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本編
壱
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「 ……様、……葉様、紅蓮葉様 」
‘’ 誰かが俺の名前を呼んでいる…
優しくて、水が澄んだ様な聞き馴染みのある綺麗な声 ”
「 あお…? 」
「 はい、蒼です。顔色が優れないようですが大丈夫ですか? 」
「 ん…あぁ、昔の事思い出してたからかな… 」
「 ……そうですか、、 」
‘’ 俺が目を開けると、そこには俺が想像していた通りの鬼が立っていた
彼の名は『 蛇穴 蒼( さらぎ あおい )』
俺の幼馴染であり側近だ( 俺は『 あお 』って呼んでる )
どうやら俺の顔色が余程良くないらしい
昔の事を思い出し、気分が優れないのは確かだった為正直に伝えると、あおはやってしまった…と言わんばかりのバツの悪そうな顔で「 そうですか 」と短く言葉を返した ”
「 ……あおは何も悪くねぇんだから、そんな顔しなくていい…で、俺に何か用があったんじゃねぇのか? 」
( 俺はあおにこんな顔をさせたかった訳じゃない、、 )
紅蓮葉はこの空気を変えたい気持ちもありつつ恐らく何か用があってここに居る蒼に声をかけた
「 あ…はい、実は里の近辺に魔物が出たそうで、お父上の紅郎様より紅蓮葉様に出陣して頂きたいと言付かっております 」
「 魔物…最近やけに多いな…。分かった今から出る 」
蒼はまだ少し先程の事が気にかかっているようだったが、紅蓮葉の父、紅郎( べにろう )からの言付けという事もあり用件を直ぐに述べた
魔物…森の奥深くに生息する瘴気を放つ異生物。紅緋の里はその魔物が住む住処に近い所に位置する為、よくこのように魔物が出る。紅蓮葉は出来損ないと言えど、里を統治する鬼灯家の嫡男。
このような事態になった時には先陣を切って出陣する必要がある
‘’ 先陣…って言うのは言葉だけだけどな
家臣達何人かも付いて出るが、俺の指示に従う者はいない。ガキの頃からそんなんだから俺も家臣達に指示はしない。俺は黒炎が使える、黒炎は赤炎と違って威力が桁違いに高い。だからこそ災いを引き起こすって恐れられているんだけどな
正直、家臣達に任せるよりも俺が魔物を殲滅する方が早い
大方この2つの理由で指示を出していない ”
「 今から…、、着物で赴かれるのですか? 」
「 あぁ、どうせ召し物変える使用人もいないんだ。返り血で汚れるかも知れないが、別に良い 」
「 ……ダメです、私が手伝いますからお召し物は変えてください 」
「 いや、いいって…っておい!! 」
部屋着の着物のまま屋敷を出ようとした紅蓮葉を蒼は引き止め、半ば無理やり着替えさせた
「 ったく、、良いって言ったのに… 」
「 貴方は鬼灯家の息子なんです、部屋着でなんて行ったら紅蓮葉様が笑われるでしょう? 」
「 それも別に今更だろ?笑われたり馬鹿にされるのは慣れてる 」
「 私が嫌です、というか何故紅蓮葉様を笑ったり馬鹿にしたりする鬼達がいるのかが分かりません 」
「 そりゃ俺が『 出来損ないの無情な鬼 』?だから… 」
「 違います、紅蓮葉様は無情でも出来損ないでもありません。貴方は優しくて強くて、本当は情にも厚い御方です。そんな風に言われていい所なんて1つもありません 」
紅蓮葉は昔から他の奴らに笑われたり馬鹿にされたりする事が多かった。
だから本当に人よりは疎まれることに耐性がある
とは言えど『 出来損ないの無情な鬼 』と自分で言うのはかなり虚しかった様で、紅蓮葉の顔が一瞬曇った
そんな紅蓮葉の言葉を遮って、蒼が食い気味に否定した
蒼は普段冷静沈着だが、紅蓮葉がこういう風に自分を卑下にする発言をした時だけ、少し感情的になるのだ
「 ……あるよ、俺1本角で、黒炎使いだし、、」
「 だから違うと何度も…っ、、 」
「 俺はさ、あおが居ればそれで良いから 」
「 っ………… 」
‘’ 俺は鬼灯家の鬼達とは角も妖力も違う
だから気味悪がるのは仕方ねぇんだ
あおは、そんな事は無い・紅蓮葉様は素晴らしい御方だっていつも褒めてくれるし、庇ってくれる
でも俺は_________ ”
紅蓮葉は蒼の胸辺りにおでこをコツンと当て、この上なく優しい声で心からの言葉を蒼に伝えた
蒼は驚いた様で、少したじろいだ
「 例え里の皆が敵だとしても、俺はあおが傍に居てくれれば良い 」
「 ………紅蓮葉さ… 」
「 あ~~、、ほ、ほら、そろそろ出るぞ、俺らがこうしてる間にも被害が大きくなってるかもしれねぇ 」
「 ……そうですね、、行きましょうか 」
「 あぁ 」
蒼が居ればいい、それ以上は何も望まない
‘’ 素直な気持ちを述べると同時に、俺は急激に恥ずかしくなって咄嗟に話を逸らした、あおの言葉を遮って… ”
蒼は何か言いたげだったが、被害拡大等を懸念してそれ以上は何も言わなかった
否、懸念の他にも何か理由があったようだが…それにはまだ、紅蓮葉は気付いていない
紅蓮葉と蒼の2人は、ぎこちない雰囲気を残しつつも、魔物が出て暴れている場所へと向かって行った
▶︎ 続く
※作品内容の所に紅蓮葉と蒼のプロフィールを記載しております!!
良ければご覧になってみて下さい✨
‘’ 誰かが俺の名前を呼んでいる…
優しくて、水が澄んだ様な聞き馴染みのある綺麗な声 ”
「 あお…? 」
「 はい、蒼です。顔色が優れないようですが大丈夫ですか? 」
「 ん…あぁ、昔の事思い出してたからかな… 」
「 ……そうですか、、 」
‘’ 俺が目を開けると、そこには俺が想像していた通りの鬼が立っていた
彼の名は『 蛇穴 蒼( さらぎ あおい )』
俺の幼馴染であり側近だ( 俺は『 あお 』って呼んでる )
どうやら俺の顔色が余程良くないらしい
昔の事を思い出し、気分が優れないのは確かだった為正直に伝えると、あおはやってしまった…と言わんばかりのバツの悪そうな顔で「 そうですか 」と短く言葉を返した ”
「 ……あおは何も悪くねぇんだから、そんな顔しなくていい…で、俺に何か用があったんじゃねぇのか? 」
( 俺はあおにこんな顔をさせたかった訳じゃない、、 )
紅蓮葉はこの空気を変えたい気持ちもありつつ恐らく何か用があってここに居る蒼に声をかけた
「 あ…はい、実は里の近辺に魔物が出たそうで、お父上の紅郎様より紅蓮葉様に出陣して頂きたいと言付かっております 」
「 魔物…最近やけに多いな…。分かった今から出る 」
蒼はまだ少し先程の事が気にかかっているようだったが、紅蓮葉の父、紅郎( べにろう )からの言付けという事もあり用件を直ぐに述べた
魔物…森の奥深くに生息する瘴気を放つ異生物。紅緋の里はその魔物が住む住処に近い所に位置する為、よくこのように魔物が出る。紅蓮葉は出来損ないと言えど、里を統治する鬼灯家の嫡男。
このような事態になった時には先陣を切って出陣する必要がある
‘’ 先陣…って言うのは言葉だけだけどな
家臣達何人かも付いて出るが、俺の指示に従う者はいない。ガキの頃からそんなんだから俺も家臣達に指示はしない。俺は黒炎が使える、黒炎は赤炎と違って威力が桁違いに高い。だからこそ災いを引き起こすって恐れられているんだけどな
正直、家臣達に任せるよりも俺が魔物を殲滅する方が早い
大方この2つの理由で指示を出していない ”
「 今から…、、着物で赴かれるのですか? 」
「 あぁ、どうせ召し物変える使用人もいないんだ。返り血で汚れるかも知れないが、別に良い 」
「 ……ダメです、私が手伝いますからお召し物は変えてください 」
「 いや、いいって…っておい!! 」
部屋着の着物のまま屋敷を出ようとした紅蓮葉を蒼は引き止め、半ば無理やり着替えさせた
「 ったく、、良いって言ったのに… 」
「 貴方は鬼灯家の息子なんです、部屋着でなんて行ったら紅蓮葉様が笑われるでしょう? 」
「 それも別に今更だろ?笑われたり馬鹿にされるのは慣れてる 」
「 私が嫌です、というか何故紅蓮葉様を笑ったり馬鹿にしたりする鬼達がいるのかが分かりません 」
「 そりゃ俺が『 出来損ないの無情な鬼 』?だから… 」
「 違います、紅蓮葉様は無情でも出来損ないでもありません。貴方は優しくて強くて、本当は情にも厚い御方です。そんな風に言われていい所なんて1つもありません 」
紅蓮葉は昔から他の奴らに笑われたり馬鹿にされたりする事が多かった。
だから本当に人よりは疎まれることに耐性がある
とは言えど『 出来損ないの無情な鬼 』と自分で言うのはかなり虚しかった様で、紅蓮葉の顔が一瞬曇った
そんな紅蓮葉の言葉を遮って、蒼が食い気味に否定した
蒼は普段冷静沈着だが、紅蓮葉がこういう風に自分を卑下にする発言をした時だけ、少し感情的になるのだ
「 ……あるよ、俺1本角で、黒炎使いだし、、」
「 だから違うと何度も…っ、、 」
「 俺はさ、あおが居ればそれで良いから 」
「 っ………… 」
‘’ 俺は鬼灯家の鬼達とは角も妖力も違う
だから気味悪がるのは仕方ねぇんだ
あおは、そんな事は無い・紅蓮葉様は素晴らしい御方だっていつも褒めてくれるし、庇ってくれる
でも俺は_________ ”
紅蓮葉は蒼の胸辺りにおでこをコツンと当て、この上なく優しい声で心からの言葉を蒼に伝えた
蒼は驚いた様で、少したじろいだ
「 例え里の皆が敵だとしても、俺はあおが傍に居てくれれば良い 」
「 ………紅蓮葉さ… 」
「 あ~~、、ほ、ほら、そろそろ出るぞ、俺らがこうしてる間にも被害が大きくなってるかもしれねぇ 」
「 ……そうですね、、行きましょうか 」
「 あぁ 」
蒼が居ればいい、それ以上は何も望まない
‘’ 素直な気持ちを述べると同時に、俺は急激に恥ずかしくなって咄嗟に話を逸らした、あおの言葉を遮って… ”
蒼は何か言いたげだったが、被害拡大等を懸念してそれ以上は何も言わなかった
否、懸念の他にも何か理由があったようだが…それにはまだ、紅蓮葉は気付いていない
紅蓮葉と蒼の2人は、ぎこちない雰囲気を残しつつも、魔物が出て暴れている場所へと向かって行った
▶︎ 続く
※作品内容の所に紅蓮葉と蒼のプロフィールを記載しております!!
良ければご覧になってみて下さい✨
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