ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ

文字の大きさ
257 / 285
十三章 女神の塔

257. ダーモットのステータス

しおりを挟む
「えー、ここまで辿りつくと、戦闘の有無に関係なく、女神様から自己鑑定能力が授かりまーす。あ、これも女神教に属するものだけの特典です。旦那様からご自身のステータスを公開しても良いと許可をいただいておりますので、今、放送画面にも表示出来るようにしますねー」

 マゴーはタブレット魔導具で、タップタップ作業を始めた。
 その間ダーモットは、マイペースに一階層でもいでおいた果実を食べている。

「こちらが旦那様のステータスになりまーす」

【名前】ダーモット・ショウネシー
【種族】人族(34)
【職業】ショウネシー領貴族長
【レベル】65
【体力】743/750
【魔力】343/360
【攻撃力】420(+20)
【防御力】460
【敏捷性】240
【魔法】風魔法 身体強化魔法 防御魔法 索敵魔法 収穫魔法
【習得スキル】剣術SS  騎獣術SS  槍術A  弓術A  拳闘術S  速読S  忍耐EX  直感A
【常時スキル】自動回復(小)  魔法収納A
【◼️◼️スキル】王の力
【ギフト】妖精のいたずら 二番目の休息
【称号】熊殺し 神獣の友達 血塗れクラッシャーショウ(救国の英雄)



◇◇◇



「あああァアアぁぁ??!!」
「きゃあああああ!!!」

 突然背後から奇声が聞こえて、マグダリーナも悲鳴をあげた。

「ちょっと、びっくりさせないでよエデン! エステラに言いつけるわよ」
「ンなことより、ダーモットのこのステータスはなんだ?」

 マグダリーナは、まだバクバク言っている心臓を落ち着ける為に、深呼吸した。

「剣術SSって……ダーモット父さん、強かったんだ……」
「なんだか全体的に数字の桁が違いますの……」
 ライアン達も驚いてるが、エデンはそこじゃナイと首を振った。

「エルフェーラの剣の気配がしたんで、こっちに来てみたらこれだ。なんでダーモットに【権能スキル】がある? しかもこれはエルフェーラのだ」

 ダーモットの読めないスキル名は、どうやら【権能スキル】だったらしい。

「は?」
「え?」
「うそ……」

「お父さま、エルフェーラ様の生まれ変わりなんですか……?」

 マグダリーナ、ライアン、レベッカが呆然とする中で、アンソニーが、ズバリそのものの質問をする。

「そんなことは、俺が聞きたい。ダーモットが帰ってきたら、さっそくセレンに鑑定させるぞ!」
「ええ!?」
 そう言われても、マグダリーナはあの麗しく、優雅なエルフェーラ様と、ダーモットの間に共通点などさっぱり見つけられず、何かの間違いとしか思えなかった。



◇◇◇



 マグダリーナ達が困惑していた所、視聴者達も困惑していた。

『レベル65って、強いのか?』
『剣術SSってあるから、強いんじゃないか?』
『伯爵一度も剣術使ってなくない?』
『手ぶらだったな』
『いやこの取得スキル、熟練の騎士並みなんじゃないか?』
『リーン王国最強の、辺境伯騎士団にいてもおかしくない』
『血塗れクラッシャーショウ』
『なんだあの称号』
『まさか、あののんびりした伯爵の二つ名??』
『まさか……』

 因みに括弧付きの称号と権能スキルに関しては、一般視聴者には見えないようだ。

「さて、ここからが難易度高くなるらしいけど、一旦街に出て、装備屋でも見てくるかな?」
「そうですねー、でも情報冊子の推奨レベルだと、旦那様なら二十階層まで行けますよ?」
「普通に考えると、ダンジョンはパーティ組んで攻略するものなんだよ。私は今単独だからねぇ……あんまり時間もかけたら、子供達も心配するし、とりあえず、昼までに行ける所に行ってやめにしよう」
「はーい」

 そうしてダーモットは、四階層への階段を登った。

 四階層は人型の魔物、ゴブリンが出てきた。だが、剣を抜いたダーモットは、まさしく風のような速さで殲滅してしまう。
 防具も付けず、剣一本で危なげなく魔物を倒していく姿は痛快で、階層が上がるたびに、興奮した視聴者からの投げレピも増えた。

 そして結局、十階層まで行ってしまったのだ。



◇◇◇


 十階層を攻略し終わったダーモットは、町の食堂で昼食を食べて、軽く武器屋や装備屋を回り、お土産用に屋台の食べ物を買い込む。最後に噴水の女神像に祈りを捧げて配信を終わらせた。
 その間、マゴーが巧みに、まだ町ができて三日目だから町民を募集していること、今回のドロップ品は、リオローラ商団かショウネシー冒険者ギルドの魔法通販で販売されることを宣伝する。

 因みにスキルの卵石は、全てダーモットがその場で割って使用した。



◇◇◇



「ダーモットはまだ帰ってないの?!」
 配信終了後、早速ドーラ伯母様がカレンと一緒にやってきた。

 マグダリーナ達は、居間からサロンに移動して、ドーラとカレンを迎えた。

「……多分、あと三十~四十分ほどかかるかと……」
 マグダリーナは、配信が終わった時間から逆算して答えた。

「マゴーを連れて行ってるのに、なにゆっくりマゴー車で帰ってくるつもりなのかしら。そういうところは、相変わらずだわ」

 ケーレブが紅茶とお菓子を配膳する。紅茶はダンジョンドロップしたもので、花のような香りと共に、渋みが少なくとろりとした甘みを感じる、飲みやすくて上品質とわかるものだ。

「申し訳ございません、マグダリーナ様。配信をお止めすることができませんでした」
「ケーレブのせいじゃないわ」

 マグダリーナの言葉に、ドーラも同意した。

「ダーモットはいつも、事前に相談せずに行動しちゃうのよ。貴方達も、振り回されないように注意しなさいね」
「それは、注意で防げますの?」
 首を傾げるレベッカに、ドーラは首を振って、ため息を吐いた。
「無理ね~」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

処理中です...