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空高く、天を仰ぐ
第39話 全てを纏って北風が吹く
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2017年07月20日(木)11時50分 =萌葱町警察署=
まったく、せっかくの帰省だというのにおつかいを頼まれてしまった。まあ、この私にかかれば何でもできてしまうので頼んでしまうというのも確かに分かる。だが、そのおつかいを頼まれた理由。それに私は首を縦に振った。たとえなんであろうと、私はこの場所に来ただろう。
それにしても、この私を待たせるとは。確かに彼女は強いがそんな彼女でも手を焼く問題なのだろうか。まあ、私には心の余裕というものがあるのでかまわないけれどね。
そう自己陶酔していると入り口の扉が開く。
「あら、こっちは警察官用の入口だけどどうかしたのかしら、お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんなんて、そんな年じゃないです。それに、奈穂さんが居ないから荒事でもやってくるのかなと思っていたら、まさか見せかけを使いながら人を誘拐してくるとは...。」
「そうか。それで、どうしてここにいるんだ?文野徠。」
「おつかいです。それも奈穂さん宛てです。」
「それはここでいいか?」
「いや、二人だけでお願いします。」
「わかった。狭間君、こいつを取調室へ。あとで私も行く。」
「承知しました。ではまた後で。」
そういって狭間と呼ばれたそれは奈穂さんが担いでいた人物を小脇に抱え歩いて行った。そしてその後ろを青木君ぐらいのサイズをした男性を猫を小脇に抱えるような持ち方をして抱える女性がこちらに手を振りながら歩いていく。対神課に所属する女は悉く馬鹿力なのか?
「人手不足?ホムンクルスも飼い始めたの?」
「ああ。そこら辺の人よりも強く、治療とかの心配もない。手札に在って損はない良カード。そうじゃない?」
「どーだかね。それで、おつかいの内容なんだけどさ、鎮から伝言。『二日後、完全復活、萌葱町壊滅』だって。」
その単語に対して奈穂さんは特に表情などには表さなかったが、瞳が幽かに揺れる。そして、一拍開けてから口を開いた。
「なるほど。それじゃあ、和葉を呼び戻すか。」
「アイツだったら、直接言いに行くよ。せっかくこの街に来たんだし消える前に観光でもしようかなって。」
「そう...。...何かあったらいつでも来ていいからね。」
そう言うと踵を返して取調室があると思われる方向に歩いて行った。
「何かあったら、ねぇ...。」
あれから伸ばしていたロングボブの髪の毛の毛先を左手の人差し指でくるくると遊ばせる。そして、右手でスマートフォンの電話帳から二人の名前を探す。とりあえず、一番上にあった桃花ちゃんに電話をかける。
3コールが終わり、4コール目が始まりそうになってから、通話が繋がった。
「先輩!どこにいるんですか?」
「あまり大きな声を出さないで。今警察署にいるから。」
「えっ...、今度は何をやらかしたんですか?」
「何もやっていない。そも毎度警察署に寄るたび何をやらかしたんだと聞くのはやめてくれ。7割はやらかしたが故の案件ではない。」
「でも3割はやらかしたが故に警察の方々に事情聴取されたり補導されてますよね。」
「それは私の外見と発明の失敗による爆発に関して確認をしに来るってだけだ。というか、茶化すのはやめてくれよ...。それで、そっちに燈樫君と伶ちゃんは居るかい?」
「燈樫先輩は居ませんけど伶ちゃんならいますよ。まあ、今それ以外の方も居ますが...。」
「...それって誰?」
「えぇっと、ホテルで出会った夫妻の方々と、対神課とかいう方々に襲われていた3名ですね。」
襲われていた...と、そうなるとあの抱えられていたあの赤髪の男は知り合いか何かだろうか?であれば、話を伺っておきたい感じではあるが...対面の方がいいだろうか。
「あのさ、そっちにいる人たちと話したいんだけど...そうだなぁ。萌葱山の山頂まで来てくれる?」
「山頂...ですか?わかりました。桧さん、萌葱山までお願いできますか?はい、お願いします。」
桃花ちゃんが電話口の向こうで車を運転しているのであろう桧という人物に伝えてくれたようだ。
「それじゃあ、また後でね。」
そう言って電話を切る。警官用の出入り口から出る最中に燈樫に対して、『萌葱山まで来い』とDMで送り付ける。
さてと、この街でドローンを飛ばすのは聖夜前災ぶりだな。
あの時から私たちの運命は交わり、そして分かたれたわけだ。仕方ないという一面はあるが、私ももう戻れない場所へと進んでしまったみたいだ。
まったく、せっかくの帰省だというのにおつかいを頼まれてしまった。まあ、この私にかかれば何でもできてしまうので頼んでしまうというのも確かに分かる。だが、そのおつかいを頼まれた理由。それに私は首を縦に振った。たとえなんであろうと、私はこの場所に来ただろう。
それにしても、この私を待たせるとは。確かに彼女は強いがそんな彼女でも手を焼く問題なのだろうか。まあ、私には心の余裕というものがあるのでかまわないけれどね。
そう自己陶酔していると入り口の扉が開く。
「あら、こっちは警察官用の入口だけどどうかしたのかしら、お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんなんて、そんな年じゃないです。それに、奈穂さんが居ないから荒事でもやってくるのかなと思っていたら、まさか見せかけを使いながら人を誘拐してくるとは...。」
「そうか。それで、どうしてここにいるんだ?文野徠。」
「おつかいです。それも奈穂さん宛てです。」
「それはここでいいか?」
「いや、二人だけでお願いします。」
「わかった。狭間君、こいつを取調室へ。あとで私も行く。」
「承知しました。ではまた後で。」
そういって狭間と呼ばれたそれは奈穂さんが担いでいた人物を小脇に抱え歩いて行った。そしてその後ろを青木君ぐらいのサイズをした男性を猫を小脇に抱えるような持ち方をして抱える女性がこちらに手を振りながら歩いていく。対神課に所属する女は悉く馬鹿力なのか?
「人手不足?ホムンクルスも飼い始めたの?」
「ああ。そこら辺の人よりも強く、治療とかの心配もない。手札に在って損はない良カード。そうじゃない?」
「どーだかね。それで、おつかいの内容なんだけどさ、鎮から伝言。『二日後、完全復活、萌葱町壊滅』だって。」
その単語に対して奈穂さんは特に表情などには表さなかったが、瞳が幽かに揺れる。そして、一拍開けてから口を開いた。
「なるほど。それじゃあ、和葉を呼び戻すか。」
「アイツだったら、直接言いに行くよ。せっかくこの街に来たんだし消える前に観光でもしようかなって。」
「そう...。...何かあったらいつでも来ていいからね。」
そう言うと踵を返して取調室があると思われる方向に歩いて行った。
「何かあったら、ねぇ...。」
あれから伸ばしていたロングボブの髪の毛の毛先を左手の人差し指でくるくると遊ばせる。そして、右手でスマートフォンの電話帳から二人の名前を探す。とりあえず、一番上にあった桃花ちゃんに電話をかける。
3コールが終わり、4コール目が始まりそうになってから、通話が繋がった。
「先輩!どこにいるんですか?」
「あまり大きな声を出さないで。今警察署にいるから。」
「えっ...、今度は何をやらかしたんですか?」
「何もやっていない。そも毎度警察署に寄るたび何をやらかしたんだと聞くのはやめてくれ。7割はやらかしたが故の案件ではない。」
「でも3割はやらかしたが故に警察の方々に事情聴取されたり補導されてますよね。」
「それは私の外見と発明の失敗による爆発に関して確認をしに来るってだけだ。というか、茶化すのはやめてくれよ...。それで、そっちに燈樫君と伶ちゃんは居るかい?」
「燈樫先輩は居ませんけど伶ちゃんならいますよ。まあ、今それ以外の方も居ますが...。」
「...それって誰?」
「えぇっと、ホテルで出会った夫妻の方々と、対神課とかいう方々に襲われていた3名ですね。」
襲われていた...と、そうなるとあの抱えられていたあの赤髪の男は知り合いか何かだろうか?であれば、話を伺っておきたい感じではあるが...対面の方がいいだろうか。
「あのさ、そっちにいる人たちと話したいんだけど...そうだなぁ。萌葱山の山頂まで来てくれる?」
「山頂...ですか?わかりました。桧さん、萌葱山までお願いできますか?はい、お願いします。」
桃花ちゃんが電話口の向こうで車を運転しているのであろう桧という人物に伝えてくれたようだ。
「それじゃあ、また後でね。」
そう言って電話を切る。警官用の出入り口から出る最中に燈樫に対して、『萌葱山まで来い』とDMで送り付ける。
さてと、この街でドローンを飛ばすのは聖夜前災ぶりだな。
あの時から私たちの運命は交わり、そして分かたれたわけだ。仕方ないという一面はあるが、私ももう戻れない場所へと進んでしまったみたいだ。
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