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十二 手紙
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「また来ます。」
「まためんそーりよ!」
別れを惜しみながらドアを閉めた。あいりの祖父に墓参りに来たいと言ったら、沖縄では年に数回の決まった時期にしかしないから、自宅においでと誘われて訪ねてきたのだ。パイナップルやバナナなどのフルーツの盛り合わせと花を持っていったら、とても喜んでくれた。あいりの祖父は、穏やかな顔で、男の子やオレ、誰一人責めることはなかった。
見上げた沖縄の空はどこまでも青く、風も涼しく、ここ最近ずっと塞ぎ込んでた気分を、幾分和らげてくれた。近くのベンチに腰を下ろし、あいりが亡くなる前に、オレにくれた手紙を広げようとした時だった。
!?
一緒にミカンジュースを飲んだあの日、縁側で彼女に渡した式神が、開いた手紙からポロリッと落ちた・・・! なぜ?? 落ちた式神を拾い上げ、自分が書いた蒼の文字をマジマジと見つめる。
「この手紙は、恥ずかしいからに、うちが沖縄に一度戻った後に読んで!!」
式神をあいりに渡した翌日のデートの日、玄関から外に出た時に、お願い、とあいりがオレの手を握りしめ、渡してくれた手紙だ。
あれからひと月が経った。どうしても、手紙を開いて読む気になれず今になってしまった。
散りばめた星模様が印刷された手紙には、とても可愛らしい字が、書き綴ってあった。
『~たくみへ~
今、この手紙を読んでいるということは、
うちは沖縄に無事に戻っているか、
うちに”何か”起こったからだということだと思います。』
!?
あいりは、『鬼』のことを知っていたのか?
『驚いた? ごめんなさい。
実はたまたま、たくみが鹿乃江さんと
話してるのを聞いてしまったからさ、
たくみが話してるのが
すぐうちのことだとピンッときたんよ。』
あの時、親父に『鬼』について話してるのを聞かれてたなんて・・・。花や自然が好きな彼女だから、庭で涼んでいた時にでも聞いてしまったに違いなかった。
『せっかくたくみに貰った式神だけど、
うちのことを守ってくれる代わりに、
たくみにダメージが行くやんに?
鹿乃江さんが言ってたさぁ?』
オレは式神をクシャクシャに握り潰していた。あいりは全て分かった上で、オレにこれを返したんだ。
『うちはもっと前に死んでても、おかしくないんよ。ガンで、東京にくる前にすでにお医者さんが言った余命は過ぎていました。』
あいりが亡くなって初めて知った。どこから見ても健康そのものに見えたのに、実はガンで闘病していたなんて。しかも余命宣告され、ちょうど一年が過ぎていたらしい。
『たくみ、きみはうちの大切な人。きみはこれからもきっとその優しさで多くの人を救う。最後に君に会えて、うちは幸せだったさーね。ありがとう。でーじ好き!!』
近くに咲いていた大きなピンク色の花を眺める。ブーゲンビリアって言うんだっけ? ガイドブックに載ってたような気がする。青空に映える美しい色合いが、あいりの笑った顔を思い起こさせ、胸がチクリとする。
オレは立ち止まり、風に揺れるこの大きなピンクの花を長い間眺めていた。
そしてその日、不思議な夢を見た。
「まためんそーりよ!」
別れを惜しみながらドアを閉めた。あいりの祖父に墓参りに来たいと言ったら、沖縄では年に数回の決まった時期にしかしないから、自宅においでと誘われて訪ねてきたのだ。パイナップルやバナナなどのフルーツの盛り合わせと花を持っていったら、とても喜んでくれた。あいりの祖父は、穏やかな顔で、男の子やオレ、誰一人責めることはなかった。
見上げた沖縄の空はどこまでも青く、風も涼しく、ここ最近ずっと塞ぎ込んでた気分を、幾分和らげてくれた。近くのベンチに腰を下ろし、あいりが亡くなる前に、オレにくれた手紙を広げようとした時だった。
!?
一緒にミカンジュースを飲んだあの日、縁側で彼女に渡した式神が、開いた手紙からポロリッと落ちた・・・! なぜ?? 落ちた式神を拾い上げ、自分が書いた蒼の文字をマジマジと見つめる。
「この手紙は、恥ずかしいからに、うちが沖縄に一度戻った後に読んで!!」
式神をあいりに渡した翌日のデートの日、玄関から外に出た時に、お願い、とあいりがオレの手を握りしめ、渡してくれた手紙だ。
あれからひと月が経った。どうしても、手紙を開いて読む気になれず今になってしまった。
散りばめた星模様が印刷された手紙には、とても可愛らしい字が、書き綴ってあった。
『~たくみへ~
今、この手紙を読んでいるということは、
うちは沖縄に無事に戻っているか、
うちに”何か”起こったからだということだと思います。』
!?
あいりは、『鬼』のことを知っていたのか?
『驚いた? ごめんなさい。
実はたまたま、たくみが鹿乃江さんと
話してるのを聞いてしまったからさ、
たくみが話してるのが
すぐうちのことだとピンッときたんよ。』
あの時、親父に『鬼』について話してるのを聞かれてたなんて・・・。花や自然が好きな彼女だから、庭で涼んでいた時にでも聞いてしまったに違いなかった。
『せっかくたくみに貰った式神だけど、
うちのことを守ってくれる代わりに、
たくみにダメージが行くやんに?
鹿乃江さんが言ってたさぁ?』
オレは式神をクシャクシャに握り潰していた。あいりは全て分かった上で、オレにこれを返したんだ。
『うちはもっと前に死んでても、おかしくないんよ。ガンで、東京にくる前にすでにお医者さんが言った余命は過ぎていました。』
あいりが亡くなって初めて知った。どこから見ても健康そのものに見えたのに、実はガンで闘病していたなんて。しかも余命宣告され、ちょうど一年が過ぎていたらしい。
『たくみ、きみはうちの大切な人。きみはこれからもきっとその優しさで多くの人を救う。最後に君に会えて、うちは幸せだったさーね。ありがとう。でーじ好き!!』
近くに咲いていた大きなピンク色の花を眺める。ブーゲンビリアって言うんだっけ? ガイドブックに載ってたような気がする。青空に映える美しい色合いが、あいりの笑った顔を思い起こさせ、胸がチクリとする。
オレは立ち止まり、風に揺れるこの大きなピンクの花を長い間眺めていた。
そしてその日、不思議な夢を見た。
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