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24 世久家の歴史
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野田の家は、古くからある住宅地の中にあった。
玄関から声をかけると、温和な顔をした老人が応対に出てきた。
「お忙しいところをお邪魔して申し訳ありません。西川先生にご紹介いただいた、坂下隆志と申します」
隆志が八年間使っていた名で挨拶し、菓子折りを差し出すと、元は高校の日本史の教師だったという彼は上機嫌で隆志を自分の書斎に招いてくれた。
東京からこちらの大学に進学し、世久の屋敷を見て世久家の歴史に興味を持ったと隆志が尤もらしい話をすると、野田は机の引き出しから何冊かノートを持ってきて、長年の調査と研究に加えて自分の推論も混じっているが、と断って世久家の歴史を語ってくれた。
この一帯は元は工藤という豪族が治めていた土地で、本田川を越えた南側は工藤の命によってなされた開墾地なのだそうだ。
開墾すればその土地の何割かを自分の土地にもらえたので、世久家の先祖も最初はそれで土地を手に入れたという。
そして「一太郎の田で作ると米が良く実る」と言われ始めると、周囲の者達が次々に田を一太郎に売り、その結果開墾地全ての田が一太郎の田になり、その後もどんどん範囲を広げ続け、最終的には工藤が治める領地の田のほとんどが一太郎の田になった。
「世久という姓は、工藤が与えたものでね。その頃まだ栄華を誇っていた工藤は『一太郎の田』を見て、この豊かな実りの地があれば自分の世も久しく続くと『世久』の姓を与えた。皮肉なことに工藤はこの後、周囲の政敵に負けて衰退してしまったがね。この土地の支配者は何度か変わったが、どの支配者も世久家には一目おいて、大事にしていたようだ。世久の当主は『働かない』ため政治的野心はないから寝首をかかれる心配はないし、何かあれば惜しげもなく金を出してくれたので優遇していたとの記録もある」
野田は、この地に住む人間の姓については面白い話があると続けた。
「この町の出身者で『田』がつく姓の者は、先祖が世久家の田を耕して生きていたという証なのだよ」
明治になって庶民も姓を持つことになった時、世久家の田で生計を立てていた者は例外なく名字に『田』をつけたという。
そういえば昔隆志がこの町の小学校に通っていたときのクラスメートは、『田』のついた姓の者が多かった。
「私の先祖もそうだよ。私は次男坊で家を継がなかったが、兄は息子と共に未だに世久家から借りた田で米を作っているよ」
田が生きる糧の全てだった時代、『世久の田』は人々に少しでもあやかりたいと思わせるほどの恵みがあった証拠だという。
そして隆志が訊ねた伝説については、彼はとても現実的な解釈をした。
「世久家の祖、一太郎は神の田の田植えを手伝い、三年経って神の田の稲苗と早乙女を連れて帰ったと言われている話だがね、私は、実は一太郎はその三年間諸国を巡り歩いて、病気や気候の変動に強い稲を探し出て持ち帰った、と言うのが真実ではないかと考えている。そして、旅から戻った一太郎は、旅の無理が祟って働くことができない身体になった。これが『働かない当主』の真相なのではないだろうかね」
それを代々の当主が縁起担ぎのように守って表向き肉体労働はせず、一家の主として頭脳労働に徹して家の繁栄に勤め、豊かになったことで本当に働かなくても暮らせるようになった。
『一太郎の田』でなければ豊かな実りがなかったというのは、彼が持ち帰った稲は育てるのには何かコツのようなものがあり、自分に田を売ってくれた者だけにそれを伝授したのではないかと野田は言った。
普通ならそう考えるだろう。その方が理にかなっている。
しかし――神の田の早乙女はいるのだ。今も、世久家の屋敷の奥に。
隆志はその『世久家の守り神』についても聞いてみた。
「一太郎の連れ帰った、与喜という名の少女は歳を取らず、一太郎が亡くなった後その子が守り神になったという話だね。多分、一太郎は旅の途中で親に捨てられたか死なれたかしたかわいそうな少女を引き取り、連れて帰ったのだろう。その少女が一太郎に恩を感じ、彼に使えて働いたのだろうが、『歳を取らない少女』というのは、年々裕福になっていった一太郎が、定期的に同じ年頃の少女をいわゆる奉公人として雇っていたと考えられるね。ある程度、例えば結婚できる歳になれば雇いを解いて嫁に行かせて、その後また別の少女を雇い入れた、とかね」
彼は使い込んだノートをパラパラとめくり、その中に書かれた文字に目を走らせた。
「その世久家の守り神についてはもう一つ、裏伝説というか、あまり知られていない言い伝えがあるんだよ」
神は確かに一太郎に『働かないで食える一生』を約束した。が、『子孫まで永代に』とは約束していなかった。それで一太郎の息子の作助が、一太郎が亡くなるとすぐに神の田の早乙女の帯をどこかへ隠し、神の田へ帰れなくしたというのだ。
それを聞いて、隆志は住まい決めの時に現われた与姫を思い出した。
あの時、与姫は――何と言った?
『戻す気があるなら、隠した物を返せ』と言わなかったか?
「これは全国にもよくある『羽衣伝説』の変形だ。天界人の衣を隠して、帰れなくする話だよ。で、帰れなくなった早乙女は、しかたなく家に留まることにした。しかしそれ以来、当主以外の人間は神の田の早乙女の姿を見ることが出来なくなったそうだ。それだけでなく、不実な行いで早乙女を家に留めた世久家の先祖は、富を約束されたのと同時に呪いも受けた」
「の、呪い?」
「うん。富は家に留まるが、人は留まらないと言う呪いだそうだ。まあ、そう言われるのも無理はないほど世久家は人の縁が薄い。親族は早死にするか、遠い土地へ出て行って疎遠になるか、どちらにしろあの屋敷には当主家族以外は住まず、血縁も乏しい。言われる通り、人に恵まれないところがこの話の信憑性のあるところで興味深い」
人は留まらない――隆志はふと昔住んでいたという親戚の話を思い出した。
「でも、あの、昔は世久の屋敷には親戚も大勢住んでいたという話を聞いたんですが」
「そう、先々代、いや、もう一つ前の代の当主の頃には、一時期十三家族があの屋敷に住んでいたそうだ」
「じゃあ、その子孫の人たちはどうしてあの屋敷に住み続けなかったんでしょうか」
うーん、と野田は難しい顔で唸り、暫く沈黙した後、重く口を開いた。
「これは悪口になるから聞き流してくれ。その、親戚を多く住まわせていたという時の当主は利太郎という人だったんだが、この人は少々人格的に問題があってね」
よく言えば女好き、悪く言えば女に見境がなく、実は住んでいた十三家族の内十二家族は、彼の愛人とその家族だったという。
「……まともじゃない」
隆志は正直な感想を漏らす。
複数の愛人を同居させるだけでも隆志の感覚では驚きなのに、その親兄弟まで一緒に住まわせていたとは、どういう神経をしているのだろう。住まわせる方も住まわせる方なら、住む方も住む方だ。みんなまとめてイカれている。
野田は隆志の少年らしい潔癖さに、一瞬瞳を和らげた。
「愛人といっても、どの女性も好きであの家に行ったわけではないんだよ」
利太郎に目をつけられた貧しい家の娘が親兄弟のために、いわば奉公の覚悟で行ったらしい。利太郎が彼女たちの親兄弟まで屋敷に住まわせたのは慈善ではなく娘の逃亡を防ぐため、言わば人質のようなもので、彼らは世久家の田で働かされ、使用人と同じ扱いならまだしも、利太郎の正妻に何かにつけていじめられたそうだ。
胸が悪くなる話だった。が、ひどい話はこれだけではなかった。
「で、残りの一家族は、利太郎さんの弟の新三郎さん一家だったんだが……この新三郎さんは結婚して家を出て何年か後、怪我をして働けなくなった。利太郎さんが一家の面倒をみてやるからと住まわせていたというんだが」
利太郎の目的は新三郎の妻のみつだったのだろうという。
「みつさんはきれいな人だったそうだ。世久の家に移り住んで半年も経たない内に、幼子三人を残して裏山で首を吊ったというから……彼女の身に何があったか想像がつくよ」
野田は眉間に皺を寄せ、視線を遠くした。
「みつさんが亡くなった後、新三郎さんは三人の子供を養子に出すと、不自由な体で家を出て行方知れずになった。利太郎さんの息子の総一郎さんはそんな歪んだ家を嫌悪して、利太郎さんが亡くなって自分が当主になると、愛人とその家族も全部屋敷から追い出した。しかし、やっぱり総一郎さんもどこか歪んでしまっていたんだろうね。夫人の登和子さんは、造り酒屋の人妻だったのに金で圧力をかけて無理やり別れさせて、自分に輿入れさせた。愛情は金では買えないというのにね」
隆志は聞いているうちに、気分が悪くて吐き気がしてきた。自分もそんな家の血を受け継いでいると考えるとぞっとする。
「しかしね、当主個人の人柄はさておき、世久家は昔からこの土地に多大な貢献をしているんだ。例えば、四代目の当主が本田川の治水工事に私財を注ぎ込んでくれたおかげで、その後この地は有数の米どころになった。七代目と八代目の当主は北側の森の開墾のための資金を提供し、二十六代目は農民の健康のために月に一度大きな町から医者を招いて、農民への薬代なども全て負担したと記録に残っている。利太郎さんにしても今の農林試験場の前身である農学校の開設に尽力した。……だから、自分の血を恥じて失望してはいけないよ。世久隆志君」
隆志がはっと顔を上げると、野田はにやりと笑った。
玄関から声をかけると、温和な顔をした老人が応対に出てきた。
「お忙しいところをお邪魔して申し訳ありません。西川先生にご紹介いただいた、坂下隆志と申します」
隆志が八年間使っていた名で挨拶し、菓子折りを差し出すと、元は高校の日本史の教師だったという彼は上機嫌で隆志を自分の書斎に招いてくれた。
東京からこちらの大学に進学し、世久の屋敷を見て世久家の歴史に興味を持ったと隆志が尤もらしい話をすると、野田は机の引き出しから何冊かノートを持ってきて、長年の調査と研究に加えて自分の推論も混じっているが、と断って世久家の歴史を語ってくれた。
この一帯は元は工藤という豪族が治めていた土地で、本田川を越えた南側は工藤の命によってなされた開墾地なのだそうだ。
開墾すればその土地の何割かを自分の土地にもらえたので、世久家の先祖も最初はそれで土地を手に入れたという。
そして「一太郎の田で作ると米が良く実る」と言われ始めると、周囲の者達が次々に田を一太郎に売り、その結果開墾地全ての田が一太郎の田になり、その後もどんどん範囲を広げ続け、最終的には工藤が治める領地の田のほとんどが一太郎の田になった。
「世久という姓は、工藤が与えたものでね。その頃まだ栄華を誇っていた工藤は『一太郎の田』を見て、この豊かな実りの地があれば自分の世も久しく続くと『世久』の姓を与えた。皮肉なことに工藤はこの後、周囲の政敵に負けて衰退してしまったがね。この土地の支配者は何度か変わったが、どの支配者も世久家には一目おいて、大事にしていたようだ。世久の当主は『働かない』ため政治的野心はないから寝首をかかれる心配はないし、何かあれば惜しげもなく金を出してくれたので優遇していたとの記録もある」
野田は、この地に住む人間の姓については面白い話があると続けた。
「この町の出身者で『田』がつく姓の者は、先祖が世久家の田を耕して生きていたという証なのだよ」
明治になって庶民も姓を持つことになった時、世久家の田で生計を立てていた者は例外なく名字に『田』をつけたという。
そういえば昔隆志がこの町の小学校に通っていたときのクラスメートは、『田』のついた姓の者が多かった。
「私の先祖もそうだよ。私は次男坊で家を継がなかったが、兄は息子と共に未だに世久家から借りた田で米を作っているよ」
田が生きる糧の全てだった時代、『世久の田』は人々に少しでもあやかりたいと思わせるほどの恵みがあった証拠だという。
そして隆志が訊ねた伝説については、彼はとても現実的な解釈をした。
「世久家の祖、一太郎は神の田の田植えを手伝い、三年経って神の田の稲苗と早乙女を連れて帰ったと言われている話だがね、私は、実は一太郎はその三年間諸国を巡り歩いて、病気や気候の変動に強い稲を探し出て持ち帰った、と言うのが真実ではないかと考えている。そして、旅から戻った一太郎は、旅の無理が祟って働くことができない身体になった。これが『働かない当主』の真相なのではないだろうかね」
それを代々の当主が縁起担ぎのように守って表向き肉体労働はせず、一家の主として頭脳労働に徹して家の繁栄に勤め、豊かになったことで本当に働かなくても暮らせるようになった。
『一太郎の田』でなければ豊かな実りがなかったというのは、彼が持ち帰った稲は育てるのには何かコツのようなものがあり、自分に田を売ってくれた者だけにそれを伝授したのではないかと野田は言った。
普通ならそう考えるだろう。その方が理にかなっている。
しかし――神の田の早乙女はいるのだ。今も、世久家の屋敷の奥に。
隆志はその『世久家の守り神』についても聞いてみた。
「一太郎の連れ帰った、与喜という名の少女は歳を取らず、一太郎が亡くなった後その子が守り神になったという話だね。多分、一太郎は旅の途中で親に捨てられたか死なれたかしたかわいそうな少女を引き取り、連れて帰ったのだろう。その少女が一太郎に恩を感じ、彼に使えて働いたのだろうが、『歳を取らない少女』というのは、年々裕福になっていった一太郎が、定期的に同じ年頃の少女をいわゆる奉公人として雇っていたと考えられるね。ある程度、例えば結婚できる歳になれば雇いを解いて嫁に行かせて、その後また別の少女を雇い入れた、とかね」
彼は使い込んだノートをパラパラとめくり、その中に書かれた文字に目を走らせた。
「その世久家の守り神についてはもう一つ、裏伝説というか、あまり知られていない言い伝えがあるんだよ」
神は確かに一太郎に『働かないで食える一生』を約束した。が、『子孫まで永代に』とは約束していなかった。それで一太郎の息子の作助が、一太郎が亡くなるとすぐに神の田の早乙女の帯をどこかへ隠し、神の田へ帰れなくしたというのだ。
それを聞いて、隆志は住まい決めの時に現われた与姫を思い出した。
あの時、与姫は――何と言った?
『戻す気があるなら、隠した物を返せ』と言わなかったか?
「これは全国にもよくある『羽衣伝説』の変形だ。天界人の衣を隠して、帰れなくする話だよ。で、帰れなくなった早乙女は、しかたなく家に留まることにした。しかしそれ以来、当主以外の人間は神の田の早乙女の姿を見ることが出来なくなったそうだ。それだけでなく、不実な行いで早乙女を家に留めた世久家の先祖は、富を約束されたのと同時に呪いも受けた」
「の、呪い?」
「うん。富は家に留まるが、人は留まらないと言う呪いだそうだ。まあ、そう言われるのも無理はないほど世久家は人の縁が薄い。親族は早死にするか、遠い土地へ出て行って疎遠になるか、どちらにしろあの屋敷には当主家族以外は住まず、血縁も乏しい。言われる通り、人に恵まれないところがこの話の信憑性のあるところで興味深い」
人は留まらない――隆志はふと昔住んでいたという親戚の話を思い出した。
「でも、あの、昔は世久の屋敷には親戚も大勢住んでいたという話を聞いたんですが」
「そう、先々代、いや、もう一つ前の代の当主の頃には、一時期十三家族があの屋敷に住んでいたそうだ」
「じゃあ、その子孫の人たちはどうしてあの屋敷に住み続けなかったんでしょうか」
うーん、と野田は難しい顔で唸り、暫く沈黙した後、重く口を開いた。
「これは悪口になるから聞き流してくれ。その、親戚を多く住まわせていたという時の当主は利太郎という人だったんだが、この人は少々人格的に問題があってね」
よく言えば女好き、悪く言えば女に見境がなく、実は住んでいた十三家族の内十二家族は、彼の愛人とその家族だったという。
「……まともじゃない」
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野田は隆志の少年らしい潔癖さに、一瞬瞳を和らげた。
「愛人といっても、どの女性も好きであの家に行ったわけではないんだよ」
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「みつさんはきれいな人だったそうだ。世久の家に移り住んで半年も経たない内に、幼子三人を残して裏山で首を吊ったというから……彼女の身に何があったか想像がつくよ」
野田は眉間に皺を寄せ、視線を遠くした。
「みつさんが亡くなった後、新三郎さんは三人の子供を養子に出すと、不自由な体で家を出て行方知れずになった。利太郎さんの息子の総一郎さんはそんな歪んだ家を嫌悪して、利太郎さんが亡くなって自分が当主になると、愛人とその家族も全部屋敷から追い出した。しかし、やっぱり総一郎さんもどこか歪んでしまっていたんだろうね。夫人の登和子さんは、造り酒屋の人妻だったのに金で圧力をかけて無理やり別れさせて、自分に輿入れさせた。愛情は金では買えないというのにね」
隆志は聞いているうちに、気分が悪くて吐き気がしてきた。自分もそんな家の血を受け継いでいると考えるとぞっとする。
「しかしね、当主個人の人柄はさておき、世久家は昔からこの土地に多大な貢献をしているんだ。例えば、四代目の当主が本田川の治水工事に私財を注ぎ込んでくれたおかげで、その後この地は有数の米どころになった。七代目と八代目の当主は北側の森の開墾のための資金を提供し、二十六代目は農民の健康のために月に一度大きな町から医者を招いて、農民への薬代なども全て負担したと記録に残っている。利太郎さんにしても今の農林試験場の前身である農学校の開設に尽力した。……だから、自分の血を恥じて失望してはいけないよ。世久隆志君」
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