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第六章 断罪
47 モーヴェ家
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「ノワール、まだ例の女の血は手に入らないのかぁ?」
男が目を血走らせながら、ノワールと呼ばれた女のドレスに手を突っ込み、ガッサガッサと荒々しい手つきで胸を揉みしだいていた。血管の浮き出た首元には、奇妙な蛇の刺青。
「養父様~、城でいいとこまで追い詰めたんだよ~!! でも、ユニコーンが突然来て逃げちゃった~!!」
椅子に腰掛けた男の膝の上に乗り、女は汗で乱れたオレンジの髪が顔の前に落ちてくるのを手ではらった。ハァハァと荒く息を吐いている。
「ユニコーンだぁあ?? お宝だなぁああ。そいつらを仕留めたら一石二鳥かぁ。」
ゴツゴツと痩せた体格の中年男は、薬物でボロボロになった歯を剥き出しにして笑みを浮かべる。
「リーチェリアはシエル様にまで色目使って、憎たらしい~。あんな女、早く殺っちゃってよ~!!」
男の手が止まると、女は自分から胸を押し付けるようにしながら、男の膝の上でクネクネ動きながら甲高い声を出した。
「刺客を放ってあるから、いい知らせがまもなく来るだろうよ。」
しばらく男は女の動くままに任せていたが、突然女の肌に爪を立ててガツッと掴み強く引っ張った。
「あんっ!もう~もっと優しくしてよぉ~!!」
女は興奮したような荒い息遣いで、頬を紅潮させる。
「そんなこと言って、これがお前は気持ちいいんだろ?」
ビリビリッと乱暴にドレスを破り、金属の輪っかを女の手首に嵌める。刺青男が手を触れると、雷のような男の魔力が流れ、「んっ・・・んぁっ・・・」と女はうっとりとした表情で目を閉じた。男は、その様子をニタニタした様子で薬物を鼻から吸いながら眺める。
ドガドカドガッドタンッ
通路を歩く騒がしい音の後に部屋に入って来たのは、熊のような大柄の顔に傷のある大男。そして執事の格好をしたメガネをかけた2人の男だ。
「モーヴェ様、只今戻りました。」
大男は入るなり、主人の膝の上に座る女の淫らな姿を見て眉を顰め、直立不動で刺青男の前に立った。
「ユニコーンも女と一緒にいたそうじゃないか? どこだぁ?」
「それが、リーチェリア嬢と一緒にいたのは若い男でした。顔までは確認できませんでしたが、かなり上級の魔法を使う騎士だと思われます。」
刺青男はドガァッンと乱暴な動作で机を蹴っ飛ばす。そしてカタカタッと音を鳴らしながら「ぁあああ???」と神経質な声を放った。
「あの女と一緒にいる騎士なんて、シエル様じゃないの~??」
破けたドレスを気にすることもなく、甘えた声で口を尖らす。
「で、そいつらの死体はどぉこだよぉお?」
「それが、男が邪魔して逃げてしまいま・・・!?」
刺青男は机の上にあった剣を取り、有無を言わさず部下の足の指に突き刺した。
ゔぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
とある屋敷の一角で響き渡ったのは、大柄な熊みたいな男の断末魔。蛇の刺青男は膝の上に座っていた女の体をドンッと押し、女が床に転倒するのも構わず椅子から立ち上がった。
「てめぇッ、てめぇッ、ぶっ殺すッ!」
そしてオモチャでも弄るように、熊男の足に突き刺した剣をグリグリッと動かす。湿った暗い部屋に響き渡る悲鳴に、なんら気を留めることなくさらに自らの足で、たった今剣で刺した足を上から踏みつけた。
ッガァああああグヴァッ!ゔおおおおオグッ!!
「オレは、こぉろぉせぇよぉオオ~とお前に言ったよなああ?」
男のうめき声に、刺青男は細い目をさらに細めて舌なめずりをしその顔に浮かべたのは恍惚とした表情。
「やだ~こんなとこで殺ったら汚れちゃう~。」
女は床に落とされ背中を打ったのか、床に横になったまま手で背中を押さえている。自らの状況が理解できていないのか、先ほどまでと変わらない媚びた表情、媚びた声で男に話しかけた。
「ノワール、ただのお仕置きだよ。ほらっ。」
男はもう一本の剣で、大男のもう片方の足まで突いた。
ギャアァアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
とうとう大男は両足に剣がささったまま、床に倒れた。顔の傷は痛みで酷く歪み、血の気が失せ失神寸前だった。
蛇男は、一生懸命自分の手の中にある薬物をセットし直し、口の端を歪めニヘラニヘラと引き攣った笑いをみせる。
開ききった目は視点も定まらないまま、刺青男はずっと部屋の隅に控えていた無表情の執事に指図した。
「おい、お前ぇ~、気分が削がれた。こいつを連れて出ていけ。そして必ずローズ家の娘をコ、ロ、セ。」
蛇男は床に転がっているノワールの散り散りになったオレンジの髪を掴み、囁いた。
「おいで、ノワール、今晩はたっぷり可愛がってあげよう。」
男が目を血走らせながら、ノワールと呼ばれた女のドレスに手を突っ込み、ガッサガッサと荒々しい手つきで胸を揉みしだいていた。血管の浮き出た首元には、奇妙な蛇の刺青。
「養父様~、城でいいとこまで追い詰めたんだよ~!! でも、ユニコーンが突然来て逃げちゃった~!!」
椅子に腰掛けた男の膝の上に乗り、女は汗で乱れたオレンジの髪が顔の前に落ちてくるのを手ではらった。ハァハァと荒く息を吐いている。
「ユニコーンだぁあ?? お宝だなぁああ。そいつらを仕留めたら一石二鳥かぁ。」
ゴツゴツと痩せた体格の中年男は、薬物でボロボロになった歯を剥き出しにして笑みを浮かべる。
「リーチェリアはシエル様にまで色目使って、憎たらしい~。あんな女、早く殺っちゃってよ~!!」
男の手が止まると、女は自分から胸を押し付けるようにしながら、男の膝の上でクネクネ動きながら甲高い声を出した。
「刺客を放ってあるから、いい知らせがまもなく来るだろうよ。」
しばらく男は女の動くままに任せていたが、突然女の肌に爪を立ててガツッと掴み強く引っ張った。
「あんっ!もう~もっと優しくしてよぉ~!!」
女は興奮したような荒い息遣いで、頬を紅潮させる。
「そんなこと言って、これがお前は気持ちいいんだろ?」
ビリビリッと乱暴にドレスを破り、金属の輪っかを女の手首に嵌める。刺青男が手を触れると、雷のような男の魔力が流れ、「んっ・・・んぁっ・・・」と女はうっとりとした表情で目を閉じた。男は、その様子をニタニタした様子で薬物を鼻から吸いながら眺める。
ドガドカドガッドタンッ
通路を歩く騒がしい音の後に部屋に入って来たのは、熊のような大柄の顔に傷のある大男。そして執事の格好をしたメガネをかけた2人の男だ。
「モーヴェ様、只今戻りました。」
大男は入るなり、主人の膝の上に座る女の淫らな姿を見て眉を顰め、直立不動で刺青男の前に立った。
「ユニコーンも女と一緒にいたそうじゃないか? どこだぁ?」
「それが、リーチェリア嬢と一緒にいたのは若い男でした。顔までは確認できませんでしたが、かなり上級の魔法を使う騎士だと思われます。」
刺青男はドガァッンと乱暴な動作で机を蹴っ飛ばす。そしてカタカタッと音を鳴らしながら「ぁあああ???」と神経質な声を放った。
「あの女と一緒にいる騎士なんて、シエル様じゃないの~??」
破けたドレスを気にすることもなく、甘えた声で口を尖らす。
「で、そいつらの死体はどぉこだよぉお?」
「それが、男が邪魔して逃げてしまいま・・・!?」
刺青男は机の上にあった剣を取り、有無を言わさず部下の足の指に突き刺した。
ゔぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
とある屋敷の一角で響き渡ったのは、大柄な熊みたいな男の断末魔。蛇の刺青男は膝の上に座っていた女の体をドンッと押し、女が床に転倒するのも構わず椅子から立ち上がった。
「てめぇッ、てめぇッ、ぶっ殺すッ!」
そしてオモチャでも弄るように、熊男の足に突き刺した剣をグリグリッと動かす。湿った暗い部屋に響き渡る悲鳴に、なんら気を留めることなくさらに自らの足で、たった今剣で刺した足を上から踏みつけた。
ッガァああああグヴァッ!ゔおおおおオグッ!!
「オレは、こぉろぉせぇよぉオオ~とお前に言ったよなああ?」
男のうめき声に、刺青男は細い目をさらに細めて舌なめずりをしその顔に浮かべたのは恍惚とした表情。
「やだ~こんなとこで殺ったら汚れちゃう~。」
女は床に落とされ背中を打ったのか、床に横になったまま手で背中を押さえている。自らの状況が理解できていないのか、先ほどまでと変わらない媚びた表情、媚びた声で男に話しかけた。
「ノワール、ただのお仕置きだよ。ほらっ。」
男はもう一本の剣で、大男のもう片方の足まで突いた。
ギャアァアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
とうとう大男は両足に剣がささったまま、床に倒れた。顔の傷は痛みで酷く歪み、血の気が失せ失神寸前だった。
蛇男は、一生懸命自分の手の中にある薬物をセットし直し、口の端を歪めニヘラニヘラと引き攣った笑いをみせる。
開ききった目は視点も定まらないまま、刺青男はずっと部屋の隅に控えていた無表情の執事に指図した。
「おい、お前ぇ~、気分が削がれた。こいつを連れて出ていけ。そして必ずローズ家の娘をコ、ロ、セ。」
蛇男は床に転がっているノワールの散り散りになったオレンジの髪を掴み、囁いた。
「おいで、ノワール、今晩はたっぷり可愛がってあげよう。」
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