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第1話 男爵家の悪役令嬢
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男爵家の末っ子に生まれたマリーゼは、偽名を使って趣味で暴露記事を書きお金を稼ぎまくるとんでもない令嬢だった。
貴族社会では下の位の男爵家だったが、商才にも優れた父親の男爵は大変裕福だった。
けれどマリーゼを産んだ母親ヴァネッサは、難産の末に亡くなってしまった。
側室も持たない程、妻を愛していた男爵とまだ幼かった兄のヨークは胸が潰れる程悲しんだのは言うまでもない。
そんな様子を見てきたヴァネッサの実家から付いてきた侍女達は、幼い頃からマリーゼに酷い言葉を浴びせてきた。
バランティノ男爵と兄ヨークの目を盗んで。
「お嬢様を産んだせいで、奥様は若くして亡くなられたんです」
「お嬢様を産んだせいで奥様が亡くなり旦那様とヨーク様が、どれ程悲しまれた事でしょう」
愛する妻、愛する母を奪って生まれてきた子を恨む気持ちが少しも無かったのだろうか?
事実は誰にも分からないが、男爵と幼い息子のヨークは、生まれたばかりのマリーゼを小さな宝物のように大切に育ててくれた。
マリーゼが熊のぬいぐるみを欲しいと言えば、王国中を探し回りあらゆる種類の熊のぬいぐるみを買い与えた。
マリーゼがマンゴーを美味しいと言えば、隣国から高級なマンゴーを毎日取り寄せた。
それでも物心付く前から聞かされてきた侍女や使用人の悪意ある言葉に、マリーゼは父親と兄の愛情を試すようになっていた。
「この髪はお嬢様と同じで強情ですね」
幼いマリーゼが泣き出す程、ブラシで梳かすと言って髪を引っ張って抜かれた。
男爵家の料理人でさえマリーゼがアレルギーがあって食べれない物を料理に混ぜて出してくる。
男爵に訴えてクビにしたけれど、男爵はマリーゼの我が儘だと思いながら聞いてくれた。。
男爵家をクビになった使用人は、マリーゼには内緒で男爵が営むホイットニー商団で働かせた。
それはクビにした事で、マリーゼが恨まれるような事がないようにとの配慮からだった。
けれど、マリーゼを虐めてクビになった使用人達は、マリーゼの我が儘でクビにされたと言い触らしていた。
我が儘は聞いてくれるけど、最終的にマリーゼの敵を野放しにし続ける男爵。
そんなマリーゼも成長して、使用人をクビにするように頼む事はなくなった。。
では成長したマリーゼが、どうしたかって?
勿論、自分の頭脳と力と権力あらゆる物を使って逆襲してやりますわ。
隣同士で並んで立っている侍女2人のエプロンの紐を一緒に結んでおいて、歩こうとした時に転ばせたわ。
(だってこの2人は、いつも新人の侍女を虐めていたんですもの。ついでに私にもジュースと言って怪しげな飲み物を持ってきたわね。
レディーの作法を教える先生が、いつも侯爵家のフランソワはお辞儀も食事マナーも良いのに、マリーゼは自分の恥だと言ったわ。
だから、例の侍女がお茶を入れに来た時、先生と私のカップを交換しておいたの。
そうしたら、先生がお茶を盛大に吹出してゴホゴホ咳き込んでたわ。
何故か私がお茶に細工をしたと言い付けられて、先生は自分から辞めていったけど。
あとは可愛らしい我が儘もしましたわ。
お兄様が上の学校に行かれる為の試験に必要な筆記用具を鞄から抜き去って不合格にさせようとしたり。
(だって学校に受かったらヨークお兄様が、男爵家の邸から出てしまうと言うのですもの)
お父様の商談の書類の0を1つ増やした時は、物凄く怒られましたわ。
(これについては、何も言い訳出来ないわ)
とにかく男爵家の我儘娘の話しは、男爵領では有名でしたわ。悪役令嬢と陰で噂される程に。気にしませんけど。
◇◆◇
15歳になったマリーゼは外に出ると、日の光で金髪に見える流れるような琥珀色の髪と髪よりも少し濃い琥珀色の大きな瞳の美しいレディーに育っていた。
あくまで見た目は。
この世界では、女性は16歳で結婚するのが当たり前であり、貴族の令嬢であれば19歳までには結婚していることが多い。
20歳を過ぎて未婚の女性は行き遅れと言われていた。
マリーゼは裕福な男爵家の出ということもあり、15歳を過ぎた今でも婚約者は決まっていない。
マリーゼは、そろそろ婚約者を探さなけばならないという気持ちもあったが、今の生活を変えたくないのも事実だった。
そして、ついつい趣味の暴露記事に手を染めてお金稼ぎをしてしまうのだ。
「お兄様が羨ましいわ」
マリーゼの兄ヨーク卿は学生でありながら、父親の男爵に似て商才がありホイットニー商団を手伝いながら新たな事業も成功させる金持ちで、貴族女性にも人気が高かった。
私にもいつか素敵な王子様が。
そんな夢を抱いていたマリーゼだったが、夢は叶うことなくせっせっと暴露記事がないかネタを探して出歩き暴露記事を書く日々を送っていた。
ネタを探して街を歩いていると、貴族のご婦人が付き添いの侍女に「もう堪えられない。離婚してやる」と涙ながらに訴えていた。
マリーゼはご婦人と侍女の話を聞いてやろうと、然も当たり前のように後をつけた。
ご婦人は離婚して慰謝料を貰い、お金にものを言わせて豪遊する気満々だった。
マリーゼは、自分にそのネタが転がってくるかもと聞き耳を立てた。
すると、侍女がご婦人の意見に反対することを言い出した。
「奥様、そんな離婚だなんて、旦那様も悲しまれます」
「何ですって!主人には男の恋人がいたのよ。私と同じように苦しませないと!」
「┅┅っ」
マリーゼは驚きのあまり声を漏らしそうになり、両手で口を塞いだ。
そして同時に男の恋人と聞いて、これはネタになると確信した。
マリーゼはさっそくネタ帳にメモをして、このネタをどうするか考える。
「奥様、まずは離婚弁護士に相談なさってからでないと」
「主人の浮気相手から慰謝料をたんまりいただいて離婚するわよ!」
そして、ご婦人は侍女を引き連れて歩いて行った。
「恋人ですって。しかも辺境伯に男の恋人が」
マリーゼは再度、両手で口を覆って声にならない声で喚いた。
マリーゼはこの情報を自分の記事にする事に決めた。
でもその前に、このネタでお金を稼げるかどうか試してみる事にした。
まずはお兄様に話して、面白そうだと言われたら記事にしようかしらね。
マリーゼは、いいネタを手に入れたと満面の笑顔で男爵家に戻ると、兄の屋敷に手紙を届けさせた。
貴族社会では下の位の男爵家だったが、商才にも優れた父親の男爵は大変裕福だった。
けれどマリーゼを産んだ母親ヴァネッサは、難産の末に亡くなってしまった。
側室も持たない程、妻を愛していた男爵とまだ幼かった兄のヨークは胸が潰れる程悲しんだのは言うまでもない。
そんな様子を見てきたヴァネッサの実家から付いてきた侍女達は、幼い頃からマリーゼに酷い言葉を浴びせてきた。
バランティノ男爵と兄ヨークの目を盗んで。
「お嬢様を産んだせいで、奥様は若くして亡くなられたんです」
「お嬢様を産んだせいで奥様が亡くなり旦那様とヨーク様が、どれ程悲しまれた事でしょう」
愛する妻、愛する母を奪って生まれてきた子を恨む気持ちが少しも無かったのだろうか?
事実は誰にも分からないが、男爵と幼い息子のヨークは、生まれたばかりのマリーゼを小さな宝物のように大切に育ててくれた。
マリーゼが熊のぬいぐるみを欲しいと言えば、王国中を探し回りあらゆる種類の熊のぬいぐるみを買い与えた。
マリーゼがマンゴーを美味しいと言えば、隣国から高級なマンゴーを毎日取り寄せた。
それでも物心付く前から聞かされてきた侍女や使用人の悪意ある言葉に、マリーゼは父親と兄の愛情を試すようになっていた。
「この髪はお嬢様と同じで強情ですね」
幼いマリーゼが泣き出す程、ブラシで梳かすと言って髪を引っ張って抜かれた。
男爵家の料理人でさえマリーゼがアレルギーがあって食べれない物を料理に混ぜて出してくる。
男爵に訴えてクビにしたけれど、男爵はマリーゼの我が儘だと思いながら聞いてくれた。。
男爵家をクビになった使用人は、マリーゼには内緒で男爵が営むホイットニー商団で働かせた。
それはクビにした事で、マリーゼが恨まれるような事がないようにとの配慮からだった。
けれど、マリーゼを虐めてクビになった使用人達は、マリーゼの我が儘でクビにされたと言い触らしていた。
我が儘は聞いてくれるけど、最終的にマリーゼの敵を野放しにし続ける男爵。
そんなマリーゼも成長して、使用人をクビにするように頼む事はなくなった。。
では成長したマリーゼが、どうしたかって?
勿論、自分の頭脳と力と権力あらゆる物を使って逆襲してやりますわ。
隣同士で並んで立っている侍女2人のエプロンの紐を一緒に結んでおいて、歩こうとした時に転ばせたわ。
(だってこの2人は、いつも新人の侍女を虐めていたんですもの。ついでに私にもジュースと言って怪しげな飲み物を持ってきたわね。
レディーの作法を教える先生が、いつも侯爵家のフランソワはお辞儀も食事マナーも良いのに、マリーゼは自分の恥だと言ったわ。
だから、例の侍女がお茶を入れに来た時、先生と私のカップを交換しておいたの。
そうしたら、先生がお茶を盛大に吹出してゴホゴホ咳き込んでたわ。
何故か私がお茶に細工をしたと言い付けられて、先生は自分から辞めていったけど。
あとは可愛らしい我が儘もしましたわ。
お兄様が上の学校に行かれる為の試験に必要な筆記用具を鞄から抜き去って不合格にさせようとしたり。
(だって学校に受かったらヨークお兄様が、男爵家の邸から出てしまうと言うのですもの)
お父様の商談の書類の0を1つ増やした時は、物凄く怒られましたわ。
(これについては、何も言い訳出来ないわ)
とにかく男爵家の我儘娘の話しは、男爵領では有名でしたわ。悪役令嬢と陰で噂される程に。気にしませんけど。
◇◆◇
15歳になったマリーゼは外に出ると、日の光で金髪に見える流れるような琥珀色の髪と髪よりも少し濃い琥珀色の大きな瞳の美しいレディーに育っていた。
あくまで見た目は。
この世界では、女性は16歳で結婚するのが当たり前であり、貴族の令嬢であれば19歳までには結婚していることが多い。
20歳を過ぎて未婚の女性は行き遅れと言われていた。
マリーゼは裕福な男爵家の出ということもあり、15歳を過ぎた今でも婚約者は決まっていない。
マリーゼは、そろそろ婚約者を探さなけばならないという気持ちもあったが、今の生活を変えたくないのも事実だった。
そして、ついつい趣味の暴露記事に手を染めてお金稼ぎをしてしまうのだ。
「お兄様が羨ましいわ」
マリーゼの兄ヨーク卿は学生でありながら、父親の男爵に似て商才がありホイットニー商団を手伝いながら新たな事業も成功させる金持ちで、貴族女性にも人気が高かった。
私にもいつか素敵な王子様が。
そんな夢を抱いていたマリーゼだったが、夢は叶うことなくせっせっと暴露記事がないかネタを探して出歩き暴露記事を書く日々を送っていた。
ネタを探して街を歩いていると、貴族のご婦人が付き添いの侍女に「もう堪えられない。離婚してやる」と涙ながらに訴えていた。
マリーゼはご婦人と侍女の話を聞いてやろうと、然も当たり前のように後をつけた。
ご婦人は離婚して慰謝料を貰い、お金にものを言わせて豪遊する気満々だった。
マリーゼは、自分にそのネタが転がってくるかもと聞き耳を立てた。
すると、侍女がご婦人の意見に反対することを言い出した。
「奥様、そんな離婚だなんて、旦那様も悲しまれます」
「何ですって!主人には男の恋人がいたのよ。私と同じように苦しませないと!」
「┅┅っ」
マリーゼは驚きのあまり声を漏らしそうになり、両手で口を塞いだ。
そして同時に男の恋人と聞いて、これはネタになると確信した。
マリーゼはさっそくネタ帳にメモをして、このネタをどうするか考える。
「奥様、まずは離婚弁護士に相談なさってからでないと」
「主人の浮気相手から慰謝料をたんまりいただいて離婚するわよ!」
そして、ご婦人は侍女を引き連れて歩いて行った。
「恋人ですって。しかも辺境伯に男の恋人が」
マリーゼは再度、両手で口を覆って声にならない声で喚いた。
マリーゼはこの情報を自分の記事にする事に決めた。
でもその前に、このネタでお金を稼げるかどうか試してみる事にした。
まずはお兄様に話して、面白そうだと言われたら記事にしようかしらね。
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