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空高く、天を仰ぐ
第50話 空を飛べ、それは嵐を巻き起こす者
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2017年07月21日(金)0時31分 =旧文野宅=
取り敢えず、彩花には伶と桃花の二人に。波留には光ちゃんと歩さんの二人に。俺は桧さんにドローンのロープをくくりつける。
しかし、先に文野が伶の懐をまさぐる。
「いったい何をしてるんだ?」と問いかけてみると、
「無策で戦うのは得策じゃないからね。戦うには私の力だけじゃ不足してるのさ。」と答える。そして、こちらに対して懐から取り出した黒い触手のような機械を見せつける。
「なるほど。ちなみになんだが...、俺が扱えるものはあるか?」
その一言に文野は驚いた顔をしたが、一瞬何か考えるような所作をして、伶の懐から二つの機械を取り出す。
「多分君なら、2号と9号をうまく使えると思う。2号は利き腕に、9号は背中に装着してね。二つとも君のために戦ってくれるよ。」
言われた通りにそれぞれを装着する。すると、9号が翼の様に大きく広がる。
「これは...?」
「9号は私も作るのに手を貸していてね。そいつは飛行能力を着用者に与えるものだよ。君になら、うまく使えるでしょ?」
「・・・ああ、そうだな。」
会話を通じてだが、やはり表情は余裕を保ってはいるが内面はやはり動揺を残している。だが、その状態でもなお脳では冷静に状況を分析しているように見える。全くもって怖いやつだ。
そう会話をしているうちに護衛チームの準備が完了し、遼太郎を抜いた襲撃チームを置いて先に出発する。
2017年07月21日(金)0時42分 =住宅街呪い屋近郊=
安全のため、俺だけ呪い屋に直接行くのではなく少し手前で着地をした。着地をすると9号は折りたたまれ、服の中へと収納される。外部から変なものをつけていると見られることがないだけ良かったと安心した。
しかし、少し面倒なことになった。どうやら近くに遼太郎が居るようだ。いや、それだけなら何ら問題はない。一番の問題は、近くに公安の人間がいるということだ。それも、何故か分からないがこちらを捕捉しているような動きをしている。
おかげで厄介極まりないという状態だ。だから、俺は呪い屋に行った全員を守るために何が何でもここで足止めをする。本来なら遼太郎の役目だが四の五の言ってられないのも事実だ。
ポケットから黒の革手袋を取り出し装着する。そして、手のひら同士をこすり合わせて勢いよく離す。するとあら不思議、どこからともなく黒鳥の剣が出てきたではありませんか、という持ちネタはほどほどにしておいて、その剣の柄をしっかりと握り、いつ来てもいいように神経を張り巡らせる。
すると、住宅街の屋根を飛び越えるかのようにその人物が現れる。そして、視線が重なり合う。そのまま飛び超えていこうとしているのを止めなければならないのだが、この速度じゃ取り出すのは間に合わない。であれば...2号の使いどころだろうか。そう思いながら2号の巻き付いた右腕をそいつに向ける。
その途端、2号はツタのように伸び、そいつの足を絡め取った。なので、勢いよく右腕を後ろに下げるとそれに呼応するように2号も収縮し、奴と俺の間がどんどん狭まる。なので、左腕で黒鳥の剣を構えながら奴が間合いに入ってくるのを待つ。
だが、あちらもちゃんと頭が切れるようで間合いに入った瞬間突き出した剣の刃先に鋼鉄のような糸で作られたのだろう短剣と打ち合いその威力で2号を外しながら距離をとられる。
「なんだその滑稽な装備は。」
「失礼な奴だな。今俺ができる最大の攻撃全振りの装備だぞ?」
「そうかよっ!」
奴もどうやら俺を倒さないと先に進めないのだと理解したらしい。まあ、本来その役目は遼太郎の方なんだが...現状はそうも言ってられないか。
何度も、鍔迫り合いをする。静寂な夜半の街に金属同士が撃ちつけ合う音が響き渡る。
そして、やっと遼太郎が住宅の塀の陰から姿を現す。
「お前の担当じゃなかったのか?」と視線だけ遼太郎の方に向けながらそう言うと、
「うっせぇな、協力しやがれ!俺だけじゃどうしようもできねぇよ!」と焦りと怒りのような感情の入り混じった声で返答される。おお怖い。
「そっかぁ。まあ、胸なら貸してやるよ。」
「それ、俺のこと下に見てるってことかよっ!」
【狛凪流 上弦月】
ちょっとぐらいは感情がほぐれたかな。それじゃあ、しっかりと相手をしますかぁ...。
取り敢えず、彩花には伶と桃花の二人に。波留には光ちゃんと歩さんの二人に。俺は桧さんにドローンのロープをくくりつける。
しかし、先に文野が伶の懐をまさぐる。
「いったい何をしてるんだ?」と問いかけてみると、
「無策で戦うのは得策じゃないからね。戦うには私の力だけじゃ不足してるのさ。」と答える。そして、こちらに対して懐から取り出した黒い触手のような機械を見せつける。
「なるほど。ちなみになんだが...、俺が扱えるものはあるか?」
その一言に文野は驚いた顔をしたが、一瞬何か考えるような所作をして、伶の懐から二つの機械を取り出す。
「多分君なら、2号と9号をうまく使えると思う。2号は利き腕に、9号は背中に装着してね。二つとも君のために戦ってくれるよ。」
言われた通りにそれぞれを装着する。すると、9号が翼の様に大きく広がる。
「これは...?」
「9号は私も作るのに手を貸していてね。そいつは飛行能力を着用者に与えるものだよ。君になら、うまく使えるでしょ?」
「・・・ああ、そうだな。」
会話を通じてだが、やはり表情は余裕を保ってはいるが内面はやはり動揺を残している。だが、その状態でもなお脳では冷静に状況を分析しているように見える。全くもって怖いやつだ。
そう会話をしているうちに護衛チームの準備が完了し、遼太郎を抜いた襲撃チームを置いて先に出発する。
2017年07月21日(金)0時42分 =住宅街呪い屋近郊=
安全のため、俺だけ呪い屋に直接行くのではなく少し手前で着地をした。着地をすると9号は折りたたまれ、服の中へと収納される。外部から変なものをつけていると見られることがないだけ良かったと安心した。
しかし、少し面倒なことになった。どうやら近くに遼太郎が居るようだ。いや、それだけなら何ら問題はない。一番の問題は、近くに公安の人間がいるということだ。それも、何故か分からないがこちらを捕捉しているような動きをしている。
おかげで厄介極まりないという状態だ。だから、俺は呪い屋に行った全員を守るために何が何でもここで足止めをする。本来なら遼太郎の役目だが四の五の言ってられないのも事実だ。
ポケットから黒の革手袋を取り出し装着する。そして、手のひら同士をこすり合わせて勢いよく離す。するとあら不思議、どこからともなく黒鳥の剣が出てきたではありませんか、という持ちネタはほどほどにしておいて、その剣の柄をしっかりと握り、いつ来てもいいように神経を張り巡らせる。
すると、住宅街の屋根を飛び越えるかのようにその人物が現れる。そして、視線が重なり合う。そのまま飛び超えていこうとしているのを止めなければならないのだが、この速度じゃ取り出すのは間に合わない。であれば...2号の使いどころだろうか。そう思いながら2号の巻き付いた右腕をそいつに向ける。
その途端、2号はツタのように伸び、そいつの足を絡め取った。なので、勢いよく右腕を後ろに下げるとそれに呼応するように2号も収縮し、奴と俺の間がどんどん狭まる。なので、左腕で黒鳥の剣を構えながら奴が間合いに入ってくるのを待つ。
だが、あちらもちゃんと頭が切れるようで間合いに入った瞬間突き出した剣の刃先に鋼鉄のような糸で作られたのだろう短剣と打ち合いその威力で2号を外しながら距離をとられる。
「なんだその滑稽な装備は。」
「失礼な奴だな。今俺ができる最大の攻撃全振りの装備だぞ?」
「そうかよっ!」
奴もどうやら俺を倒さないと先に進めないのだと理解したらしい。まあ、本来その役目は遼太郎の方なんだが...現状はそうも言ってられないか。
何度も、鍔迫り合いをする。静寂な夜半の街に金属同士が撃ちつけ合う音が響き渡る。
そして、やっと遼太郎が住宅の塀の陰から姿を現す。
「お前の担当じゃなかったのか?」と視線だけ遼太郎の方に向けながらそう言うと、
「うっせぇな、協力しやがれ!俺だけじゃどうしようもできねぇよ!」と焦りと怒りのような感情の入り混じった声で返答される。おお怖い。
「そっかぁ。まあ、胸なら貸してやるよ。」
「それ、俺のこと下に見てるってことかよっ!」
【狛凪流 上弦月】
ちょっとぐらいは感情がほぐれたかな。それじゃあ、しっかりと相手をしますかぁ...。
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