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空高く、天を仰ぐ
第44話 光無き場所に安寧を求めて
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「なるほど、大体の事情は把握した。つまりだ、今光を取り巻く環境はおよそ4つの陣営の分かれるということか。」
その1、伶や桃花ちゃんが捜索を引き受けた烏丸陣営。
その2、凩や燈樫たちに依頼をしている鈴埜宮陣営。
その3、光を保護している波留たち、光陣営。
その4、奈穂さんら率いる光の抹殺を目論む公安陣営。
「まったくと言って複雑怪奇。故に、私は関与をしない。それが私にとっても君たちにとっても最適な判断だ。」
燈樫や伶を含め、見知った人間+αたちに頼られること自体はとても心地よいのだが、それはできない約束だ。なぜなら、私は光の抹殺自体には賛成だからだ。ただ、伶たちは光を保護しようとしている。それは、私の考えとは相反する。だがしかし、それを頭ごなしに否定するものではない。それは可能性を否定する。科学者であり、発明家である私にその判断は下せない。故に、私は伶たちの考えを尊重しできる限りの手助けをする。それが今の私ができることだ。
「とりあえず、みんなを私の部屋に移動させている。ほら、お前らもいくぞ。」
そう言ってドローンを各自の上空に移動させる。そして、ロープを体に巻き付けて、浮上する。
「いつも思ってるんですけど、ドローンの浮力ってどうしてるんですか?」
「企業秘密だよ。またいつか、教える日が来るかもね。」
「おっ、言いましたからね。いつか聞かせてもらいますからね!」
まあ、どうせすぐ忘れるだろう。教える気なんてさらさらないからね。
2017年07月20日(木)14時45分 =旧文野宅=
この部屋にここまで多くの人たちが来るのは聖夜前災の祝勝会以来だろうか。
センチメンタルな記憶に浸りたいものだがそうもいっていられないのも事実。ドローンを残していた充電ポートに装着しておく。ただでさえ一度に多くのドローンを使ったんだ、これからさらに使うことになるだろうと考えると、なるべく稼働時間は一秒でも長くしたいものだ。
「レイちゃ~~~ん!大丈夫だった?」
私たちが戻ってきたのを感じ取ってか寂しがりの大型犬のように桃花ちゃんが駆け寄り、伶を自身の豊満な胸に押し込んでいた。まったく、その発育を分けていただきたいものだ。
「あいよおぶはお、ばばらいっそくふるまえいははしてうれ。」
パシパシと桃花ちゃんの二の腕を伶がはたくがあまりにもひ弱すぎて意に介していない。そしてそのまま、伶の腕はぐったりと脱力する。R.I.P、我が後輩。
そして、桃花ちゃんの後ろをその他の皆々様が不安げについてくる。
「とりあえず、話をつけてきた。少なくともそれが危害を加えることがないのなら、君たちのことに対して公安の奴らも私も手を出すことはない。時間もあまりない、次の行動を考えるといいよ。」
薄く埃の被ったソファに深く腰掛けて天井を見上げる。
光プロジェクト、想定の5倍以上の厄ネタだ。私と光以外の全員で会議をしているが答えを出すのに時間はかかるだろう。娯楽品は大体をすでに運び出したので何もない。スマートフォン自体はあるが、今は何もしたくない気分だ。
まあ、その気分にしている渦中の存在はなぜか私の隣に座っている。何も言わず、ポケーっとしている。傍から見てみればただのかわいらしい少女であるというのに、その中身は生物兵器というのはとんだびっくり箱だ。
「・・・。」
「・・・。」
気まずい。抹殺に賛成していると言ってしまった反面、合わせる顔がないというもの...。それに、なぜこちらの方を見ているんだ。私は君に、残酷な現実を突きつけているんだから。
「えーっと、その...あの...。」
「文野。文野徠、好きに呼びなよ。」
「その、徠さん...。私って、いったい何者なんでしょうか。徠さんは、私の知らない私のこと、知ってるんですよね...。」
そう来たかぁ。ここで話してしまうのは簡単だ、ただしそれは私の役割じゃない。
それはもっと、努力をしている彼らが決めるべき選択だ。だから、ここでの私の答えは...。
「ああ、知っている。少なくとも、ここにいる誰よりもね。ただ、まだ教えられない。」
「・・・まだ、ですか?」
「ああ。それを知った君は、その事実を受け止めることができないかもしれない。だから、まだ教えられない。」
「そう...ですか...。」
シュンっとする光の姿を見て、小型犬のように愛らしく見えて、ふと気づいたら頭をなでていた。
光は小さな口を開き、言葉を発しようとしていたがそのまま口を噤み、私のなでる手にそのまま身を任せていた。
「あら、ふふっ。」
そこそこ話が進みながらも停滞してしまって、全員が脳や体の疲労からぐったりしている面々を介抱しているときに歩さんが文野先輩の方を見てほほ笑んだ。
気になってそちらの方を見てみると、文野先輩が光ちゃんの頭を撫でていた。なんだ先輩、あーだのこーだの言っていたがそういうの好きなんじゃん。
その1、伶や桃花ちゃんが捜索を引き受けた烏丸陣営。
その2、凩や燈樫たちに依頼をしている鈴埜宮陣営。
その3、光を保護している波留たち、光陣営。
その4、奈穂さんら率いる光の抹殺を目論む公安陣営。
「まったくと言って複雑怪奇。故に、私は関与をしない。それが私にとっても君たちにとっても最適な判断だ。」
燈樫や伶を含め、見知った人間+αたちに頼られること自体はとても心地よいのだが、それはできない約束だ。なぜなら、私は光の抹殺自体には賛成だからだ。ただ、伶たちは光を保護しようとしている。それは、私の考えとは相反する。だがしかし、それを頭ごなしに否定するものではない。それは可能性を否定する。科学者であり、発明家である私にその判断は下せない。故に、私は伶たちの考えを尊重しできる限りの手助けをする。それが今の私ができることだ。
「とりあえず、みんなを私の部屋に移動させている。ほら、お前らもいくぞ。」
そう言ってドローンを各自の上空に移動させる。そして、ロープを体に巻き付けて、浮上する。
「いつも思ってるんですけど、ドローンの浮力ってどうしてるんですか?」
「企業秘密だよ。またいつか、教える日が来るかもね。」
「おっ、言いましたからね。いつか聞かせてもらいますからね!」
まあ、どうせすぐ忘れるだろう。教える気なんてさらさらないからね。
2017年07月20日(木)14時45分 =旧文野宅=
この部屋にここまで多くの人たちが来るのは聖夜前災の祝勝会以来だろうか。
センチメンタルな記憶に浸りたいものだがそうもいっていられないのも事実。ドローンを残していた充電ポートに装着しておく。ただでさえ一度に多くのドローンを使ったんだ、これからさらに使うことになるだろうと考えると、なるべく稼働時間は一秒でも長くしたいものだ。
「レイちゃ~~~ん!大丈夫だった?」
私たちが戻ってきたのを感じ取ってか寂しがりの大型犬のように桃花ちゃんが駆け寄り、伶を自身の豊満な胸に押し込んでいた。まったく、その発育を分けていただきたいものだ。
「あいよおぶはお、ばばらいっそくふるまえいははしてうれ。」
パシパシと桃花ちゃんの二の腕を伶がはたくがあまりにもひ弱すぎて意に介していない。そしてそのまま、伶の腕はぐったりと脱力する。R.I.P、我が後輩。
そして、桃花ちゃんの後ろをその他の皆々様が不安げについてくる。
「とりあえず、話をつけてきた。少なくともそれが危害を加えることがないのなら、君たちのことに対して公安の奴らも私も手を出すことはない。時間もあまりない、次の行動を考えるといいよ。」
薄く埃の被ったソファに深く腰掛けて天井を見上げる。
光プロジェクト、想定の5倍以上の厄ネタだ。私と光以外の全員で会議をしているが答えを出すのに時間はかかるだろう。娯楽品は大体をすでに運び出したので何もない。スマートフォン自体はあるが、今は何もしたくない気分だ。
まあ、その気分にしている渦中の存在はなぜか私の隣に座っている。何も言わず、ポケーっとしている。傍から見てみればただのかわいらしい少女であるというのに、その中身は生物兵器というのはとんだびっくり箱だ。
「・・・。」
「・・・。」
気まずい。抹殺に賛成していると言ってしまった反面、合わせる顔がないというもの...。それに、なぜこちらの方を見ているんだ。私は君に、残酷な現実を突きつけているんだから。
「えーっと、その...あの...。」
「文野。文野徠、好きに呼びなよ。」
「その、徠さん...。私って、いったい何者なんでしょうか。徠さんは、私の知らない私のこと、知ってるんですよね...。」
そう来たかぁ。ここで話してしまうのは簡単だ、ただしそれは私の役割じゃない。
それはもっと、努力をしている彼らが決めるべき選択だ。だから、ここでの私の答えは...。
「ああ、知っている。少なくとも、ここにいる誰よりもね。ただ、まだ教えられない。」
「・・・まだ、ですか?」
「ああ。それを知った君は、その事実を受け止めることができないかもしれない。だから、まだ教えられない。」
「そう...ですか...。」
シュンっとする光の姿を見て、小型犬のように愛らしく見えて、ふと気づいたら頭をなでていた。
光は小さな口を開き、言葉を発しようとしていたがそのまま口を噤み、私のなでる手にそのまま身を任せていた。
「あら、ふふっ。」
そこそこ話が進みながらも停滞してしまって、全員が脳や体の疲労からぐったりしている面々を介抱しているときに歩さんが文野先輩の方を見てほほ笑んだ。
気になってそちらの方を見てみると、文野先輩が光ちゃんの頭を撫でていた。なんだ先輩、あーだのこーだの言っていたがそういうの好きなんじゃん。
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