忌み子と呼ばれた鬼が愛されるまで

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本編

参 前編( 蒼目線 )

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‘’ 私は蛇穴蒼
鬼灯家の嫡男、紅蓮葉様の幼なじみであり側近です。私には家族が3人いますが、父母兄全員嫌いです。紅蓮葉様がと呼ばれていることは皆さんご存知でしょう。まぁ、私は忌み子等とは思いませんが…寧ろ紅蓮葉様が居てくれないと困ります。ですが、私の父は紅蓮葉様がだからと言う最低な理由で、私を利用して不当に利益を得ている。
『 誰も仕えようとしない不吉な忌み子に息子を仕えさせてあげている優しい父親 』
そんな意味のわからない名目で紅蓮葉様のお父上の紅郎様から金銭を受け取っているのです。私は紅郎様に金など渡さなくても大丈夫だと言ったのですが紅郎様は_____


「 私がお金を渡しているのは紅蓮葉が忌み子だからではない、寧ろ私と葉月にとって紅蓮葉は大切な宝物なんだ。だからこそ、紅蓮葉が小さい頃からお世話になっている蒼くん、君への感謝の気持ちとして払っているんだよ 」

「 だったらより一層払わなくても構いません、私は家族の事を家族だとは思っていません…それに私の方こそ紅蓮葉様にはお世話になっているんです 」

「 蒼君が御家族の事をどう思っているのかは、勝手だがわかっているつもりだ。それに紅蓮葉の事を悪くいうのは許せない。だけどね、紅蓮葉は君のことが本当に大切で、蛇穴の夫婦が居てくれなければ蒼君は生まれてこなかった。紅蓮葉に出会う事は無かったんだよ。この事実だけは変えられない、私達はただこの事実に感謝しているんだ 」


紅郎様はこうおっしゃったのです。
私は自分の親があんな2人だとは今でも信じたくありません_____




っと…すみません…軽く説明するつもりが長くなってしまいました…

では、本編へどうぞ↓↓↓


ーーーーーーーーーーーーーーー


「 ふぅ…すっきりした、、お世話係でも無いのにわざわざありがとうな、あお 」
「 いえ、私は紅蓮葉様の側近ですし、好きでやっていることですから 」
「 ほんっとお前は物好きだなぁ…、、 」
「 そうですか? 」
「 あぁ、物凄くな… 」

戦場から帰り、紅蓮葉は瘴気が染み込んだ服を脱ぎ、蒼特製の浄化水で体を洗った。魔物の瘴気は、例え鬼の強靭な身体を持ってしても後遺症が残る可能性が高いものだ
紅蓮葉は直ぐに魔物を倒した為、さほど侵されては居なかったが念の為…と蒼が用意してくれたのだ
蒼は水の妖力が使え、水を操る事はもちろん、この様に水の性質を変化させ、治癒効果のある水にする事も可能だ

‘’ 私は紅蓮葉様の入浴の手伝いを一通り終え、紅蓮葉様の髪の毛を手入れしていた ”

‘’ 紅蓮葉様は私の事を物好きな奴だと言った。恐らくの自分を世話することが好きだなんて…という意味で言ったのだろう。だが私は本当に好きでやっていることなのだ。私にとって紅蓮葉様は世界で一番大切な御方、そんな方の世話ができる・傍に居られる、これ以上の幸福はないと言っても過言では無い。紅蓮葉様は少し照れくさそうにする一方、先程の出来事( 弐話参照 )の事もあり、切なげなお顔をしながらも ふっ と笑った ”


「 ………なぁ、あお 」
「 なんでしょう? 」
「 ……今から…ってだめか…? 」
「 今から…ふむ、、 」
「 だ、だめなら…無理はしなくていいから…!! 」
「 いえ、大丈夫ですよ。ただ…要務を1つだけ終わらせて参りますので暫しお待ち頂けますか? 」
「 そうか…!!ん、わかった…なるべく早く帰ってこいよ…? 」


「 はい、待っていてくださいね? 」


髪の手入れが終わると、紅蓮葉が蒼の方を少し熱を帯びた目でチラリと見て「 今からはダメか? 」と聞いた。蒼は本日分の仕事で残っている事は無いかを考えた。その様子を見た紅蓮葉が慌てて 無理はしなくていい と付け加えた

‘’ 私は残っている仕事は残り1つだった為、ふっと微笑みその旨を伝えた。そう伝えた時の紅蓮葉様の表情がとてつもなく可愛かった。パァッと顔が明るくなり、美しいトパーズ色の目を輝かせ私を見た。正直要務を放り出してでもここに居たかったが、要務は私の仕事の中でも特に大切なものだった為、今にも暴走しそうなこの理性をぐっと抑え、我慢した ”

蒼は紅蓮葉の肩に軽く手を乗せ、紅蓮葉の耳元で 待っていて欲しい と言った
蒼のあまりに妖艶な声に紅蓮葉は体をビクッとさせ、顔を真っ赤にした
そんな状況を楽しむかのように蒼は微笑しながら紅蓮葉の部屋を後にした。













蒼は紅蓮葉の部屋を出て、一番最初に厨房に向かった

「 失礼します。本日の報告をよろしくお願いします 」
「 蒼様…!お疲れ様です。本日も特に調理内容に問題はありませんでした。ですが、仕入れに関しましては、魔物の出現があった為 一部の食材を仕入れることが出来ておりません。 」

そう、蒼の要務とは各部署に赴き報告を受けること。そして何か問題があれば対処することなのである

厨房を担当している料理長が、蒼に報告を済ませると蒼は少し考え込み…


「 恐らく残っている瘴気が原因で近づけず、運ぶのが遅れているのでしょう。浄化班と魔物処理班に増員し、少しでも早く届けてもらえるよう手配しておきます 」
「 ……!!ありがとうございます、助かります…!! 」
「 いえいえ。あ、そうでした。本日の紅蓮葉様のお食事は少量にして、遅めの時間に作って貰えますか? 」
「 は、はい!可能ですが…、、紅蓮葉様はご体調が優れないのでしょうか…?魔物と戦ったと聞いておりますし、瘴気に当てられ体調を崩しておられるなら喉を通りやすいあっさりめの物をお作り致しましょうか? 」
「 いえ、体調は問題ないので大丈夫ですよ。ただ、様で、食べる時間が遅くなると思いますので… 」
「 なるほど、分かりました。お食事は作っていつもの場所に置いておきますので 」
「 はい、よろしくお願いします 」

この里には紅蓮葉の事を忌み嫌っている者が大半だが、この料理長の様にとは思わず気遣ってくれる者もいる。だが、厨房を担当している事もあり、紅蓮葉とはほとんど顔を合わせる機会がないのである…



後編へ続く▶︎

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