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イジメ
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岩村先生の忠告はすぐに現実になった。
体育で二人組を作る時は敬遠されて最後まで相手が決まらず、共同学習ではグループ内で一人完全に浮いた存在になり、レポート制作の相談も連絡されなくなっていた。
いつも宿題を写させていた子たちからさえ、
――一日何にもしゃべらないなんてキモいよね
――ってか、何考えてんだか分んなくてブキミ
そんな聞えよがしな皮肉を耳にし始めた頃、朝、登校してみると、私の机に黒いマジックで落書きがされていた。
気取るな! ブス!
学校に来るな!
死ね!
何のひねりもない悪口だった。
机の中には昨日から牛乳で濡らしていたらしい雑巾が詰め込まれ、悪臭を放っていた。
視界の隅に薄ら笑いを浮かべているクラスメイトが見えていたが、私は無表情のまま無視して、雑巾を片づけた。
人は異質なものを排除しようとする生き物だから、こういう嫌がらせはもっと早く来ると予想していた。むしろ、今なのが遅いとさえ思った。
落書きはあえて消さなかった。多分消してもまた書かれるだろうから。
柚木君が落書きを見て何か言いかけたが、杉野さんたちにすぐに止められていた。
彼女たちの態度は賢明だと思う。私に変に関わって、とばっちりを受けることはない。
机の落書きを見た岩村先生に私はまた進路指導室に呼ばれ、事情を聞かれた。
気づかないふりもできるのに律義に状況を把握しようとする態度は立派だ。男子バレー部の顧問として生意気盛りの中学生男子部員の尊敬と信頼を集めているのは、こんな実直さがあるからなのだろう。
でも私にはその真っ直ぐさが鬱陶しかった。こうしてわざわざ事情を聞くのは後に何か問題が起こった時に『精一杯の対処をしていた』と言い訳するためかと罵倒して話を撹乱させて逃げる手も考えたが、それも面倒に思えた。
「誰がやったのか、心当たりはあるか」
私を嫌いな人でしょう、と私は興味もなく答えた。
「それにあれは、単なる意思の表現です。この国では表現の自由は保障されていますから、別に問題ないんじゃありませんか。ああ、学校の備品への落書きという点が問題ですよね」
先生は絶句し、顔を歪めた。
「……久保田……俺が言いたいのはそんなことじゃなくて」
私は先生の言葉を遮って、犯人捜しはしないでいいとはっきり伝えた。例え犯人が分かり注意したところで、その人間が反省して止めるとは思えない。それどころか次の嫌がらせが周りにばれないよう狡猾になっていくだけだ。
「先生が自分の仕事だと思ってするのなら、私に止める権利はありませんけど、意味ありませんから」
「何故だ」
「あれは、書いた人間にとっては自分の信じる正義なんだと思います。いるだけで気持ち悪い私を排除しようとするのは、その人には当然のことなんです。その人が信望する正義を捨てるように説得できる言葉を、先生は持ってますか」
「あれのどこが正義だ! これはれっきとしたお前に対するイジメだ!」
「違います。異端者に対する排除行動です」
「馬鹿なことを言うな! お前が異端者なんて」
「戦争もテロも裁判も、みんな『自分が正義、相手が異端』で行われるものじゃないですか。それと同じです。机に落書きをした人から見れば、私は異端者です」
「戦争やテロをイジメと一緒にするな」
「一緒です。誰にだって自分に都合の悪い者はいなくなってもらいたいのが本音でしょう。でも、落書きなんて意思表示にはいいですけど、排除行動としては随分遠周りで頭の悪い方法ですよね」
もっと簡単ですぐに片がつく方法なんていくらでもあるのに、と笑った私に、先生は顔を強張らせた。
「先生もこんな考え方をする私が気持ち悪いですか?」
答えはなくても、先生の表情が全てを物語っていた。
「先生、人は自分が理解できないものは怖いんです。怖いから攻撃する。これはそういうことなんです」
先生は完全に言葉を失い、呆然と私の顔を見つめた。
放っておきっぱなしの落書きは毎日増えた。似たような悪口なのでいちいち読みもしなかったけれど、それぞれ筆跡に違いがあることは分かっていた。
つまり私を嫌いと意思表示する人間が、落書きした人数だけいる。それでも、
――私の存在を否定するのはたったこれだけ?
落書きを見る私の感想はその程度だった。私は全人類の存在を否定してるのにバランスが悪いな、と。
「黒ばっかり。たまには色を変えればいいのに」
呟いた私の言葉を傍で聞いていた子が、気味悪そうに身体を引いた。
当り前だろう。普通こんなことをされたら泣くか、怒る。少なくとも、傷ついた顔をするだろう。平然と自分への悪口の落書きを見ているだけなんて、まともな人間の反応じゃない。
こんな私を星志が見たら何と言うだろう。
星志なら「奈緒らしいね」と笑ってくれるだろうか。
それともまずこの排除行動に胸を痛めて、泣いてしまうだろうか。
翌日には赤マジックの色が増え、教科書にも落書きされた。
体育の授業から教室に戻ると、カバンの中身が全部床にばら撒かれて、ポーチに入れていた生理用ナプキンが机の上に並べられていた。
それをしまうより先に、私は床に落ちている御守りの袋を拾った。
この中には星志がくれた手紙を入れてあった。この世でただ一人の私の理解者の大事な手紙を汚されたり切られたりされてないことに心から安堵した。
彼の思いはこの手紙の中にある。手紙を持っているのは彼と共にいることと同じ。
星志が傍にいてくれるから、こんな程度の低い嫌がらせも耐えられる。
「怒りなさいよ!」
黙って片づけていると、杉野さんが傍にきて怒鳴った。
「こんなことされてまだ黙ってるのっ! 少しは怒って見せなさいよっ!」
無視して片づけを続けていると、彼女はさらに怒鳴った。
「あんたがそんな風に何にも言わないから」
「不気味で気持ち悪い、でしょう」
「分かってるなら」
「だって、どうでもいいんだもの」
私は投げやりに笑った。
「誰がやったか興味もない。……ただ、これって」
もう一度、私は笑った。
「中途半端よね、やることが。私に学校に来て欲しくないなら、私の家に火を付ければいいのに。家が燃えて無くなったら転校することになるでしょう」
杉野さんが半歩引いた。
「それともこの世に居ること自体許せないなら、ナイフで刺せばいい。簡単に終わるわ」
もう半歩、杉野さんは後ろに下がった。
「……ああ、そうか。自分の人生を賭けてまで排除しようってほどの価値もないから、自殺に追い込もうとしてるのかもしれないね」
私は踏まれて折れたシャーペンを見ながら言った。
「これをやった人が将来、自分がこういうことをする人間だってことを恥じて隠して結婚するのか、それとも、気に入らない者は迫害して当然って思える人格で、これを自慢に思って結婚するのかは知らないけど」
何人かが私から目を逸らしたのを感じた。
「どっちにしてもその人の子供はこんなことをする人のDNAを受け継いでいるし、親の思考の影響も強いから、将来同じようなことをするんだろうなって予想すると……この国の未来は明るいよね」
「どうしてよ」
杉野さんが思いきり不機嫌そうに聞いた。
「だって、自分が嫌いなものを手段を選ばず排除しようっていう行動力があるじゃない。そんな強い人間が席巻すれば、私みたいに気に入らない者はみんな淘汰されていなくなる。自分の嫌いなもの全部取り除いて好きなものだけ存在させるような人間ばかりになれば、それは嫌なものが一つもない幸せな社会なんじゃないかな」
私は机の、赤い「死ね」という文字を指でなぞった。
「そんな明るい未来を目指してるから、私に早く死んでもらいたいっていうなら」
理解できると言いかけた時、教室の後で派手に机を蹴り倒す音が響いた。
「――ふざけんなっ!」
机を蹴り倒したのは柚木君だった。
「そんな、どっかの誰かの訳の分んねえ趣味で決められる社会の、どこが明るいんだよ! そんなのナチスと同じじゃねえか! そんなバカなことマジで考えてるヒットラーみたいな奴が、本当にこの中にいるのかよ!」
柚木君は誰にともなく叫んだが、答えはなかった。
「俺はサッカーやってるけど、野球やってる尾島と仲いいぞ! 久保田がいうような社会になったら、俺は尾島と友達じゃいられなくなるのか? サッカーファンと野球ファンはどっちかが滅びるまで潰し合いしなきゃならないのか? なあ、尾島!」
話をいきなり自分にふられて、尾島君は困惑していた。
「大体、自分と完全に同じ考えと同じ趣味なんて奴がこの世にいる訳ないだろう!」
冷たい炎が燃える眼で柚木君はみんなをぐるりと見回し、
「このクラスは色んな奴がいて、すっげえ面白いクラスだって思ってたのに」
こんなのくだらねえっ、ともう一度机を蹴って教室を出て行った。
みんなが気まずく視線を逸らし合う中、私は一人床にばら撒かれたものを拾い片づけた。
ナプキンをポーチにしまいながら、机の落書きに目を落とす。
どれもみんな、私のこの世での存在を否定する言葉だった。
星志は語らなかったが、多分学校でこんな嫌がらせもされただろう。人間のやることにそう違いはないはずだから。
イジメに遭って不登校になった星志。
私は『人間』じゃないから、『異端者』だから人の社会から弾き出されてもしかたがない。
でもあんなに優しい星志が、イジメられなければならない理由なんて一つもない。
理不尽だ。この世は本当に理不尽だ。
こんな社会なんて滅びてしまえばいい。
今すぐ。
核兵器で跡形もなく。
気がつけば私はうずくまって泣いていた。泣いている私の横から何人かの手が伸びてきて、床の物を拾い集めてくれていた。
私に構えば自分もイジメのターゲットになるかもしれないのに……。
顔を上げられないまま、私は「ありがとう」と呟いた。
誰も返事をしなかったけれど、一人の手が私の肩を一度だけ軽く叩いた。
杉野さんの手のような気がした。
体育で二人組を作る時は敬遠されて最後まで相手が決まらず、共同学習ではグループ内で一人完全に浮いた存在になり、レポート制作の相談も連絡されなくなっていた。
いつも宿題を写させていた子たちからさえ、
――一日何にもしゃべらないなんてキモいよね
――ってか、何考えてんだか分んなくてブキミ
そんな聞えよがしな皮肉を耳にし始めた頃、朝、登校してみると、私の机に黒いマジックで落書きがされていた。
気取るな! ブス!
学校に来るな!
死ね!
何のひねりもない悪口だった。
机の中には昨日から牛乳で濡らしていたらしい雑巾が詰め込まれ、悪臭を放っていた。
視界の隅に薄ら笑いを浮かべているクラスメイトが見えていたが、私は無表情のまま無視して、雑巾を片づけた。
人は異質なものを排除しようとする生き物だから、こういう嫌がらせはもっと早く来ると予想していた。むしろ、今なのが遅いとさえ思った。
落書きはあえて消さなかった。多分消してもまた書かれるだろうから。
柚木君が落書きを見て何か言いかけたが、杉野さんたちにすぐに止められていた。
彼女たちの態度は賢明だと思う。私に変に関わって、とばっちりを受けることはない。
机の落書きを見た岩村先生に私はまた進路指導室に呼ばれ、事情を聞かれた。
気づかないふりもできるのに律義に状況を把握しようとする態度は立派だ。男子バレー部の顧問として生意気盛りの中学生男子部員の尊敬と信頼を集めているのは、こんな実直さがあるからなのだろう。
でも私にはその真っ直ぐさが鬱陶しかった。こうしてわざわざ事情を聞くのは後に何か問題が起こった時に『精一杯の対処をしていた』と言い訳するためかと罵倒して話を撹乱させて逃げる手も考えたが、それも面倒に思えた。
「誰がやったのか、心当たりはあるか」
私を嫌いな人でしょう、と私は興味もなく答えた。
「それにあれは、単なる意思の表現です。この国では表現の自由は保障されていますから、別に問題ないんじゃありませんか。ああ、学校の備品への落書きという点が問題ですよね」
先生は絶句し、顔を歪めた。
「……久保田……俺が言いたいのはそんなことじゃなくて」
私は先生の言葉を遮って、犯人捜しはしないでいいとはっきり伝えた。例え犯人が分かり注意したところで、その人間が反省して止めるとは思えない。それどころか次の嫌がらせが周りにばれないよう狡猾になっていくだけだ。
「先生が自分の仕事だと思ってするのなら、私に止める権利はありませんけど、意味ありませんから」
「何故だ」
「あれは、書いた人間にとっては自分の信じる正義なんだと思います。いるだけで気持ち悪い私を排除しようとするのは、その人には当然のことなんです。その人が信望する正義を捨てるように説得できる言葉を、先生は持ってますか」
「あれのどこが正義だ! これはれっきとしたお前に対するイジメだ!」
「違います。異端者に対する排除行動です」
「馬鹿なことを言うな! お前が異端者なんて」
「戦争もテロも裁判も、みんな『自分が正義、相手が異端』で行われるものじゃないですか。それと同じです。机に落書きをした人から見れば、私は異端者です」
「戦争やテロをイジメと一緒にするな」
「一緒です。誰にだって自分に都合の悪い者はいなくなってもらいたいのが本音でしょう。でも、落書きなんて意思表示にはいいですけど、排除行動としては随分遠周りで頭の悪い方法ですよね」
もっと簡単ですぐに片がつく方法なんていくらでもあるのに、と笑った私に、先生は顔を強張らせた。
「先生もこんな考え方をする私が気持ち悪いですか?」
答えはなくても、先生の表情が全てを物語っていた。
「先生、人は自分が理解できないものは怖いんです。怖いから攻撃する。これはそういうことなんです」
先生は完全に言葉を失い、呆然と私の顔を見つめた。
放っておきっぱなしの落書きは毎日増えた。似たような悪口なのでいちいち読みもしなかったけれど、それぞれ筆跡に違いがあることは分かっていた。
つまり私を嫌いと意思表示する人間が、落書きした人数だけいる。それでも、
――私の存在を否定するのはたったこれだけ?
落書きを見る私の感想はその程度だった。私は全人類の存在を否定してるのにバランスが悪いな、と。
「黒ばっかり。たまには色を変えればいいのに」
呟いた私の言葉を傍で聞いていた子が、気味悪そうに身体を引いた。
当り前だろう。普通こんなことをされたら泣くか、怒る。少なくとも、傷ついた顔をするだろう。平然と自分への悪口の落書きを見ているだけなんて、まともな人間の反応じゃない。
こんな私を星志が見たら何と言うだろう。
星志なら「奈緒らしいね」と笑ってくれるだろうか。
それともまずこの排除行動に胸を痛めて、泣いてしまうだろうか。
翌日には赤マジックの色が増え、教科書にも落書きされた。
体育の授業から教室に戻ると、カバンの中身が全部床にばら撒かれて、ポーチに入れていた生理用ナプキンが机の上に並べられていた。
それをしまうより先に、私は床に落ちている御守りの袋を拾った。
この中には星志がくれた手紙を入れてあった。この世でただ一人の私の理解者の大事な手紙を汚されたり切られたりされてないことに心から安堵した。
彼の思いはこの手紙の中にある。手紙を持っているのは彼と共にいることと同じ。
星志が傍にいてくれるから、こんな程度の低い嫌がらせも耐えられる。
「怒りなさいよ!」
黙って片づけていると、杉野さんが傍にきて怒鳴った。
「こんなことされてまだ黙ってるのっ! 少しは怒って見せなさいよっ!」
無視して片づけを続けていると、彼女はさらに怒鳴った。
「あんたがそんな風に何にも言わないから」
「不気味で気持ち悪い、でしょう」
「分かってるなら」
「だって、どうでもいいんだもの」
私は投げやりに笑った。
「誰がやったか興味もない。……ただ、これって」
もう一度、私は笑った。
「中途半端よね、やることが。私に学校に来て欲しくないなら、私の家に火を付ければいいのに。家が燃えて無くなったら転校することになるでしょう」
杉野さんが半歩引いた。
「それともこの世に居ること自体許せないなら、ナイフで刺せばいい。簡単に終わるわ」
もう半歩、杉野さんは後ろに下がった。
「……ああ、そうか。自分の人生を賭けてまで排除しようってほどの価値もないから、自殺に追い込もうとしてるのかもしれないね」
私は踏まれて折れたシャーペンを見ながら言った。
「これをやった人が将来、自分がこういうことをする人間だってことを恥じて隠して結婚するのか、それとも、気に入らない者は迫害して当然って思える人格で、これを自慢に思って結婚するのかは知らないけど」
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「どっちにしてもその人の子供はこんなことをする人のDNAを受け継いでいるし、親の思考の影響も強いから、将来同じようなことをするんだろうなって予想すると……この国の未来は明るいよね」
「どうしてよ」
杉野さんが思いきり不機嫌そうに聞いた。
「だって、自分が嫌いなものを手段を選ばず排除しようっていう行動力があるじゃない。そんな強い人間が席巻すれば、私みたいに気に入らない者はみんな淘汰されていなくなる。自分の嫌いなもの全部取り除いて好きなものだけ存在させるような人間ばかりになれば、それは嫌なものが一つもない幸せな社会なんじゃないかな」
私は机の、赤い「死ね」という文字を指でなぞった。
「そんな明るい未来を目指してるから、私に早く死んでもらいたいっていうなら」
理解できると言いかけた時、教室の後で派手に机を蹴り倒す音が響いた。
「――ふざけんなっ!」
机を蹴り倒したのは柚木君だった。
「そんな、どっかの誰かの訳の分んねえ趣味で決められる社会の、どこが明るいんだよ! そんなのナチスと同じじゃねえか! そんなバカなことマジで考えてるヒットラーみたいな奴が、本当にこの中にいるのかよ!」
柚木君は誰にともなく叫んだが、答えはなかった。
「俺はサッカーやってるけど、野球やってる尾島と仲いいぞ! 久保田がいうような社会になったら、俺は尾島と友達じゃいられなくなるのか? サッカーファンと野球ファンはどっちかが滅びるまで潰し合いしなきゃならないのか? なあ、尾島!」
話をいきなり自分にふられて、尾島君は困惑していた。
「大体、自分と完全に同じ考えと同じ趣味なんて奴がこの世にいる訳ないだろう!」
冷たい炎が燃える眼で柚木君はみんなをぐるりと見回し、
「このクラスは色んな奴がいて、すっげえ面白いクラスだって思ってたのに」
こんなのくだらねえっ、ともう一度机を蹴って教室を出て行った。
みんなが気まずく視線を逸らし合う中、私は一人床にばら撒かれたものを拾い片づけた。
ナプキンをポーチにしまいながら、机の落書きに目を落とす。
どれもみんな、私のこの世での存在を否定する言葉だった。
星志は語らなかったが、多分学校でこんな嫌がらせもされただろう。人間のやることにそう違いはないはずだから。
イジメに遭って不登校になった星志。
私は『人間』じゃないから、『異端者』だから人の社会から弾き出されてもしかたがない。
でもあんなに優しい星志が、イジメられなければならない理由なんて一つもない。
理不尽だ。この世は本当に理不尽だ。
こんな社会なんて滅びてしまえばいい。
今すぐ。
核兵器で跡形もなく。
気がつけば私はうずくまって泣いていた。泣いている私の横から何人かの手が伸びてきて、床の物を拾い集めてくれていた。
私に構えば自分もイジメのターゲットになるかもしれないのに……。
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