙間から、伏せた長いまつ毛が見え隠れする。
言葉遣いは乱暴なのに、こう言う色気のある表情するところが女性にモテる理由だわ。こういうの何て言うんだったっけ? 宝の持ち腐れ??? 猫に小判??? どんなにモテても本人にその気が全然ないなんて。
「一言余計なのよ。食べないなら別にいいのよ。」
バスケットの取手を片手に持ち、背中に隠すように後ろにわざと隠す。
「た、食べるっ!食べるって!」
シエルはグイッと一歩前に出ると、腕を私の背中の方へ回し、パシッとバスケットを掴む手を握る。
(ち、近すぎっ!!! )
背が高いシエルが、顔が見えないくらいにいきなり近づいてくるんだものっ!! 目前の視界が、シエルの破れたシャツから覗く胸元の肌で塞がる。ん? 心なしか肌が熱持ってる??? 見たところは大きな傷はないようだけど。
「獣みたいに襲いかからないでちょうだい!! そこまでしなくても、スイーツの1つや2つあげるわよ。」
もうっ! そんなに本気になってスイーツを取りに来なくてもいいのに、、、。よほどお腹が空いてたのね。
「本当に襲いかかられても、そんなに冷静でいられンのかよ。」
「ぶっとばすから、心配しなくて結構よ。」
「そこは、こう、もう少し、、、照れるとか、、ハァ~、顔色一つ変えないなんて、男として立場が・・・。」
ブツクサ文句を言ってる。幼い時から一緒なのに、何を今さら。
「はい、どうぞ。」
アーモンドスイーツを一つ手に取り、シエルの口の前に持っていく。シエルは、クローバー型の形の上にオレンジ色で綺麗にデコレーションされたそれをマジマジと見ると、パクッと大きな口を開けて食べ・・・。
「ちょっと! 反則! 私の可愛い指まで食べないでッ!! 」
シエルの唇がしっかり私の指先をくわえている。指を引き抜こうとしても、ビクともしない!! 代わりに耳飾りだけがシャリンッと音を立て揺れた。
「わりぃ、わりぃ!! あんまりにも美味しそうで、ソレしか目に入らなかった!!」
そう言いながら、パッと口を開け、ペロッと舌で唇を舐めてる。1つじゃなくて、5つくらい口の中に放り込んどけばよかった。絶対、私の怒る反応みて、面白がってるんだからッ!
「はい、これっ!あんたの分よ!」
私は透明な小袋に詰めて、取り分けておいた分をシエルに渡した。私の目の前で食べ始めたシエルが、スイーツを口いっぱいにほうばった姿が、リスみたいで可笑しくて笑ってしまう。
今思えば、この時が一番平和だったのかもしれない。
遠くから私たち2人を憎々しげに見つめる目があることさえ、私は気づきもしなかったのだから。
2
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる